2592.社会体制の循環性



グローバル市場経済で現代資本主義社会は、貧富の差を広げる様相
になっている。この検討。  Fより

経済のグローバル化で、最適な地に工場や仕事が飛んでいくことに
なり、企業は高効率な運営ができるようになったが、先進諸国の国
民、特に平均的な国民には大変な社会になっている。賃金は減り、
就職もままならない。

そして、セーフティネットは国家予算が追いつかず、未整備か給付
水準が低くなってしまう。現時点の給付は月13万円程度であるが
、それより少ない賃金しかない労働者も多いはず。これはセーフテ
ィネットの審査が厳しくなっているためである。

工場や仕事が、中国やインドに移動してしまうことで、日本国内に
有利で高給が取れる仕事が少なくなっている。論理能力ではインド
人の方が日本人より優秀であるし、ハングリー精神では中国人の方
が日本人より貧しいので高い。それとこの両国の給与は日本の給与
より安くて優秀な人がたくさんいる。

日本国内に残るのは、少数の大企業管理職候補社員か大多数のサー
ビス産業、メンテナンス業や小売業など低賃金な職種や派遣業、契
約社員など身分保障がない職になる。しかし、この日本国内でもイ
ンド人や中国人技術者が多数いるし、この頃、飲み屋でも多数の中
国人たちが働いている。日本国内でも職の奪い合いが見られる。

このように貧富の差が出来てきている。この差が広がるとどうなる
のか、非常に疑問があったが、どうも南米を見るとその解があるよ
うな気がする。

6割の不安定な労働者と4割の中産階級・上流階級に分かれると、
自由民主主義社会では、南米チェベスのような大統領が出てくるこ
とが予想できる。貧困な労働者が極端な平等を掲げる候補や党を応
援することになる。その候補は新社会主義を掲げる。

資本主義を究極まで効率化すると、社会主義になるという原則が成
立してしまう。米国のグローバルな新自由主義経済と南米のチェベ
スが提案する新社会主義を見ると社会体制の循環を感じる。

こうしないようにするためには、資本主義の効率だけではなくて、
社会全体の利益を最高にする調整を国家することである。共同善な
どの社会全体の秩序をどうするかを国全体が考え、そのコストを企
業も高所得者も払うべきであり、それで予算化することである。

貧富の差を放置してはいけない。社会秩序を壊すことになる。放置
すると最終的には企業も高所得者も一番なってほしくない民主主義
で社会主義革命を引き起こすことになる。
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社会体制の循環性・Fさま  内藤
   
 非正規雇用による、貧困の解決は、『目減りする通貨』の
発行による以外にないと、思います。
内藤 
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21世紀における資本主義と社会主義   田口富久治
http://www2s.biglobe.ne.jp/~mike/taguchi21.htm

21世紀に向けての本当に重要な問題は,これまでの考察によって,
これからも存続を続けていくであろう資本主義経済体制,商品経済
の体制,とくに多国籍企業を含む巨大資本の政治的社会的に拘束・
制約されることのない自由な活動を鼓吹する新自由主義ないし新保
守主義的な蓄積戦略,ヘゲモニー戦略−これらの概念については,
この講義のジェソップの部分で説明を加えました16)−の実行によ
って,このグローバル化の時代におけるグローバルな諸イシュー,
その代表的なものをあげれば,(1)環境破壊による地球生態系の危
機の深刻化17)−これは種としての人類の絶滅につながる可能性があ
ります−,(2)それとも関連をもつ稀少資源の涸渇の問題,(3)核
軍縮の停滞と核保有国の拡大による核戦争の危険を含めた戦争の危
険の現存の問題18),(4)南北隔差の拡大−北側でも,アメリカに見
られるような貧富の差の拡大が見られますが(日本においても同様
な傾向が見られるかどうかについては,社会学者の間の論争があり
ます)19),南側,とくにサハラ以南のアフリカ,西アジア,南ア
ジア等においては数億人単位の飢餓人口が滞留しており20),その
飢餓と貧困から脱出する方途が見出されていない−など,問題が山
積されているわけです。

 これらの人類の生存と未来を脅かすようなグローバルな諸問題−
簡単にまとめて,環境,戦争,搾取・隔差と貧困といっておきます
が−は,今日のグローバルな資本主義経済の構造によって,個別的
・地域的国家や地域連合の制度と政策によって,そして巨大多国籍
企業を含む巨大諸企業の行動と方針によって,惹起された諸結果の
複合体に他ならないでしょう。

 もし,そうだとすれば,21世紀の政治学を含めた社会諸科学の課
題は,とくにわれわれがそれにかかわっている政策科学の課題は,
この地球と人類の命運をも左右しかねない資本主義的市場経済のも
たらす弊害を,どのような主体がいかに抑制し,統制し,除去して
いくかということです−この点ではこの講義の10回目(テキストで
は13章)で触れたD.ヘルドの「コスモポリタン民主主義の理論」に
おける,(1)ローカル・職場・都市レベル,(2)国民的レベル,
(3)地域的レベル,(4)グローバル・レベルの4つの統治レベルと,
政策諸争点の性格とを適切に組合せ,それらの各レベルの垂直的かつ
水平的な結びつきによって,問題の解決を計っていくという構想が
参考になりましょう。またこれとかなりよく似た構想として,松下
圭一氏の,公共政策の主体は,いわゆる国レベルの政府政策に独占
されず,(1)市民活動,(2)団体・企業,政府レベルとしては
(3)自治体,(4)国,(5)国際機構に多元化・重層化され,「公共
政策」のうち,基本法によって「政府政策」とされたものについて
も,市民,団体,企業による分担を認めるという構想があります。
さらにヘルドの場合には,「コスモポリタン型民主主義法」の観点
からの資本主義的市場経済へのコミットメントについて,4つの論点
を設定しています。(1)経済への政治的介入によって,有害な外
部性(たとえば環境汚染)を克服したり,民主的自律の基本的要請
を企業の内外において確実に充たすこと。これは市場システム自体
の破棄ではなく,市場の「再構成」をめざすものとされます。
(2)経済生活における民主主義の確立,(3)介入形態およびそのレ
ベルとしては,「公共支出と公共投資の公的審議および決定への従
属,国際レベルにおいて公共支出と公共投資の調整を行うための新
協力機構の設立,一国的・サブナショナル・地方的市場の文脈にお
ける市場諸力の力学に直接作用する非市場的要因の重視」,
(4)所有形態と私有財産の役割についての公的実験への委任があげ
られています。より具体的な構想については,「民主主義のコスモ
ポリタン・モデルの諸目標,例示的争点」を見てください21)。

 最後に,資本主義的市場経済の弊害を,多元的重層的諸主体の連
係プレーによって抑制し,制御していくという場合に想定される,
地方,国,国際機関の政府形態(政体,ガヴァナンス)は,ヘルド
のモデルでは,現行のそれをかなり抜本的に改革したものをめざす
ことになりますが,それらは,伝統的用語を用いれば,社会民主主
義型のレジーム・経済構想・政策体系ということになるのでありま
しょうか。

 その関連で,興味深かったのは,2000年の政治学会研究会(10月
8日,9日,於名古屋大学)の分科会Jで,「第3の道の比較研究」が
とりあげられ,3人の報告者がそれぞれに興味ある報告をおこないま
したが,とくに住沢博紀氏の「第3の道−21世紀への修正主義論争?
−」は,ヨーロッパ諸社民党(英・独・仏等)のスタンスの相違点
の他に,イギリス首相ブレアおよびLSE学長ギデンズの『第3の道』
の評価22),さらに,「第3の道」の徹底化によって,ヨーロッパ社
会民主主義の「自己破壊的な革新」を含めて,アメリカ,日本,ア
ジアを含めての,21世紀の「進歩的なガバナンス」という枠組みの
展望にまで及んでいて,たいへん有益な報告でありました。実は,
私自身は,ギデンズの近代化論を中心に,『近代の今日的位相』と
いう書き下ろしの本を出版しており(平凡社,1994年),ここで紹
介したD.ヘルドは,ケムブリッジにおけるギデンズの弟子の一人で
あり,またもっとも有力な共同作業者の一人なのです。その意味で
は,私の1990年代に入ってからの,ギデンズ,ヘルド等の研究は,
21世紀に向けての「新たなガバナンス」探究の一環をになってきた
ということを,自己確認することができたしだいです。


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