米国の危険な道=保護主義



 米国は、シアトルWTO会議の阻止に向けて、右派のブキャナン
と左派のライフ・ネーダが握手した。この両派の目的は全然違うが
保護貿易では、同じ道になる可能性がある。

 今、大統領予備選挙中であり、民主党主流派である国際金融資本
や財閥が労働組合の意向を無視できずにいる。国際金融資本や財閥
は、国際的活動をするため、本来は保護主義はマズイ。今までは、
財閥が労働組合をダマシ、ダマシ、国際的な取り決めやNAFTA
等を実行してきた。外交はエリートの仕事であった。しかし、近年
NGOをいう民間団体が、世界機関に影響を与え始めていた。

 WBでは、既にNGOを評議会のメンバに入れて、発展途上国
開発に意見を採り入れている。しかし、このNGOはいろいろな
団体があり、環境問題、労働組合、発展途上国の支援などがある。

 このNGO組織と左派の過激派が結びついて、シアトル暴動に
なったのであろう。民主党の大統領選の一貫で、NGOの支持を
必要としているからだが、民主党内の混乱は今後大統領選挙期間
中続くであろう。

 また、共和党も主流派は、国際的な産軍共同体制を指向する国際
派である。ブッシュ前大統領が良い例だ。軍や安全保障として
テキサスの石油がある。よって、産軍共同体制のテキサス石油資本は
国際派であり、それがブッシュのバックになっていた。このように
共和党も米国国内資本の党であるが、米国企業で海外進出していない
大企業はないので、やはり、国際派であることが多かったのです。

 しかし、米国国内中堅企業は、海外からの安い製品が押し寄せて
、苦しい。このため、国内産業保護を叫ぶ国家主義者がいるのです。
代表的なのがブキャナンですが、この保護主義が主流の国際派と
いつも、激突していた。とうとう別の党を起こして、出ていくことに
なったが、多くの米国国民の支持を受けている。

 製造業がなくなり、サービス業が中心になると、中産階層が要ら
なくなり、全体的な賃金水準が下落することが知られている。
 米国は情報産業が下支えしているため、大幅な下落を引き起こして
いないが、既に情報スキルのない人たちは、全国民の約50%以上で
あるが、給与が年間最低賃金の2万ドル程度で貧困な生活になっている。

 この左右両派は、保護主義という一点でまとまると、今後の世界体制
は、多くの困難に陥るであろう。米国は現在、債務超過状況で、米国経済
がおかしくなったら、どうしてもこの状態は中止する必要が出てくるので、
保護主義化する必要があるのです。保護主義は世界の安全より、自国の
安全だけになるため、軍の縮小も視野にあるようだ。これが問題。

 日本を考えればいい。自国の軍事を最小限にして、世界貿易をする
上で重要な海上の安全を米国に頼っている。米国は12隻の空母艦隊
で、世界の海上交通の安全を守っている。この安全を放棄されると、
この役割を誰かがする必要がある。ここで日本の一般大衆は国連軍で
やればいいと言うが、これはムリ。軍の指揮がバラバラでは、まとも
な軍事活動はできない。ロシア、中国と米国、日本、欧州では利害が
大きく違い過ぎる。米国は年間60兆円の軍事費を世界の安全にかけ
ているのですよ。

今までで、この関連話題は下記の通りです。
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/111222.htm
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/111206.htm
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/beiteh.htm
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/sobei.htm
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(読者からの意見)
前略 いつも興味深く拝見しております。
1月7日付コラムの「欧州別の視点」に関し、一部に何故
そのような判断を下しておられるのか理解出来ない部分が
ありますので、以下の部分についてその根拠をお尋ねした
いと思います。
1.「どうも、ロシアや欧州諸国は、たぶんチェルノブイリ
原発事故の影響で、平均寿命が低下しかつ国の活力もなくな
っているように感じる。
原発事故から10年から20年でガン等の障害が、だんだん
と表面化するが、そろそろその時期である。
 欧州男性の精子が少なくなっていると聞くが、これは環境
問題ではなく、放射能汚染を考えた方がいいのではないか??」
平均寿命の低下がチェルノブイルの影響とする理由は何でしょ
うか。確かにチェルノブィル事故以後、ウクライナや白ロシアの
一部で、被曝の影響ではないかと考えられる甲状腺障害等が
発生しましたが、ご指摘のようにロシア・欧州諸国を含む広範
囲に渡り、チェルノブィル事故を原因とする平均寿命の低下及
び国の活力低下は発生してはいないと思います。
少なくとも、EU、各国よりそのような公式発表はなされておりま
せんし、チェルノブィル関係の会議においても、当該事故を原因
とするかかる広範囲な社会的影響を示すような事実は無いよう
に思います。

2.「 ドイツの森が枯れるとか、いろいろな環境問題が出てきて、
EUは環境問題に大きくその資源を割いているが、チェルノブイリ
原発事故の影響が広汎な範囲に生物蓄積という形で累積されてきた
ためではないかと疑いがいたくなる。」

 1.の場合と同じように、チェルノブイリ事故の影響
により、放射性物質が生物蓄積されたというような事実
があるのでしょうか。そのような事実があれば、教えて
下さい。
 確かに1.にも述べたとおり、事故直後に欧州各地の
放射性核種監視施設において、放射性核種が異常な増加
を示したという事実はありますが(そもそも、ソビエト
連邦で、原子力発電所事故が発生したことを指摘したの
は、スウェーデンの放射性核種監視施設ですよね。)、そ
れ以後原子力発電所事故により、環境破壊がもたらされ
たといった公式の報告はなされていないと思います。

チェルノブイル事故は確かに重大な事故であり、その影響
は大きなものがありますが、ロシア、欧州全域に渡り環境
破壊を起こしたような事実は無いと思いますし、ある国の
国民性を変えてしまうような影響は引き起こしていないと
思いますが如何でしょうか。

ご指摘のように、欧州に於いて国民性(寿命・国の活力の
)変化、環境破壊等があったとすれば、別の原因によるも
のであり、客観的な視点を抜きにして、何でも原子力事故
の影響にしようとする姿勢には同意できません。
 
和泉さん
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(Fのコメント)
 常識的には、和泉さんの言うことが正しいです。無条件に。
しかし、チェルノブイリの原発事故は、水爆数個分の放射能が
周辺諸国に拡散したのです。この影響をあまり言わないので、
警鐘の意味で、掲載しました。この視点も考慮してほしいだけ
です。他意はありません。
 和泉さんの言うこと方が、今の世の中では正しいことです。
   F

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