2441.日本の心情は鎖国??



日本の雰囲気を見ると、日本一国主義のような気がする。 Fより

日本の景気回復と共に、日本しか考えない風潮がでてきている。

一方、中国はロシアとの国境紛争をほとんど一方的に譲歩して、解
決して中ロは友好条約を結んでいる。そして、2005年にはイン
ドとの国境紛争を解決するべく、協議を開始したが中国がここでも
一方的に譲歩する気配である。

また、FTAでも東南アジアとの交渉でも農業、工業、労働の分野
で大幅な譲歩をして成立させているし、ミャンマー、パキスタン、
ラオス、カンボジア、バトナム、タイと中国の道路やパイプライン
などを中国の援助で構築して、主に石油を運びために、その輸送費
は通過する国に入る仕組みを作って、友好関係を築いている。その
友好関係から中国の海軍基地の用地を借りている。

日本は、中国のような大幅な譲歩ができずに、ロシアとの北方4島
返還に固守して、ロシアから強硬な国境監視を受けて、日本漁船の
操業もできず、ロシアからの石油や天然ガスの輸入も日ロ友好関係
がないために、拒否される寸前にある。

東南アジアとのFTAでは農産物輸入、労働者の出稼ぎを認めない
ためFTA交渉は暗礁に乗り上げ、かつ国連常任理事国入りの選挙
で、東南アジアからの賛成が皆無という事態になったことは記憶に
新しいことである。
そして、ベトナムのマイン新書記長は就任後、直ぐに中国訪問をし
て、中国重視を行うと声明を出すことになる。ベトナム・中国両国
は、1979年に戦争をした。

中国のケ小平は1979年2月17日「懲罰行為」とベトナムに侵攻したが
、ベトナム軍が反撃を開始すると、旧式の装備で人海戦術に頼る中
国軍は大損害を出した。ベトナム軍は、ソ連からの全面的な支援を
受け陸上戦力・航空戦力ともに高い水準を維持し、かつ米国製最新
兵器も持っていた。中国首脳部はこの戦争で人民解放軍の立ち遅れ
を痛感し、軍の近代化を推し進めるようになった。

ベトナムと中国はその後、長い間敵対関係になっていた。しかし、
そのベトナムでさえ、親中国を表明する事態になっている。

日本のODA供給先でトップはインドネシアですが、スカルノ大統
領時代は、親日本の代表的な国家でしたが、そのインドネシアも現
在、日本を全面的には支持していない。どちらかというと中国寄り
になっている。インドネシアのニコパル諸島の島を中国の潜水艦基
地として、貸している。借地料を貰っているはず。

日本国民は目をアジアにも中東にも米国にも向けていない。企業も
商品を売る観点でしか外国を見ないために、日本がどう思われてい
るか、関心が無いというより、外部からの批判に耳を貸さないよう
である。日本のことは放って置いてくれという声を聞くが、これは
心情的な鎖国の雰囲気を感じる。

靖国神社だけではなくて、アジアからの声でも日本に都合がいい、
日本企業として都合がいいことしか聞かないようだ。アジアからの
クレームを新聞も雑誌もあまり取り上げない。このため、日本は
よく思われていると勘違いしている。

心情的な鎖国をするために、日本はアジアからも孤立している事態
になっている。その間隙を中国は捉えて、日本孤立化戦略を着々と
進めている。東アジア共同体を日本の知識人は拒否しているが、そ
の拒否の姿勢が原因で日本抜きの東南アジア+中国共同体になる可
能性も出てきている。

日本は自分の利益しか考えない。妥協するという姿勢がなく、後向
きな対応しかしていないと思われている。日本一国主義は米国一国
主義より悪い。米国は武力があるから、従わない相手を屈服させら
れるが、日本には武力も無いために孤立するだけでしょうね。

米国との友好関係を確立していればいいという対応をしているが、
その米国は衰退に向かっている。ドルの基軸通貨が現時点3兆ドル
程度の累積経常収支の赤字になっている。アジア共同通貨ACUな
ど、東アジア共同体が次の単位になる可能性もある。

戦略構築とはいろいろな可能性を選択して、日本を発展させること
ですから、アジアを捨てるという選択肢はあってはいけない。とす
ると、次の首相は、このことにも目を向ける必要があるように感じ
る。


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