102.公共事業の別の見方



(読者からの投稿)
Fさん及び国際戦略コラムの購読者の方々へ

毎回、国際関係・時事問題に関する詳しい解説、興味を持って購読
させていただいております。

吉野川の河口堰問題に関する意見です。
実は、私は去年の夏、四国に家族旅行に行き、徳島市長や建設省の
方などと父のつてで面会がかない、吉野川の現状を色々とうかがい
ました。
問題は以下に集約できるかと思われます。

1,吉野川の歴史と河口堰
2,災害投資
3,公共投資の限界
4,情報集約化経済への変化
5,観察眼の重要性

 現在の河口堰の存在によってつくり出された自然環境は50年
程度のものだそうです。可動堰建設は水害防止の目的だけではない
そうです。吉 野川の河口堰の直前が2つに分断されており、右側
のかなり汚い淀みになっている部分を河口堰の撤去によって無くす
目的もあるそうです。自分でもみましたがヘドロがたまり臭いも
かなりのものでした。つまり、これによって、別のよりよい自然環境
がつくりあげられることも意味します。また、ご存知の方も多いと
思いますが、NHK「世紀を越えて」でFEMAのウィット長官が、「災害
による投資」ということを何度も口にしていました。吉野川の一件も
同様のことがいえると思います。今、国家財政はただでさえ、窮乏の
事態です。(財政赤字600兆円)今年、吉野川の大反乱が起こり
きらないとは当然言い切れないでしょう。水害による経済ダメージ、
及び税収減少は、十分考慮に入れなければならない。

 ただ、政府側も口で対抗するではなくて、折角コンピューターと
いう代物があるのですから、環境の変化をシュミレートすればいいの
にね。核爆発のシュミレートできるのですから、政府規模であれば
この程度は十分に可能です。

 確かに、現在の政府の財政政策には、バラまきに過ぎないのでは
ないかという見方は私にもあります。しかも、現在の補正的財政政策
の提唱者であるケインズ自身は、帝国主義と恐慌に終止符を打つため
に現行の政策を思いついたのであり、その成果を十分に得た今では
それは昔話であり、また、1930年代、多くの市場経済の労働需要
は、ブルーカラーであった。ホワイトカラーの本格的な登場は戦後以降
です。経済構造も衣料・食料中心から耐久消費財中心の経済に変わって
いる。何が言いたいかというと、公共投資によって、見込まれるであろう
有効需要の可能性に以前と比べるとはるかに限界があるということです。
しかも、情報集約化経済への移行によって、ブルーカラーのそれに比べて
、ホワイトカラーの労働需要はますます低下して行くでしょう。
ブルーカラーの人は、当然、株式・公債、情報処理関係の耐久消費財
には興味がないでしょうから、現行の公共投資による長期的な経済展望
は難しいといえる時期に来ています。日つまりは、アメリカのように
法整備の拡充、教育制度の改善によって経済構造の改革をする方が、
はるかに有効であるといえます。
(この点は、移民政策の問題とも平行線で見て行かなければならない。)

 しかし、常に見方に中止しなければならない。すべてが、バラまき
ではない。吉野川の一件は、よい例です。そんなに250年程度の
自然環境を守りたいのであれば、認めてあげればよい。そのかわり、
今後水害が起こった際、政府はいっさいの援助を提供しない。
当たり前でしょう。

 知恵付いた大衆ほど、見ていて愚かしい存在はない。
原発建設の反対を主張しながら、家では、平気でエアコンを使っている
主婦。
 人口爆発が地球を滅亡させると言っているのにアフリカで必死に
死亡率の低下策を模索するUNISEFの人々。どこかおかしい。
 また、オウムに対し(今はアレフですか)撲滅運動をするのは結構
ですが、オウムは別にエイリアンじゃない。日本人です。日本の社会
から出てきた存在です。麻原障光を生んだのは、何を隠そう我々
日本人だ。そのことに対する反省はないのか。人は皆生まれながらに
悪人ではない。

 どこか、今の人間、特に日本人の社会観察における視点はおかしい
と思う。バラバラです。しかも、身勝手な文句といいわけだけで、
全然改善と展望を考えない。

 土建国家だって、高度成長からバブル崩壊まで土建でうまくいって
いましたから、誰も疑問を抱かなかった。30年前の土建と今の土建
はたいして変わりません。ただ、人々の見方が変わっただけです。

 もっと素直に、子供のころの純粋な好奇心や優しさを維持して欲しい。
少なくとも、私はそう努力しています。また、社会を常に劇的に変えて
きた天才たちもそうでした。

 できれば、「複雑系」や「ガイア理論」、「ホロン」といった
現代哲学及び科学をもう少し勉強し、ヒトがなぜ理性を勝ち得たかの
理由を考えていただきたいと思います。
 あと、英語の第2公用語化ですけど、当たり前のことだと思います。
過去3000年続いたイデオロギー対立や宗教対立の壁を越えるのは
言語とコンピューターです。これを一般の人々が使いこなせれば、社
会は劇的に変化するでしょう。
 少々、長くなりましたが、吉野川の一件から読みとれる私の個人的
見解は以上です。
  
NAKATSU さん
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(読者からの意見)
広瀬と申します。
今回の堰の問題は住民の反対が住民投票で決まり、
政府は方針を変更すべきでしょう、しかし、土建屋的見解はあるに
せよ、本来忘れては行けないのは、堰の必要性ではないだろうか?
道路のせよ、堰にせよ、政治家がいかなる悪行を行っていようと、
必要な場合がある。
土建自体が悪いわけではないことを指摘しておきたい。タバコ産業
にしろ、日本の我々の生活をうるわスためには必要なのだから。
また英語を第二外国語として認めない輩は俗民としかいいようがない。
日本の教育レベルは世界でトップを誇るのに、なぜ日本人が通用し
ないかは、英語べたというのは眼に見えている。
本当に才能のある人間は日本語がおろそかになるわけはないし、
言語を比較しながら勉強することは好ましいことであり学習意欲を
向上させる。

以上
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(読者の要望)
英語が第二公用語にすると言う意見は見落としました.その意義は理解
出来ますが、之は日本人の文化に影響することですから、慎重に検討し
なければなりません。 私の見落とした論説を是非教えて下さい。
渡辺。
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(Fのコメント)
 ありがとうございます。中津さんの投稿は優れていると思います。
分析の観点が高いレベルにあります。今後も意見をください。
それと、ホロン、ガイヤ理論、複雑系を解説していただけませんか?

 しかし、神戸空港問題でも思うのですが、日本人のエゴはどうしょ
うもないですね。当初関西国際空港は、神戸空港の所に作ろうとした
のです。その時、住民運動で反対され、関西中心から遠く離れた今の
位置になった。関西空港ができた時点で、今後は反対していた神戸市
が神戸空港を認可しろと、運輸省にくるのですから、当時を知ってい
る人たちは、頭にきたとのことです。また、伊丹空港の騒音公害のた
めに関西空港ができたのに、できた途端閉鎖反対ですから、住民エゴ
がはげしいのです。

 だた、吉野川の河口堰反対の不利益は地元住民だけが負うのですか
ら、まだいいのではないでしょうか。日本政府も、地元住民のためと
いうわけではなく、新聞等で被害があったとき、叩かれるのがイヤな
ためでしょうから、住民投票で反対であるなら、被害時免責になると
思うのですが。どちらにしても、全体の利益を損なわないのであれば、
住民意思の尊重が民主主義の基本ですので、河口堰の建設は中止で
しょうね。

 広瀬さん、私は、土建屋が悪いとは、言っていません。公共事業を
日本社会の競争力向上のための施設にシフトしようと提案しています。
また、選挙のために土建屋を使うのは、ムリですよと自民党に言って
いるのです。それは、国民の感じ方が変化したためです。
 しかし、その変化をキャッチして選挙のやり方を変えないと、大敗
を喫する可能性もあると、注意しているのです。私も保守系ですので
心配です。共産党が躍進する可能性が大だと感じていますので。

 渡辺さん、公文書では、日本語と英語を併記する可能性が高く
なります。しかし、伝統・文化が崩れるという心配はしていません。
 戦後、論語教育がほとんど無くなった方が、前世代の人間評価基準
と大幅に違う方向に変化したと感じています。今、万事が金だけの
評価で見る傾向になってきています。この基準変化は、英語ではなく、
日本の教育が変化したためですので、英語を第2公用語しても、
日本の教育を変革した方がいいと思います。
      F

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