2489.北朝鮮核実験と今後



北朝鮮の核実験で中国・韓国の方針変更。その検討。  Fより

米国は北朝鮮への軍事介入を単独では出来ない。中国の軍事的な支
援がないと、米軍や韓国の被害が大きすぎる。北朝鮮軍の半数が韓
国国境にいて、韓国の首都ソウルを狙っている。そして、米軍の主
力はイラクにいるために、地上兵力の余裕がない。韓国に駐留して
いる3万の兵士は前線にいるために、その損害は大きい。

中国は北朝鮮に権益を持っているし、米軍との緩衝地帯として北朝
鮮を見てきた。韓国は北朝鮮との統一は復興資金の面からしたくな
い。この面から、中国・韓国は軍事行動を取りたくないし、北朝鮮
の体制を維持させようとしている。その意味では北朝鮮の味方でも
ある。

北朝鮮を存続させるためには、北朝鮮を国際社会で安定的にする必
要があり、韓国は3000億円以上の援助をこの数年、北朝鮮にし
ている。中国は韓国以上に支援をしている。しかし、その資金を北
朝鮮は核開発に使って、核実験をした可能性があると、日米から指
摘されている。

米国は北朝鮮締め付けのために金融制裁を実施したが、それが相当
に効いているようである。核実験後、北朝鮮のナンバー2の金永南
最高人民会議常任委員長が金融制裁を止めれば、6カ国協議に復帰
するという従来の立場を改めて表明している。

1回の核実験には220億円から500億円の費用が掛かるようだ。
この核実験を瀬戸際外交の切り札カードとして利用したが、北朝鮮
が核爆発の信頼性を確認する複数回の試験をしないことで、1回目
の核実験が失敗であった可能性も指摘されている。核実験を裏付け
る放射性物質が、米国によって確認されたので、核嘘論はなくなっ
た。

しかし、このような核実験は、瀬戸際外交の切り札カードにもなっ
ていない。そして、中国や韓国まで国連での制裁決議を支持したた
めに、北朝鮮経済は崩壊することが決定的になっている。1990年代
後半の経済難の時代よりもはるかに厳しいマイナス成長となる可能
性が高い。

このような核実験をどうしてしたのか大きな疑問が起こる。
米国の制裁などの対外的な要因ではなく、制裁による待遇劣化など
対内的な要因で核実験をしたと見るしかない。それでないと、海外
の監視下で実験を行うので、瀬戸際外交の切り札とするためには万
全を期するはずである。しかし、今回の実験は北朝鮮の実力を過小
評価する結果になっている。

金正日の権力基盤は崩壊していないが、親中派である義弟張氏の交
通事故も、どうも軍強硬派が仕掛けたようであり、中国の止めが効
かない事態になり、中国も手がない。このため、中国も北朝鮮との
軍事同盟条約を解消するはず。金正日も今や、軍強硬派に遠慮して
いるように感じる。

今の国際情勢を見れば、このようなバカな核実験はしない。国内タ
カ派で、海外情勢をみていない偏狭な軍部のナショナリストが実権
を握ったとしか見えない。外交的には自殺行為である。中国からの
経済援助の見返りで核実験を止める交渉を金正日と張氏は行ってい
たが、突然中止になったことでも、おかしいと思う。

2371で述べたように、金正日はいるが、どうも軍部強硬派を統
制できない事態になっているようだ。そのため、まだまだ次の事件
が起こることが想定できる。北朝鮮軍部は持てるミサイルや核をど
んどん脅しに使ってくる。使うほどに制裁は強くなり、立ち行かな
いという悪循環に陥るために、どこかで戦争に踏み切ると見える。
国連安保理で決まった海上臨検で、また北朝鮮は苦しくなる。
さあ、どう出てくるか?

日本は積極的な対応をしているので、戦争状況になると心配する。
日本国内には北朝鮮のスパイでスリーパが相当数存在している。
この工作員たちがテロを起こす可能性が高い。このテロ防止が重要
になる。

2371.北朝鮮、最後の挑戦
http://fuku41.hp.infoseek.co.jp/k8/180617.htm
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苦悩の中韓、対話強調 半島安定を最優先 首脳会談(ASAHI)
2006年10月14日03時00分
 6者協議議長国として体面をつぶされた中国と、「太陽政策」の
はしごを外された韓国。中韓両首脳は13日の会談で、核実験の強
行を発表した北朝鮮に硬軟両様のメッセージを示した。北朝鮮を擁
護してきた両国にとって核実験は「背後からの冷水」。懲罰姿勢を
示すためには制裁もやむを得ないとの判断の半面、対話の重要性も
強調せざるを得ない苦悩をにじませた。 

 「核実験を強行したことに伴う『損害』を北朝鮮にわからせるた
め、明確な措置が必要だ」(韓国高官)。両首脳は国連安全保障理
事会の制裁決議を後押しすることで一致し、金正日(キム・ジョン
イル)政権への不快感をあらわにした。 

 7月のミサイル発射の際は制裁決議に反対した中韓も、核実験を
受け、制裁決議容認の姿勢に転換を余儀なくされた。国際社会から
の圧力に抗しきれないという側面もあったが、足並みをそろえて北
朝鮮に強い警告を送るべき段階を迎えたとの判断もあったからだ。 

 問題は制裁のレベルだ。両首脳は「安保理の必要で適切な対応措
置への支持」を表明した。韓国政府高官も「制裁をするとしても、
感情的、瞬間的なものでなく中韓が求めている効果重視型の内容に
すべきだ」と述べた。 

 中国にとって韓国は、朝鮮半島の「安定」を最優先するという立
場を同じくする貴重な存在。日米が主張する厳しい圧力が北朝鮮の
暴走につながり、地域の不安定化を招きかねないとの懸念は中韓と
もに共有している。 

 「いかなる軍事行動にも反対」(劉建超・中国外務省報道局長)
という原則も同じだ。北朝鮮に強硬姿勢を崩さないブッシュ米政権
や、独自の厳しい制裁を決めた日本と対抗するうえで、中韓の協調
をアピールすることができたことは胡錦涛体制にとっても成果とい
える。 

 首脳会談と前後して続けられた国連安保理協議が「非軍事」制裁
の方向でまとめられることになり、中韓とも胸をなで下ろしたのは
間違いない。だが、制裁決議が採択されれば北朝鮮の反発は必至。
北朝鮮が追加核実験に走れば、中韓はいっそう苦境に立たされるこ
とになる。 
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「北朝鮮の核兵器、1発最大580億円」韓国国防省が推算
(nikkei)
 韓国国防省は13日、北朝鮮の核兵器1発当たり1億9000万―4億9000
万ドル(約220億―約580億円)の費用がかかっているとの推算を明
らかにした。韓国紙・中央日報は「核実験」を含めると最大7億ドル
強と報じた。韓国との南北協力事業や不法活動で得た資金を転用し
たのではないかとの疑惑も出ている。

 国防省の資料によると、プルトニウム型核爆弾の費用内訳は、プル
トニウムを発生させる黒鉛減速炉(5000キロワット)の建設に5700
万―1億7000万ドル、再処理施設建設2000万―5900万ドル、一発分の
プルトニウム生産2400万―7300万ドル、核兵器設計・製作に3300―
1億600万ドルなどとなっている。

 一方、北朝鮮の最高人民会議(国会に相当)が承認した今年の予
算は約4200億北朝鮮ウォン。ドル換算で約30億ドル(実勢レートで
は約3億ドル未満)とされる。通常の国家予算では核開発・生産に数
億ドルを充てるのは極めて困難とみられる。
(ソウル=峯岸博) (22:59) 
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北朝鮮、深刻なマイナス成長も=経済制裁影響で報告書−韓国研究
機関

 【ソウル13日時事】韓国のシンクタンク、対外経済政策研究院は
13日、北朝鮮の核実験実施発表に関する報告書をまとめ、経済制裁
が実施され、対北朝鮮貿易が規制された場合、同国経済に深刻な影
響を及ぼし、1990年代後半の経済難の時代よりもはるかに厳しいマ
イナス成長となる可能性が高いと分析した。 
(時事通信) - 10月13日21時1分更新
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米が微量の放射能検出、詳細分析なお必要 北朝鮮核実験(ASAHI)
2006年10月14日13時00分
 CNNテレビなどの米メディアは13日、米政府高官の話として
、北朝鮮の核実験発表後に、実験があったとみられる地域周辺の上
空を飛んだ米軍機が採取した大気標本から、微量の放射性物質が初
めて見つかったと一斉に報じた。暫定的な結果でさらに分析が必要
だとしている。日本政府と韓国政府にも、この情報が米政府から伝
えられたことが14日、明らかになった。 
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国連決議「全面的に拒否」と北朝鮮国連大使 
 【ニューヨーク14日共同】国連安全保障理事会が14日、北朝鮮制
裁決議を全会一致で採択したことに対し、北朝鮮の朴吉淵(パク・
キルヨン)国連大使は同日、安保理で「不当決議を全面的に拒否す
る」と述べた。 (07:47) 
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北朝鮮制裁決議を全会一致で採択 安保理(ASAHI)
2006年10月15日02時58分
 国連安全保障理事会は14日午後(日本時間15日未明)、核実
験を発表した北朝鮮に対する制裁決議案を理事国全15カ国による
全会一致で採択した。

 決議は、北朝鮮による核実験を非難し、核不拡散条約(NPT)
からの脱退宣言の撤回などを求めている。強制措置を認める国連憲
章7章に基づいて行動することを明記すると同時に、経済制裁など
非軍事的措置を定めた同章41条も併記。北朝鮮の核・弾道ミサイ
ル計画に従事していると認められた個人や団体の金融資産凍結など
の制裁措置を定めている。 

 常任理事国と日本の6カ国はいったん米国案をもとに基本合意。
これを受けて米国は13日、安保理の理事国8カ国と議決権のない
韓国の計9カ国を提案国として同案を公式文書にしたが、その後、
中国、ロシアが一部の表現について再修正を求め、交渉を続けてい
た。 

 関係者によると、中国は協議の大詰めの段階で、強制的な措置を
伴う船舶などの貨物検査について、各国の判断がより尊重される形
で決議案を修正するよう求めた。ロシアも、禁輸の対象となる大量
破壊兵器関連品目の定義を狭めることなどを要求していた。 
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朝鮮日報 2006年10月11日
【核開発】中国、対北軍事行動容認せず 

 中国政府は北朝鮮による核実験への対応として「平和的解決」を
強調している。 

 中国外務省の劉建超報道局長は10日の定例ブリーフィングで「北
朝鮮に対するするどのような軍事行動も認めないし、反対する。軍
事制裁を加えるなど想像もできない。国連安保理が軍事制裁を考慮
していないのは評価できる」と述べた。その一方で北朝鮮に対する
エネルギーと食料供給中断の可能性については確答を避けた。 

 しかし米国と日本が9日(現地時間)に提出した国連安全保障理事
会の対北朝鮮制裁決議案の草案を中国が無条件で反対するのは困難
との見方が強い。中国の外交筋によると「中国政府は(対北朝鮮制
裁を)どこまで受け入れるか悩んでいる。日本の草案を受け入れる
のは困難で、米国の草案を修正して受け入れるものと見られる」と
述べた。 
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北朝鮮、核実験成功と発表
(nikkei) 
 北朝鮮は9日、朝鮮中央通信を通じ「我々の科学研究部門は地下
核実験を安全に成功裏に行った」と発表した。北朝鮮の朝鮮労働党
創建記念日の前日に強行し、金正日体制の権勢誇示を狙ったとみら
れる。 

 【ソウル=池田元博】周辺で観測された地震波の規模にはばらつ
きがある。米地質調査所(USGS)は9日、日本時間午前10時35分
27秒に、平壌の北東385キロメートルを震源とするマグニチュード
(M)4.2の地震波を観測したと発表した。震源は北緯41度、東経
129度付近で、震源の深さはゼロキロとごく浅かったという。包括的
核実験禁止条約機構(CTBTO)準備委員会もM4を観測。日本
政府は気象庁の観測値はM4.9に上ったと発表した。1998年にパキ
スタンが実施した実験で観測された地震はM4.8だった。 

 韓国政府は北朝鮮北東部の咸鏡北道(ハンギョンプクド)花台郡
(ファデグン)でM3.58―3・70規模の地震波を探知。韓国地
質資源研究院によると、爆発はTNT火薬換算で500―800トン規模
という。 (20:05) 


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