中国の大国化が進んでいる。それに対応して米国もどうするか。 この考察。 Fより 中国の大国化を示す事例としては、ハノイのAPEC会議での中 国胡錦濤国家主席の行動を見れば分かる。胡錦濤主席が各国首脳と の会談をホテルに出迎える形に拘っていた。大国としての自国の姿 を演出している。APECの前に、北京に48ケ国のアフリカの首 脳を集めて、大判振る舞いをしたり、ASEAN諸国の10ケ国を 集めて、これも大判振る舞いをしている。 この援助額だけでも大きいし、中国の大国化演出経費はたいへんな 物である。日本からの経済開発ODA期待から世界は中国の援助に 期待が移っている。この効果は直ぐに現れている。WTOの事務総 長は中国の陳さんになり、ジュネーブの通信機構のNO2も中国人 になっている。 そして、中国は1兆ドルの外貨準備高でドルを大量に持っている。 そのため、中国中央銀行の副総裁が、ドルを手放すという示唆だけ で、ドルは大幅に下落するという状態になる。 米国政府は中国のそのような姿勢を容認しているが、どうも民主党 のペロシさんは、容認していないように見える。今後、民主党は中 国からの貿易を止める動きをする可能性が高いし、法輪功の信者を 迫害するとか農民の土地を奪い取るなどの人権問題を議会に掛ける 意向である。ダライラマが中国に要求している自治権などチベット 問題も米国が主導した形で、議会を中心として圧力を掛けるようだ。 ヒラリー・クリントン上院議員も反中国では、キャンペーンをペロ シさんと行うようであるが、ヒラリーさんは右寄りであり、ペロシ さんは極左であり、この両者の考えの違いがどこかで出てくること になるでしょうが、中国問題では一致しているので、中国もたいへ んなことになっている。米国も中国からのしっぺ返しに会い、ドル 暴落になる可能性もある。 さあ、米中関係が面白くなってきたようですね。 ============================== 「中国主導」アピール 首脳会談の大半 主席滞在ホテルで 【ハノイ=野口東秀】今回のアジア太平洋経済協力会議(APE C)では、中国が地域の大国としての存在感をアピールすることに 躍起だった。胡錦濤国家主席が今回の会議に並行して行った各国首 脳との2国間会談は、ロシア以外はほとんど自らが滞在するハノイ 市内のホテルで行った。もっとも、こうした強気の姿勢には、「安 倍(晋三)首相は若いから仕方ない」(日本同行筋)とあきらめの 声もあがっていた。 18日から19日にかけて胡主席は日本、米国、オーストラリア 、チリ、ロシアなどと次々首脳会談をこなしたが、時間が合わない ことから急遽(きゅうきょ)APEC会場で行ったロシア以外は、 中国の外交団が陣取るホテルで行った。胡主席が自らは出向かずに 迎える形。中国外交筋は「日程や場所の都合にすぎない」としてい るが、形式にこだわる中国の面目躍如といったところだ。 胡主席が中国の存在感を最大限アピールしたのは、APEC参加 各国首脳の中で胡主席がただひとり行った17日の最高経営責任者 (CEO)サミットでの演説だ。各国からの企業経営者らを前に、 胡主席は、「地域の経済発展を促進、調和がとれた繁栄する『大家 族』を構築するため、手を携えてたゆまない努力をする」と、「良 き隣人」であることを強調すると同時に、地域の“盟主”としての 責任と自信をにじませた。 こうした中国の姿勢に「米国主導のAPECを弱め、米国のプレ ゼンスを減じようとする意図がうかがえる」(東南アジア外交筋) との声も聞かれた。 (産経新聞) - 11月20日8時1分更新 ============================== 宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 通巻第1623号 これぞ、「官場」政治の真骨頂。APECにおける胡錦濤主席 京劇の肯綮は、こうした中国人の劇的な演出にあり。 京劇は歌舞伎に似て、しかし日本の歌舞伎とはまったく次元の違 う世界である。かつて訪日した江沢民は、宮中晩餐会に人民服で現 れ、歴史を鏡とせよ、と述べた光景を、われわれは何時までも忘れ ないだろう。あれほどの屈辱はなかった。 ハノイで開催されたAPECに日本、米国の首脳は、胡錦濤が滞 在するホテルまででむき、そこで胡錦濤が鷹揚に出迎えて握手した。 プーチン大統領だけはこれを避けた。プーチンはロシア皇帝、むか しの「キタイ」(ロシアがシナをこう呼んだ)の皇帝より上だとい う認識からだろう。 日米は、まさしく疑似の「朝貢」を結果的に演じたわけである。 日中首脳会談は、小誌がつとに予測してきたように、「歴史を鏡 」「靖国」「教科書」には一言も触れず、前向きのはなしに終始し たが、胡錦濤は無言の特典をあげたのである。 江沢民が、よく日本の政治家を人民大会堂にむかえたとき、ふん ぞりかえっての写真撮影をしたように、あの「演技」は皇帝を演じ ている。これは中国の「官場」であって、人民に皇帝の偉大さをみ せつける演技である。 「官場」は日本語にないので、説明しにくいが、中国の歴史認識か らくる独特の政治術、京劇の盛り上げ方にも似ている。