2464.野生動物標準



現代という芸術19 野生動物標準

各位、
現代という芸術19 野生動物標準をアップしました
ご一読くだされば幸いです
得丸

http://www.milestone-art.com/MILESTONES/issue66/htm/p7.html

http://www.milestone-art.com/MILESTONES/issue66/htm/cover.html

現代という芸術 19

野生動物標準 Wild Animal Standard

社会に宗教的な縛りがなくなり、そもそも社会そのものが規範力をもたなくなっ
て、いったい何が正しくて、何が間違っているのか、さっぱりわからない時代に
なってしまった。文化的相対主義はびこる時代、価値が混乱する時代である。

 10年以上前にはじめて吉田松陰著「講孟剳記」を読んだときは新鮮だった。松
陰は、何が正しくて何が間違っているかをきっぱりと言い切る。大志を抱き、誠
を尽くし、道理を明らかにし、無私で徳の高い行動をせよという。

 無私の心(仁)、行動の詳細を明らめる知識(智)、迷わず行動する決断力(勇)、
仁智勇の行動哲学である。

 松陰の説いた朱子学的な行動基準にしたがって、自分自身の心の中を自省し、
明らめ、自分が無私であることを確認すると、無私で智を究めているので、誰か
に相談したり評価してもらわなくても、絶対に正しい行動を取ることができる。
それが自分の行動の自信へとつながり、行動の勢いを増すことになる。

 仁智勇は、人間と人間の間の関係だけを考えているかぎりにおいては、万能の
行動基準である。

 しかし、今日のように文明が行き詰まった地球規模環境危機の時代には、人間
間のことだけ考えて行動するわけにはいかない。

 そこで参考になるのが、野生動物標準 Wild Animal Standardである。

 野生動物標準は、簡単である。野生動物が行っていることは正しく、人間だけ
が行うことは間違っているのだ。

 食事をする、寝る、性行為をする、子育てをする、縄張り争いをする、群れ
る、旅をするなど、野生動物が常日頃行っている行為は正しい。

 だが、テレビを見る、本を読む、携帯電話で話す、自動車に乗る、家畜を飼育
する、株式投資をするなど、人間だけしかしていないこと、およそ文明と呼ばれ
るものはすべて、間違っていると考えなければならない。

 この原理にしたがって行動すれば、他の生物に、今以上の迷惑をかけることは
ない。

 これから、文明が行き詰って、崩壊しはじめる。そのときに、悪あがきをする
のでなく、淡々と滅んでいくために、野生動物ならどうするのかといった行動基
準を常に心の片隅に持ち続けていかなければならない。

(2006.9.1)
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日本仏教に未来はあるか
From: Kumon Tokumaru


浅山さん、「図書」の上田紀行さんの記事のご案内ありがとうございました。
> ともあれ、アメリカの物質文明の極限で求められる「佛教」、新たな時代のタイ 
> ムラグと言うべきか。「縁起」と「慈悲」を紐解くかが問題
仏教とは何か、日本の仏教に未来はあるのか、けっこう面白いテーマです。

私は、今月のレポートテーマが、「大乗仏教の特徴」、来月のテーマが「日本
仏教の特徴」ですので、上田さんの議論は実に参考になります。

上田さんは、「縁起」と「慈悲」ということをおっしゃっておられますが、
僕にとって、今のところ、キーワードは、

・仏教:    法、慈悲、行(戒)

・大乗仏教: 呪術・呪文(経文)、形而上学(とくに『空』)

・日本仏教: 中国(とくに儒教)の影響、本覚(草木成仏)、檀家・家業化

といったところですね。

ご紹介くださった上田紀行さんが、仏教専門新聞である「中外日報」で対談を
しておられますので、ご紹介します。なかなかに刺激的な指摘に飛んでいます。

 私は『がんばれ仏教!』の中でもちょっと皮肉的に、日本仏教は何が
 一番問題かといえば、お坊さん方が仏教を信じていないことだと書い
 たんです。それから、自分が仏教で救われた体験がない人が多い。
 (略)

 つまり、現状の苦しみや葛藤があるからこそ仏に出会うことができ
 る。何もなければ菩薩にも仏にも出会うことはできない。

http://www.chugainippoh.co.jp/NEWWEB/n-taidan/nihonjin/nihon04/nihon04.html
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PS さきほど書き忘れましたが、
> ・仏教:    法、慈悲、行(戒)
>   
というときの仏教は、原始仏教、あるいは上座部仏教です。

そして、ここでいうところの、法、慈悲、行(戒)は、
儒教でとくところの     智、 仁、 勇   に対応する
現実社会を生きていくうえでの人生哲学(宗教というよりも)
であると思います。



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