2483.上海閥追い落としの結果は



中国の上海閥の追い落としで、何が始まるかを検討する。 Fより

上海閥とは、江沢民(前総書記・国家主席)グループのことを指す。
最高指導部を形成する9人の中央政治局常務委員の中では、呉邦国
(全人代常務委員長)、曽慶紅(国家副主席)、黄菊(副総理)が
上海閥。河北出身の賈慶林(全国政協主席)も江沢民に最も近い人
物とされている。

この内、曽慶紅が胡錦涛派に寝返ったという説もある。しかし、今
回の上海市トップ・陳良宇上海党委書記の解任で上海閥の影響力減
退は必至となったようだ。上海市社会保障基金の資金不正流用問題
への関与で、上海閥の黄菊副総理などが絡んだと見られているため
に、今後も上海閥の解任が相次ぐ可能性がある。

しかし、そこで話は終わらない。陳良宇書記は、来年からの教科書
を共産党色が少ない、欧米的な観点の歴史教科書にする予定であり
、かつ積極的な経済運営をし続けることにしていた。

これは資金不正流用した資金を不動産に投資したため、不動産の価
値が暴落すると、不正流用した資金を返せなくなることになる。不
動産の価値を上昇させ続けるには、外資を呼び込む必要があり、特
に日本からの投資が重要であった。上海閥が反日デモを組織したが、
その幹部である陳前書記は、不動産投資から親日にならざるを得な
い。

この海外投資が2006年は大幅にマイナスに推移して、不動産価
格の下落を引き起こすはずが、下落しないという非正常な状態で、
しかし、その結果として不動産が売れずに空室が目立っていた。

基礎知識として、土地は国有財産で、使用権を政府が業者に売るこ
とになる。このため、土地は政府からするとタダである。市幹部は
業者に金を投資して、ビルを立てさせることになる。その儲けは、
大きいので、直ぐに大富豪になれる。そして、政治には資金が必要
で、この資金を政治利用していたはずである。特に値上がりが激し
いのが上海であれば、上海市トップは巨万の富を得ることになり、
かつ中央にいる上海閥もその資金を頼っていたことになる。

党中央は上海などの大都市での不動産価格を下落させようとしてい
たので、供給と需要の関係が正常化されれば、価格は大きく下落す
ることになる。当分、上海への投資は、大きく制限されることにな
り、価格は下落方向で固定されることになる。

また、胡錦濤国家主席は、格差是正という国家目標を掲げている。
これに反対しているのが上海閥であり、この排除を来年秋の党大会
までにするとしている。このためには上海閥に金を補給する上海の
財閥をも潰す方向に推移することになる。

上海市の財閥には、市政府とタイアップして儲けた投資会社「福禧
投資」の前理事長、張栄坤氏、不動産開発などを手がける「上海新
黄埔集団」総裁だった呉明烈氏、電力設備大手「上海電気集団」の
董事長だった王成明氏らのような企業と、市政府とは絡まない欧米
日へ製品を輸出する企業とがある。

上海での粛清は、どうもこの上海の正常な財閥にも複数の大きな疑
惑を作り、潰しに掛かるようだ。そうすると、日本や欧米との取引
が停止したりと、混乱が発生する。そこに働く労働者などが、解雇
されて大きな社会問題になる。

中国華南の商人は、商売の方法を知っている。このため、今も上海
を中心とした温州商人は機を見るに敏で、次から次へと工場や鉱山
に投資している。この温州商人の行動を止めることになる。

また、市民が期待する民主化の流れを止めることにもなる。この影
響は、今後大きくなっていく。経済活動に支障が出ると、上海財閥
や市民は中央政府に抗議することになる。2007年に上海で暴動
が起きる原因が生み出された。

この予測を皆さん、覚えて置いてくださいね。大きな確率でそうな
ると見える。
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胡主席、権限強化を誇示 6中総会が開会 中国共産党(ASAHI)
2006年10月08日12時26分
 新華社電によると、中国共産党の第16期中央委員会第6回総会
(6中総会)が8日、北京市内で開会した。社会保障基金をめぐる
不正流用に関与したと断罪された上海市トップの陳良宇前党委書記
は党政治局員の職も解任される。胡錦濤国家主席(党総書記)は来
年秋の党大会に向け、江沢民前国家主席に連なる「上海グループ」
の影響力を完全に排除し、さらなる権限強化を内外に誇示する重要
な節目と位置付ける。(時事)
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汚職疑惑拡大 「上海閥」切り崩し 書記解任は序章

 中国最大の経済都市・上海市トップの陳良宇・前共産党委員会書
記が社会保険基金の不正流用をめぐる汚職で解任された事件は、胡
錦濤国家主席が、内政・外交の「路線対立」を背景に江沢民前国家
主席を頂点とする「上海閥」に切り込み、陳前書記は格好の標的に
なったとの見方が強まっている。関係筋によると、汚職の構図は複
雑多岐にわたっており、当局はすでに数十人を拘束。複数の疑惑に
ついて調査中で、事件はさらに拡大する様相をみせている。
(北京 野口東秀)

 ▼道路大王
 最大の焦点は、上海市の祝均一・前労働社会保障局長が2002
年、高速道路経営のため資金が必要だった投資会社「福禧投資」の
前理事長、張栄坤氏に社会保険基金から無担保で約32億元
(約480億円)を融資した問題だ。

 張氏は投資会社を経営し、高速道路の経営などで成功し「道路大
王」と呼ばれており、党序列6位の黄菊副首相の夫人が副会長を務
める「上海慈善基金会」の名誉副会長でもある。このため、黄副首
相の家族が、不正融資の口利きや開発計画にからんでいたかどうか
が焦点だ。

 香港紙などによると、不正融資は、陳前書記や家族の口利きで実
現したとみられる。不動産価格が高騰を続ける上海では、1990
年代から社会保険基金に企業家が群がり、不動産市場に不正資金が
流れ込んだ。96年前後には60億元(約900億円)に達したと
いう。

 陳前書記は市関係部門に指示、張氏のために高速道路経営権の権
利期間を20年から30年に延長させる便宜や運営権料の引き下げ
を図ったとされる。陳前書記自身、家族が設立した不動産会社に社
会保険基金から10億元(約150億円)を拠出させたとされる。

 張氏の投資会社は政府関連の人脈を利用し、6年間で資産を
3000万元(約4億5000万円)から136億元(約2040
億円)に膨らませたといわれている。張氏は巨額の資産を使い、祝
氏を含む上海市の幹部ら二十数人にわいろ攻勢をかけていたとみら
れている。幹部の一人、秦裕・前上海市宝山区長は住宅5軒
(計930平方メートル)を所有していたという。

 このほか陳前書記や張氏は、不動産開発などを手がける「上海新
黄埔集団」総裁だった呉明烈氏、電力設備大手「上海電気集団」の
董事長だった王成明氏ら、複数の企業トップとも投資面などで不正
な関係にあったとの疑惑がある。

 ▼11位の富豪
 もうひとつは02年、米フォーブス誌で中国の富豪第11位と紹
介された周正毅氏にからむ疑惑で、中国筋によると、中央の調査は
黄副首相周辺も排除していない。

 周氏は90年代から上海などでレストラン、不動産、金融、貿易
などを幅広く手掛けた。国有企業株を買いあさり、上場させて巨利
を得た、ともされる。90年代後半、中国銀行上海支店などが周氏
の企業買収などで巨額融資した疑惑も浮上した。

 消息筋によると、周氏と、陳前書記の実弟、陳良軍氏とは親しい
間柄にあり、02年に陳良軍氏の口利きで上海市静安区から約17
ヘクタールの土地使用権を譲り受けたとされる。さらに関係部門と
癒着し、中央省庁の審査を回避するため、契約では土地を細分化し
た疑惑もある。周氏は、これらと別に03年に株価操作の罪などで
逮捕され、収監。今年5月に出所したが、今回、不正疑惑で再び拘
束された。このほか、周氏は上海市農村信用合作社から約38億元
(約570億円)を不正に引き出した疑いがもたれ、これについて
も陳良軍氏が関与した疑惑も浮上している。

 ▼江氏も承諾
 事件は中央規律検査委員会などが中心で調査が進められており、
中国筋によると、すでに二十数人が拘束され、北京、南京、長春な
どに移送されたという。同筋によると、9月に入り、「上海閥」に
連なる陳前書記の解任について、胡主席は最終的に江前主席の「同
意」を得たという。

 消息筋は、今回の事件について、来年の第17回党大会で権力基
盤を強固にする必要に迫られている胡主席が、反腐敗闘争を掲げ、
「上海閥」に切り込んだと指摘する。対日外交同様、胡主席が主導
権確立のため、江前主席につながる上海閥の弱体化を意図したとの
見方だ。
(産経新聞) - 10月5日8時0分更新
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上海市汚職、幹部ら20人に贈賄か(ASAHI)
2006年10月01日22時31分
 上海市トップ、陳良宇(チェン・リアンユイ)・市共産党委員会
書記が社会保障基金を巡る汚職事件に絡んで解任された問題で、事
件の発端となった同基金から32億元(約480億円)の不正融資
を受けた疑いで聴取されている実業家の張栄坤氏が、市幹部ら20
人余りに贈賄していた疑惑が浮上した。1日発行の中国紙「21世
紀経済報道」が、関係部門の情報として伝えた。 

 報道では、張氏は解任された市労働社会保障局長や陳氏の秘書役
を務めた市宝山区長、市党委副秘書長ら市幹部らに対する贈賄の疑
いがもたれ、当局は贈賄と詐欺の疑いで調べているという。 

 張氏は02年以降、高速道路の経営権の獲得や大手国有企業の大
株主となるなどで富豪となったが、同基金から巨額の資金が張氏側
に流れたとされる。その背景に市幹部への買収活動があったとみら
れるほか、複数の不動産開発業者らに流れたとの情報もある。
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上海市、投資規制厳しく
(nikkei)
 【上海=渡辺園子】上海市トップ、陳良宇・中国共産党上海市委
員会書記の解任に発展した汚職事件の影響が同市の経済運営にも波
及してきた。市当局は製造業を含む新規大型プロジェクトについて
審査を厳格化、不動産開発でも投資規制強化に乗り出す。短期的に
は投資の減速が避けられない見通しだ。

 29日付の上海市党委機関紙「解放日報」などによれば、市は固定
資産投資抑制のため「上海市新規プロジェクト整理チーム」を結成
した。経済政策、外資受け入れ、環境、建設、不動産など市政府の
関連部門と中国人民銀行(中央銀行)上海総部などで構成。今年上
半期に着工した新規案件を産業政策に則しているかどうかや、環境
対応、資金調達状況、安全性などの観点から改めて調査する。 
(07:00) 
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上海市トップを解任、不正事件に関与・新華社報道
(nikkei)
 【上海=渡辺園子】新華社電は25日、中国共産党中央政治局が24
日に会議を開き、上海市のトップである陳良宇・共産党上海市委員
会書記の解任を決めたと報じた。同時に中央政治局委員の職務停止
も決めた。新華社電によれば、党中央紀律検査委員会の調査により
、上海市社会保障基金の資金不正流用問題への関与や、職務上の権
限を利用した親族への不正な利益供与などの疑いがもたれている。
韓正・上海市市長が書記代理に任命された。 (14:49) 


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