2545.安倍政権の位置づけ



安倍政権の位置づけをしないと政権の性格が見えない。ここでは政
権の位置づけを検討しよう。    Fより

小泉政権は、政権党による革命であったと認識している。本来は、
民主党が行うべきバブル崩壊後の政治革命を小泉さんが、自民党を
壊すと言って、自民党農村議員のばら撒き政治を拒否し、かつ前政
権が投票制度を都市と農村の公平化を行い、圧倒的に都市議員が増
やした政治状況で、都市住民からの支持で圧倒的多数派を形成した。

この都市議員の増加は、公明党にとっても党勢拡大に結びつくので
賛成したし、都市部での浮動票獲得は公明党は無理があり、小選挙
区で自民党議員を推薦し、比例で稼ぐという手法を生み出した。

しかし、それでも自民党は農村政党から都市政党に変わる必要があ
り、公明党の都市部での確実な票を頼りにして、浮動票をも小泉首
相は劇場型政治で獲得した。都市部での組織票は中小企業が衰退期
でもあり、都市議員本人や公明党の組織票だけでは当選しない。
どうしても浮動票が重要になってくる。この浮動票は本来なら不満
票であるから、野党有利になるはずであるが、この浮動票を自民党
に持ってきた。ここが、小泉さんの手柄でしょうね。

その過程で、浮動票の多くが老人とニートたちで、その多くが不満
からナショナリズムの傾向があると見た小泉首相は、中国や韓国の
いやがる政策を実行して敵対的な関係を構築して、この老人層とニ
ート層の気持ちを手に入れている。

しかし、小泉政権で行ったことは、この老人層の負担を重くしたり
、ニート層より企業を優先した政策をしていたのであるが、人気取
りのナショナリズム的政策の陰に隠れて、老人やニートに不利であ
ることを見せなかった。このため、政権最終段階では小泉前首相の
マジックは限界にあったと見ている。

この国内政策の修正をしないと、都市の浮動層が離れる危険があっ
た。ここで、安倍さんが格差是正の公約を掲げたことは間違ってい
ない。

しかし、破壊された自民党の修復というもう1つの使命、革命は終
わり、安定した党内体制や政治体制を作るということを国民には示
さなかったし、それを言うことは必要がないが、その言わない部分
で、国民はビックリしたのでしょうね。復党問題で支持率が落ちる
のは起こるべくして起こったと見る。

織田信長、豊臣秀吉の革命政権後、安定政権であり300年の平和
を築いた徳川政権の評判があまり良くないのと似ているような気が
する。しかし、政権を維持できるのは、国民の気持ちであるので、
人気のない安定政権の要素だけではいけなくて、都市の浮動層を捕
まえる改革的な政策をしないと、都市の浮動層は逃げていくことに
なり、結果的に選挙に負けて政権運営も難しくなると見る。

それと、外交も軌道修正が必要になっている。米国の圧倒的な力を
後ろ盾に、中国や韓国と敵対的な外交政策は北朝鮮問題の解決を遅
らし、拉致被害者の救出もできない事態になっている。

一国主義・米国はイラク・中東問題で手が一杯になり、国内でも民
主党に負けて力が衰え、北朝鮮問題を中国に丸投げしている。この
ため、北朝鮮問題の解決には中国の協力が必要なのだ。ナシュナリ
ズム的な外交は中止しても、優先課題である北朝鮮拉致問題を解決
するしかない。そして、米国中心の外交から、全方位の外交に転換
が必要になっている。安倍首相は、中国・韓国を就任後、直ぐに訪
問したことはいいことである。

外交では老人・ニート層の気持ちから離れて、現実的な外交をし、
国内政治で老人層やニート層に納得してもらう政策を目指すしかな
いと見る。

欧州の歴史的な経緯を見ても、行政の中心が公共事業から社会保障
への移行になっている。これと同じように、日本の行く道もそうな
るのは仕方が無いことである。しかし、今後社会保障費の枠を増や
しても、その資金を子供・若年層に使うのか老人層に使うのかの議
論が出てくることになる。その準備も必要でしょうね。
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「小泉政権はアブノーマルだった」 下村官房副長官
朝日新聞 2006年12月08日21時42分

 「(小泉前首相がつくり上げた)与党と対立するという構図はア
ブノーマルだった」。下村博文官房副長官は8日、TBSのCS番
組の収録で、道路特定財源の一般財源化の決着の際に、小泉前首相
に比べて安倍首相のリーダーシップが見えないと指摘されたことに
対して反論した。 

 下村氏は「小泉さんは与党を抵抗勢力と言うことで対決姿勢をと
った」とする一方、安倍政権を「議院内閣制の制度の中で非常にオ
ーソドックス」と説明。今回の決着が批判された点について「官邸
側のPR不足かなという感じはする」とも語り、広報戦略のあり方
を「反省」した。
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道路特定財源、政府・与党、合意の方向(ASAHI)
2006年12月07日16時32分

 道路特定財源の見直しをめぐって、政府・与党が7日、大筋で合
意する方向になった。08年の関連法改正を明記した政府の基本方
針骨子に対し、与党側が、道路整備の具体的な計画を来年作成する
ことなどを柱とした申入書を政府に提出。要望が受け入れられれば
、政府が示した骨子の大枠は受け入れる方針を確認した。政府側も
与党の要望を基本的に受け入れて決着を図る考えで、8日に最終合
意する見通しが強まっている。 

 自民党の中川昭一政調会長と公明党の斉藤鉄夫政調会長は7日昼
、首相官邸の塩崎官房長官を訪ね、与党側の申入書を提出。塩崎氏
は「正面から受け止め、真摯(しんし)に検討する」と語った。 

 政府側は、今回の合意で、関連法改正を明記し、一般財源化への
道筋をつけた。一方で、与党側は、新たな道路整備計画の策定につ
いて期限を切って求めたほか、地方に要望の強い地域の基幹道路や
、都市部での開かずの踏切対策などを具体的に書き込み、議員側の
要求を最大限盛り込んだ形だ。そのため、政府がこれを受け入れた
場合、与党側に大幅に譲歩する内容となる。政府側は、今回の合意
内容を、来週にも閣議決定する方針だ。 

 今回の政府・与党間の交渉で、政府側は骨子の中で、08年の関
連法改正を明記したことに加え、「毎年度予算で道路歳出を上回る
税収は一般財源とする」とした。これに対し、与党内から「地方で
はまだ必要な道路が整備されていない」などと批判が集中した。 

 そのため、自民党政調幹部らが対応を協議。政府の骨子に盛り込
まれた「真に必要な道路」整備を進めるための中期的な道路計画の
作成や、高速料金の値下げを、政府の具体案に盛り込む申入書を策
定することで決着をはかる方針を確認。公明党の要望も採り入れて
、与党案として一本化し、首相官邸側に申し入れた。 

 政府案に強く反発してきた自民党幹部も7日午前、「この問題は
収まりそうだ。来年中に計画を作って、真に必要な道路を具体的に
示せばいい」との考えを示し、政府・与党が合意するとの見通しを
示した。 

 与党側が示した申入書は、「真に必要な道路の具体的な姿を国民
に示すことが必要だ」として、今後の道路整備のビジョンを示した
中期計画を来年中に作成し、必要な事業量を明示することを要望。
暫定税率の維持について「納税者の理解が得られるよう配慮する」
とした。 

 さらに、地域の基幹道路や環状道路、バイパスや国際競争力に資
する道路などの整備について適切に措置することを要請。「開かず
の踏切」対策の強化を求めるとともに、高速道路料金の値下げなど
高速道路網の有効活用、機能強化を図ることも盛り込んだ。 
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基礎年金の給付、国庫の負担増へ(ASAHI)
2006年12月08日03時03分
 与党は14日、07年度予算編成で定率減税の廃止による増収分
のうち約2000億円を基礎年金の国庫負担引き上げに充てる方針
を固めた。基礎年金の国庫負担割合はこれにより約1%上がり、
37%程度になる見込みだ。 

 基礎年金の給付総額は約16兆円。04年の年金改革により、給
付の3分の1だった国庫負担を段階的に引き上げ、09年度までに
2分の1にすることが決まっている。 

 当初は「07年度をめどに税制の抜本的な改革を行い、財源とす
る」方針だったが、消費税率の引き上げ論議が07年夏の参院選以
降に先送りされたため、引き続き小幅の引き上げとなる見通しだ。 


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