オーストリアの自由党について



 自由党がオーストリアの政権党になり、EUは蜂をつついたよう
な状態になっている。この自由党を極右政党として、EU諸国は
認知しているが、その論点は、3つであろう。

 1つが、ヘイダー党首がナチスの雇用政策を評価したこと。
もう1つが、外国人の移民を反対したこと。「オーストリア・
ファースト」の政策である。さらに、EU加盟反対であることの3つ
。しかし、EUには留まると声明を出しているので2つが問題。

 オーストリアがドイツ語圏のため、ヒトラーのドイツはオーストリア
を併合した。よって、オーストリアは被害国とされているが、オースト
リア内部にはヒトラーに共感した人たちがかなりいたようです。
被害国であるため、このヒトラー・シンパが戦後パージされずに生き残
ったのです。

 前回はワルトハイム氏が元ナチスの党員であったことが分かり、
大騒ぎになったが、今回は、元ナチス党員の子供であるヘイダー
自由党党首である。ドイツと違い、オーストリアは戦前と歴史が継続
しているのだ。
 逆にドイツは、戦前と分離した状態になっている。全てナチスが
悪いで終わり。どっちが正常なのか?日本はこのオーストリアと同じ
で、戦前と戦後は継続している。このため、歴史の真実を掘り下げる
必要に迫られることになる。この面でも、共感できるものを感じる。

 外国人の移民反対についても、現に日本は移民を実行していない。
オーストリアの国民は、移民政策に反対するために、自由党に投票
したのであるから、自由党は国民の期待に応えるべきである。それが
民主主義の根本だ。

 しかし、今いる外国移民の人たちは、そのままの権利を保持させる
必要がある。もし、現在いる外国移民の人たちを追い出すことになれば、
これは国際機関が推進する人権外交に反するため、人権侵害とされる
可能性が大である。そして、完全に国際的孤立状態になる。

 今後他国でも同様な主張の政党があるため、今後もどうようなことが
起こる可能性もあるため、国家主権を制限する権利を、どのまで
EU理事会は持つのか、この事件をトリガーに決定する必要があるよう
です。

 このような排他主義を主張する政党が、非難するEU諸国内部でもあり、
その政党の得票率が上昇しているのです。今EU諸国で主流の社民党的
理想主義は、人間の持つ感性と、どこか違うと感じているためだと思う。
人間の感性と理想の差が激しいと、その政策はいつか破綻する可能性が
ある。(資料参照)

 EUの博愛主義はどこかムリがあることを、オーストリア国民が、
感じている証拠のような気がする。EUになると、市場は大きくなる
が、これは大企業が有利で、地場産業は不利になる。アイルランドは
EU加盟した途端、アイルランドの企業株が暴落した。これも、その
理由であった。

 もう1つが、投資が発展途上国の工場整備に向かい、またその工場
建設用地までのインフラ整備に使われ、オーストリアなどの中進国は
投資を呼び込めなく、かつ、後進国の工場に仕事を取られることにな
るのです。ドイツ・フランスは、投資を高度経済構築に向ける必要が
あるのに、その投資を東欧の後進国に向けるため、米国・日本の経済
高度化に追従できないことになる。21世紀に禍根を残す可能性が
あると感じるのですがどうでしょう。

 どちらにしても、EUは大きな実験であり、今後もいろいろと、
内部矛盾やひずみが出てくると思う。
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(共同通信から引用)
02/03 17:25 低所得層の不安あおり台頭 親ナチスで政界快進撃

 「今世紀中に首相になる」。一九八九年に南部ケルンテン州知事
の座を三十九歳の若さで射止め、折に触れこう宣言した。二十世紀
はあと一年足らずだが、決意を裏付けるように政界で快進撃を続け
てきた。                          
 オーバーエスタライヒ州の元ナチス党員の家庭に生まれた。ユダ
ヤ人が売却を強制された広大な土地を相続。旧ナチス支持者の゛隠
れみの″として発足した自由党の青年部で政治活動に参加、八六年
には党首に就任した。                    
 九一年六月、州議会の演説中に連邦政府の雇用政策を批判した際
に「(ナチス・ドイツの)第三帝国には秩序ある雇用政策があった
」と発言、辞任に追い込まれた。欧州連合(EU)諸国やイスラエ
ルが今も問題視する最初の゛失言″だ。            
 自由党が第二党に躍進した昨年十月の総選挙では、十三年間続い
た社会民主党と国民党による「大連立」からの変化を求める有権者
の支持を集めた。東欧からの移民急増やEU拡大に伴う自国の競争
力低下に警告を発し、低所得労働者などに「職を奪われる」との不
安感をあおった。                      
 九五年のEU加盟以来、初めてオーストリアが議長国を務めた一
昨年後半にも「EU拡大はすべての労働者と正直な国民に対する宣
戦布告だ」と訴えた。                    
 連立政権が実現しても、自らは二○○三年の任期切れまで州知事
にとどまるという。しかし、ハイダー党首あっての自由党という図
式に変わりはなく、欧州諸国は当面、その言動に揺さぶられそうだ
。ウィーン大卒。五十歳。(ウィーン共同=永田正敏)     
(了)  000203 1725 
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(共同通信から引用)
02/05 16:00 在住外国人に広がる不安 極右連立のオーストリア

 【ウィーン5日共同】極右政党、自由党が参加する連立政権が発
足したオーストリアで、国内在住の外国人の間に生活や安全への不
安が急速に広がっている。                  
 選挙戦で外国人排斥を唱え、過去にナチス擁護発言を繰り返した
ハイダー党首率いる自由党への不信感は根強い。イスラエルの大使
だけでなく一般外国人の゛脱出″さえ起こりかねない状況だ。  
 「この国から出て行くべきかどうか迷っています」。連立発足の
四日、ウィーンの外国人向けラジオ番組でトルコ人主婦がこんな相
談を持ちかけた。                      
 ところがこの番組では「外国人に投票権はないので反自由党デモ
に参加すべきではない」といったものや、「いや、ここで働き税金
も納めているのだから権利はある。ただし殴られても知らないよ」
などオーストリアの排斥感情を裏付けるような意見も出た。   
 ウィーン在住ユダヤ人約八千人の精神的支柱とされる「ユダヤ人
歓迎協会」のレオン・ツェルマン会長は「非常に心配している」と
力説。「外国が過去(ナチスの歴史)に触れただけで、オーストリ
ア国民は反発している」と国内の反応に懸念を隠さない。    
 会長は「ユダヤ人虐殺は、強制収容所ではなく人種差別演説など
憎悪の雰囲気づくりから始まった。ハイダー党首は、全く同じこと
をしている」と批判。戦争を知らない若者が自由党に集結しており
、欧州各国は過去と同じ兆候の表れに警告を発していると述べた。
 セルビアやトルコなど外国人が人口の三割を占めるウィーン十五
区。東洋食品店のイラン人店主(40)は「国外に逃げたいが商売
を捨てられない」と嘆く。                  
 開店して約半年の同店主は、昨年十月の総選挙で自由党が大勝し
てから外国人住民への「言葉の暴力」は耐え難いほどになったと主
張。最近も、すれ違ったお年寄りが、連れていた犬に「ほら外国人
だ。かみつけ」と店主の前でけしかけたと語った。       
(了)  000205 1600 
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(共同通信からの引用)
02/04 22:59 勢いづく欧州極右勢力 自由党が包囲網突破  

 【ブリュッセル4日共同】オーストリアで極右の自由党が参加す
る連立政権が成立したことで、欧州の極右陣営が勢いづいている。
自由党の二七%という得票率には及ばないものの、欧州には一五%
近くの得票率を持つ極右政党がある。             
 左右の既成政党の間には、どれほど対立が激しくとも、政権獲得
や維持のために極右と手を組むことはしないとの「了解」の下で、
ファシズムのウイルスに対する「防疫線」が張り巡らされていた。
それがオーストリアで突破された。「抗議政党」としか見なされて
いなかった極右にとっては、悲願の「政権政党」の座を獲得したこ
とになる。
 ベルギーのミシェル外相は「ファシズムへの抵抗線に亀裂が入っ
た」と慨嘆。同国の極右政党フラームス・ブロックのドウィンター
党首は「各国の過剰反応は、政権がわれわれの力をどれほど恐れて
いるかを示している」と豪語した。              
 フランスの極右政党、国民戦線のルペン党首は「オーストリアへ
の欧州連合(EU)の卑劣な最後通告」を声高に非難し、共和国民
運動のメグレ党首はパリのオーストリア大使館前で支援デモを呼び
掛けるなど、久々の「出番」に勢いづいている。 
 こうした極右政党はネオナチから保守に近いものまでさまざま。
自由党のハイダー党首についても「ネオナチではなく、無責任な大
衆迎合政治家」との見方があるが、共通するのは排外主義、移民排
斥、反EUなどの政策だ。                  
(了)  000204 2258

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