2454.イラン核問題について



イラン核問題に、世界の焦点が移動している。この検討。 Fより

イランは、アフマディネジャド大統領の強硬論を前面から後退させ
て、米国に親米派のハタミ前大統領を非公式に派遣して、米国で非
公式に交渉条件を探っている。この中で濃縮ウラン製造は平和目的
であると明言しているが、それを認めないと米国はしている。

ここで、イランに大きなビジネスを持っているドイツのメルケル首
相がイランのウラン濃縮活動の停止を求める国連の要求を拒絶する
のを国際社会は黙って見ているわけにはいかないと発言して、欧米
が一体であると宣言した。これにいやいやながらロシアも同調する
姿勢を取る。

これを受けて、ラリジャニ最高安全保障委員会事務局長がEUのソ
ラナ外交代表と会談して、EUの軽水炉を無償で提供するという「
包括的見返り案」とイランの回答の間で「いくつかの点で進展があ
った」としている。どうも、イラン独自のウラン濃縮研究を中止す
る方向を打ち出した可能性がある。しかし、この見返りは非常に大
きな物を要求しているはず。たとえば、イランでのウラン濃縮施設
の運営をEUが行うなどの妥協案でしょうかね。

今後も会談を継続する方向であるが、平和利用と言うイランの宣伝
と、もし制裁したらNPTからの脱退などという脅しが効果的に作
用しているように感じる。米国も欧州も戦争は今しなくない。でき
ない。

イランは最高指導者が大統領ではなくて、イスラム教の最高指導者
が世俗の最高指導者でもある。この最高指導者はハメネイ師であり
、今の所、全体的に交渉はイランペースで進んでいる。ペルシャ商
人の交渉術は凄いですね。先に強硬論を言い、徐々に相手との交渉
を開始する。これは日本外交も見習わないといけないですね。

イランは、自国への戦争ができないように、アルカイダやタリバン
などにも資金援助している可能性がある。勿論、イランのシーア派
のサドル師に資金を援助している。このため、親米派のシーア派指
導者から、イランは非常に危険な国であると言われるほどである。

しかし、このイラク、アフガニスタンなどの周辺国の戦争を激化さ
せて、欧米の軍事力をそこに張り付けることで、自国への攻撃を免
れる政策は効果があり、現時点で軍事圧力は使えないと米軍高官も
ブッシュ大統領に進言している。

経済制裁を欧米は志向するが、この志向も無理がある。中ロが同調
しないことが分かっている。どこかで妥協するしかない。米国は、
直接交渉をしないと宣言しているために、強いことをブッシュ大統
領が言うが、世界の指導者はだれも米国の言うことを真に受けてい
ない。バカにしている。米国の権威の崩壊が起こっている。

権威がないと、多くの国々は米国に着いて来ない。となると、米国
は一国で戦争でも経済制裁でもしないといけないことになる。事実
、米国はイランとの銀行をの取引を停止したが、これは石油決済を
ユーロにすることになり、ドル離れを加速することになる。米国の
ドル基軸通貨防衛ができなくなる。米国の次の一手が米国覇権を潰
している事態になっている。

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米政府、イラン金融制裁を強化 国営大手銀の取引を禁止(ASAHI)
2006年09月09日10時30分
 米政府が金融面でのイラン制裁を強化している。8日は財務省が
、イラン国営の大手銀行サデラトによるドル建て銀行取引を実質的
に禁止する措置を発動したことを表明。イランと対米テロ組織を結
ぶ国際的な資金パイプを細らせる狙いだ。国連での制裁議論が先送
りされていることもあり、米政府は欧州や日本などにも金融制裁へ
の協力強化を求める方針だ。 

 米財務省テロ対策担当のリービー次官が8日にワシントン市内で
講演し、「本日、イラン国営大手サデラト銀行を米金融システムか
ら切り離した。イラン政府がテロ組織に送金するのに利用している
からだ」と明らかにした。 

 サデラトの支店数は約3400。イランの金融機関はすでにドル
建て取引が大きく制限されているが、外国の銀行口座などを経由し
た取引は可能だった。今回の制裁強化によって同行は第三国経由で
の取引も禁じられ、ドル建ての国際銀行決済ネットワークから事実
上はじき出される。 

 リービー次官は「イランは(国際テロ組織の)アルカイダに次い
で米国人を殺してきた(イスラム教シーア派武装組織の)ヒズボラ
に毎年何億ドルもの資金を提供している」と厳しく批判。イランは
同行を使って01年以降、ヒズボラ勢力下の組織に約5千万ドルを
送金し、パレスチナのイスラム教スンニ派組織ハマスなどにも資金
が渡ったという。 
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イラン、EUと核開発問題で協議・「建設的だった」
 【ウィーン9日共同】イランのラリジャニ最高安全保障委員会事
務局長は9日、ウィーンで行われたイラン核問題をめぐる欧州連合
(EU)のソラナ共通外交・安全保障上級代表との協議後に「建設
的だった」と述べ、10日も協議を継続することを明らかにした。ソ
ラナ氏の報道官も同様にコメントした。

 ラリジャニ氏は、国連安全保障理事会常任理事国とドイツの6カ国
が提示した「包括的見返り案」と、それに対するイランの回答書に
ついて協議し「いくつかの点で進展があった」と述べた。双方とも
協議の詳細については明言を避けた。

 対イラン制裁に慎重なEUにとっては、安保理での制裁論議入り
を目指す米国の動きをにらみつつ、イランと交渉の余地がないかど
うかを探る最終局面となっている。 (16:03)
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EU、イランと核協議
(nikkei)
 【ウィーン=桜庭薫】イランの核開発問題を巡る同国と欧州連合
(EU)の核交渉責任者の協議が9日午後、ウィーンで始まった。
EUは国連安全保障理事会でのイラン制裁論議入りをにらみつつ、
イランとの交渉余地を探る。ただ、イランは安保理が求めたウラン
濃縮停止には応じない考えで、EU側との溝を埋めるのは困難な情
勢。協議が不調に終われば、米国主導の制裁論に弾みがつくのは確
実だ。

 EUのソラナ共通外交・安全保障上級代表と、イランのラリジャ
ニ最高安全保障委員会事務局長は同日、安保理常任理事国とドイツ
の6カ国がイランに提示した「包括見返り案」について協議。

 同案はイランに対し、ウラン濃縮停止と引き換えに軽水炉の建設
支援などを約束したものだが、イランは8月下旬に示した回答書で濃
縮停止を交渉再開の条件とすることを拒否した。EU側はイランに
交渉開始の条件などを問いただしたとみられる。 (01:46)
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国際社会はイランが国連の要求を拒絶するのを静観できない=独首相
  
 [ベルリン 6日 ロイター] ドイツのメルケル首相は6日、
イランがウラン濃縮活動の停止を求める国連の要求を拒絶するのを
国際社会は黙って見ているわけにはいかないと述べた。
 メルケル首相は議会で講演し、国連安保理常任理事国5カ国とド
イツが提案した核活動停止への包括見返り案に対するイラン側の回
答や、ウラン濃縮活動の凍結を拒否する姿勢は受け入れられないと
言明。「イランの回答は満足の行くものではない。交渉への扉は閉
ざさないが、われわれ国際社会は、イランが国連のルールを破るの
を黙って見てはいない」と述べた。
(ロイター) - 9月7日6時26分更新
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査察官追放なら協力停止 イラン核問題でロシア
 【モスクワ8日共同】インタファクス通信などによると、ロシア
高官筋は8日、イランの核問題に関連し「イランが国際原子力機関
(IAEA)の査察官を追放した場合、ロシアは(イラン南部の)
ブシェール原発の建設への協力を即時中止する」と述べた。

 同筋は、査察官を追放せず、同原発の建設が経済制裁の対象にな
らない場合は「ブシェール原発は予定通り建設されるだろう」と発
言。原子力政策ではイランに協力的なロシアが「アメとムチ」で揺
さぶりをかけることで、イランに核関連活動の全面停止をあらため
て迫る狙いがあるとみられる。

 ただロシアのラブロフ外相は高官筋の発言を否定した。


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