2446.イラン核施設停止拒否



イランが期限の8月31日までにウラン濃縮施設の停止をしなかっ
たことにより、安保理で制裁の議論が開始する。  Fより

イラン核問題が開始した。安保理で制裁の議論が開始するが、中ロ
の拒否権行使で国連での決議はない見通しである。イランもアハマ
ディネジャド大統領は強引であるが、ラリジャニ事務局長は欧州と
の交渉を継続すると述べている。欧米中ロの情勢を見ているようだ。

しかし、米国は制裁を国連での協議では長引くために、まずは有志
国連合で経済制裁を実施したい考えである。ここでも、イランは有
志国の分断を図る考えである。

米国としても、イランとの戦争までは現時点では考えていない。
もし、戦争になると、ホルムズ海峡をイランに封鎖されて、ペルシ
ャ湾内の石油積み出しができなくなる可能性が高い。すると、世界
的な大問題に発展することになる。これは避ける。経済的な制裁を
する予定であるが、この制裁を中ロは反対しているために、あまり
効果はないように感じる。

このため、イスラエル軍は、当初予定しているイラン核施設の爆撃
を行う準備をしているが、米ライスが反対している。イスラエルを
出すと、イランの核ミサイルがイスラエルに飛んでくる可能性があ
り、核の応酬となり、中東全体が核汚染されて厄介になると見てい
る。

その代案として、ラムズフェルド国防長官は米大陸弾道弾ミサイル
に通常の10トン程度の爆弾を積んで、イランの核施設を爆撃する
構想を持っているようだ。核施設のピンポイント攻撃だけを行う。
イランはICBMは持っていないので、報復の攻撃はできないため
に、ゲリラ活動は起こるが、ミサイル戦争にならないために、より
安全であると見ている。

イランの対空ミサイルの装備が、ヒズボラの装備を見て、侮れない
と見て、空爆や巡航ミサイルでの攻撃ではなくて、対空ミサイルが
無効な弾道ミサイルを使って攻撃することを考えている。

イランへの有志連合の経済制裁であるが、イランと経済的な関係が
深いのは、日本とドイツ、フランス、イタリアである。フランスの
トタル、イタリアのENIなどがイランの石油に権益を持っている。
ドイツは、建設機械などの輸出が多い。米国は米大使館事件以来、
イランとは経済関係がない。

日本はイランと友好関係にあり、つい最近までビザなしでイラン人
は日本に入国できた。そして、イランから原油の14%を輸入する
関係にあり、アザデガン油田の権益も持っている。

しかし、日米同盟関係で日本は米国の制裁に付き合うことになる。
アザデガン油田の権益は中ロが狙っているが、渡すしかないようで
すね。原油の輸入も止まるので、原油調達の供給先を探す必要にも
なる。

しかし、欧州のソラナ外交代表は対話による核問題解決を探る考え
を表明している。日本も同調する方向であるが、日本から米国には
言えないので、欧州に期待ですね。ここでも米国の政治力が落ちて
、欧州や中国、ロシアの政治力が上がっている。
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<イラン核問題>制裁に反対「対話継続」強調 ロシア外相

 国際原子力機関(IAEA)が、イランがウラン濃縮を実施した
ことを国連安保理に報告したことに関連して、ロシアのラブロフ外
相は1日、対イラン制裁の検討に反対する考えを示した。ラブロフ
外相はモスクワ国際関係大学で講演し、「我々はイランを孤立化と
制裁ではなく、対話に引き込むべきだ」と述べた。
(毎日新聞) - 9月1日20時22分更新
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中国とイラン、イラン核問題で外交的解決目指すとの見解で一致
  
 [北京 30日 ロイター] 中国外務省によると、中国とイラ
ンは、イランの核開発問題で外交的解決を望むとの見解で一致した。
 中国の李肇星・外相がイランのアラグチ外務次官と会談し、声明
がウェブサイトに掲載された。
 声明は「両国がイランの核問題について意見を交換し、外交交渉
で適切に解決すべきとの考えを強調した」としている。
 国連安全保障理事会はイランに対し、8月31日までにウラン濃
縮を停止しなければ制裁を科す可能性がある、と通告。西側諸国は
イランが核兵器製造能力を模索していると疑う一方、イランは発電
目的の平和利用に過ぎない、と主張している。
 米国は、イランが国連案を聞き入れない場合、31日の期限後に
迅速な行動をとると警告している。ただイランの主要貿易相手国で
あるロシアと中国は制裁に消極的で、安保理で反対する可能性ある
とみられている。
(ロイター) - 8月30日16時1分更新
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イラン、「有志連合」分断狙う・制裁巡り駆け引き
(nikkei)
 【テヘラン=加賀谷和樹】国連安全保障理事会の決議を拒否し、
ウラン濃縮活動の継続を決めたイランは制裁を回避するため、外交
攻勢をかける方針だ。安保理の制裁論議の引き延ばしを図りつつ、
米国に近い日欧に揺さぶりをかけ、国連の枠外で独自の制裁を検討
する「有志連合」の分断も目指す。

 1日のイラン国営通信によると、アセフィ外務省報道官は国際原子
力機関(IAEA)が公表したイラン核開発の報告書について「(
イラン核開発問題)協議の再開が急務だと認識させる内容」と、イ
ラン側の解釈を説明した。イランにウラン濃縮停止を迫る包括見返
り案をまとめた安保理常任理事国とドイツの6カ国側に核協議再開を
改めて訴えた格好だ。 (07:00) 
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アザデガン油田「中露で開発も」…イランが日本に警告

 【テヘラン=工藤武人】日本の国際石油開発が権益を持つイラン
南西部アザデガン油田開発について、イラン石油公社傘下の石油開
発技術会社のバザルガン社長は27日、「日本側と9月15日まで
に開発着手で合意できなかった場合、国内企業や中国、ロシアとの
共同開発も模索する」と警告した。

 石油省が運営する通信社が伝えた。
(読売新聞) - 8月28日1時8分更新
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イラン制裁決議、月内採択見込み薄=米、有志連合の形成優先も
                       −専門家

 【ワシントン1日時事】米シンクタンク、ケイトー研究所のクリス
トファー・プレブル外交政策研究部長は1日までに、時事通信とのイ
ンタビューに応じ、「イラン制裁のための国連安保理決議案にはロ
シア、中国が同意しそうもない」と指摘、9月中に採択される可能性
は小さいとの見通しを示した。
 また、決議が仮に採択されたとしても、イラン高官の渡航制限な
ど限定的な制裁措置にとどまると述べ、「あまり効果的ではないだ
ろう」と語った。
 さらに、ロシアや中国が制裁決議案を支持しないことが明確にな
った場合、米国は決議案採択よりも、日本や欧州諸国などとの有志
連合形成による制裁実施を優先することもあり得るとの考えを明ら
かにした。 
(時事通信) - 9月1日15時1分更新
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「イランは決議履行せず、ウラン濃縮継続」IAEAが報告書
(nikkei)
 【ウィーン=桜庭薫】国連安全保障理事会がイランに求めたウラ
ン濃縮の停止期限が切れる31日、国際原子力機関(IAEA)のエ
ルバラダイ事務局長は安保理とIAEA理事国にイラン査察報告書
を配布した。AP通信などによると、イランが安保理決議に定めた
期限を履行せず、ウラン濃縮活動を継続していることを指摘し、安
保理での制裁論議に道を開く内容。イランの核問題は新たな局面を
迎えた。

 報告書はさらに、IAEAの査察官が8月中旬、テヘラン郊外の核
関連施設で高濃縮ウランの痕跡を発見し、イランに説明を求めたと
も記載した。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によれば、イ
ランの濃縮活動の規模については「少量にとどまっている」「濃度
も低レベルで核兵器への使用には適さない」などとも指摘している
もようだ。

 国連本部があるニューヨークの米東部時間31日のうちにイランが
一転、ウラン濃縮を停止する可能性を完全には排除できないが、
IAEA報告を受けた安保理がイランの決議違反を認定するのはほ
ぼ確実な情勢だ。 (07:02) 
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Israel feels US will not attack Iran
Yaakov Katz, Herb Keinon and Nathan Guttman ? 
The Jerusalem Post August 24, 2006
IDF(イスラエル軍)のなかで、アメリカはイスラエルのイラン
核施設に対する攻撃を支持しないだろうとの認識が広がっている。
また、ライスは妥協の方向に向かっていると、イスラエル軍関係者
は非難。
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ICBM、通常弾頭つけテロ組織攻撃も・米国防長官
(nikkei)
 【ワシントン=小竹洋之】ラムズフェルド米国防長官は27日、米
アラスカ州フェアバンクスでロシアのイワノフ国防相と会談した。
ラムズフェルド長官は会談後、記者団の質問に応じ、核弾頭を搭載
しない大陸間弾道ミサイル(ICBM)をテロ対策に活用すること
を検討する考えを示した。

 同長官は核弾頭を搭載しているICBMの一部を通常兵器搭載に
切り替え、テロ組織への攻撃に利用することが今後の検討課題にな
ると指摘。イワノフ国防相にも検討を要請したことを明らかにし「
ロシア政府が同じことを決断してくれれば幸いだ」と述べた。

 米政府はテロ支援国家と名指ししているイランや北朝鮮を念頭に
、ロシアと足並みをそろえてこの問題に対応する方針を示した格好
だ。ただ、イワノフ国防相は「米国の提案がロシアに懸念を与える
のは確実だ。ほかの解決方法があるのではないか」と語り、慎重な
姿勢を示した。 (13:01)
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イラン大統領、ウラン濃縮の停止拒否を明言(ASAHI)
2006年08月30日00時01分
 イランのアフマディネジャド大統領は29日、テヘランの大統領
府で記者会見し、「イランは脅しや不当な要求には屈しない。我々
には核の平和利用の権利がある」と述べ、ウラン濃縮の継続を明言
した。国連安全保障理事会が今月31日までと時期を区切って求め
ていた濃縮停止を期限直前に拒否し、対決姿勢を鮮明にしたことで
、安保理では経済制裁を軸にした議論が始まることになる。 

 大統領は、「米英が紛争と抑圧の根源だ。安保理は米英が自らの
決定を押しつけているに過ぎない」として、ウラン濃縮活動を停止
しない場合の経済制裁を警告する決議を7月末に採択した安保理の
決定プロセスを批判した。 

 経済制裁を科されたとしても、「核燃料サイクルを持つことがで
きる国は、乗り越えることができる」と強調。「懸念はない。いか
なるシナリオにも対処できる」と自信を示した。 

 また、ブッシュ米大統領に対し「テレビ討論の場を持ち、現在の
危機を克服する方法について意見を交換したい」と挑発的な姿勢も
見せた。 

 一方、安保理常任理事国とドイツがまとめたウラン濃縮停止の場
合に経済的見返りを与える包括案に対して今月イランが示した回答
について、「双方が公平な解決策にたどり着く貴重な機会を与えた
」と自賛。米欧に核問題での交渉再開を改めて求めた。 

 アナン国連事務総長が9月2日にイランを訪問する予定だが、大
統領は、「アナン氏は国際法の枠組み内で動くべきで、同氏もその
ことを熟知している」と述べ、訪問が核問題での譲歩にはつながら
ないとした。 

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