2504.北朝鮮の今後



北朝鮮の現状や今後について、いろいろな見解が出てきている。
この検討をしよう。         Fより

北朝鮮崩壊がどう起こるかの議論になっている。金正日総書記の健
康状態が良くないし、正哲や正男などの後継者に不安がある。軍部
強硬派が力を持っているために、命綱の中国からも見捨てられる可
能性が高い。

この軍部強硬派を抑えられるのは、金正日総書記しかいないが、中
国としては、親中派である経済改革派の張氏を中心とした親中政権
を模索していると言う。それより、中国の東北3省の1つに加わり
、東北4省になるという可能性もある。

これに対して韓国は、北朝鮮への支援を継続して、朝鮮統一に持っ
て行きたいようだ。しかし、現時点で元経済圏化している。主な鉄
やタングステンの鉱山の権利を中国は50年以上確保していること
と、石油や生活物資のほとんどを補給している。この取引をすべて
元で行っている。元経済圏化が終わっている。それと、クーデター
など内部での政権交代を仕掛けられるのは中国しかない。

このため、現状は中国への併合が一番可能性が高いが、韓国が中国
の属国として、在韓米軍を追い出して、在韓中国軍を認めれば、朝
鮮統一の可能性も残されている。しかし、統一は経費が掛かるため
に韓国はどちらも受け入れがたいのでしょうね。

一番現状の北朝鮮存続を願っているのが、韓国のようである。金剛
山観光も開城の工業団地も継続して資金援助すると言っている。
その韓国の弱点を北朝鮮も突いてきている。

しかし、そろそろ、崩壊を前提として準備を周辺諸国は協議して、
シナリオを作り、それぞれの役割を明確にしていくべき時がきてい
ると見える。北朝鮮は現状で満足していないために、次の脅しをし
てくることになり、大変危険な状態になっている。

日本が中心となって、どういう事態が着たら、北朝鮮をどうするの
かなどを中国、韓国、ロシア、日本と米国の5ケ国で協議を開始す
ることでしょうね。場合によってはロシアを抜いてもいいかのしれ
ない。
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「制裁強化で再実験も」 唐氏訪朝時、総書記側近が補足(ASAHI)
2006年10月28日06時17分
 北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記と中国の唐家シュワ
ン(タン・チアシュワン、「シュワン」は「王」へんに「旋」)国
務委員が19日に会談した直後、金総書記側近の姜錫柱(カン・ソ
クチュ)第1外務次官が総書記の発言を補足する形で「今後制裁措
置を受けることになるなら、再び核実験を行うこともありうる」と
中国側に説明していたことがわかった。金総書記が直接言及しなか
った再実験の可能性を明言し、国連安保理の制裁決議の履行を牽制
(けんせい)したとみられる。一方で姜次官は6者協議復帰のため
の糸口を求めるなど、前向きな姿勢も中国側に示した。 

 唐委員の訪朝に同行した中国の武大偉(ウー・ターウェイ)外務
次官が、6者協議関係国に姜次官の発言を伝えた。武次官は制裁決
議が北朝鮮に「ある程度の衝撃と圧力」を与えたという認識を示し
、各国に協議の早期再開を呼びかけた。 

 武次官の説明では、金総書記は「現在再実験の計画はない」と発
言。「米国が圧力を強めるなら無視はできない」とも述べたが、再
実験の可能性には言及しなかった。 

 この後、姜次官が金総書記の発言を補足説明。「今は繰り返し核
実験を行う用意はない。ただ、これは状況次第だ」としたうえで、
「再び実験を行うこともありうる」と明言したという。 

 同時に姜次官は、米側の出方によっては「核実験を行わない保証
」もありうるとし、米から前向きな提案があれば応じられるとの考
えを示した。6者協議についても「復帰に向けた糸口」が必要だと
して、「協議の中で金融制裁を解決するという保証」を求めた。 
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米紙「北は崩壊直前に韓中の支援で生き返った」

 米ニューヨーク・タイムズ紙は26日、「アメリカは1997年に北朝
鮮の金正日(キム・ジョンイル)政権が厳しい経済難のため5年以内
に崩壊するだろうと結論を出したが、韓国や中国の予想外の支援が
あり、息を吹き返した」と報じた。

 「当時、米中央情報局(CIA)が政府内外の人物で構成した専門家
チームは、“北朝鮮は経済の急速な悪化のため崩壊直前で、こうし
た絶望的な経済的後退が内部の政治的爆発につながるというのが、
最も可能性の高い北朝鮮崩壊のシナリオ”と予想していた」と、同
日公開された秘密文書を引用して伝えた。

 「しかしこうした予想は、北朝鮮経済が回復したため結果的に外
れた。この一因は、韓国や中国といった周辺諸国の持続的な人道的
支援にある」と同紙は報じている。

 一部専門家は「97年当時は韓国・中国・日本などの周辺諸国があ
れほど一斉に北朝鮮支援に乗り出すとはまったく予想できなかった
」としている。

 また同紙は、「94年に米国がジュネーブ核合意を通じ、北朝鮮に
2003年まで軽水炉の提供を決めたことも、北朝鮮経済が崩壊しつつ
あると信じたことに端を発する」と伝えている。当時クリントン政
権の高官らは「米国が軽水炉提供の約束を守るべき時までは、金正
日政権は持たないだろう」と述べたということだ。

ワシントン=許容範(ホ・ヨンボム)特派員
朝鮮日報
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中国が構想…金王朝崩壊後、親中派政権を樹立か 

 北朝鮮の盟友、中国が金正日(キム・ジョンイル)総書記(64
)の独裁政権崩壊を予見して、脱北者を中心とした新政権ブレーン
を国内で育成しているという仰天情報が飛び込んできた。北の口座
凍結や原油パイプラインの送油カットなど徐々に北への締め付けを
強化しつつある中国。体制崩壊後は手なずけたブレーンを素早く送
り込み、親中派政権を樹立。豊富な天然資源の採掘権確保や難民の
流出を阻止するもくろみだ。“金王朝”後の北を見通す中国。体制
崩壊のカウントダウンは予想以上に早いのか。

 今週発売の米誌「ニューズウィーク」は「中国に亡命している北
朝鮮の軍関係者を含む元高官たちが中心となり『菊派』と呼ばれる
グループを結成。新政権の中心になるかもしれないという噂が流れ
ている」と報じた。また「2003−4年に中国主導の北朝鮮の『
影の内閣』に関する協議があったことは、韓国の北朝鮮専門家らの
記憶に新しい」としている。

 親中国勢力は脱北者だけではなく、北内部にも存在。中国で成功
した「改革開放」政策を北でも取り入れようと考える高官は少なく
ないようだ。

 「今年1月の訪中で、金総書記は最も開放が進んだ南部の広東省
などを視察した。北の一部高官は『わが国も改革開放が進む』と期
待したが、結局はなしのつぶて。相当、フラストレーションがたま
っているのは間違いない」(民間の北朝鮮研究者)

 中国は朝鮮有事の際、こうした内部の親中派と囲っていた脱北ブ
レーンを合流させ、新政権の樹立を画策しているものとみられる。
「中国はとにかく、アメリカの息がかかった韓国と直に国境線を接
するのを避けたい。また、北東アジア最大の鉄鉱石埋蔵量を誇る『
茂山(ムサン)鉱山』(咸鏡北道(ハムギョンプクド))の50年
開発権を1000億円近くかけて投資している。北には希少金属の
埋蔵量も多く、北が韓国に吸収されるのは中国にとって非常に都合
が悪い」(同)

 そもそも北の建国は、旧ソ連が、領内に逃げ込んでいた金日成(
イルソン)元主席を傀儡(かいらい)政権の最高指導者にすべく就
任させたことが始まり。中国は同じ手法で都合のいい指導者を北へ
送り込み、建国をもくろんでいるという見方が研究者の間ではまこ
としやかにささやかれ始めている。

 実際、核実験後の中国は国境の監視体制を強化。さらに送油の停
止や一部銀行の北への送金停止、観光での渡航禁止など、次々と制
裁を行動に起こしている。中朝国境の町、丹東では最近、法人、個
人を問わず、北に関係した銀行口座を凍結するという荒っぽい制裁
も開始された。中朝貿易の中心地ゆえ、北にとっては手痛い仕打ち
だが、この動きが「傀儡政権樹立」を後押しする動きとも見て取れ
なくもない。

 コリア・レポート編集長の辺真一氏は「中国が北朝鮮に『反中国
』というレッテルをはったとすれば、傀儡政権を作る動きが出てく
る可能性がある。しかし、今は『反中』の烙印(らくいん)を押す
かどうか、判断している最中。押すにはまだ早い」と指摘する。
また、辺氏は「果たして海外にそういうタマがいるかどうか」とも
語る。

 スイス政府は26日から同国内にある北の資産凍結を実施。
約40億ドル(4800億円)とも言われる金総書記の隠し財産も
塩漬けとなる可能性が高く、ダーティーな北の経済はもはや破綻寸
前。次世代の朝鮮半島の利権争いはもうスタートしているようだ。 

ZAKZAK 2006/10/27
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 通巻第1603号
北朝鮮への制裁の一環として「送金停止」に踏み切った中国
でも本当の狙いは「制裁」ではなく、「人民元経済圏」に組み込む
のが狙い

 日本の新聞を読んでいると、まるで中国が北朝鮮を制裁している
かのごとき、である。
 弊紙1600号で伝えたように、中国の対北朝鮮制裁はジェスチ
ャー、現場では制裁前となんら変わりない交易、貿易、交流風景が
展開されている。

 吉林省南坪ではトラックが対岸の茂山鉱山とのあいだを、いつも
のようにコンボイを組んで往復し、丹東の荷物検査は好い加減であ
り、長白山、図門の国境も人の出入りは変わらず、そもそも石油輸
送のパイプラインは停止されていない。

 「送金停止」?
 ドル送金だけで、人民元は自在である。

 要するに中国の狙いは、この機に乗じて、北朝鮮を「人民元経済
圏」に組み込むことであり、制裁は口実にすぎない。以前にも紹介
したと思うが、中国人は(公然と文章化してはいないが)、最近、
「東北四省」という呼び方をする。

 つまり黒龍江省、吉林省、遼寧省が「東北三省」(旧満州)。こ
れに北朝鮮を勝手にくわえて、「東北四省」。貿易港、鉱山、石炭
鉱区を買い取った中国にとっては、すでに北朝鮮は「中国の」“経
済植民地”という潜在意識であり、どうして、この地域の発展をさ
またげるような制裁に手を貸すであろうか?

 (やっぱり日本の国際情勢の舞台裏を読む力は弱いですねぇ。ま
、周辺は平和を希求する国ばかりであると教唆した、連合国原作の
“ヘイワ憲法”をまだ墨守しようとしている国ですから、謀略は存
在しない、という基本認識なのでしょうか)。


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