2451.既成教団・宗派に感じた限界



既成教団・宗派に感じた限界
                      得丸久文

 第二回合宿修行は、鹿野山の緑に囲まれたすばらしい環境で行われた。とくに
土壁と土間の素材のやわらかさとぬくもり、禅堂を吹き抜けるすずしい風、窓の
外から聞こえてくる鳥や獣の鳴き声に包まれて、鹿野山の禅堂は、これまで私が
経験した中でもっとも気持ちのやすらぐ、坐禅に集中しやすい禅堂だった。おか
げで、いい坐禅ができた。

 食事作法は、日蓮宗より複雑であり、配膳も食事作法も最後まで苦労したが、
食後の食器洗浄が不要な、正真正銘に環境にやさしい食事方法には学ぶべきもの
がある。

 だが住職の講話はひどかった。

 第一に、レジュメもなく、話の展開も支離滅裂で、まったく準備をしていな
かった。教えよう、伝えようとする態度や気構えが感じられなかった。

 公案に対する私の質問にも、誠実に答えるという努力はなく、誠意が感じられ
なかった。公案が個人のものであることなど、みんな知っている。だから住職個
人の経験を語ってもらいたいとお願いしたのに。

 第二に、まるで世間話をするかのように、机にひじをついて、だらだらと話さ
れた内容が、お粗末であるばかりか、話を聞いた塾生たちが仏教や禅宗について
誤解を抱きかねない内容であった。

「禅林では、入門した日の前後ですべてが決る。先輩がカラスは白いといえば、
そうですねといわないといけない」という話を聞いて、私は思わずその場で、
「それが仏法ですか」と聞いてしまった。入門した順番に悟りが開けるわけでも
あるまいに。

「専門課程には進むべきだが、道場修行が辛いから来ないほうがいい」
という話は、塾生の意欲をそぎ、うんざりした。

「自分は生臭坊主ですから」と恥ずかしげもなく言われていたが、相撲取りみた
いに太っていて、食べ物を大切にしろもないものだ。

「僕はバカですから」と自己卑下していたが、バカだと思うなら一生懸命やれば
いいのに。「先輩から受けたいじめを、後輩にお見舞いしようと手ぐすねひいて
待っていた」という話はブッダの弟子にあるまじき暴力・体罰容認、不合理容認
の発言である。

 こうして感想をまとめていても、いったい何を考えているのだと、怒りがこみ
上げてくる。

 21世紀を生き抜く思想として、大自然への畏敬を抱き、大自然の中での自己
の位置づけを模索する仏教の思想は大きな可能性を秘めている。だが、既成の仏
教教団や宗派は、まだその可能性に気づいていないのか。既成の教団や宗派とは
無縁な、仏教思想にもとづいた新しい運動が生み出されなければならない時かも
しれない。     

 終わり
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Re: 第二回合宿の感想
From: 浅山      

得丸様、皆様

得丸様の佛教修行のスタートも同時代の手のひらの中にあるようです。

仏教の再評価が世界に広まる気配がある中で、本家の現状を憂える言葉が仕切り 
です。東アジアモンスーン文明の再興を願う小生としましては大いに関心あると 
ころです。

岩波PR誌「図書」2006・9のP2から4ページの短文ですが。

著者は東工大・人類学・上田紀行氏がスタンフォードの仏教講義文章は共通点多 
く、特に後者は今、大手書店では無料で配布されていますので、僭越ながら手に 
して頂ければ幸甚です。

同氏の文中、ダライラマの評価と、以前既読の宮内勝典著「焼身(集英社)」に 
出てきたヴェトナムの主人公の弟子、臨済禅の老師テック・ナット・ハンを評価 
高く挙げられた所など関心致す次第です。

ともあれ、アメリカの物質文明の極限で求められる「佛教」、新たな時代のタイ 
ムラグと言うべきか。「縁起」と「慈悲」を紐解くかが問題。
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JOC の選択。浅山
From: 浅山

西洋スポーツに金かけるのは日本人としては如何なものか、残り少ない地球の自
然を浪費して、人間の肉体にも必ずしも良いと言えない筋肉作業、呼吸作業、一
神教主義者の齎したものに、何時までも追従しているようでは、情けない。

東京決定の後、すぐイシハラさん都知事三選出馬を発表、彼の計算はその程度の
もの、そして相手側(福岡)応援演説者に対しては品の悪い言葉を浴びせる、こ
んな人が日本の教育や外交を説くのを許すようでは。

都民もその内情けないことを知ることになるのでは、若い人は見かけと言葉の気
障に迷わされるものですから、フアンは多くなるでしょうが、利用だけされて
(税金ぼったくり)、その挙句の果ては「ポイ」ということにもなりかねません
よ。「気をつけないと、大変なことになりますよ」(あの人気番組、病気の話の
たけしのアナウンス風に)。


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