2490.北朝鮮問題と周りの国の思惑



北朝鮮問題と周りの国の思惑。  10/13 虚風老

北朝鮮の「核・ミサイル」問題が起こり、国連で、制裁決議が一致
して採択される。

ここで、各国の思惑を読んでみようかの。
アメリカにとって、絶対に許されないのは、核を使用すること以上
に、それが、イランをはじめとする中東、もしくは、南米等の反米
政権・組織に渡ることであるんじゃ。

また、核実験をしたといううことは、北朝鮮は、それによって、外
貨物資を手に入れる方法を得たということであるんじゃね。
例えば、核は本当に使用するまで、買い手は、本物かどうかを確か
めることができない故に、ダミーをを偽って、高額で売りつけるこ
とができるわけじゃ。
贋物商法が得意な北朝鮮にとって、これほど売り易いモノはないの。

であるから、アメリカや国際社会にとって、「臨検」は欠かすこと
ができないわけなんじゃ。(今回の制裁では、臨検という言葉は使
われずに、物品検査というらしいが、実態は同じじゃろう。。。
まあ、軍事行動なのか、経済制裁にともなう国際的警察行動かとい
う位置づけの違いじゃろうが)

逆に言えば、いろいろ、利幅の大きい不法物資(麻薬・覚醒剤・贋
ドル・ミサイル部品・核関連物資等)を積んでいる北朝鮮にとって
、「臨検」は、即、死活問題であるわけじゃ。ということは、海上
での武力衝突事態に発展するのは必至といえるじゃろう。

今回、中国が、この事実上の「臨検」を認め、なおかつ、アメリカ
に同調するために、唐カセンをホワイトハウスに訪れたのは、次の
ことを伝えるためであるとみておる。
「国連決議に違反する行為によって、海上で武力衝突が起こったと
しても、中国はそれをもって、北朝鮮との軍事同盟条約の発行とは
みなさない。」
「アメリカによる、先制による空爆等の軍事侵攻はしてほしくない」

これによって、中国は、いかなる事態になっても、相互軍事条約に
よっての軍を、朝鮮半島に発動しないであろう。しかし、この条約
そのものを無効とは宣言はしないということじゃな。(無効という
と、北朝鮮での足場や権益を失ってしまうからの)

また、同時に中国と韓国の間で、話し合いがもたれた。
これは、「北朝鮮という国の枠組み」は維持する。また、両方は、
軍事衝突を避けるということだ。
なぜなら、北朝鮮という国があることは、周辺国の利害にかかわっ
ている。
中国にとっては、最大のメリットは、韓国−米軍ラインが直接国境
に接すると多大な緊張と守備費用がかかるからの。
もう一つは、北朝鮮に持っている権益の確保であるじゃろう。
また、国内に抱える朝鮮族の問題もあるしの。

韓国は、将来は統一を願うとしても、急な統一は、韓国の政治経済
を危うくするので、当面北朝鮮が、改革解放路線を(中国韓国主導
のもとで)しいて、経済や政治段階が、韓国が吸収できるまで良く
なるまで、枠組みを変えたくないところであろうの。また、大量の
難民を吸収しなければならない事態は、社会不安を招来することが
目に見えているので、両国とも絶対に避けたいところであるわけじ
ゃ。

実際アメリカにしろ、周辺国にしろ、北朝鮮という「国」は潰した
くないんじゃ。

そうすると、みんなが一致するのは、何か。。。
<カルト的独裁である、金正日体制の取り除きと、軍事体制の除去
>である。

北朝鮮からみれば、これこそが、「守りたいモノ」として執着して
おるんじゃがね。

米国も、中東に軍事資源に集中をしているため、東アジアの混乱は
このましくない。
米国は、中国が現在の方向で経済運営していくのなら容認し、安定
勢力として、アジアの政治問題を、今後中国と決定していくしかな
いと考えておる。
(この辺を一部の日本の右は読み違えておる)

アメリカで、もっともタカ派と言われる面々が、今回の中国との会
談で、大変満足しているとの意をもらした。
中国は、北朝鮮の金体制を切り捨て、国際社会側につくと明確に表
明したのである。
また、その中で中国は依然、北朝鮮における、中国の権益を守ろう
ともしている。

次の問題はこうである。
必ず海上でドンパチは始まるじゃろう。
その場合、その戦闘が、陸上に飛び火するであろううか?(ミサイ
ルでの日本攻撃をふくめて?)

答えは、当面は「否」でじゃ。

陸上攻撃は、即全面戦争、全面北朝鮮破壊であることは、重々承知
じゃろう。
(こちら側から、地上攻撃を始めることはないしの)
金正日にとって、海上で船舶が沈められようとも、末端の命にしか
影響がない。自分自身の命・待遇に影響しないと感じるじゃろうの。
しかし、陸上戦は違うからの。
また、陸上戦をすると中国に通告しても、中国は反対するじゃろう。
そしてそれでもやると言えば、中国は軍事条約を破棄し、国連軍と
足並みを揃えるであろう。

だが、闘わないという選択肢は、金体制に、最終的に何をもたらす
じゃろうか?
金正日の亡命か、カルト化した軍部だけによる暴走でじゃろうかの
?(それまでに対抗勢力は消滅しているから)

ミサイル塔載のための核弾頭は完成していないとみておる。(大き
さだけでなく、形状を台形にしなければならないしの)だが、汚い
核だってあるし、数年の内には、実験をくりかえせば、できるかも
しれないし、もとより、工作員による破壊活動(テロ)の方が、実
効的な被害を広範囲にもたらすことができることを忘れてはならん
じゃろう。

当面は戦略を北朝鮮対策に絞り込んで、左は、米軍批判を棚上げに
しといてもらおうかの。右は、中国との協調体制を維持できるよう
にすべきじゃとおもうね。
頭の硬い教条的反共主義・反米主義者達には引っ込んどいてもらい
たいものじゃ。
(少なくとも、北朝鮮問題が解決するまでは、、、)

まあ、カルト化した集団は、<中心>が崩れるとバラバラになる。
おそらく、その道を辿るじゃろう。

                     虚風老
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北朝鮮の核実験はブッシュ政権の戦略的誘導−アメリカ空海軍によ
る全面爆撃作戦― DOMOTO
   
 北朝鮮との二国間協議を拒否し、終始一貫して六カ国協議でしか北
朝鮮との交渉には応じないとブッシュ政権がフォームを貫いてきた
のは、まさに北朝鮮に核実験を踏み切らせるためであったのではな
いか。

六カ国協議でしか北朝鮮との交渉には応じないという、北朝鮮にと
っては絶対的な無理難題をわざと外交政策で通すことが、最終的に
アメリカの北朝鮮攻撃を可能にするという見通しを、落合信彦氏が
『SAPIO』誌上で確か1年以上も前から述べていたが、今回の北朝鮮
の核実験はそれを具現化しつつある形で行われた。

北朝鮮を核実験に踏み切らせ、今後も連続核実験を行わせれば、北
朝鮮への全面爆撃に必要な、ワシントンの上院議会の同意とアメリ
カ世論の支持という政治工作が可能になってくる。ブッシュ政権は
5年をかけて仕掛けたと見る事ができる。

日本人ではブッシュ政権内の事情に詳しい、ワシントン在住の日高
義樹氏の『日米は中国の覇権主義とどう戦うのか』(2005年7月刊)
というレポートから、北朝鮮へのアメリカ空海軍による全面爆撃作
戦についての情報を要約的に述べてみたい。

ブッシュ大統領の戦略機関である国防政策会議の関係者は全員、北
朝鮮攻撃で多く兵士の死者の出る地上戦などは考えておらず、空海
軍による全面爆撃しか考えていない。その理由は北朝鮮の核施設だ
けの拠点攻撃だけでは、金正日が報復として38度線地下に隠し持つ
大砲・ミサイルにより、一千万人以上の住む首都ソウルに総攻撃を
かける可能性が高いからだ。
このアメリカ政府部内で用意されている全面爆撃作戦は、「アメリ
カ軍が持つすべての航空機部隊、戦略空軍や機動艦隊、さらには潜
水艦隊が総出動して、30分以内に、北朝鮮のあらゆる軍事施設と指
揮命令系統を破壊するという作戦である。」

多くの人々が、現在の中東情勢を考慮に入れ、アメリカによる北朝
鮮攻撃の可能性は低いと見ていたと思うが、2005年4月頃、中国が
北朝鮮の核兵器問題について交渉の仲介役から一切手を引くという
情報がワシントンで流れていた翌5月に、ブッシュ大統領はアメリ
カ戦略空軍に対してグアム島アンダーソン基地に主力部隊を進出さ
せ、北朝鮮への爆撃体制を秘密裡に整える事を命じていた。
北朝鮮はこの事を全く知らず、中国の偵察衛星もステルス性(見え
ない)の高いアメリカ軍の攻撃準備を、その時点では探知できなか
ったようだ。
 

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