2495.北朝鮮よりイラク



米国の問題順位はイラクの方が北朝鮮より上。その検討。Fより

米国の世論を見ると、北朝鮮に脅威を感じる国民は20%で、かつ
北朝鮮に対する軍事行動に踏み切ることについては、賛成は40%
にとどまり、反対が56%と半数を超えている。

一方、イラク問題は中間選挙に向けて、ゲリラ側が米軍を標的にし
始めたことで、ベトナム戦争当時のテト攻勢に匹敵する状態になり
、米軍首脳も武装勢力掃討作戦の失敗を認める事態になっている。

イラク戦争から撤退するべきという米民主党の主張が中間選挙でも
優位にあり、上下両院で民主党が多数党になる可能性が増している。

北朝鮮問題に対しての米国民の関心はイラク戦争に比べて低い。

このため、北朝鮮問題は中国が解決するべき問題で、米国はその支
援をするという位置付けになっている。ライスが中国に行っても、
米国が具体的な提案が出来なく、中国の提案を聞いている状態にな
っている。

今回の核実験は、北朝鮮としても米国向けというより、中国向けに
行った可能性が高い。北朝鮮の軍部は親中国派が推進する経済政策
を不満と、親中派を蹴落として、かつ米国とのパイプを開かない中
国の外交政策の変更のために、中国を直接的なターゲットにした可
能性が高い。このため、中国の止めも効かずに中国に放射能汚染が
心配される地域で核実験をしたのでしょうね。

このため、中国も北朝鮮の国内情勢で、親中派を追い落とされ、か
つ中国に向けられた核実験であることを知っているために、北朝鮮
に怒ったのだ。米国と中国は役割分担をしている。米国・日本が北
朝鮮に強く出て、それを中国が引き止めるという役割である。

しかし、北朝鮮からすると、中国が期待しているような動きをしな
いために、駄々っ子が愚図るように核実験をして、親である中国の
関心を引こうとしているようにしか見えない。

そして、中国は北朝鮮に強い拳骨を振り上げて、北朝鮮の行動を制
止することになった。米国は傍観者でしかない。親子喧嘩に他人は
入れない。瀬戸際外交の相手が米国から中国に変わっている。

北朝鮮は金融制裁を解除してほしいが、米国は北朝鮮に何度も騙さ
れたために、北朝鮮を制裁で経済的に潰そうとしている。中国は、
北朝鮮の金政権でもあった方がいいので、維持できるように経済発
展を促しているが、北朝鮮軍部強硬派は市場経済政策に反対してい
る。このため、軍部強硬派を排除するように金正日に説得すること
が中国として必要になっている。北朝鮮に進出した中国企業の活動
を制限して、北朝鮮軍部は邪魔している。

米国はイラク戦争に駐韓米軍を転用したい。アジアでも防衛ライン
はグアムまで撤退することが米軍再編成で決まっている。アジアを
中国に任せることにして、米国は中東にシフトする。そして、心配
する日本や韓国に核の傘のみを提供するとしている。

ライスが日本に来た一番の目的は、アジアNATOの立ち上げで、
米軍は役割の一部しかできなく、ほとんどの軍事行動は日本、中国
、韓国、豪州などで行ってほしいということである。北朝鮮崩壊に
備えて、米軍は任務の一部しかできないと言いに来たのだ。

これを知っているので中国・韓国は日本に擦り寄ってきたのです。
北朝鮮崩壊では多額の資金が必要になるために、その資金を提供で
きるのは日本しかない。そのための布石を周辺諸国は打ち始めてい
る。どうも、まだ、日本だけが気がついていないのではないかと心
配である。北朝鮮崩壊のシナリオを中国・韓国と共有化することが
政府の今やるべき仕事でしょうね。
==============================
「金総書記、再実験ない」と中国説明 日韓、慎重な見方(ASAHI)
2006年10月21日03時09分
 北東アジアを歴訪中のライス米国務長官は20日、中国を訪問し
、胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席らと会談した。北朝鮮の最高
指導者、金正日(キム・ジョンイル)総書記と19日に平壌で会談
した唐家●(●は「王」へんに「旋」、タン・チアシュワン)国務
委員はライス長官に「(訪朝は)無駄ではなかった」と述べ、核実
験問題で一定の進展があったとの見方を伝えた。中国は6者協議関
係国に対して、金総書記が唐委員に「再実験はない」と述べた、と
説明した。ただ、期間や前提条件は明らかになっておらず、日韓両
政府は慎重な見方をしている。

 ライス長官は胡主席のほか、温家宝(ウェン・チアパオ)首相、
唐委員、李肇星(リー・チャオシン)外相とそれぞれ会談した。
また中国政府は、唐委員の訪朝について関係国に説明。日本に対し
ては、6者協議の議長で唐委員に随行した武大偉(ウー・ターウェ
イ)外務次官が、宮本雄二・駐中国大使に説明した。 

 複数の日本政府関係者は20日夜、中国側から「金総書記が『2
回目の核実験はしない』と話した」との説明があった、と明らかに
した。ただ、関係者の一人は「いつまでもやらない、とは言ってい
ない」として、発言の文脈や真意を見極める必要があるとの考えを
示した。 

 韓国政府関係者も「金総書記は、条件付きながら、2回目の実験
はしないともとれる発言をした。しかし前後の文脈があり、額面通
り受け取れないような表現だった」と述べた。北京の外交筋は「中
国が米国を含めた各国に、どこまで金総書記の発言内容を明らかに
しているかはわからない」と指摘した。 
==============================
過去に軍事物資輸出の北朝鮮船が出港 米が監視(ASAHI)
2006年10月20日12時20分
 米CNNは19日、複数の米国防当局者の話として、北朝鮮の港
から、過去に同国が軍事物資を輸出するのに使ったことがある貨物
船が出港したため、動きを監視していると報じた。目的地は不明で
、実際に積み荷に軍事物資が含まれているかも分かっていないが、
過去の経緯から懸念材料とみて注視していると伝えた。 

 CNNによると、問題の貨物船は、首都平壌からみて南西の地域
にある港を出た。米政府は現時点では公海上で停船を命じて貨物検
査をする根拠はないとみているが、この船が第三国に寄港すれば、
当該国に検査を求める方針だという。 

 北朝鮮の核実験発表を受けて採択された国連安保理の制裁決議は
、北朝鮮への大量破壊兵器や一定の通常兵器の供給・移転を禁じる
だけでなく、北朝鮮からの輸出も禁じている。
==============================
イラクの現状はテト攻勢に匹敵 [イラク情勢ニュース]
2006年10月20日(金)

イラクの現状はテト攻勢に匹敵 2006/10/20
 ブッシュ大統領は18日に放送されたABCニュースのインタビ
ューで、崖っぷちに立たされたイラク情勢をニューヨーク・タイム
ズのコラムニストがテト攻勢に匹敵すると述べたことに同意するか
と質問された。

 ブッシュはこの質問に対して、「イラク政策に変化はない」とし
たものの、「彼の指摘は正しいだろう。確かに暴力(米軍攻撃など
武力衝突を含む)のレベルが増強され、アメリカは選挙を控えてい
る」と述べ、テト攻勢との類似を認めた。

 だが、このブッシュ発言は共和党内のブッシュ支持者にさえ、選
挙で雪崩(なだれ)現象を引き起こしかねない危うさを含んでいる
と懸念された。ホワイトハウスの報道官は、大統領の発言はアメリ
カの世論に影響を与えることを狙っている点で類似しているという
意味だったと弁解した。

 テト攻勢は1968年、ベトナム戦争のなかで北ベトナムと南の解放
勢力が攻勢に出た作戦で、数字的にはベトナム側の犠牲も大きかっ
たものの、その後のベトナム戦争の趨勢を決する軍事作戦となった。
 ベトナム戦争は世界最強と言われた米軍がベトナム人民の解放戦
争に打ち破られたもので、南ベトナムの傀儡政権は米軍撤退と同時
に崩壊し、米国内でも大きな反戦運動が広がるとともに、多大な犠
牲者が生まれて長年にわたる深刻な国内問題ともなった。もちろん
アメリカの経済的な打撃も大きかった。

作成者 山本史郎 : 2006年10月20日(金) 17:35 
==============================
<イラク>武装勢力掃討作戦の失敗認める 駐留米軍

 イラク駐留米軍報道官のコールドウェル少将は19日、バグダッ
ドで会見し、バグダッドで展開中の武装勢力掃討作戦について「我
々の目標を満たしていない」と述べ、作戦の見直しに着手したこと
を明らかにした。米軍が事実上、作戦の失敗を認めたもので異例の
発言といえる。見直しはケーシー司令官が先週、指示したという。
(毎日新聞) - 10月20日22時20分更新
==============================
「北朝鮮、差し迫った脅威」2割だけ 米世論は冷静(ASAHI)
2006年10月18日13時57分
 米CNNが17日に発表した米国人を対象とする世論調査で、北
朝鮮を米国への「差し迫った脅威」と考える人が20%にとどまる
ことが分かった。北朝鮮の9日の核実験実施後の調査だが、米国と
北朝鮮は地理的にも太平洋をはさんで距離が遠く、冷静な反応につ
ながっているようだ。 

 これによると、北朝鮮について「長期的な脅威」と考える人が64
%と半数を超えた。「全く脅威ではない」と考える人も13%あっ
た。 

 核実験後、CNNなど米メディアは連日、北朝鮮情勢を詳細に報
道している。ただ、北朝鮮が米国本土に届くミサイルを開発したと
は見られておらず、こうした結果に影響したと見られる。 

 また、11月の米中間選挙で重視する課題としては、「テロ対策
」と「経済」がそれぞれ96%、「イラク問題」が94%で多かっ
た。これに続いて「北朝鮮問題」も89%にのぼり、核実験をきっ
かけに、選挙の新たなテーマに浮上したことが浮き彫りになった。

 米民主党は北朝鮮問題での政権攻撃を強めている。ただ、今回の
調査によると、核実験について批判する対象としては、共和党のブ
ッシュ大統領が72%に対し、民主党のクリントン前大統領も63
%にのぼった。米政府の責任の所在について見方が割れており、民
主党に必ずしも有利とは言えない状況だ。 

 一方、経済的・外交的な手段で北朝鮮に対応できなかった場合、
米国が北朝鮮に対する軍事行動に踏み切ることについては、賛成は
40%にとどまり、反対が56%と半数を超えている。 

 調査は13〜15日に米オピニオン・リサーチ社が実施。米国人
1012人を対象にした。


コラム目次に戻る
トップページに戻る