2409.電源開発促進税と自然エネルギーへの活用



電源開発促進税と自然エネルギーへの活用
                 平成18年(2006)7月22日(土)
               「地球に謙虚に」運動代表 仲津 英治
暑中お見舞い申し上げます。
 西日本では雨空が5日間も続いています。台湾は猛暑でしょうね。

 私は、かねてから国税の一つ電源開発促進税とその税収の使い方に疑問
を持っています。

 1.電源開発促進税とは
日本の税金は、電源開発促進税法(昭和49(94)年6月制定)に基づいて、
発電施設の設置促進、運転の円滑化、利用促進、安全確保、電気の供給
の円滑化などを目的に、一般電気事業者の販売電気に課せられています。
実質、企業、消費者など電気利用者が本税を負担しています。
本税は目的税の一つであり、当時のオイルショックによりエネルギー危
機を体験した日本が石油に代わる代替エネルギーを模索し、主に原子力
発電所などの設置を促進するためのものでした。

税率は、環境税の走りとも言える、平成15年(2003)石油石炭税法の施行
と引き換えに段階的に、1kwh当り44.5銭から42.5銭と引き下げられ、現
在は1kwh当り40銭です。平成19年(2007) 4月 1日から1kwh時につき37.5
銭に下げられる予定です。資源エネルギー庁によると一家4人の標準家庭
では年間1,500円程度になります。

 電源開発促進税による税収は安定しており、年間3,500-3,600億円にも上
ります。

2.電源開発促進税の使途と剰余金という課題
電源開発促進税の使途は、電源三法と総称される、(1)電源開発促進税法
(2)電源開発促進対策特別会計法(3)発電用施設周辺地域整備法の3本の法
律により、特別会計により使途が定められています。

電源開発促進対策特別会計は、電源立地勘定と電源利用勘定に分かれて
います。主に原子力発電=原発の建設促進に使われる、原発立地地域に
関係が深いのは電源立地勘定(歳入の190/400を充当)です。ここから支出
される電源立地促進対策交付金が三法交付金の中核であり、公共用施設
整備事業など道路や公共施設整備に充てられ、さらに地域活性化事業な
ど相当広範囲な使途に使えるようになりました(平成15年(2003)10月法
改正より)。

一方で、原子力発電所の新規建設が見送られていることもあって、毎年
500-600億円近い剰余金が発生しています。平成14年度までは、毎年1,000
億円弱の剰余金を出していました。

もう一つの電源利用勘定(歳入の210/400を充当)は、新エネルギー開発・
導入などに使われますが、電源多様化対策として高速増殖炉の開発といっ
た原子力の研究開発(特殊法人の核燃料サイクル開発機構など対象)などに
981億円(平成15年度)が支出され、原子力開発にもウエイトが掛けられ
ています。また不用額と繰越額の合計が800億円(平成14年度)を超えて
いたこともあり、平成15年度、16年度には減少しても600億円に上ってい
ます。予算規模に対する支出額の割合は平成15年度、16年度とも7割程度
です。電源開発促進対策特別会計の余剰金問題は、会計検査院からも鋭く
指摘されてきました(平成16年度決算検査報告)。

私は、問題の本質として本来向けられるべき、自然エネルギーなど新エネ
ルギー開発、導入にあまり向けられていない点にあると思います。
平成17年(2005)度の電源開発促進対策特別会計の予算を見ますと、太陽光、
風力、小水力、地熱、バイオエネルギーなど自然エネルギー開発、導入を
支援する独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)には、
283億円しか支出されていません。しかも平成16年度(2004)の368億円から
85億円もの減額です。

また、平成18年度(2006)予算では、電源開発促進対策特別会計から一般会
計に595億円組み入れられました。塩川元財務大臣が平成15年(2003)2
月、「母屋(一般会計)では、おかゆで節約しているのに、離れ座敷(特
別会計)では子供がすき焼きを食べている」と比喩し、見直しが始まった
結果です。しかし今の対処方は暫定的なもので、抜本的改革はこれからです。
平成18年度の(2006)の電源開発促進対策特別会計は3,540億円の歳入想定の
下、電源立地勘定に1.681億円、電源利用勘定に1,859億円の歳出の予算が
組まれています。また多額の予算執行ができないことになるのでしょう。

3.太陽光発電装置の一般家庭設置への支援制度の廃止
私は、自宅の屋根の上に太陽光発電装置を設置し(平成9年(1997)、毎年
3,600KWH程度の電気を得て、自宅で使うか関西電力に売電しています。
設置当時3.4kwの太陽光発電装置の設置費用は310万円強で、国の補助金は
3分の1でした。前年まで2分の1の補助だったのですが、それでも自己負担
金の軽減につながり、高いハードルを越える決心をするのは良い制度でし
た。

ところが、現在国の太陽光発電設置支援を行う新エネルギー財団(NEF)住
宅用太陽光発電導入促進事業は、平成17年(2005)年度で終了してしまいま
した。最後は僅か出力1kwあたり2万円の補助金でした。今、3kwの太
陽光発電装置は約180―200万円します。これを全額個人支出することは、
私が平成9年(1997)頃、個人負担した金額と大差ない出費です。価格が
安くなった分、補助金がゼロにしたという計算になります。これでは、太
陽光発電の導入には大きなブレーキが掛かることでしょう。太陽光発電は、
自然エネルギーの中でも一番保守の手間が掛からず、かつピークになる昼
間の電力需要を賄える発電システムです。かつて里山からエネルギーを得
ていたように、エネルギーは身近に入手することが、省エネ・省資源の観
点からも大切なことです。

国の制度以外に各地方公共団体による助成制度(補助金、低利融資、利子
補填など)も拡充して来ました。また環境省が、大掛かりな「ソーラー大
作戦」を新たに開始するそうですが(来年度)、集団的に導入する個人宅
も対象とする予定です。恐らく大規模開発住宅団地が対象になりえましょ
うが、既存の個々の民家にはどう対応するのでしょう。

平成17年(2005)度前後まで、日本は世界1の太陽光発電設置国家でした。し
かし今や環境先進国ドイツに抜かれたようですね。太陽光発電装置など自
然エネルギーの促進、導入する補助金を廃止した国と、太陽光など自然か
ら得られる電気を市価より高く購入する制度を保証した国との差でしょう。

太陽光発電装置は、さらに性能向上、価格低下が望めそうです。となれば、
設置費用の一部負担のみならず、ドイツのように発電量の応じた買取制度
の導入すれば、さらに太陽光発電設備は促進されるでしょう。財源は、電
源開発促進税ないしその発展税制で賄えるはずです。

4.国による自然エネルギー促進制度の継続、発展を期待
電源開発促進税によって支えられる電源開発促進対策特別会計は、平成20年
度(2008)に一般会計に統合される方向にあるようです。一方で炭素税によう
環境負荷の多い化石燃料への課税制度(環境税)も論議されています。

大いに結構なことと思いますが、エネルギーという、国の、市民の、企業な
ど我々に絶対欠かせない根幹の資源を安定かつ安全に入手する手段として、
身近な住宅の屋根を活用する太陽光発電などへの補助制度はぜひ、維持拡充
してもらいたいと思います。

また、RPS法「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」
という電力会社に対して一定の割合で風力や太陽光などの新エネルギーの導入
を義務付けた法律がありますが、電源開発促進対策特別会計を生かして、さら
にドイツのように固定価格買取制度に切り替える案も考えられます。自国の領
土で得られるエネルギー資源に重点を置く特別会計なら私は賛成します。エネ
ルギーの自立確保は、国家の安全保障政策の原点だと思うからです。
                             以上
仲津英治
「地球に謙虚に」運動代表
==============================
まだ冨田メモの真贋、内容の吟味も検証されていないのに、日経の記事のみを根
拠に、あれこれ議論を進めるのは軽率でしょう。

万が一メモが本物で陛下のお言葉を正確に記していたとしても、だから靖国参拝
をやめろというのはおかしい。天皇陛下に言われて参拝するとかやめるとかいう
性質のものではありません。霊を祭るのは日本の伝統です。国のために命を捧げ
た英霊に参拝するのに誰に遠慮することがありましょう。国際戦略コラムには失
望しました。

Teruko
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(Fのコメント)
日経、朝日新聞だけではなく、産経まで追従している。靖国神社参
拝を止めろとは言っていない。国際的な連携など、日本の国益を考
えて、A級戦犯の分祀を進めて、天皇陛下も参拝できるようにする
べきではないかと提言している。

このままであると、天皇陛下の参拝もないことになり、日本国民の
希望とは違う結果になっていると思うが。

しかし、東京裁判は不当であることは、このコラム記事の最初の方
を見ていただけばわかるように、主張している。そして、東京裁判
を否定すると、日本は米国から第2の独立をすることが必要になる。

東京裁判史観を粉砕することは、日本が普通の国になることで、専
守防衛などということは許されないことになるし、国際政治にも関
与することも必要になる。それができた時に主張するべきでしょう
ね。

コラム目次に戻る
トップページに戻る