2404.レバノン情勢



イスラエルのビスボラ攻撃が急を告げている。この検討。Fより

イスラエル兵の拉致から始まったヒズボラ攻撃は、とうとうレベノ
ン国境線をイスラエルが大部隊で超える事態になっている。

ライス国務長官も中東で各方面と交渉するとしているが、当面はイ
スラエル軍がヒズボラを痛めつけることを期待しているようだ。
ヒズボラ退治に米国はバンガーバスター(地下基地を攻撃できる爆
弾)を提供するという。ヒズボラをテロ集団と米国は認定している。

アラブ連盟の緊急外相会合が15日、カイロで開かれたが、サウジ
アラビアなどのスンニ諸国はイスラム教シーア派武装組織ヒズボラ
を非難し、拉致したイスラエル兵2人の即時釈放を求めた。このよ
うにイスラエルだけの責任ではないとしている。しかし、スンニ派
諸国でも民衆はヒズボラを支持するデモを行っている。

このように今回のイスラエルのレベノン攻撃はイラン、シリアなど
は猛烈に反発しているが、スンニ派諸国サウジアラビア、アラブ首
長国連邦などは、ヒズボラを非難している。しかし、ロシアや中国
はイラン寄りであり、ここでもシーア派諸国+中ロ対スンニ派諸国
+欧米、イスラエルという図式ができている。

ライスは、イスラエルでオルメルト首相と、パレスチナ自治区でア
ッバス自治政府議長とそれぞれ会談し、過激派ハマス+ヒズボラへ
の非難をした後、ローマで国際会議を開き、その会議にはイスラエ
ル、アッバス議長、レバノンのほかにイタリア、英国、フランス、
ロシア、エジプトなどの各国外相のほか、欧州連合(EU)や国連
も参加する。

ここで、国連とロシアをヒズボラの武装解除、ハマスの指導者のシ
リアからの追放に同意させるように感じる。この紛争にビスボラが
関与してきたことで、パレスチナ和平が壊れたような形になり、ア
ッバス議長もヒズボラに対して怒っている。

それが国際世論になる。ヒズボラの武装解除に対して、イランは反
発するが、この反発が国連安保理でのイラン核問題制裁決議に悪影
響を及ぼすことになる。ロシアは中国と共にイラン擁護していたが
悪役にはなりたくなくて、決議自体には賛成するが、7章の文言で
抵抗している。

そして、ローマでの国際会議にイラン、シリアは呼ばれていない。
このため、イランはイスラム諸国会議を同時期に開催して、欧米へ
の対抗を宣言する可能性もある。イスラム社会の反米の旗手は今ま
ではイラクであったが、イランがとって変わった。

次の焦点は、シリアがどう出てくるかとヒズボラがどこまで抵抗で
きるかでしょうね。もし、シリア軍が参戦すると中東第5次戦争に
なり、1973年の4次戦争以来の大規模戦争になる。しかし、パ
レスチナ自治政府はイスラエル側にいるので、国際世論はイスラエ
ルに有利になっている。恐らく、シリアは参戦しない。

もう1つがヒズボラの抵抗であるが、シリアやイランから提供され
たロシア製の近代ミサイル兵器を持っているために、どこまで抵抗
できるか、もし抵抗が激しく、イスラエル軍を立ち往生させられた
ら、形勢は逆転することになる。もう1つがイラクに展開している
イスラム教ゲリラをレバノンのヒズボラ地域に振り向けるかでしょ
うね。イスラエル軍がこのゲリラをも退治してくれたら、米国とし
ては、願ったり適ったりの状態になる。イラクをも視野に入れて、
事態を見ることが必要ですね。

さあ、どうなりますか???
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イスラエル軍、レバノン南部の村に侵攻し制圧(ASAHI)
2006年07月23日01時27分
 レバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラの壊滅を目指し
、レバノン全土への攻撃を続けるイスラエル軍は22日、レバノン
南部のイスラエルとの境界に近い村に数百人規模の地上部隊を侵攻
させ、制圧した。00年5月のイスラエル軍のレバノン南部からの
撤退以来、レバノンの再占領は初めて。レバノン南部にイスラエル
が実効支配する「緩衝地帯」をつくってヒズボラのロケット弾発射
を阻止するのが目的とみられ今後、大規模な侵攻につながる可能性
もある。

 AP通信などによると、イスラエル軍の戦車部隊などが国境から
約2キロ北にあるマルンアラス村に侵攻、制圧した。その後も戦車
やブルドーザー、装甲車が国境のフェンスをなぎ倒して制圧拠点に
向かった。同軍は同村について、イスラエル北部各地に撃ち込まれ
たヒズボラのロケット弾の発射拠点の一つとみている。これに先立
ち、イスラエル軍はレバノン南部でビラをまき、住民に国境から北
に約20キロのリタニ川以北まで退避するよう警告。多くの住民が
北方へ逃げた。さらに同軍は新たな空爆をするとして、レバノン南
部の約10の村の住民に対し、22日午後6時(日本時間23日午
前0時)までに退避するよう求めた。 

 イスラエル軍報道官は「今のところは限定的な作戦だ。現段階で
は大規模部隊の投入は考えていない」とロイター通信に話した。た
だ、「国境地帯での作戦を拡大する可能性もある」とも語り、軍事
作戦拡大につながる可能性を示唆した。 

 イスラエルは国境地帯に数千人規模の地上部隊を集結させている
ほか、新たに予備役3000人の招集を開始した。 

 アナン国連事務総長は「緩衝地帯」設置の動きに「もし、イスラ
エルがかつて安全保障地帯と呼んだものを設置しようとしているの
なら、それは、他の人たちにとっては占領であり、抵抗を強めるこ
とになる」と米CNNに話し、懸念を示した。 

 ロイター通信によると、12日に始まったヒズボラとイスラエル
軍の交戦で、レバノン側の死者は計345人。大半はヒズボラと無
関係の市民とみられる。国内避難民は約50万人に達している。イ
スラエル側の死者数は市民15人、兵士19人の計34人となって
いる。 

 一方、AP通信によると、イスラエル軍は22日までに、ベイル
ートの南のサイダ港周辺の海上封鎖を解き、避難民向けの物資を運
ぶための「人道回廊」を確保。食料や医薬品など計36トンがギリ
シャの船で到着した。 
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ヒズボラ攻撃、国民の95%が支持=イスラエル世論調査 
(AFP=時事)
【エルサレム21日】イスラエル紙マーリブが21日掲載した世論
調査結果によると、イスラエル兵を拉致したレバノンのイスラム教
シーア派武装組織ヒズボラに対する軍の攻撃について、95%が「
正当化され、正しい」と回答。「間違いだ」との回答はわずか4%
にとどまった。

 また、ヒズボラとの戦闘を継続し、ヒズボラを国境地帯から駆逐
した後にイスラエル兵解放への交渉を始めるべきだとする意見も90%
に上った。直ちに戦闘を停止し、交渉を開始すべきだとの意見は8%
だった。
 このほか、オルメルト首相の仕事に満足しているとの回答は78
%に達し、イスラエル軍のレバノン侵攻以前だった2週間前の時点
の43%から急上昇した。調査は約800人を対象に実施した。
[2006年7月21日20時25分] 
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ライス長官、レバノン情勢受けローマで関係国会議開催

 【ワシントン=貞広貴志】ライス米国務長官は21日、国務省で
記者会見し、レバノン情勢の緊迫化を受けた中東・欧州訪問の予定
を発表した。23日にワシントンをたち、イスラエルでオルメルト
首相と、パレスチナ自治区でアッバス自治政府議長とそれぞれ会談
した後、ローマに渡り、中東や欧州、国連の代表を集めた関係国会
議を開く。

 イタリアからの報道によると、ローマでの会議は26日に開かれ
、ライス長官のほか、イタリア、英国、フランス、ロシア、エジプ
トなどの各国外相のほか、欧州連合(EU)や国連も参加する。

 ライス長官は会見で、レバノン政府や国連が求める即時停戦につ
いて、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの能力が温存さ
れれば、イスラエル攻撃を再開させるだけの「間違った約束」にな
ると拒否。「われわれはより効率的、大胆でなければならない」と
呼びかけた。
(読売新聞) - 7月22日11時57分更新
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サウジ外相、イスラエル兵の即時釈放を要求
(nikkei)
 【カイロ=森安健】サウジアラビアのサウド外相は18日、ジッダ
で記者会見しイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラに対し、同組織
が拉致したイスラエル兵2人の即時釈放を求めた。同外相は「戦争を
継続する正当性は全くない」と語り、ヒズボラの対応を厳しく批判
した。 (12:00) 
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イスラエルの対ヒズボラ戦争、ブッシュ米政権にとって“棚ぼた”

【ワシントン 20日 ロイター】 − イスラエルのイスラム教シ
ーア派武装組織ヒズボラ壊滅作戦は、ブッシュ政権にとって、“棚
からぼたもち”となっていると国際政治に詳しいアナリストは指摘
する。米国はこのイスラエルの行動が米国のテロに対する戦争を勢
いづける効果が期待できるだけではなく、ヒズボラの背後にいるイ
ランへの圧力を高めることできると期待しているからだ。

  「(ヒズボラとの)停戦を拒んでいるのは、イスラエルだけで
はない」と断言するのは、中東政策ワシントン研究所のデビッド・
モコフスキー主任研究員だ。

  米政府は、たびたび、イスラエルには「自衛する権利」がある
との立場を繰り返しており、同時に、イスラエルの行動が米国の代
理戦争であるという見方を否定してきている。ホワイトハウスのト
ニー・スノー報道官は19日、シリアとイランの支援を受けているヒ
ズボラに対するイランの攻撃について、「これがテロとの戦いに関
係しているという点で、我々は関心を持っている」とした上で、イ
スラエルのヒズボラへの攻撃は、ヒズボラを抑え込むべきだという
国際世論を形成する一方、イランの核開発の野望を抑え込む国連決
議の採択に向けて世界各国が前進すべきだというムードを作ったと
指摘する。

  しかし、こうした見方がある一方で、別の専門家は、イスラエ
ルとヒズボラとの間の流血がエスカレートして行けば、アラブ人の
怒りを煽り、アラブ圏での反米気運の高まりを招くことを危惧する
声がある。その一方で、他国の軍事力を利用することによって、米
国の影響力を拡大する好機と評価する向きもある。

  保守系コラムニストとして有名なチャールズ・クローサマー氏
は、「これはヒズボラ壊滅という、米国にとって、またとないチャ
ンスだ。誰でもそれが必要だとは思っているが、レバノン政府は頼
りにならず、欧州は介入したがらない。20年前の辛い経験(241人の
米国人の犠牲者を出した1983年のベイルート爆破事件)以来、米国
にもレバノン・アレルギーがある」と述べ、イスラエルによる軍事
行動を歓迎している。中には、保守系誌「ウイークリー・スタンダ
ード」のウィリアム・クリストル記者のように、「攻撃を受けてい
るのは、米国が主導的役割を担っている自由民主主義の文明だ。こ
れは我々の戦争だ」と言い切る強硬な論調もある。 

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