2578.米国イラン作戦の成否



米国のイラク増派はイラン戦争への準備かを検証する。  Fより

一連のニュースを今回は大量に掲載したが、ここから読み取れるの
は米軍がイラン攻撃準備をしているが、地上軍の攻撃はないし、イ
スラエルがシリアと和平条約を締結する方向で秘密交渉をしている
というようにシリアをイランから切り離そうとしていることが分か
る。

また、2万人の増派はイランから支援を受けているシーア派民兵組
織「マフディ軍」を排除するために送っていることも判明した。
イランの影響力排除を米軍は目指している。しかし、その限定した
目標が達成したら、今夏には撤退のようだ。

イラクのクルド人・タラバニ大統領としても、イランと米国との戦
争をしてほしくないようだ。一番影響を受けるのはイラクでもクル
ド地域である。クルド人はイランにもシリアにもトルコにも同胞が
いるが、イラク地域のクルド人自治区を今は維持することが最優先
で、イランとも友好関係にいる必要がある。この友好関係を壊すた
めに、クルド人自治区の首都であるアルビルのイラン領事館を米軍
は急襲し、イランの外交官を拘束している。

一方、米国政府の人事もイラン攻撃にシフトしている。イラクを良
く知っているネグロポンテ情報長官を更迭し、新長官に格落ちのマ
イク・マコネルを任命した。チェイニー副大統領はイラン攻撃を主
張しているが、ネグロポンテ氏は「我々の評価では、イランが核兵
器を保有するまでにまだ何年も時間がかかる。恐らくは10年以上先
になるのではないか」と主張していた。しかし、それではイランを
攻撃できない。このため、ネグロポンテを国務省次官に転出させて
、チュイニーの言うとおりに動くマコネルに変えたようだ。

そして、ライス国務長官が中東歴訪を開始したが、イスラエルでパ
レスチナ和平を推進して、親米スンニ派諸国とイスラエルとの友好
関係を作り、共同でイラン攻撃態勢を引きたいようであるが、イス
ラエルとパレスチナのイスラエルが提案する暫定国境線は、パレス
チナ政府は拒否している。このため、ライス国務長官もイスラエル
寄りと見られたくないので拒否して、親米スンニ派諸国に向かった。

サウジを初めとしたライスが訪問した親米スンニ派諸国は、米国の
イラク増派には賛成したが、クエートのアサハ首長は、「シリアや
イランとの対話をすべきだ」とライスに語っている。明確にイラン
攻撃に否定的な見解であった。

そして、中東の盟主で親米であるサウジアラビアがイランとイラク
米軍増派で対応協議している。イランはイスラム教シーア派、サウ
ジは同スンニ派の民兵組織に影響力を持つが、直接の衝突は避ける
構えで、ともにイラク駐留米軍が核開発阻止のためイランに攻め込
み、地域の不安定化が加速する事態を恐れている。

このように、サウジアラビアの対応が揺れている。これは内部で外
交政策で権力闘争が起きているように見える。もしそうなら、親米
のアブドルアジズ皇太子と自分の息子である22年間駐米大使をし
ていたバンダル王子と、反米でイスラム擁立のアブドラ国王と、つ
い最近まで駐米大使であったトルキー・ファイサル王子の対立であ
る。

しかし、現時点、サウジアラビアはアメリカの今回の方針に賛成し
ている。この理由は、アフガニスタンへの攻撃のときに、アメリカ
と関係が悪化し、サウジアラビア国内にあったアメリカ軍基地が、
カタールに移転したことによるのではないかと思うが、ファイサル
外相は米国の方針を積極的に支援している。
湾岸諸国は米国のイラン攻撃に内心は反対している。

現在、イラン攻撃に対する賛否の立場は、戦争に反対のロシア・中
国と賛成の英・独・仏・米にハッキリと別れている。

もう1つ、米国議会が、イラン攻撃には議会の承認が必要という議
案を出している。これがもう1つの止める手である。

さあ、どうなりましか??
ハルマゲドンが起こるかどうか、微妙な時期がきたように感じるが
、サウジアラビアが反米イスラム擁護に傾くことか米国議会に期待
したい。
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対イラン軍事作戦に議会承認求める、米下院の超党派議員
2007.01.19
Web posted at: 22:13 JST
- CNN/REUTERS
ワシントン――米下院の超党派議員は18日、議会の承認なしでブ
ッシュ政権がイラン攻撃に踏み切ることを阻止する決議案を提出し
た。共和党のウオルター・ジョーンズ議員らが主導した。 

米上下両院の採択、ブッシュ大統領の署名なしに、法的拘束力は持
たないが、ブッシュ政権がイラン攻撃を敢行する可能性があるとの
米議会の懸念を示す決議案となっている。同案には議員11人が賛
同している。 

ロイター通信によると、決議案に名を連ねた民主党のマーチン・ミ
ーハン議員は「イランは信用していないが、ホワイトハウスも信頼
していない」と指摘。ブッシュ政権がイラク軍事作戦の遂行で多数
のウソを繰り返したことを考慮すれば、今回の決議案は必要だと主
張している。 

ブッシュ大統領は先にイラク新政策を発表、この中で、イランとの
対話を拒否し、武装勢力を軍事支援しているとして同国を非難して
いる。 

共和党のジョーンズ議員は2005年、イラクからの段階的な米軍
撤収を求める民主党グループの要求に加わったことがある。決議案
では、イランが米国や米軍に攻撃を仕掛けたり、その脅威が明らか
に差し迫っている事態などは除外している。 

これに対し、ブッシュ大統領はホワイトハウスでテレビ局の取材を
受け、イランに対する軍事行動の計画に触れ、「イラク内に武器を
搬送、民主主義の大義を損ね、米軍兵士を傷付けた場合、しかるべ
き対応を取る」と強調した。 
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2007年01月17日掲載 ユンゲ・ヴェルト特約

イラン核問題
「米は既にイラン攻撃への最終段階に入ったのか 過激さ増すブッ
シュ発言」 

「イスラエルによるイランの核施設への小型戦術核使用の攻撃が迫
っている」との1月7日付英紙サンデー・タイムスの報道に対し、
特約紙ユンゲ・ヴェルトは「イランは米国が直接たたく。ブッシュ
大統領退陣の2009年1月までにイラン攻撃に踏み切る可能性が
高い」と反論した。16日紙面ではイラク北部のイラン領事館を米
軍が急襲し、外交官ら5人の館員をテロリストとして拘束したため
、ロシアまで巻き込んだ大きな外交問題となっていることを伝えた。
その上で、この数日のブッシュ発言の過激さや米政府のさまざまな
動きから米軍が既にイラン攻撃への最終的な臨戦体制に入っている
ことを示唆している。(ユンゲ・ヴェルト特約) 
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イラク高官、「よそでやってくれ」 米軍のイラン人拘束(ASAHI)
2007年01月20日06時34分
 「けんかはよそでやってくれ」――。イラク政府のダッバグ報道
官が18日、バグダッドでの会見でこんな発言をし、米軍によるイ
ラン人外交官らの拘束事件について、イランと米国の双方に強い不
快感を表明した。 

 イラク社会には、米国の強い圧力を受ける隣国のイランとシリア
が、イラクの武装勢力を使って米国と代理戦争をしているという不
満があり、政府高官が図らずもそれを代弁した格好だ。 

 米軍は昨年末、バグダッドでイラン人外交官ら2人を一時拘束。
1月11日には北イラク・クルド地域のアルビルで、イラク側が外
交官とみていたイラン人5人を「過激派に武器や資金を援助してい
る」として拘束した。イランは援助を否定し、「外交官だ」と強く
抗議した。 

 ダッバグ報道官はイラン外交官らの拘束事件について「当事者全
員に、イラクの主権の尊重を求めたい。他人のけんかにかかわりあ
いになるのはごめんだ」と述べ、外交官特権を無視して繰り返され
る米軍の行動に不快感を表した。 

 一方で「米英軍を始めとする多国籍軍に敬意を払うよう、他国に
求めたい。彼らはイラク政府の要請に基づいてここにいるのだから
」とも述べ、シーア派民兵組織マフディ軍などに武器や資金を供給
しているとされるイランにもクギを刺した。 
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イスラエル外相「イラン制裁決議は弱すぎる」
(nikkei)
 来日中のイスラエルのリブニ外相は18日、都内の日本外国特派員
協会で記者会見し、イラン核問題について「国連安全保障理事会が
(昨年12月に)採択した対イラン制裁決議は弱すぎる。今こそちゅ
うちょせず国際社会は対応すべきだ」と語り、さらなる強硬措置の
検討に入るべきだとの考えを示した。

 外相は「イランの核開発はイスラエルのみならず世界の脅威だ。
核拡散のドミノが生じる可能性がある」とも強調。「イランが爆弾
を持ってからでは遅い」と早急な対応を促した。イスラエル紙が同
国とシリアが秘密交渉で和平の進め方に原則合意したと報じたこと
については「それは違う」と否定した。(22:30) 
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イスラエルとシリア秘密交渉か・地元紙「和平条約の条件合意」
(nikkei)
 イスラエルの有力紙ハーレツは16日、イスラエルが国交のないシ
リアと2年間にわたり秘密交渉を重ね、和平条約を締結する際の条件
で合意したと報じた。イスラエルがゴラン高原を全面返還するもの
の、同高原の大半に緩衝地帯となる公園を設け、イスラエル人もパ
スポートなしで訪問できるようにする。公式な交渉ではないが、和
平に向けた指針となりそうだ。

 AP通信もイスラエル政府当局者が交渉の存在を認めたと報じた
。交渉に参加したのは元外交官や学者らで、イスラエルのシャロン
政権、オルメルト政権とも認識していたという。イスラエルのオル
メルト首相は交渉の存在を否定している。

 ハーレツによると、2004年9月から06年7月にかけて、欧州で何度
も会談を重ねた。合意によるとイスラエルは1967年の第三次中東戦
争で占領したゴラン高原の領有権を返還し、軍基地やイスラエル人
入植地を撤去する。撤退完了の時期を巡っては溝があり、シリアが
5年以内を求めているのに対し、イスラエルは15年かけるとしている。
 (00:21)
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米大統領、中東首脳招き和平会談の構想
(nikkei)
 【カイロ=森安健】ブッシュ米大統領が近くイスラエルのオルメ
ルト首相とパレスチナ自治政府のアッバス議長を同時にホワイトハ
ウスに招き、和平会談を開く構想が浮上した。イスラエルのイディ
オト・アハロノト紙が16日報じた。数週内にまずライス国務長官が
イスラエルで両首脳と三者会談を開き、和平を進める意思を確認で
きれば大統領との会談につなげる。

 ライス長官は今後、月に一度のペースでイスラエル、パレスチナ
を訪問し、和平機運を維持したい考えという。 (00:42) 
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イラク:増派米軍、今夏に撤退見通し

 【ワシントン及川正也】AP通信によると、イラク駐留米軍のケ
ーシー司令官は19日、イラク訪問中のゲーツ国防長官とともにイ
ラク南部ナシリヤ近郊の空軍基地で記者会見した。ブッシュ政権の
イラク新政策でバグダッドなどに増派される米軍の駐留期間につい
て「夏の終わり」までと述べ、今夏に撤退できるとの見通しを示し
た。司令官は「状況は今後2〜3カ月で徐々に改善されるだろう」
と語った。
 今月10日発表のイラク新政策では撤退時期は明示せず、ゲーツ
国防長官が議会の公聴会で「今年後半の撤退開始は可能」とだけ述
べていた。
毎日新聞 2007年1月20日 0時42分
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イランとサウジ、イラク米軍増派で対応協議
(nikkei)
 【バーレーン=加賀谷和樹】イランのラリジャニ最高安全保障委
員会事務局長は14日、サウジアラビアの首都リヤドで同国のアブド
ラ国王と会談した。事務局長は最高指導者ハメネイ師の親書を手渡
した。16日のライス米国務長官のサウジ訪問を前に、2万人超の米軍
増派を軸とする米国のイラク新政策への対応を協議したもようだ。

 国営サウジ通信によると、会談にはサウジのサウド外相も参加。
同外相はこれに先立つ13日の記者会見で、米国の新政策について「
必要なのはイラクの統一と独立の維持で、(新政策がこれにかなう
内容かどうか)ライス長官の説明を受けたい」と語った。

 イラン、サウジはイラクをはさんで対峙(たいじ)。イラクの国
内情勢を巡り、イランはイスラム教シーア派、サウジは同スンニ派
の民兵組織に影響力を持つが、直接の衝突は避ける構え。ともにイ
ラク駐留米軍が核開発阻止のためイランに攻め込み、地域の不安定
化が加速する事態を恐れており、米軍の駐留規模の膨張を警戒して
いる。(12:14) 
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イラク大統領、シリア入り・国境取り締まり強化など協議
(nikkei)
 【カイロ=金沢浩明】イラクのタラバーニ大統領は14日、シリア
の首都ダマスカスに到着した。アサド・シリア大統領らと会談し、
イラクの治安回復へ向けて、シリアからの武装勢力流入の取り締ま
り強化などを要請するとみられる。貿易や安全保障面の協力拡大で
も合意する見通し。両国は昨年11月に26年ぶりに国交を回復してお
り、イラク首脳のシリア入りはそれ以来初めて。(07:02) 
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イラン政府報道官、遠心分離機3000基「設置へ前進」
(nikkei)
 イラン政府のエルハム報道官は15日の記者会見で「我々は核燃料
生産に必要な3000基以上の遠心分離機の設置に向け前進する」との
意向を表明するとともに、2月前半に核開発に関する大きな発表を予
定していると語った。外交関係者の間で広がっていたイランが核開
発のペースを落としているとの観測を否定した格好だ。

 イランは中部ナタンツのウラン濃縮施設に遠心分離機328基を設置
し、3月までにこれを3000基に増やすと国際原子力機関(IAEA)
に通告済み。アハマディネジャド大統領は、2月11日の革命記念日に
合わせ、平和目的の核開発の進展を祝う式典を開くと公言している。
(バーレーン支局)(23:53) 
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「外交官」拘束問題、イランとイラク関係緊張
(nikkei)
 米軍がイラク北部のイラン政府代表部事務所を家宅捜索し、イラ
ン人5人を拘束している問題でイラン、イラク両国の関係が緊張して
きた。

 13日のイラン国営通信などによると、同国のモッタキ外相はイラ
クのジバリ外相と電話で協議、「5人は外交官でイラク政府が解放に
責任を持つべきだ」と指摘した。一方、ジバリ外相は5人が外交官の
資格を持たず、拘束が領事関係を規定するウィーン条約に反しない
と主張したようだ。(07:01) 
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イラン攻撃の可能性示唆? 米大統領演説で憶測
(nikkei)
 10日のブッシュ米大統領のイラク新政策演説が実はイラン攻撃の
可能性を示唆したものではないかとの見方が米議会で浮上している。

 大統領はイランがイラク国内の武装勢力を支援していると非難し
たくだりで、「イランからの支援の流れを遮断する」「武器供給の
ネットワークを捜し出して破壊する」と断言した。これが越境攻撃
を警告したとの憶測を呼び、演説後の議会公聴会では、民主党から
「イラク駐留米軍はイランとの国境を越えるのか」(バード上院議
員)とただす質問が相次いだ。(07:01) 


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