めざせ!!IT革命



YS/2000.01.15

昨年から「IT(インフォメーション・テクノロジー)革命」なる言葉
が囁かれ出したと思ったら、新年早々政財界人の口から合言葉のように
連発されている。

ようやく不況から抜け出す「キャッチアップコピー」として合意が成さ
れたのであろう。

キッシンジャー氏曰く日本人はマラソンランナーらしい。決して順位は
語らないが万年2位が都合がいいようである。遥か先を行くトップ走者
アメリカの背中に「IT」とはっきり記されたのだろう。

IT革命の基本特許を支配するアメリカに膨大なロイヤリティーを貢ぐ
べく『被保護国日本』の健気な努力が始まった。しかし国内の知的所有
権における法改正ぐらいは入念に準備すべきではないだろうか。

AOLタイムワーナーの誕生と来月にも決定しそうなマイクロソフト分
割はすでにアメリカでは「IT」分野が成熟期に入ったことを意味する。

AOLタイムワーナーの件では買収と被買収における新旧比較で話題に
なっているが、あくまでも合同に向けた手段であって意味ある論争では
ない。結果としてタイムワーナー主導の組織となるだろう。

またマイクロソフト分割も司法省はアドバイザーとしてニューヨークの
投資会社グリーンヒルを指名している。グリーンヒルはATTの199
6年の再分割でファイナンシャル・アドバイザーを務めたモルガンスタ
ンレ−から分離した情報通信分野を得意とするM&A専門企業である。

おそらく3社か4社に分割されるだろうが、近い将来いずれかの企業が
旧ATT企業(ATT、ルーセントテクノロジー、NCR)やGE、I
BMなどを巻き込み再統合されるだろう。この中でルーセントテクノロ
ジーあたりの動きは注目される。またミッキーマウスも動き出すかもし
れない。

ビル・ゲイツ氏はCEOを辞任したが、ロックフェラー家で講議を受け
るといいだろう。題して『分割における傾向と対策』と『いい人になる
方法』あたりが最適かもしれない。1911年のスタンダード石油解体
から苦節88年もの歳月を経てのエクソン・モービル再合併のいきさつ
は大いに参考になるはずだ。

「IT」分野が牽引してきたアメリカ金融市場も多少影響がでるかもし
れない。ただし次なるターゲットを完全にとらえた上での戦略転換であ
ることを認識すべきである。(ただし大統領選の前後は要注意)

カーギル、デュポンなどが生分解性プラスチックの商業化に乗り出すら
しい。燃料電池分野を含めいよいよ環境関連ビジネスに本格的に取り組
む気配を感じる。EUあたりとの駆け引きがおもしろそうだ。


『被保護国日本』については前回コラムのブレジンスキー氏の次の文か
ら引用した。

「1949年に中国の内戦が終結して以来、アメリカは東アジアの政策
基盤を日本においてきた。日本は当初、アメリカの駐留軍の占領地に過
ぎなかったが、その後アメリカがアジア、太平洋地域に政治的プレゼン
スを確保する際の拠点になり安全保障上の『被保護国』となった。」

これに対してかって三島由紀夫は自決直前に次のように語った。

「このままいったら『日本』はなくなってしまうのではないかという感
を日増しに深くする。日本はなくなって、そのかわりに、無機質な、か
らっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない、ある経
済大国が極東の一角に残るであろう。それでいいと思っている人たちと
私は口をきく気にもなれなくなっている。」

なんでもプラスに転換できる発想が必要です。結局のところ現在の日本
は無色透明なわけです。いろんなカラーリングを施こすことができます。

残念ながら私自信は赤系単色は好みではありません。
いろんな配色の中で調和のとれたオリジナルカラーを目指しています。

引用 毎日新聞1999年9月21日朝刊(岩見隆夫氏「近聞遠見」)

BGM-The Pahinui BROS.-

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