2425.イスラエルの挽回



イスラエルの劣勢であることが、だんだん明確になり、どうするか
次の政策が重要になっている。この検討。      Fより

フランスやレバノンが米国の国連決議案に抵抗している。即時停戦
を提案している。米国案は、国連軍が配置につくまでは、イスラエ
ル軍が占領した地域を管理することになっている。

しかし、戦場ではイスラエルがリタニ川までの30キロを占拠する
ために、レバノン南部を侵攻しているが、ヒズボラのRPG−27
対戦車ミサイルで、メルカバ戦車が破壊されている。8月9日には
最前線の司令官が交代して、戦車畑の司令官から歩兵畑の司令官に
なっている。

ゲリラ戦では、ハイテク戦車は役に立たない。戦車が来ればゲリラ
は身を隠して、後続の歩兵たちもやり過ごして、そのイスラエル軍
が休息や野営した時を狙って、ロケット弾を打ってくる。戦車の死
角で対戦車ミサイルを撃つことになる。68人の死亡したイスラエ
ル軍兵士の多くはこのミサイルの餌食になっている。イスラエル軍
の兵力は16万人しかいない。陸軍は半分とすると8万人で予備役
3万人でしょうね。それで、レバノン南部を管理するのはほとんど
無理でしょうね。日本の24万人より随分と少ない。

正規軍の損害は死傷者3%出すと、負けるというので、2000人
程度の被害でイスラエルの負けになるが、死者68人+250人以
上の傷病者がいるはずで300人から400人の被害になっている
はず。1日30人の死傷者のようであるから、100日で達成して
しまう。3ケ月。もう本格的な戦闘から0.5ケ月が経っているの
で、後2.5ケ月でそのレベルに達してしまう。

イラクでのゲリラ戦と同じような準備をヒズボラはしているために
、イラクに於ける米軍の失敗と同じような失敗をイスラエルもレバ
ノン南部でしているようである。軍近代化をしてもゲリラ戦には勝
てない。ゲリラが使用するロケット弾が近代兵器を破壊できること
で、準備されたゲリラの方が、優位になっていることが判明した。

しかし、ヒズボラが戦闘で勝っているので、評論家が中東大戦争と
いうが、イランやシリアの参戦はなくなっている。ヒズボラはイラ
ンにもある。このため、イランからゲリラを送り込むことは当然で
ある。

一方、イスラエルは時間との勝負になっている。もし、国連軍がイ
スラエル軍と置き換わらないと、永遠に被害を出し続けることにな
り、イスラエルは軍崩壊の危機になるし、国家滅亡の危機になる。
このような状況で、イスラエルの世論調査でも悲観的な見方が出て
きている。外交的な解決を望んでいる。

レバノンも空爆で、一般市民が死んでいるし、社会インフラが破壊
されている。即時停戦する必要がある。このようにどちらにもやっ
と、停戦合意の機運が出てきている。

このため、イスラエルのガティマのオルメルト首相も米ネオコンの
戦争を嗾ける口調に閉口している。ガティマはリアリストでライス
に近い。ネオコンはリクード別働隊であるので、現実主義(リアリ
スト)と理想主義(ネオコン)の格闘が、イスラエルと米国で起こ
っている。米国福音派もイスラエルを生贄にすることが聖書にある
ために、ネオコンの主張に同調している。ミアシャイマーなど主流
のリアリストもイスラエル切捨てを主張している。このため、共和
党は最後の最後には、イスラエルを切り捨てることになりそうであ
る。

ブッシュとしては、イスラエルの負けは即イラク戦争に影響するの
で、イスラエルには負けて欲しくない。このため、トルコの米軍基
地に貯蔵されている軍事物資をイスラエルに送っている。ライスの
采配でしょうね。イスラエルの予備役を徴収しても武器が無いこと
が判明した。この武器を米国は供与しているのでしょうね。

一方、米民主党ヒラリー・クリントンが、イラクからの撤退とラム
ズフェルド国防長官の辞任を求め始めている。これはイラクに張り
付いている米軍を自由にしないと、イスラエルが負けそうになった
時に応援ができないためでしょうね。今までイラク戦争を擁護して
いたヒラリーさんの思想からすると、そう考えないと辻褄が合わな
い。国際派ユダヤ資本家が取り仕切る民主党は、イラクを切り捨て
てもイスラエルを救うことになったようですね。

イスラエルは今後、非常に難しい道を歩むことになりそうである。
米国はリアリストが中心の共和党政権であると、イスラエルを助け
ることができない。米政権の選択はユダヤ系資本が握っているから
、次の政権はどうも民主党になるような感じがする。
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戦闘勝利に悲観的な見方 イスラエル世論調査(ASAHI)
2006年08月11日21時46分
 イスラエルの有力紙ハアレツが11日付で報じた世論調査による
と、レバノンで続くイスラム教シーア派武装組織ヒズボラとの戦闘
でイスラエル軍が勝利するとの回答が約20%しかなく、悲観的な
見方が広がっていることがわかった。10日には、テルアビブで停
戦を求めるデモも行われた。戦闘の長期化と120人を超すイスラ
エル側の死者の増加により、イスラエル国民の間に厭戦(えんせん
)機運が芽生え始めているようだ。 

 調査は570人を対象に、政府がレバノンでの地上戦拡大を決め
た9日と翌10日に行われた。 

 「戦争が今日終わったとしたら、イスラエルが勝利宣言できるか
」との質問に対し、肯定したのは約20%で、「イスラエルが負け
ている」と答えたのは約30%、「どちらも勝っていない」が44
%だった。 

 オルメルト首相の支持率は48%、ペレツ国防相は37%だった
。ハアレツ紙は戦闘初期に同様の調査をしていないため、単純な比
較はできないが、他の大手紙の戦闘初期の調査では首相が75%、
国防相が65%という高い支持率だった。 

 地上戦拡大の決定については、39%が支持し、26%が「現状
の戦闘を維持する一方、外交努力を強化する」と回答。「即時停戦
と外交的解決」を求めたのは28%だった。 
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ヒズボラ、強力な対戦車ミサイルで抵抗=イスラエル軍に大きな誤
算 (AFP=時事)

【エルサレム10日】軍事筋によると、レバノン南部でのイスラエ
ル軍との戦闘で、イスラム教シーア派武装組織ヒズボラはロシア、
イラン製の強力な対戦車ミサイルを極めて効果的に使っている。戦
闘開始以来、レバノン南部で死亡した68人のイスラエル軍兵士の
多くは、これらのミサイルの犠牲となっている。

 イスラエル紙イディオト・アハロノトは10日、ヒズボラが発射
した25発の対戦車ミサイルのうち、4分の1が目標となった戦車
の装甲を突き破り、大きな損害を与えたと報じた。イスラエル軍の
メルカバIII、IV戦車は世界有数の頑強な装甲と防御システムを持つ
との評判を取っており、このことはイスラエル軍の誇りに大きな打
撃を与えている。イスラエル軍はまた、ヒズボラがよく訓練されて
おり、戦車の非常に近距離からミサイルを発射するなど、その抵抗
のレベルの高さにも驚かされている。

 戦略研究の専門家は、ヒズボラの対戦車ミサイルの多くは、ロシ
ア製もしくはイランで製造されたロシアモデルだと指摘する。同氏
によると、最も強力なミサイルはメティスMとコルネット。両ミサ
イルはロシアによって製造され、1990年代にシリアに引き渡さ
れた。近代戦車の装甲を貫通させることを主眼に設計された、強力
な破壊力を持つミサイルだという。ヒズボラはまた、イランで製造
されたロシアの最新型のマリュートカ・ミサイルやロシア製のファ
ゴット・ミサイルも入手している。これらの対戦車ミサイルは1メ
ートルもの厚さの装甲を貫通し、1・5−5キロの射程距離を有す
るという。

 同専門家は、イスラエル軍はヒズボラが大量のミサイルを持って
いることは承知していたが、メティスMやコルネットまで所有して
いることは知らなかったのではないかと指摘している。
2006年8月11日12時6分 
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イスラエル予備役兵は訓練・装備ともに不足 ハーレツ紙が報道
【アルジャジーラ特約7日】イスラエル紙のハーレツ(英語版)が
7日、報じたところによると、イスラエルがヒズボラ討伐作戦で苦
戦を強いられている原因の一つは、予備役兵の準備不足と装備の貧
弱さにある。

 同紙は、ある兵士の言葉として、「2日間、我々はほとんどうま
くいっていない。予備役兵の適応のレベルも問題なのだ」と報じた
。また「A」とのみ記された予備役兵士は「自分を守るのが精一杯
だ」と語った。

 兵士Aは、レバノンでの戦役は、6年前、第2次インティファー
ダが開始されて以降のパレスチナ地域での戦闘とは全く違うとして
、「パレスチナ地域でのような事は何もない。陽のあるうちは、生
き物はどこにも見えない。夜もほとんど何も見えないのさ。わが方
の部隊の位置についての情報をヒズボラに通報する人たちがいるよ
うで、相手は迫撃砲で撃って来る。砲弾はすぐ近くに落下して、お
びえてしまう」と話した。

 兵士Aはまた、「兵士の多くは銃身を短くしたM16ライフルや
通信機器ばかりか、止血帯も持っていない」とこぼした。

 イスラエルはレバノンでの主攻勢作戦のために、予備役兵数千人
をすでに召集した。

 「ハナン」という名の予備役兵は、レバノンから戻った兵隊は
これから前線に向かう兵隊に武器を渡していると語った。

 「ギリ」という予備役兵は、ほとんどの装備が備蓄庫から消えて
いるとして、次のように語った。「6年間も訓練を受けて来たゲリ
ラ戦士と戦わされることになっている。そして、我が方は武器だけ
が相手より有利なのだ。予備役で軍務に就いたきたこれまでの年月
、われわれは最良の装備を持っていたが、今や、そうした装備が姿
を消してしまったという現実に出会っている」。

 「私のヘルメットは1981年製だよ。私より3つも年上さ」と
、22歳の兵士「ガル」が言った。

 整備・保全担当の将校、エリ・アルトマンは、新しい装備は常備
軍の方に回されているとして、「備蓄庫にある装備は使えると思っ
ていたのだ」と認めた。

 ハーレツ紙は、予備役兵士が臨戦レベルに達していないことはこ
こ数年、予備役部隊が予算削減されていたことの直接の結果だとし
ている。

 予備役司令官を務めていたアリエル・ハイマン准将は「(予算削
減に対応する)最も簡単なやり方は訓練時間を減らすことだ」と述
べ、「はっきりしているのは、予備役部隊が十分に訓練されていな
かったことだ。訓練の不足がどれほど重大なことかは、戦闘になっ
て初めてわかる」と付け加えた。

 しかし、予備役大隊の副司令官を務めるジブ・ローゼルマン少将
は、1982年から2000年までのレバノン占領時を含め、予備
役将兵の戦闘経験がこれまでより劣った装備を補ってくれるとして
、「現役の兵士の方が強いことに疑いないが、われわれは古参の牡
牛みたいなものだ。動きは鈍いが、着実で危険を冒したりしない」
と語った。(翻訳・ベリタ通信=日比野 孟)
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ヒラリー・クリントン米上院議員、一転してラムズフェルド国防長
官に辞任要求
【ライブドア・ニュース 08月04日】− AP通信によると、2008年の
有力な大統領候補と見られている米民主党のヒラリー・クリントン
上院議員は3日、AP通信とのインタビューの中で、イラク政策の失政
を理由に、ラムズフェルド国防長官に辞任を求めた。同議員は「な
ぜ、(ブッシュ大統領は)手遅れにならないうちに状況を好転させ
る手を打たないのか。大統領はラムズフェルド長官の辞任という選
択肢を受け入れるべきだ」とし、さらに「すでに長官は議会からも
国民からも信頼を失っている。長官が退いて、国内外に新たな戦略
を打ち出すことができる後任を選ぶ時期に来ている」と厳しく批判
した。

  同議員はこれまで、2002年の開戦決議や今年のイラク米軍撤退
期限を設定する法案に反対するなどブッシュ政権のイラク政策を支
持する姿勢を示してきたことで、党内から非難を受けていた。
  このインタビューの数時間前には、ヒラリー議員は上院軍事委
員会の公聴会に出席し、ブッシュ政権のイラク政策を「失策」と断
じ、ラムズフェルド長官に対し、「あなたの主導のもと、誤った判
断で我が国は被害を被った。現地では、強い抵抗や宗派・民族間対
立が起きている」と痛烈に批判したが、これに対し、同長官は、批
判は誤りだとして失政を否定した。また、国防総省の報道官は、同
議員の批判について、「我々は政治についての話はしない」と述べ
るにとどめた。【了】

ライブドア・ニュース 中西庸記者


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