プチン・ロシア大統領代行の施策予測



 KGB出身のプチンは、プリマコフと同様な体質の持ち主です。
国家観がハッキリしている。このため、まず国家統制を強化して
秩序の回復と安定を最優先で取り組んでいる。

 これは、今のロシアでは正しい。国家秩序の安定こそ、まずやる
べきことです。そのためには、ロシア経済を食い物にしている
マフィアたちを取り締まることです。

 ということは、政権の中核にいたエリティン・ファミリーを追放
することです。前任のプリマコフは、エリティン・ファミリーを
刑事事件対象で追放しようとして、逆に首相を解任されたが、プチン
はエリティン前大統領在任中の汚職を免責としたため、大統領代行
になれたのです。

 大統領代行の初めての仕事が、エリティンの2女を解任すること
でしたが、今後もエリティンの影響を排除していくでしょう。
これにより、汚職等の排除ができますので、国家は安定するはずで
す。

 この一連の施策を見ていると、プチンは国家の安定については、
正常な国家観を持っているようです。しかし、この国家観は戦争に
対しては良い方向になるかどうかです。その場がチェチェンです。

 国家の安定観は、ゲリラ戦では拡大する方向に作用することが、
過去の事例から明らかです。たとえば、日中戦争における日本の
中国国内への拡大と、最後にはインドシナからの補給線を絶とうと
して欧米との戦争に拡大させてしまった。また、ベトナムで米国も
同じような失敗をしている。ソ連でさえ、アフガニスタンで失敗し
ている。

 これと同じような失敗をする可能性がプチンにはあるように思う。
ということは、チェチェンは泥沼に入っていくことになる。この
戦費は大変だし、チェチェンの補給線を絶とうとすると、他国の
領土まで侵攻する可能性まで出てくる。ゲリラを叩くより、補給線
を絶つ方が易しいため、この失敗は昔から繰り返されるのですが、
今回もそうなりそうなのです。

 隣国とは、グルシアとアゼルバイジャンですが、注意が必要です。
とうとう、1月8日にロシア軍はグルシアとアゼルバイジャンを
ゲリラへの補給で批判した。この非難で分かるのですが、両国への
侵攻作戦の準備もロシアはしているようです。グルシアとアゼルの
両国も準備が必要ですよ。この支援を西側諸国はする必要が出てき
ますよ。米国の動きが焦点です。下記資料参照。

 このため、だんだん戦線の拡大になっていきます。そうすると、
当然、ロシアの戦費はかさむことになるのです。IMFはチェチェン
があるため、資金援助はしないでしょうから、ロシアとしても他の
方法で資金を確保しようとするはずです。ここで、北方四島の返還
で日本から資金援助を受けることが出てくるのです。ロシアは今一番
資金を必要としていますから。

 日本の立場を今の内から米国と欧州に説明しておく必要があります
よ。日本にとっては、チャンスですが欧米の批判を受ける可能性が高
いためです。チェチェン戦費を援助するわけではなく、シベリア開発
資金を援助するのであると。

 日本は3月までに内々の交渉をロシア外務省としておいて、3月
にプチン大統領が当選したら、トップ交渉に切り替えることで、
返還後に援助する額を交渉していくことが必要です。

 まず、イワノフ外相が訪日しますので、返還の見返りに無償援助
を400億円程度すると言ってみてはどうでしょうか?
向こうも、1000億円程度以上を言うと思います。返還反対は
価格の引き上げでしかないですよ。恐らく。
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(プチンの略歴)
 ウラジーミル・プチン氏 1952年10月7日、レニングラー
ド(現サンクトペテルブルク)生まれ。レニングラード大法学部卒
。75年から90年まで旧ソ連国家保安委員会(KGB)の対外情
報部門に勤務し、長年ドイツで活動。旧ソ連崩壊後、サンクトペテ
ルブルク市第一副市長などを経て、96年6月大統領府総務局副局
長、97年3月大統領府副長官兼監督総局長、98年5月大統領府
第1副長官を歴任。同年7月に連邦保安局長官。99年3月から安
全保障会議書記を兼任。同年8月9日、首相代行に任命され、12
月31日大統領代行に就任。
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(共同通信から引用)
01/08 21:31 グルジアとアゼルを非難 武装勢力支援とロシア

 【モスクワ8日共同】八日のタス通信はロシア連邦軍の発表とし
て、グルジアとアゼルバイジャン両国が、連邦軍と戦闘を続けてい
るロシア・チェチェン共和国のイスラム武装勢力に拠点を提供して
いると報じた。                       
 グルジア、アゼルバイジャン両国は同日、支援の事実を否定した
が、これまで微妙だったロシアと両国との関係がチェチェン情勢を
めぐり一層悪化する可能性も出てきた。            
 それによると、チェチェン共和国と隣接するグルジアには武装勢
力の有力野戦司令官らが隠れ拠点を設け、雇い兵を確保していたほ
か、最近はウドゴフ氏ら武装勢力幹部がアゼルバイジャンの首都バ
クーに滞在しているという。
 またグルジア領内からチェチェンの武装勢力部隊向けに武器、弾
薬を積んだヘリコプターが飛んでいるという。         
(了)  000108 2131

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