2460.中国の不良債権処理



中国の不良債権処理の方法を息子から質問された。その回答。
                    Fより
2457で述べた中国の不良債権処理について、会社員の息子から
もう少し説明してとの要望があり、詳しく説明する。

まず、中国の特殊事情がある。中国本土の工場では部品を外国企業
が持ち込み、その加工をして製品にする工程のみを基本的にしてい
ることだ。普通の国の産業は鉄から製品まで全工程を特定国でして
いるので、バブル崩壊や製品が売れなくても、企業はその国でかん
ばることになる。そして、企業が撤退すると国全体の景気が落ち込
むために、企業をその国も支援するが、中国の場合は、加工のみで
あるので企業も簡単に中国から離れていきやすい。

中国で不良債権ができた理由は、有力政治家の子弟が経営する国営
企業に無担保で無制限に貸したことと、省政府に近い企業に土地バ
ブルが起きている土地のビル開発に資金を貸したために起こってい
る。

今は、年率で経済成長が10%もあり土地価格も上昇しているし、
また外国企業が中国で工場を建てるなどの投資があるので、土地を
外国企業に売るなど、なんとか国営企業も利息だけは払っている状
態である。

しかし、そこで土地バブル崩壊が起きると、土地は不良資産化して
借金を返せなくなるし、かつ外国企業の投資減退がおきると、国営
企業もほとんど海外企業に負けているので、海外企業に土地を売っ
て、金を作ることができなくなる。加工しかしていないので、外国
企業も直ぐに撤退できるのが中国の特徴で、人件費が上がると他の
国に移動することになる。

中国の不良債権額が100兆円にもなると米ファンドが試算してい
る。中国のGDPは160兆円程度であり、この不良債権処理をす
るには、中国国内の資金だけでは無理がある。WTOにも加盟して
いる中国は、市場経済を放棄もできない。もし、市場経済を放棄し
て、企業を全て国営化する判断をくだすと、諸外国企業や国家は二
度と中国とは取引をしないし、経済制裁を中国に行う。中国の海外
資産の凍結もする。このため、市場経済を止めることはできない。

1つの解決は、不良債権を持つ銀行を海外銀行に売却することであ
る。このとき、日本のバブル崩壊時のことを思い出してほしい。海
外の買収先は、資産の透明化を求めることになる。その透明化で問
題が洗い出される。有力政治家の子弟の乱脈経営が明るみに出るこ
とになる。そして、銀行や企業の自由性確保を要求する。その意味
では中国国家が海外企業から監視されることになる。政経分離や法
治国家化でしょうね。

多くの中国企業が海外企業の子会社になるため、今の韓国のように
儲けのほとんどが海外に流れることになる。投資ファンドのカーラ
イルの期待配当性向は30%以上ですから、かなり高率である。
いくら働いても儲けは外国に行く構造になる。米国の新経済植民地
ができる。

2つ目の解決は、国家が銀行の不良債権を買い取る。この資金を国
家が国債を発行して、国民や外国に借りることになる。巨額の資金
であるので、米国、日本やIMFなどの先進諸国や国際機関に頼る
しかない。この時は、貸す条件として、中国国家に注文を出さなけ
ればならない。勿論、二度とこのようなことが起きないようにする
仕組みだ。取りも直さず、民主化と政経分離と法治国家化になる。

こちらを中国が選択すれば、日本は中国改革のサポートに、日本を
改革した竹中総務大臣とそのサポータ達を送り込めば、面白い。

アジア通貨危機時に、1を選択したのが韓国で、IMFの管理下で
銀行のほとんどが外国ファンドの手に渡っている。2を選択したの
が、マレーシアやインドネシアなどで、日本が資金を出している。
金融改革を日本の指導で行った。現時点を考えると、IMFの管理
は非常におかしい運営で、その国のためではなくて米国のファンド
に寄与したように感じる。

日本のバブル崩壊時、GDPは500兆円で120兆円の不良債権
でしたので、一部銀行を米ファンドに切り売りしただけで、済んだ
のが不幸中の幸いだったと思う。日本の経済力が不良債権の4倍以
上あったから、軽く済んだ。中国の不良債権は100兆円とGDP
160兆円に比べても、大きすぎる。このため、日本のように簡単
には済まないようである。

中国は米ドルを大量に取得している。このドルを米国債としては
3300億ドル程度を持っていると思われる。残りはペトロカサフ
スタンの買収やIBMのPC部門買収など世界で企業買収に使って
いる。日本企業もターゲットになっているので、気をつけてくださ
い。このドル資金を人民元に変えてくると、大量のドル売りになる
ためにドルの暴落も考えられることになる。
このため、米国と日本が共同で中国の改革に乗り出し、米国の反発
を抑えることも日本は考えることが必要でしょうね。

このような状況で、中国は報道を制限し始めている。特に海外への
配信に報道管制を掛けてきた。とうとう、中国の危機的な状態が始
まったような気がする。経済的に急な下降になると、一般的な国民
の生活は非常に苦しくなる。この一般国民の暴動で政治も変わる。
このような政策で、欧米日からも人権問題で中国の姿勢を批判され
ている。日本と欧米からの外圧が加わる状態になっている。

とうとう、中国の崩壊とその改革が始まりましたね。
さあ、どうなりますか??
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米国務省、中国・北朝鮮などを批判 宗教の自由侵害で(ASAHI)
2006年09月16日10時56分
 米国務省は15日、世界各国の宗教の自由を取り巻く状況をまと
めた年次報告書を発表し、中国や北朝鮮などによる侵害を批判した。
会見したハンフォード担当大使は中国について、キリスト教徒が個
人宅などで集会を持つ「家庭教会」に対して「当局が捜索に入り、
関係者を逮捕しているなどの問題が見られる」などと述べた。 

 報告書は、中国で「いくつかの分野で厳しい制限がある」とし、
家庭教会への弾圧のほか、新疆ウイグル自治区やチベット仏教に対
する抑圧なども侵害の例に挙げた。北朝鮮に関しては「真の信教の
自由は存在しない」と指摘した。
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中国、メディアは「党の舌」・思想宣伝強化へ
(nikkei)
 中国共産党と国務院(政府)は14日までに、今後5年間に思想宣伝
を強化する方針などを盛り込んだ「国家文化発展計画綱要」を公布
した。メディアを「党ののどであり舌である」と位置づけ、報道統
制を続ける姿勢を再確認している。

 綱要は地方党幹部や学生らに対し、2010年までに「理論、思想、
道徳」の教育を強化すると表明。党が掲げる理論をあらゆるメディ
アを通じて「頭にたたき込ませる」と強調した。メディアについて
は「全面的に党の主張を宣伝」することを義務付けた。
(北京=飯野克彦) (00:13) 
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中国が外国通信社規制、国内向けは新華社経由義務づけ

 【北京=末続哲也】中国政府は、日本の通信社を含む外国通信社
の中国国内向けニュース情報配信について、国営新華社通信の許可
や審査を義務づける管理規則を10日に公布し、即日施行した。

 これにより、外国通信社は、中国メディアなど顧客への直接の情
報配信を禁じられ、新華社の許可を得たうえ、同社管理下の機関を
通じ配信するよう義務づけられた。

 さらに、〈1〉統一を損なう〈2〉国の安全、名誉を脅かす
〈3〉邪教を宣伝する――などの内容を含むニュース配信を禁じ、
何を配信するかの選択権は新華社にあるとした。

 中国メディアは厳しい言論統制下にあるが、新規則で、外国通信
社電の引用でも統制が徹底される。
(読売新聞) - 9月13日0時13分更新
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独中首相会談:メルケル独首相、中国人権問題を再提起

 【大紀元日本9月16日】メルケル独首相が今年5月の訪中したこと
を受け、ドイツを訪問の中国・温家宝首相は9月14日にドイツ・ベル
リンに到着し、ホルスト・ケーラー大統領と面会後、メルケル首相
と1時間の会談を行った。会談後の記者会見で、メルケル首相は中国
の人権問題を再提起したことを明らかにした。

 メルケル首相は、中国の人権状況を懸念し、特に2008年北京オリ
ンピックの開催にあたり、中国が報道の自由を保障する意義がさら
に重要であることを強調した。温首相はこれに対し、「中国は憲法
で、人民の基本的権利および自由を保障することについて明確にし
ている」と語った。しかし、実際に中国国内で現在起きている人権
迫害、報道の統制に関する改善承諾は一切なかった。 メルケル首
相は5月の訪中で、シュレーダー前首相の対中国外交姿勢とは違い、
公的に中国の人権問題を明確に提起し、中国の民主活動家および上
海のカトリック教・金魯賢司教と会談した。

 メルケル首相は、今回の会談は非常に「開放的」と語り、首相は
双方の意見相違の問題について率直な意見交換ができたことに対し
て、「双方が良好な関係を築く重要な基礎だ」と評価した。


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