2420.軍と理念に見る米国の限界



イスラエルとレバノンの国連派遣軍の構成はいかに? Fより

米軍の地上兵力の規模は、50万人で13万人をイラクに駐在させ
ているために、交代要員を考えると3倍の規模の人数が必要になり
、40万人がイラクに必要になる。アフガンに2万人程度いるため
に、米軍地上兵力は今のイラク、アフガン戦争で出払っている。
そして、今、NATO軍として英国とドイツの軍隊がアフガンに派
遣されている。

イスラエル軍とヒズボラを引き離すための地上兵力は、NATO軍
で行うと言っているし、この地上兵力でヒズボラの武装解除も実施
すると、米ライスは宣言している。しかし、これに参加できる兵力
が米国にはない。

米国はこのイスラエルとヒズボラの緩衝地域に派遣する軍をフラン
スとトルコ軍で構成したいと見える。オルメルト首相はドイツ軍を
中心に構成して欲しいと言うが、ドイツはアフガンに派遣している
し、第2次大戦でのナチの行為から嫌がっている。本音はアフガン
だけにしたいのでしょうね。

そして、フランスは米国の思惑とは違い、ヒズボラの武装解除はで
きないと見ている。レバノン軍や警察が武装解除に協力しないと、
ヒズボラの武装解除はできない。しかし、今回のイスラエルの攻撃
でヒズボラの存在感がレバノンで増している。フランスはレバノン
軍も警察も協力しないと見ている。

このため、国連の停戦協議でもフランスの本音は軍の派遣をしたく
ないのが見え見えで、そこを米国に見透かされているが米国も軍の
派遣できないために、フランスの条件を飲んでいる。
要するに米軍と言う軍事力の限界に達していることが分かる。

米国は南米の離反に打つ手が無い。1970年に民主的な選挙で左
派政権が誕生した時は、軍部のクーデターで政権を奪取した。今回
の民主選挙では、軍事独裁政権が米国の指示で実施した新自由主義
で失業者が国民の60%までになり、国の経済が急激に悪くなると
いう原因から経済政策で選ばれている。このため、米国の指示を誰
も聞かない。

ブラジルのルラ政権は、サトウキビからエタノールを生成して、石
油に代わる低価格のエネルギーとして、世界に売り出そうとしてい
る。その事業を国家が予算と受けて行い、失業者を吸収している。

日本の戦後の急速な経済発展にも、投資する企業や商品を選定して
国家が優先的に外貨を振り向ける、いわゆる傾斜生産で、戦後の復
興を成し遂げている。発展途上国では新自由経済は、先進国企業に
多くの国内企業が競争に負けて、失業者を生み、貧困になる。ロシ
アの混乱も同様であったが、石油と天然ガスの資源を国有化して立
ち直っている。

一方、日本や英国などの先進諸国では新自由経済は、有効であるた
めに、経済が活性化されているのでいいが、今、米国は発展途上国
にも新自由主義を押し付けようとしている。これには抵抗する諸国
が出てくる。

日本は、日本企業の現地生産という手法で徐々に相手国の市場に入
るのであるが、新自由主義で、関税を0%にされると、少ない台数
しか生産しない工場のコストが、輸入車に負けるために工場を撤退
させている。このように米国の民主化+自由経済の組み合わせでの
世界への覇権構造が限界に来ている。

要するに米国の理念の限界に達していることが分かる。

2つの限界で、米国の覇権が弱まっている。その覇権が弱まったこ
とでドルと自国通貨のリンクを止める国が出てくると、ドルの基軸
通貨が揺らぐことになる。米国の経常収支は、この20年いつも赤
字であるので、ドルの暴落を心配する必要が出てくることになる。


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