2549.米中戦略経済対話



米中戦略経済対話が開催された。その検討をしよう。  Fより

米国は、対中戦略で何を狙っているかが問題である。
現在、米国の経常赤字が改善しない限りドルが弱くなる。産業界を
見ると、経常赤字を緩和できる輸出で稼げるのは、マイクロソフト
など一部ソフト産業と金融業界しかない。また、この金融業界では
、米ヘッジファンドの中国投資が一番確実な利益創出と見ている。
中国投資で巨額の利益を手にすることを期待している。

中国は国内大手銀行を香港で上場しているが、この中国の銀行株を
買っているのは米ファンドであり、ポールソン財務長官が勤めてい
たゴールドマンサックスも買っている。

その投資は元切り上げを狙った投資であることが明確である。元が
切り上がると、銀行のドル換算価値が上がり、株の価値も上がるこ
とになる。

しかし、中国の銀行は不良債権も多く持っている。米調査会社は
1億ドル以上の不良債権があり、バブルが弾けたら、中国経済は根
底から崩れると予測している。そうすると、銀行株は大暴落するこ
とになる。米ファンドとゴールドマンサックスは、中国の銀行株で
大きな損を出すことにもなる。

しかし、中国への投資が減り、その分ベトナムへの投資が増えいる。
中国の一党独裁体制の綻びがかなり深刻なものになってきていて、
農村部や都市部で、政府に反対するデモや暴動が頻発している。
北京オリンピックまでは中国経済は上昇すると見ていたが、どうも
米ファンドの期待は外れそうになってきている。中国のバブル崩壊
が近いような気がする。

このため、米国のポールソン財務長官は米ファンドを代表して、中
国に早期に元の切り上げを要請している。元が切り上がった時点で
、ゴールドマンサックスが情報提供している日本の投資信託を中国
に誘き寄せ、売り抜けようとしていると見る。日本人の個人金融資
産を狙っている可能性が高い。そうしないと、米ファンドは不良債
権をシコタマ持っている中国銀行株をあんなに買わないはず。

その後、中国のバブルが崩壊して銀行株は暴落する。その時点で再
度、米ファンドは買うはずである。日本人の個人金融資産は大幅に
目減りするのでしょうね。気をつけてくださいよ。中国株にという
投資信託は止めた方がいい。米ファンドは中国の未来を宣伝するが
それに乗ってはいけない。

ポールソン財務長官が「世界はしびれを切らせて」と言っているが
、正確には「米ファンドはしびれを切らせて」でしょうね。
米国は中国との貿易摩擦が大きいので、元を切り上げるとしている
が、現実問題として、米国産業自体が空洞化しているので、中国の
元を切り上げると、その分米国はインフレになるだけである。
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初の「米中戦略経済対話」閉幕、人民元改革協力など合意
(nikkei)
 【北京=藤井一明、吉田忠則】米中間の貿易不均衡の是正を目指
す「米中戦略経済対話」の初会合が15日、閉幕した。両国は中国が
人民元制度や知的財産権保護など構造的な問題を是正すると共に、
米国が中国の改革に協力することで合意した。ただ米国が改革の速
度を増すように求めたのに対し、中国は経済の混乱を理由に慎重姿
勢を示した。戦略対話の枠組みが機能し、今後の通商摩擦を防げる
かどうかは不透明だ。

 戦略対話は北京で2日間の日程で開かれた。米国はポールソン財務
長官を団長にグティエレス商務長官らが出席し、中国は通商担当の
呉儀副首相や金人慶財政相などが参加。両国の経済閣僚のほぼ全員
で中国の構造改革を話し合う場となった。(07:00) 
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中国は経済改革を加速させる必要ある=米財務長官

 米国のポールソン財務長官は14日、世界は中国の動きにしびれ
を切らしており、中国は経済改革を加速させる必要がある、との考
えを示した。

 米中経済戦略対話のために訪中している同長官は、1日目の協議
終了後に同行記者団に対し「中国は巨大な経済大国であり、特に米
国をはじめとして、世界はしびれを切らしつつある。そのため、彼
らは改革を加速させる必要がある」と述べた。

 この日の協議については「生産的な情報の交換が行われた」とコ
メントした。

 また、中国の呉儀副首相が、米国は中国が進めている経済改革を
もっと理解する必要があると語ったことに同意する考えを示しなが
らも「多くの理解が進んでいる。彼らはペースを加速させる必要が
あるだけだ」と述べ、「為替の柔軟性や知的所有権などの問題に
ついては、理解が不足していることはない」と指摘した。

 さらに、わずか2日間の協議で、具体的な合意が発表されると期
待するのは妥当ではないとして、「われわれが協議している問題は
、非常に基本的で長期的なものだ」と述べた。

[北京 14日 ロイター ]
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グリーンスパン氏「ドル安基調続く」
(nikkei)
 【ワシントン=小竹洋之】グリーンスパン前米連邦準備理事会(
FRB)議長は11日、為替市場の動向を予測するのは難しいとしな
がらも「米国の経常赤字が改善しない限り、ドル安の基調は持続す
るだろう」との見通しを示した。ワシントンから衛星中継で出席し
たテルアビブの会合で語った。

 前議長は「石油輸出国機構(OPEC)加盟国が外貨準備をドル
建てからユーロ建てや円建てに切り替えつつある。すべての資産を
単一の通貨で保有するのは軽率だ」と指摘。国際不均衡の拡大に加
え、世界的なドル離れの動きもドル安の要因になると警告した。

 「こうした状態は今後数年間にわたって持続するだろう」とも述
べ、ドル安の圧力が長期化しかねないとの懸念を表明した。 
(13:34) 
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WTO提訴「ためらわぬ」 中国通商問題で米政府が報告(ASAHI)
2006年12月12日16時45分
 米通商代表部は11日、中国が世界貿易機関(WTO)の規則を
守っているかどうかを点検した議会向けの報告書を発表し、知的財
産権の侵害や市場参入を阻む工業・農業政策などが二国間協議など
で解決しなければ、「WTOで認められた紛争処理に着手する」と
の方針を明示した。 

 中国がWTOに加盟してから同日で5年になる。報告書は「新メ
ンバーとしての移行期は基本的に終わった」との見解を示し、WTO
提訴による紛争処理も「ためらわない」とした。知的財産権の問題
では、11月に中国政府に提訴の方針を伝えたが、二国間交渉の継
続を求められたため延期した、との経緯も明らかにした。 
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対ベトナム投資、今年過去最高に・100億ドル突破の見通し
(nikkei)
 【ハノイ=長谷川岳志】ベトナムに対する海外直接投資(FDI
)の認可額が今年、1996年以来10年ぶりに過去最高を更新した。通
年では初めて100億ドルを突破する見通しだ。13日に開いた経済委員
会でボー・ホン・フック計画投資相が報告した。米半導体大手イン
テルによる10億ドルの投資など、案件の大型化が今年の特徴。政府
関係者は「世界貿易機関(WTO)に加盟する来年はさらに投資が
拡大する」と期待している。

 政府統計局および計画投資省がまとめた今年11月末までのFDI
認可額は新規投資が74億1827万ドル、追加投資が23億6085万ドルで
、合計97億8000万ドル弱。この時点で、アジア通貨危機直前のベト
ナム投資ブームだった96年に記録した年間認可額97億3500万ドルを
上回った。 (07:01) 
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宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 通巻第1639号    

 ヘッジファンド資金が中国の国内株式投資に流れ出す日
  短期流出をおそれて中国は50億ドル以上のファンド以外、
                     依然として不許可

 日本や香港ばかりか、韓国、台湾の株式市場を荒らし回る投機資
金。そのヘッジファンドの正体は依然として謎につつまれた部分が
多い。最近は石油代金の高騰でうはうはのアラブ資金が大量にアジ
アの株式市場に紛れ込んでいる。

 中国の国内株式は上海と深せんとに二箇所、証券取引所が開設さ
れており、上場企業はおよそ1400社。海外の投資家は、ここで
は人民元建てのA株と米ドル建てのB株のうち、後者にした資金を
回せない。理由は短期資金の流入、流出を警戒しているからだ。

 中国の「急成長」に注目して荒稼ぎをねらったファンドは、現在
4000億ドルにも達しているという(ヘラルドトリビューン、12月5日付け)。

 中国当局は投資資金が50億ドル以上のファンドしか、B株参入
を許可していないために、ヘッジファンド系列で中国国内に参入し
ているのはマルコポーロ・インベストメント・グループのみ。投資
残高は合計で86億ドル内外。
しかし、規則が緩和されれば、ほかに20社のヘッジファンドが続
くだろう、と見られている。
 
ちなみにゴールドマンサックス系のヘッジファンドは世界で300
億ドルもの資産を運用しているが、中国向けは二億ドルに留まって
いる。

 情報筋に依ればシティやUBSが、ファンドの船団を組み方式で
、いよいよ中国国内株への参入を目指し始めているという。


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