2412.イスラエル敗北へ



イスラエルの負け確定。レバノンへの地上侵攻を停止。
                       Fより

イスラエルは地上攻撃を縮小しているようである。ビントジュベイ
ルの戦闘模様があまり伝わってこない。勝利した情報はイスラエル
軍は報道機関に即座に伝えるはずであるが、苦戦している様子は報
道管制を引いているために報道されない。まだ、26人のゲリラを
殺したことと、武器を押収したという程度である。

その代わり、あれほど、停戦をしないと言っていた米英は早期に停
戦して国連部隊のレバノン南部への早期派遣などを盛り込んだ決議
を安保理で採択すると言う。29日にイスラエルへ再度ライスを派
遣するようだ。これはイスラエルが当初の目的を達していない、イ
スラエルの負けの状況証拠になっている。

それと非公式な停戦条件の話し合いが始まっている。ドイツと国際
赤十字を通じ初めて間接交渉したと報じた。ヒズボラの当初の条件
がベースになっている。

そして、ヒズボラは新ミサイルを発射した。このミサイルは50キ
ロ以上の射程距離があるために、テルアビブを狙える。それと、イ
スラエルの核施設をターゲットにできる。もし、このイスラエルの
核施設に命中すると、イスラエルは四国ほどの小さな国ですから、
全土が放射能汚染されて、全国民が重い放射能障害になる。

しかし、このミサイルを防止するはずのアローはどうしたのでしょ
うね。MDには限界があることをイスラエルは示しているように感
じる。数分で飛来するミサイルにはMDは有効ではないことを。

韓国がミサイル防衛に積極的ではないのは、イスラエルの現実を見
ると肯ける面がある。

もう1つ、不思議なことがある。ヒズボラが対空ミサイルを撃って
いない。もし、あれば、ヘリコプターの運用ができないのに、イス
ラエルはヘリでの攻撃をしている。このヘリ攻撃ができるのは、対
空ミサイルがヒズボラにないことを示している。

どうも、ナスララ師がシリアのダマスカスに行ったのは、この対空
ミサイルの供与を交渉しに行ったような気がする。もし、対空ミサ
イルがあれば、イスラエル空軍の被害はもっと増えることになる。

地上の攻撃もない。対空ミサイルで空軍力も制限されると、恐ろし
いのは、イスラエルは新ミサイルでの核施設攻撃を心配しないとい
けないことになる。しかし、そうすると、パレスチナやレバノンま
で影響が及び、自分たちにも被害を蒙ることになるので、どうでる
かでしょうね??

確定したのはイスラエルの負けで、米国は2つの問題を中東で抱え
たことになる。1つがイラクで、もう1つがイスラエルである。
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ヒズボラが新型ロケット発射、イスラエルに着弾 CNN
2006年07月29日01時46分
 米CNNテレビは28日、イスラム教シーア派武装組織ヒズボラ
が新型ロケット弾「ハイバル1」5発を発射したと報じた。ロケッ
ト弾はイスラエル北部のアフラ付近に着弾したが、人的被害はない
という。(時事)
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イスラエルとヒズボラが戦闘停止条件で間接交渉・アラブ紙
(nikkei)
 【カイロ=森安健】ロンドン発行のアラビア語紙アルハヤートは
28日、イスラエルとレバノンの民兵組織ヒズボラが、ドイツと国際
赤十字を通じ初めて間接交渉したと報じた。戦闘を停止する条件を
提示し合うもので、人質交換に関する考え方を明らかにした。

 アルハヤートによると双方は26日、ドイツと赤十字を仲立ちとし
て接触し自らの立場を伝え合った。ヒズボラが拉致した2人のイスラ
エル兵と、イスラエルが拘束するレバノン人服役囚の交換について
は合意に至っていない。ヒズボラは2人のイスラエル兵の安否につい
ては一切明らかにしなかった。 (21:00) 
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レバノンへ国際部隊派遣を・米英首脳会談、安保理採択で合意

 【ワシントン28日共同】ブッシュ米大統領とブレア英首相は28日
、ホワイトハウスで会談し、イスラエル軍とイスラム教シーア派民
兵組織ヒズボラの戦闘を停止させるため、国連憲章7章に基づく国際
部隊のレバノン南部への早期派遣などを盛り込んだ決議採択を国連
安全保障理事会に求めることで合意した。 

 大統領はまた、ライス国務長官を29日に中東に再び派遣すること
を明らかにした。 

 会談後に共同記者会見したブッシュ大統領は、来週中の安保理協
議を求めた上で「永続的な和平構築と、自由で民主的なレバノン政
府による全領土での統治権限の回復」が「われわれの目標」と強調
。ヒズボラの弱体化に照準を定めて、国際社会の支持を求める姿勢
を鮮明にした。 

 大統領は、ヒズボラの武装解除などを求めた2004年9月の安保理決
議1559などに基づき、国際部隊の派遣を求める考えを示し、ブレア
首相も同調した。 (07:29) 
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2006-07-28〔いんさいど世界〕
ロバート・フィスク記者の見た、ビント・ジバイル村の煙
http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2006/07/post_d9ea.html

 中東問題の権威ともいうべき、英国人ジャーナリスト、ロバート
・フィスク氏が、ベイルートの活動拠点から、イスラエル軍のレバ
ノン侵攻を連日、報じている。
 フィスク記者の記事が現れるのは、氏がその中東特派員をつとめ
る、英国の高級紙、「インディペント」の紙上。
 電子版でも読めるので、毎日、チェックしているが、氏の記事は
ほとんどすべて「有料」なので、1本につき、200円ほど払わな
ければならない。それでも、定評あるフィスク記者のレポートを、
日本にいながらネットと通じて読めるわけだけだから、安いものだ。

 7月27日付けのフィスク記者のレポートは、レバノン南部の前
線近く、キラヤ発のものだった。
 キラヤ村の丘の上からフィスク氏は、精鋭イスラエル軍地上部隊
がヒズボラの待ち伏せ攻撃にあって壊滅状態に陥ったビント・ジバ
イルを眺める。
 茶色の煙と黒い煙。
 「13人ものイスラエル兵が死んだ」――フィスク記者が伝える
戦死者数は、イスラエルの発表(9人)より、4人多い。

 目を左に転じると、そこはキハイムの町。25日、国連監視団の
監視哨がイスラエル軍のミサイル攻撃を受け、4人が死んだ場所だ
。ミサイルは「アメリカ製」、イスラエル軍のヘリも「アメリカ製」。

 ビント・ジバイルの戦闘について、フィスク記者はこう書いてい
る。

 イスラエル軍の部隊が、人気のない市場に侵入したときのことだ
った。3方向からヒズボラの待ち伏せ攻撃を浴びた。包囲された兵
士たちは、絶望的な思いのなか、救援を求めた。が、助けに来るは
ずのメルカヴァ戦車や装甲車両もまた攻撃に遭い、炎上した……

 手ひどい痛手(人的損害)だが、驚くにはあたらない。
 イスラエル占領下のレバノン南部では、1983年に、「たった
ひとりの自爆テロリストが50人を超すイスラエル兵の命を奪った
ことがあった」のだから。

 フィスク記者によれば、ヒズボラは、イスラエルのレバノン撤退
後、「何年にもわたって、この新しい戦争を待ち続け、訓練し続け
、夢見続けて来た」。
 だから「彼らは、18年ものゲリラ闘争の末、イスラエルから勝
ち取り解放した土地をやすやすと手渡したりしない」と。

 フィスク記者はキラヤ村で取材中、人影のない道路ので、ひとり
の男とあった。山羊の群れを追う男だった。
 話しかけてわかった。耳の聴こえない男だった。
 爆弾の炸裂音も聞こえない、耳の不自由な男。

 フィスク記者はその彼と、米国のライス国務長官を重ね合わせて
、アメリカの姿勢を辛らつに皮肉る。
 
 アメリカもまたヒズボラを侮ってはいけないのだ。
 1983年、ベイルート空港で241人もの米海兵隊員を死に追
い込んだのは、ヒズボラに近いグループではなかったか?

 キラヤ村の丘の上でビント・ジバイルから立ち上がる煙を見なが
ら、フィスク記者の胸に、こんな疑問がわき上がったという。

 「イスラエルがレバノンで、戦争に負けている。そう言えるので
はなかろうか、そう考えてもいいのではないか?」と。

 イスラエルはビント・ジバイルの敗退を受け、地上侵攻は中止し
、こんごは空爆でヒズボラを攻撃する作戦に切り替えるという。
 爆弾の雨を降らせて、ヒズボラの息の根をとめようという狙いだ。

 イラク駐留米軍がそうしているように、レバノン南部の空を制圧
し、制空権下、武装テロリストをたたくだけたたく作戦である。
 
 それは、すぐには負けはしないが、勝たない・勝てない作戦では
ある。勝てないまま負けてしまう作戦である。

 そのイスラエルにとっての敗戦を予告したもの、それがフィスク
記者の見た、ビント・ジバイルの煙だ。


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