2405.インドの動向



インドがロシア、中国の上海協力機構に参加して、かつ米国とも協
力関係を構築している。その検討。   Fより

インドは非同盟諸国のトップとして、発展途上国を代表して、かつ
ソ連にも米国にも属さない位置に冷戦期はいたが、冷戦終了ととも
にロシアに近寄り、最新鋭Suー30の戦闘機やミサイルを輸入し
ている。

これはソ連追放のためのアフガニスタンゲリラ支援の後方基地とし
て米国がパキスタンに財政支援や武器などを提供したため、敵の敵
は味方ということでロシア寄りにインドはシフトしていた。

この関連で、宿敵の中国と友好国のロシアが主催する上海協力機構
にもオブザーバー参加した。そして、中国とも友好関係を構築する
ことを両国は合意している。中ロ印の同盟が結成されたと報道され
た。

しかし、近年米国からソフト開発やバックオフィス機能(会計、サ
ービス)などのビジネスがインド企業に発注されて、インドのGDP
を拡大させている。インドも経済的な面から米国との友好関係を構
築する必要があった。

インドは1974年、1998年に核実験を行い、そしてパキスタ
ンは1998年に核実験を行って、両国ともに核保有国になり、カ
シミール紛争があっても戦争ができない事態になって、シン首相は
パキスタンとの関係改善を図り、米国が両方に軍事援助できる状態
になっている。その上で米国からインドへのF−15の輸出もOK
になり、インドは軍事装備面にも米国とロシアの両方から武器を調
達できることになっている。

米国議会にはイスラエルについで、インドのロビー活動が盛んであ
り、ブッシュ政権にも影響を与えている。

それが本年3月の米印原子力協定の合意で世界を驚かせた。
「1.インドが保有する22基の原子炉の内、14基を国際査察の対象と
し、軍事用、高速増殖炉、処理・濃縮施設は対象外とする、2.将来
の核開発の軍民区分は、インドが決定し、査察については国際原子
力機関(IAEA)と協議する、3.米国は民生用の原子力技術を供与す
る」というものである。米国の大幅譲歩とも言えるし「ダブルスタ
ンダード」ともいえる矛盾が内在している。

 つまり、この協定によって米国はインドの核保有を実質的に容認
し、核不拡散条約(NPT)に非加盟のインドに対して原子力技術を供
与する政策を明らかにしたことになり、「インドを特別扱いする米
国」という姿が浮き彫りになった。

ブッシュ演説でもインドは民主主義の国で米国と価値観を共有して
いると絶賛している。米国はインド洋での活動はディエゴガルシア
海軍基地しかないためにあまり強くない。地域覇権の軍事力で言え
ば、今後、インド海軍が力を着けてくることは間違いない。

このため、インドを米国の同盟国にしたいという意図がハッキリし
ている。インドは英語が公用語であり、意思疎通としても米国とし
ては、インドを味方につけたいのでしょうね。

しかし、インドは非同盟というポジションを取ってきた関係から
米国と同盟するとは思えない。特に現在の米国は戦争を世界にばら
撒いているために、論理性を重要視するインドは非米的な考えがあ
り、そう簡単に同盟関係を結ばない。ロシアとも米国ともに付き合
うという関係であり続けると思う。

そして、東京裁判に「日本無罪」の判決書を書き、公正な国際法理
を貫いたパル判事の存在などで日本はインドに近親感を持っている
。そして、日本のシーライン防衛からすると、インド洋での脅威に
インド海軍の力を借りることは必然的である。この意味でもインド
との友好関係を深めないといけないが、日本が米国にべったりであ
ると、インドは嫌うことになる。

どうする日本!!!

コラム目次に戻る
トップページに戻る