103.続・ゲリラと正規軍の違い



(読者からの意見)
国際戦略コラム bX5でのコメントに一言

> 正規戦は、国力と軍備等の差でだいたい予想できます。特に現代戦
>は、航空装備の差が決定的です。湾岸戦争を見れば分かります。
> ゲリラ戦は、その地域の住民の中にいる必要があるため、民衆から
>ある程度の支持がないと、成り立たないのです。

 ゲリラ戦という言葉が、Fさんの言われるように、民衆等に紛れ
込んで軍事活動などをしたり、北朝鮮の特殊部隊が韓国軍の制服を
着用して欺瞞行動をする場合、権力に対抗する組織が破壊活動をする
場合など、かなり広範囲に使われていますが、これは、少数部隊が
軍事活動をする共通性があるためと思われます。しかし、先のケース
で使用するのは、どうも誤解のようです。
  
 正確には、「ゲリラ戦(活動)」は、正規軍の戦闘を補助する
不正規戦を言います。ないしは、組織的活動不能となった正規軍が、
少数部隊を編成して敵正規軍に対抗する軍事行動と考えるようです。
 例えば、少数の精鋭部隊を敵の後方に深く浸透させて、敵の補給路
を攻撃するような行為。また、敵に分断され少数化した正規軍が、敵軍
の占領化を妨げるための軍事活動を続けるケースなどです。ゲリラは
戦争の一形態で戦争法の適用対象となり、ゲリラ活動で捕まれば国際法
で捕虜の取り扱いを受けます。

 しかしながら、ベトナム戦争当時の南ベトナムでの解放軍、革命軍、
占領下でのパルチザン活動、正規軍であっても敵軍を欺瞞するために
敵軍の制服を着用する場合などは、敵体する側から見れば、正規軍に
よる軍事活動ではなく、単なる破壊活動(準軍事的)ですので「テロ」
活動に当たります。テロは、もっぱら刑法の対象です。ですから、テロ
では刑法犯となり、多くが極刑となってしまいます。捕まった場合、
捕虜の扱いを受けずに処刑されるのです。
 
 従って、Fさんの言われる、「民衆の支持を受けて…」は、正規軍の
少数部隊が軍事活動を行ない続ける場合というよりも、民衆に溶け込む
ような形で破壊活動を行なうケースと思われますので、「ゲリラ活動」
にならず、テロ行為になると思います。
 正規軍であるか、否かは、単に自軍の制服を着用しているか、いない
かの差ぐらいだと聞いています。北朝鮮の特殊部隊が、正規の軍服に基
づき韓国領内に浸透して逮捕された場合には、捕虜の扱いを受けますが
、韓国軍の軍服を着用して捕まった場合には、テロ活動で処刑されても
捕虜虐待にはならないようです。
 
 戦争映画「翼は舞い降りた(?)」は、ナチ・ドイツ軍の精鋭が
イギリスに渡り、チャーチル首相かアイゼンハワー将軍を暗殺する
ストーリーでしたが、ドイツ軍の隊長が単なるテロ行為にならないよう
に、わざわざ米軍の服の下に、ドイツ軍の制服を着用して、戦闘になった
場合に、米軍の服を脱ぎ捨てるようにしたのも、ゲリラ活動になるよう
にしたためだと思います。(映画とは言え、重ね着するんだから暑かっ
ただろうなー)
 
 従って、日本のメディアでしばしば見られる「極左集団による
ゲリラ活動」という表現は、彼らがやっているのは戦争ではありません
ので、「テロ行為」とするのが正確です。

 ふる@鶴川 
================================
(Fのコメント)
 その通りです。国際法の戦時規定では、軍服を着ているか軍の肩章を
付けていることが、軍人の証拠になり、捕虜の扱いを受けることに
なるのです。軍事規定上は正しい。

 しかし、正規軍が対等かそれに近い時は、非正規軍の活動が意味を
持ちますが、圧倒的な違いがあるときや自軍が壊滅状態では、敵陣営内
の破壊工作だけでは、到底勝てません。この時は、自国(自陣営)内に
敵を引き入れて、戦う必要が出てきます。

 すでに、北朝鮮は「テロ国家」であることは判明しています。日本や
韓国国民を大量に拉致したり、大韓航空機を爆破したり、東アジアに
大きな脅威を与えているのです。優秀な人を韓国や日本でテロ活動
できる技術を教育し、かつ訓練している。現にオウム事件の裏にも
北朝鮮の影があったとの報道もあります。

 1つの選択肢として、米国は北朝鮮を武力で打倒することも検討して
いる可能性があると思うのです。この時、日本国内のテロ活動をどう
抑えるか公安警察と防衛庁は、協議しておくことが必要です。

 米朝会談が長引くと、共和党政権になり、本当に戦争になる可能性が
あるためです。日本はガイドラインに沿って、北朝鮮と戦争する事態
になるのです。米国は中東と北朝鮮がリンクして戦争を始められるのが
戦力分散になるため、難しいかったのです。が、中東は一応安定して
きた。

 ここで、米国は、北朝鮮を片づけておこうと思う可能性はあるのです
から。そのぐらいの脅しがなければ、北朝鮮高官がワシントンに行く
はずがないと思います。

コラム目次に戻る
トップページに戻る