2530.安倍政権のジレンマ



安倍政権の思想が明らかになってきた。この検討。  Fより

安倍政権ができて、数ヶ月が経ち、そろそろ安倍政権の性格が見え
てきている。この安倍政権の思想を見ると非常に危険な感じを受け
る。

安倍政権は小泉政治を継続すると見られていたが、どうも違う政治
形態になってきている。小泉政治は劇場型政治で、善と悪を明確に
して勧善懲悪の政治をして、国民にも分かりやすい政治であり、そ
の分かり安さが国民の支持を得ていたし、国民から喝采を浴びてい
た。

しかし、安倍さんはそのような政治ではない。小泉政治の分かり安
い政治から国民には分かりにくい村政治に戻っている。その意味で
は昔の自民党政治に戻っている。自民党長老の皆さんの意見をまと
める政治になっている。参議院選挙のため、自民党から追い出した
議員の復党をするのも、長老の意見でしょうから、安倍さんはNO
と言えないのでしょうが、分かりにくいことになる。

自民党内部の仲間内の情や選挙区の事情を優先した政治が国民から
批判を浴びて、小泉さんが出てきたことを忘れてしまっている。
安倍さんの主張の無さとも見えるし、自民党体質が出たとも見える
ことになっている。小泉さんが掴んだ国民の感情から離れ始めてい
る。次の参議院選挙が心配ですね。

もう1つ、小泉さんは都市型政治を行っていた。都市を活性化して
日本の経済を引き上げる政治であるが、安倍さんは農村型政治に戻
った印象を受ける。ばら撒き政治に戻る気配を感じて、財政審意見
書でもけん制している。安倍さん自身も農村出身の議員なので仕方
が無いのでしょうね。都市のフリーター・ニートたちを味方につけ
た政治は終わったようだ。

しかし、自民党が都市型から田舎型に変更する時が、民主党にとっ
て、絶好のチャンスであるはず。しかし、このチャンスを生かせな
い。それは民主党の政治色が見えない。ただ単に反対党としか見え
ないことで、絶好のチャンスを生かせていない。民主党が何を訴え
ているのか全然見えない。その意味では自民党と同じ民主党の長老
の意見の総和政治である。

リベラルな政治は、今の日本では評判が悪い。都市でも農村でも同
じで、革新=社会主義で、独裁政治という構図に見える。このため、
リベラル的な社民党も共産党も日本では政治的な力を得ることは無
い。しかし、民主党はそのリベラルの匂いがするときがあり、それ
に国民が反発を感じる。

このため、自民党しかないという諦めを国民が感じている。この意
味で都市政党が無くなっている。現時点、都市の方が議員数を多い
ので、農村政党より都市政党の方が当選議員数が多くなるはず。

どうして、労働組合をバックに抱える民主党が都市政党にならない
のか不思議でならない。自民党の都市での支持基盤は非常に弱くな
ってきている。その強化をしないと都市の無党派層を民主党に奪わ
れる可能性があるが、この無党派層を取り込めない民主党は本当に
どうなっているのか非常な疑問を感じる。リベラルをかっこいいと
感じ、かつ自民党の反対だけをする小沢党首の意見は、今の都市に
居る若い人たちの共感を得ないよ。民主党ももう少しタカ派による
必要がある。是々非々で右の前原前党首の方がいいように感じる。

都市住民の共感を得る政治が両党ともにできていないことが、政治
をつまらないものにしている。特に自民、民主のわかりにくさはど
うしようもないですね。将来ビジョンも両党ともないか同じように
しかよう見えないし、米共和党はリアリズム、米民主党はリベラリ
ズムというような思想の違いも見えない。民主党も単なる反対党で
はなくて、思想の違いを出して欲しい。

そして、安倍さんの方針が定まらないことで、景気の動向も予断を
許さない状況になってきている。さあ、安倍政権のジレンマはどう
なりましか??
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安倍政権に隠れた弱点 若者層、改憲より年金に関心(ASAHI)
2006年11月25日12時22分
 衆院補選と知事選を3勝1敗で切り抜け、順調な滑り出しにみえ
る安倍政権だが、隠れた弱点がある。昨秋の郵政選挙で小泉圧勝の
原動力となった20〜30代の若者層の離反がそれだ。自民党の広
報戦略チームもその層を「プリクラ世代」などと名付けてひそかに
リサーチを進めるが、もう一つの壁にぶちあたった。長期不況の就
職難でニートやフリーターが多いこの「失われた世代」の関心は「
改憲や教育改革より年金や景気」だという。つまり、政権が進める
政策の方向性と微妙にずれているのだ。 

    ◇ 

 福島知事選に敗れ、世論調査で安倍内閣の支持率が急落した直後
の今月14日。自民党本部4階の幹事長応接室に集まった「広報戦
略チーム」(座長・中川秀直幹事長)は重い雰囲気に包まれた。 

 「郵政造反組の問題が効いている」。支持率急落について中川幹
事長が復党問題に言及すると、出席者の一人は「小泉政権に比べ改
革イメージが後退している。それが無党派や若者の安倍離れにつな
がっている」と指摘した。 

 政権発足に合わせ、世耕弘成首相補佐官や片山さつき党広報局長
らが10月に立ち上げたこのチームはもともと、来夏参院選に向け
いかに若者層を獲得するかに照準を合わせていた。電通など大手広
告会社に依頼した世論調査と世代分析によると、以下のような結果
が出ていたからだ。 

(1)政権末期の小泉内閣への世代別支持率は、「Hanako世
代」(40代前半)など他世代が30%前後なのに比べ、20代が
中心の「プリクラ世代」が52%で突出していた。 

(2)プリクラ世代の特徴は「モバイル好きでファッションはスト
リート系。ムードに流されやすく自分の生活や趣味を大事にする」。 

(3)その上の団塊ジュニア世代(30〜35歳)の特徴は「目標
や目的意識が明確。社会問題に関心はあるが、同時に自分らしさも
追求したい」。 

(4)この二つの世代は、安倍政権が掲げる憲法改正や教育改革に
は関心が薄く、景気対策や年金問題など身近な争点の方に反応する。 

 ――教育改革と経済成長路線を二枚看板にしつつある安倍政権の
アジェンダ(政策目標)設定が、こと若者層対策ではミスマッチに
なりかねないのだ。チームのメンバーの一人は言う。 

 「メッセージが弱い首相のあいまい路線、やらせ質問や教育問題
での後手の対応、そして復党問題。若者層を離反させることばかり
だ。企業寄りの成長戦略では若者層の支持は期待できない」 

 その不安は19日の沖縄知事選で勝った後も消えない。チームは
年明けから本格化する参院選のマニフェストづくりにも参画する。
世論調査と民間企業のマーケティング手法を駆使して世代や性別ご
とに政策の感応度を測り、いわば「若者に売れる商品」たる政策を
吟味するという。 

 格差是正を争点化しようとする民主党も若者層に視線を注ぐ。松
本剛明政調会長は22日の記者会見で「社会保障に対する信頼の回
復は、高齢者に限らず、実質的に年金を負担する若い人にとっても
大きな問題。非正規雇用も大きなテーマになっていく」。若者層の
獲得合戦が触媒となって2大政党の政策論争に影響が出てくるかも
しれない。 
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財政審意見書、「常軌逸した財政赤字」 政府・与党牽制(ASAHI)
2006年11月22日21時12分
 戦後最長の景気回復局面での財政赤字は常軌を逸している――。
財政制度等審議会(西室泰三会長)は22日、尾身財務相に提出し
た建議(意見書)に政府の財政運営を痛烈に批判する異例の文言を
盛り込み、財政再建の重要性を訴えた。企業減税や補正予算による
地域振興など「ばらまき回帰」ともとれる政府・与党の動きを牽制
(けんせい)する内容だ。 

 財政審の建議には、事務局を務める財務省の意向が反映される傾
向が強く、財政再建の「緩み」に対する同省の危機感がにじみ出て
いる。 

 今年の建議では、日本よりも借金が少ない他の先進国が日本より
厳しい財政再建目標を立てていると指摘。借金の元利払い分を棚上
げして基礎的財政収支の5年後の黒字化をめざすという当面の政府
目標を「一里塚に過ぎない」とした。 

 07年度予算編成に向けては「景気循環に伴う税収の変動を受け
、歳出削減などの取り組みを緩めることは厳に避けるべきだ」とし
、新規国債発行額を大胆に減らすよう求めている。 

 安倍政権が掲げる「成長路線」を背景に、政府・与党内では税収
の増加分を財源に大型の法人減税を模索したり、成長戦略関連の予
算に回そうとしたりする動きが強まっている。これに対し、財政審
の委員からは「財政規律が緩みそうな生ぬるい風が吹いている」と
いった批判が相次いだ。 
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市場警戒「安倍不況」(ゲンダイネット)

 これはもう「安倍不況」といってもいいのではないか。このとこ
ろ、あらゆる経済指標が悪化しているだけでなく、株価もつるべ落
としだ。20日の日経平均は365円も下がり、4営業日続落、
1万6000円割れ。きょうの前場も63円しか戻っていない。
この政権に予算を組ませたら、景気はムチャクチャになりそうだ。

 ここにきての株価急落の原因はいくつもある。機械受注の落ち込
み、個人消費の停滞、在庫の増大。景気指標が軒並み悪化している
ことに加えて、企業の下期決算で下方修正が相次いだ。

「そんなことから、内閣府の景気見通しも下方修正されるのではな
いか、という不安が投資家の間で広がっているのです。そこにもっ
てきて、安倍内閣の経済政策がハッキリせず、支持率も低下してい
る。日本企業にM&Aを仕掛けようという勢力の“売り”もあると
みられている。当分、厳しい情勢が続くと思います」(東海東京証
券チーフエコノミストの斎藤満氏)

 安倍政権の迷走が株安に拍車をかけているのである。実際、経済
財政諮問会議なんかはもう、空中分解寸前だ。民間委員は医療・介
護サービスのカットを迫っているのに対し、柳沢伯夫厚労相は「困
難な問題」と切り捨てているし、公共事業カットについても冬柴国
交相は「受け入れられない」と断固拒否。今年度は税収増が見込め
るが、その使途を巡って、諮問会議、財務省、閣僚、与党がバラバ
ラだ。そのうえ、いくつもの「カタカナ会議」が勝手に花火を打ち
上げ、収拾がつかない事態になっている。評論家の森永卓郎氏は「
紛れもない安倍不況」とこう言うのだ。

「すべての指標が景気後退を示しているのだから、政府がやるべき
ことは2つしかない。財政出動か金融緩和です。ところが、5年間
で11兆〜14兆円の歳出カットを公約している安倍政権には思い
切った財政出動はできない。かといって、このままでは景気は持た
ないので、来年の参院選までは中途半端な経済運営でゴマカすこと
になると思う。金融緩和については、逆に引き締めている。通貨供
給量は信じられないペースで減っているし、日銀の福井総裁は年内
利上げをほのめかしている。頭がおかしいとしか思えません」

 景気が大変な事態なのに逆噴射のような政策をされたら、オシマ
イだ。
【2006年11月21日掲載】
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民主、「防衛省法案」条件付き賛成の方向か
 民主党は防衛庁の省昇格法案に条件付き賛成の方向で調整に入っ
た。党内に賛否両論あり、どちらに決めても造反が出かねないため
、言い回しを工夫して妥協点を模索する。だが、与野党対決路線の
小沢一郎代表は政府・与党と安易に折り合うことに難色を示す。
来年の参院選を考慮し、政策論では割り切れない難しい判断を迫ら
れている。

 「次の内閣」の笹木竜三防衛担当は24日の党外務防衛部門会議で
「条件付き賛成」を提案した。

 条件に挙げたのは(1)衆院安全保障委員会で核保有発言に関する
集中審議を開催(2)自衛隊の本来業務に国際貢献を加える際、イラク
派遣は除外(3)防衛施設庁の官製談合事件の真相解明(4)防衛庁の機
密漏洩(ろうえい)や自衛隊員の薬物使用などのモラルの改善――
の4つだ。 (07:01) 
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自民の幹事長と政調会長、復党問題でも対立 
(nikkei)
 郵政造反組の自民党への復党問題を巡り中川秀直幹事長と中川昭
一政調会長の考え方の違いが23日、表面化した。中川秀直幹事長は
広島市の講演で「平沼赳夫さんは信念を通す政治家だ。わが党もま
た信念を通す」と述べ、平沼氏の早期復党は困難との認識を強調し
た。 

 一方、昨年まで平沼氏らと同じ派閥に所属していた中川昭一政調
会長は岐阜市の講演で「総括しろとか、反省しろというと天安門事
件を思い出す。政治は最後には情というものがある」と、中川秀直
幹事長が誓約書の提出などを求めていることを非難した。 

 政調会長が幹事長を批判するのは異例で、造反組の復党問題で党
内の不協和音は一段と広がりつつある。  (22:37) 
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自民復党願の提出期限先送り 中川幹事長、平沼氏と会談(ASAHI)
2006年11月22日20時49分
 郵政民営化法案に反対して自民党を離党した衆院議員らの復党問
題で、中川秀直幹事長は22日、離党議員らの窓口役である平沼赳
夫元経済産業相と国会内で会談した。中川氏は、復党条件として「
郵政民営化への明確な支持」などを盛り込んだ誓約書の提出を求め
た。平沼氏は態度を留保し、復党願の提出期限の延長を要請。
24日から27日正午に先送りになった。

 会談後、平沼氏は現職の離党議員たちに内容を説明した。平沼氏
と同じように郵政民営化をめぐる条件に難色を示す議員もおり、
24日に対応を再協議することになった。ただ、中川氏は「条件は
変えない」と明言しており、平沼氏が受け入れるかどうかが焦点と
なる。 

 会談で中川氏は、昨年の衆院選挙で落選した議員については、今
回は復党の対象外とする考えを示した。そのうえで現職議員の復党
条件として(1)郵政民営化を含む政権公約の順守(2)安倍首相
の所信表明演説への支持と党員義務の忠実な履行(3)衆院選挙で
の反党行為に対する反省の表明――を提示。3項目を盛った誓約書
を添え、24日までに提出するよう求めた。 

 これに対し、平沼氏は、政権公約の順守や党員義務の履行を盛り
込んだ誓約書の提出には前向きな姿勢を示したが、郵政民営化支持
の明文化などに難色を示した。 

 中川氏は会談後の会見で、「復党条件は首相も同意している。も
う条件を変えることはない」と述べた。これに対し、平沼氏は「郵
政民営化への支持」の条件受け入れについて「ハードルが高い」と
記者団に語った。 

 一方、中川氏は会談後、笹川尭・党紀委員長と協議。復党願が出
てくれば、早ければ28日にも党紀委員会を開いて、個々の議員に
ついての復党の是非を議論する方針を確認した。 


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