2532.日本経済の次の動き



日本経済の構造変化の次の起こることを予測しよう。  Fより

昨日の続きで、日本の外交、特に非米諸国への資源外交をせずに、
かつ鎖国的な米国との一国外交しかしないとどうなるか。親米石油
国家は全部米国資本が占めている。日本が持っていたサウジのカジ
フ油田の権利も米国に奪い取られている。日本は中東に90%も依
存しているが、自国権限分はほとんどない。

いつか資源が枯渇すると、米企業は自国優先にならざるを得ないこ
とになり、日本への石油割当量を減らすことになる。これは当然で
すよね。米国政府も石油がなくなることに国民から批判をされるこ
とになるので、いかんともしがたい。

日本は当然、石油が入らないことになる。そう想定するしかない。
国家の一番の役割は、危機管理である。一般企業は平和が確保され
ているという前提で行動して、国に富を齎すが、石油が日本に入ら
ないという前提ではビジネスができない。このため、国家しか危機
管理はできない。エネルギーの同じような危機管理が必要になって
いる。

だが、緑の党が蔓延ったドイツは原子力発電所も作らずに、風力
発電でドイツのエネルギー需要をカバーしようとしたが、風任せは
定常的に必要なエネルギー確保には無理であり、エネルギー不足の
解消にはならないことが判明している。このため、水力か原子力か
石油かしかない。これが現実である。自然エネルギー依存だけでは
エネルギーが不足することは明確になっている。

そして、円とドルは現時点、同時に他通貨に対して下落している。
ドルが基軸通貨でいられるのは、石油とドルが結びついているから
であるが、湾岸地域国は統一通貨を制定して、2010年まではド
ルにリンクするが、その後はユーロなどに分散させるとサウジの外
相なども宣言している。そして、このドルを米国国債で一番持って
いるのが日本である。中国は持っているドルで世界の石油企業を買
収している。

ドル暴落と石油価格の高騰がさけられない事態になってきているが、
ドルの急激な下落は世界経済に悪影響を及ぼすので、緩和処置とし
てドルの緩やかな下落を世界の中央銀行総裁と経済閣僚たちは目指
している。その緩やかな下落に円も乗っている状態である。日本の
財政赤字と株価の下落と資源外交をしないことが原因である。資源
枯渇に対応した行動を日本はしないことで不安視されている。

中国やその他主要国家は、石油の手当てを世界的にし始めているが
、日本はしない。米国の顔色を見ているだけ。日本独自の資源外交
で、田中元首相が潰されたことが今でも影響しているようだ。

しかし、このことで石油が来なくなるという危機管理ができないこ
とになった。このため、石油に変わる代替エネルギーも考えること
が重要である。フランスは原子力発電所を建設し、周辺諸国に電気
を輸出している。日本も石油がなくなることを想定して、中小水力
と原子力発電所を積極的に推進する必要があると感じる。

日本は優秀な原子力技術がある。日立がGEの原子力発電所設備を
作り、この実績が認められて合弁企業を作ることになっているし、
東芝がウエスティングハウスを買収し、三菱が米国メーカから弾き
飛ばされて、仏アルパと提携した。仏アルパより日本の原子力技術
の方が上のようである。増殖炉もフランスはできなかったが、日本
はできていた。しかし、ナトリウム漏れで中止になったが、原因は
判明しているので再開可能な状態である。日本はフランスの技術よ
り上であることがこのことでも明確になっている。

そして、今、原子力発電所が世界的なブームになっている。スエー
デンやノルウェーなど北欧諸国も環境保護の観点から原子力発電所
を積極的に作っている。石油火力が中心であったが、硫酸ガスで森
林が枯れる問題で、北欧はエネルギー政策を変更している。

中小水力発電所を各電力会社は廃止している。これはもったいない。
この水力発電所のタービンを最新技術にすれば、2倍から3倍のエ
ネルギーを得ることが出来る。どうか、日本のエネルギー資源の危
機管理を考えて欲しいですね。中小水力は地方の活性化にもなるの
で、その面でも推進することが必要でしょうね。

石油資源のもう1つの側面が、材料である。この材料も石油由来の
物が多くなっている。この対応を考えると、リユース・リサイクル
しかないことが見える。この面は、欠乏した時では間に合わないの
で、準備しておくことが必要である。日本はショックがないと動か
ないが、それでは手遅れになる。今回が石油ショックではなかった
ために順応する機会を逸している。
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経済コラムマガジン  06/11/27(461号)
http://www.adpweb.com/eco/
高速増殖炉の話

経済コラムマガジン06/11/13(459号)
http://www.adpweb.com/eco/
将来のエネルギーの本筋



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