北朝鮮問題の反論と再反論



 いつも興味深く拝見しています。
 No72で北朝鮮の崩壊について論じていましたので、私の
個人的な意見を述べたいと思います。

 北朝鮮が崩壊しないのは金正日への崇拝教育とありましたが、
そんな単純なものではないと思います。
 まず歴史からみて朝鮮民族は常に中国の脅威にさらされ、
日本からも秀吉の侵略もあり、そんな中で民族を存続させてきた
のです。 そして近代、日本の植民地となり民族は辛酸をなめる
ことになります。

 北朝鮮がいまも飢えに苦しみながら民衆が耐えているのは、
北朝鮮には民族の尊厳があるからです。 韓国や日本のように
大国の属国として生きるより、独立した国家、民族でありたいと
願う民族の歴史からの教訓だと思います。

 北朝鮮の人々は、多かれ少なかれ資本主義国の物質文明を
知っています。 外国人の訪朝、在日帰国者、中国朝鮮族等、
情報は防ぎようがありません。

 逆に苦労しつつも、米国に屈せず対等の国家として、NOと発言
できる自国に誇りを感じているのではないでしょうか。
 社会主義の弊害を感じている人も多々いると思いますが、まず
米国をなんとかしないことには朝鮮民族は自立出来ないことを
知っています。

 現在の状況からすれば、北朝鮮はおそらく日本を国家としては
相手にしていないと思います。 米国と話をつければ日本も
韓国も追随することになると踏んでるはずです。
 他国の軍隊を駐留させる国に主権があると考えるほうが暴論
というものです。 米国との対話が進むに乗じて、日本の経済力
をあてにしているに過ぎないのです。

 現在の日本の状況からすると、国や民族の為にそこまでと
考えがちですが、世界的には当たり前というのはみなさんの
ご存知の通りです。
 中国の後押しによるクーデターも、植民地時の苦難や民族
意識からすると成功するとは思えません。 朝鮮民族は必ず
その現実を拒絶し抵抗するはずです。
 
 以上が私の考えです。
 みなさん現在の日本の状況を憂慮されているようですが、
私もそのように感じています。 表向き平和な時代ではあり
ますが、有事の際は無力を痛感させられると思います。
 日本人の勤勉さと能力による経済力と国家としての主権が
結びつけば素晴らしい国になるとおもうのですが。

T.Kさん
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(Fのコメント)
 T.Kさんの主張は、北朝鮮側からの宣伝ような感じを受けてし
まいます。そして、何か戦前の日本を思い出さずにはいられませんね。

 戦前、日本はアジアを欧米諸国の支配から解放しようとしました
が、欧米の圧倒的な物量に負けたのです。精神力だけではダメです。 

 国家として欧米と対抗できる実力をつけないとムリです。国家戦略
は、国自身や国民が生き残るために冷酷なまでに外交・経済・軍事を
思考することです。指導者個人の精神的満足のために、国家を運営す
る指導者層は早期に排除すべきです。結局、戦争に負ければ、排除さ
れるが。

 この反省から、戦後日本は物質的に豊かになろうとして、ここまで
来たのです。
 欧米と連携して、制度や仕組みを欧米近代資本主義にしたのです。
いいかどうかはわかりませんが、日本は世界第2位の経済力になりま
した。

 近代国家は国民の生命、財産、自由を守るために相互のバランス
調整や他国支配からの防衛をするためにできた組織であると、考え
ています。

 そう考えると、北朝鮮の国家は異常です。金正日家族の繁栄しか
めざしていないように見えてしまいます。国民を大量に餓死させる
ことを金正日が秘密会議で軍以外はいらないと発言しています。
普通であれば、このような状態では、対外開放して国民の生活を
安定させようとするはずですが、しない。このことで、本当に国家
理念がおかしいと感じた。さらに、最高幹部の一人も北朝鮮から
亡命するのですから、どう考えても異常です。

 国家経営は、軍事だけではダメで、経済全体のバランスが重要です。
豊作の今年でさえ、400万トンの穀物しか取れない。2000万人
の人口であれば、600万トンの収穫が必要なはずです。穀物の自給
さえできない状態です。このような状態を10年以上続けると、経済が
どんどんおかしくなり、人口も大減少して、国力がますますなくなる
ことになり、経済成長の激しい韓国に対抗できなくなってしまいます。
また、軍備の近代化ができませんから、軍事的にも弱くなりますよ。

 今は、日本に北朝鮮系の人がいて北朝鮮を援助しているが、それも
北朝鮮の国家理念がおかしいと、皆が北朝鮮の支援をしなくなるはず
です。この面からも、国家理念を多くの人から見て、おかしくないもの
にする必要があります。

 私が北朝鮮の指導者であれば、当面、中国のように一面抵抗、一面
交渉、一面友好などの大人の外交をまず構築し、軍事面だけではなく、
経済的面でも安定した状態を国内に作るでしょう。

 これができてから欧米諸国や韓国と対抗しないと、軍事的には格段
の差があり、戦争すれば負けですよ。ミグ19程度の戦闘機しかない
状態ではなにもできない。戦艦も旧式で韓国の艦艇にすぐ負けてしまう。

 不正規戦を考えているようですが、この戦闘だけでは、勝つ見込みは
ありません。なんせ、韓国30才未満国民の90%以上が北朝鮮体制を
嫌っていますよ。このような状態では、成功しないでしょう。残念ながら

 だから、今は韓国や米国と戦争できる状態ではないですよ。世界から
食糧援助を受ける状態で偉そうなことを言うんじゃないよ。とNGO・
国連機関等から思われているのですよ。資料参照。

 中国との間も、朝鮮半島を非核化しないと、中国の援助(年間50万
トンの穀物援助、石油援助)も切られる可能性がある。
 しかし、非核化すると、ノドン・テボドンミサイルは恐ろしくない
ことになり、日本を脅迫できなくなりますが。
この北朝鮮ミサイルの精度は悪く、標的から5KMや10KM位は離
れてしまいますから、原子力発電所に正確に命中しない。それと、米国
がいつ原子力施設を爆撃するが、分かりませんよ。米中が朝鮮半島の
非核化で合意していますから。このままでいると、北朝鮮は日本の敗戦
と同様な大きな代償を払うことになりますよ。その時は、北朝鮮の尊厳
はないですよ。無条件降伏ですから。

 日本からの援助がほしければ、日本人拉致事件の解決が必須です。
この面からも、頑なな対応は北朝鮮に何ももたらさないことになりま
す。偉そうにすることの代償は大きいのです。
 日本はODAの資金があり、交渉上、下手に出れば、資金援助できる
状態なのですから。

          F
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(北朝鮮支援のNGOからの声明)
平壌駐在のNGO及び国連関係機関は12月11日、次のような声明を発表し
ました。結局「人道援助」も意味がないということの証明です。

北朝鮮で活動中の21の国連機関,NGO、支援組織の合意声明(訳/西岡力)

                   平壌 1999年12月11日

 北朝鮮で活動中の国連機関,NGO、支援組織は、過去2年間、一定の
地域での改善はあったが、北朝鮮の人道的危機はまだ続いており、
特定地域とある部分の人たちは他よりも重い困難を経験し続けている、
という点で同意した。 

 栄養失調、飲み水、衛生、保健において未だ深刻な問題が残っている
ことが報告されている。
 透明性、検証、立ち会いの制限と強制によって、同地での支援
プログラムは困難な条件に苦しめられ続けてきた。
 支援機関はこのような制限的な条件に憂慮している。

 そのため、Oxfam(英国NGO・訳注)は北朝鮮から撤収するという残念
な決定をしたし、人道原則の拡大と人道援助の検証が妨害されている。
 これらの活動原則が守られるときに初めて支援を切実に求めている人々
への支援活動を行うことができ、われわれが活動に関与し続けることが
できる。
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(読者からの意見)
 はじめまして、現在韓国留学中の学生です。
いつも、楽しく読ませていただいてます。
先日、外交は冷徹でなければならないとお書きに
なりましたが、改めてその通りだと思いました。

 さて、先日No72で、中国が、もはや北朝鮮を
必要としていないとお書きになりました。
これは、具体的に言えばどうしてなのでしょうか?
というのも、初心者の私が見ても、まだ日米韓に
比べれば中国は北朝鮮に方を持っているような気が
します。
そのため、まだ北朝鮮の存在を必要としているので
はないかと思うわけです。
また、これは聞いた話ですが、米中の対立が、朝鮮
半島を介して行なわれている。つまり、直接対峙する
のではなく、南北朝鮮にやってもらう。
大将は、後ろで戦いを見て、手下にやらせるとでも言
いましょうか。
もちろん、これは朝鮮半島の方々には、大変失礼な言
い方でもあるとは思いますが。このような見解について
は、どうお考えでしょうか。

 お答え頂ければ幸いです。
これからも頑張って下さい。

 Y.K
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(Fからの回答)
 米中合意の朝鮮半島非核化により、中国はWTO加盟を果たせる。
このため、唐外相が平壌で北朝鮮政府と交渉したが、不調であった。

 現時点でも、中国は多大の援助を北朝鮮にしているが、その見返
りがない。ほとんど、中国の言うことを聞かない。中国の市場経済
を批判する。このため、中国政府の首脳陣は怒っているようです。
ここは推測ですがその兆候がある。中国は日韓と(定期)協議を行
うことで、北朝鮮を反省させたいはずです。

 北朝鮮は、米国と交渉していますが、ほとんど実りがないよう
です。経済封鎖を解かれても、食料援助ができないのです。上記資料。

 もう一つ、今後、日韓の軍事合同演習や経済協定、日シ経済協定
などEAECに向けた行動に中国も同調せざるを得ないのです。
 足場は中国もアジアですから。アジアとの関係を修復していく必要
があるのです。中国は国家的にも次の経済発展のための段階に来て
いる。このため、アジアや日本との協調がどうしても必要です。

 もうすでに、米国のバブル崩壊後を目指した行動を外交上も取る
必要が日本も韓国も中国もあるのですから。EUのアジア版の
EAECがどうしても必要でしょう。この実現から、経済面では
韓国や日本を無視できません。アジアに出ていこうとすれば、
どうしても東アジア全体と友好関係を構築しないとムリです。

 中国にとって、韓国の方が北朝鮮より重要なのです。絶対に。
中国の指導者として考えて下さい。冷戦の時代ではありませんから、
イデオロギーより経済です。そして、最終的には台湾との再統一
なはずです。この部分は軍事的面も含みますので、日本としては、
注意が必要です。
       F

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