2403.ロシアの復権



ロシアの復権は、国内にある天然ガスと石油資源によっている。
資源、特に石油資源の争奪戦になっている。この検討。  Fより

中国やインドなどの石油消費量の伸びが著しい。このため、世界的
な石油供給不足が起きている。世界第1位の原油産出国はサウジア
ラビアであるが、第2位はロシアである。

ロシアの石油会社は国営企業であり、天然ガスはガスプロムであり
、石油がルークオイルとロスネフチの2社に集約されている。
米国資本が入っていたユコスを潰して、米国資本にロシアの石油資
源を開放しなかった。

このため、米国はロシアの政治体制を批判している。プーチンの強
権政治であり、民主主義とは違うというのである。これに対して、
プーチンは選挙で選ばれたので、民主主義であるという。これは、
米国資本の石油資源への参入ができないことで、米国は文句を言っ
ているように感じる。

チェイニーがリトアニア共和国の首都ビリニュスで、ロシアの民主
主義は明らかに後退しており大いに懸念される。と激しいロシア批
判の演説したのも、米国石油資本の意向が現れた証拠でしょうね。

米国とロシアは、欧州への天然ガス供給で対応している。ロシアは
現在、欧州の消費量の約25%をパイプラインで供給しているが、
ロシアの都合でバルブを閉めることができる。欧州はロシアにエネ
ルギーを頼ると、ロシアの支配が強まると懸念して、米英仏はカザ
フスタンやアゼルバイジャンの天然ガスをロシアを経由しないパイ
プラインで欧州に供給する方向である。

欧州の他国とは違い、原発反対運動よりエネルギー自立を掲げて、
フランスは原子力発電所を多数稼動させて、欧州周辺国に電力を供
給している。このため、ロシアからのガス供給はそれほど頼りにし
ていない。英国は北海油田があり石油供給国でもあるために、これ
もロシアのガスに依存していない。ロシアのガスに依存しているの
はドイツである。

東欧がロシアに反発して、パイプラインを途中で止める可能性があ
り、ドイツはロシアと共同で、バルト海を通る海底パイプラインを
敷設している。これができると、ドイツはロシアと安定的なエネル
ギー供給ができると見ている。ドイツとロシアは苦しい時に同盟を
結ぶ傾向にあるが、今回もそう見える。

今、一番石油消費が伸びている中国は、独自な取り組みをしている
。ベネズエラのチェベスに近寄ったり、アフリカ諸国に資源開発を
申し出たりをしているが、その一環として、中央アジア・カザフス
タンの天然ガスも狙っている。勿論、ロシアの天然ガスや石油の輸
入も平行して行うなど、貪欲にエネルギー確保に動いている。この
ため、ロシア、米国、中国がカザフスタンの石油・天然ガスを狙う
ことになるが、現時点、カザフスタンは親露政権であり、ロシアが
優位に立っている。

しかし、ロシアの人口は減少して、シベリアやカザフスタンへの労
働力を中国から供給してもらわざるを得ない事情があり、ロシアは
中国を市場と見ているとともに、警戒もしている。

中国という大消費国が立ち上がると、今まで消費国優位な価格が供
給国優位な資源価格になる。全体的に資源の値段が上がり、資源国
が豊かになる。その恩恵をもっとも受けるのはロシアでしょうね。
ロシアは軍事費も増やし、かつ武器輸出も増えている。ロシアの影
響力が大きくなっている。ロシアが復権し、米国と対抗する可能性
があり、ロシアを見ることが必要になっている。
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パイプライン:カスピ海ー欧州ルート決定 脱ロシア狙う

 【ウィーン会川晴之】カスピ海沿岸諸国からトルコ、東欧諸国を
経由してオーストリアを結ぶ天然ガスパイプラインの建設着工が
26日、事実上決まった。欧州諸国は、今年1月に価格交渉のもつ
れからロシア政府系天然ガス独占企業「ガスプロム」がウクライナ
経由の天然ガス供給を一時停止して以来、供給源の多角化を模索し
ていた。欧州連合(EU)も建設費用を支援する。天然ガス供給の
約3割をロシアに依存する現状の改善を目指すもので、08年に着
工、11年に完成を目指す。

 このパイプラインは、トルコからブルガリア、ルーマニア、ハン
ガリーを経由してオーストリアのウィーンに至る全長3300キロ
メートルのナブコ・パイプライン。

 総工費は58億ドル(約6700億円)。関係5カ国のエネルギ
ー相が26日、ウィーンで計画を支援する宣言に調印した。

 このパイプラインは当初、ロシアに次ぎ世界2位の天然ガス埋蔵
量を誇るイランを供給源とする予定だった。しかし核開発問題を抱
えるイランを供給源とすれば、核開発との取引材料となる可能性が
高いため、アゼルバイジャンやトルクメニスタンなど他のカスピ海
沿岸諸国からの調達を模索している。

 EUは今年1月のガス供給停止事件以来、エネルギー調達先の多
角化推進などエネルギー安全保障の構築を最重要課題に掲げた。3
月の首脳会議でエネルギー統一政策の採択を決めており、パイプラ
イン建設支援は、同政策適用の第1弾となる。

 ウィーンの調印式に参加したピエバルグス欧州委員(エネルギー
担当)は「ナブコ・パイプランはエネルギー安全保障構築に間違い
なく貢献する」と述べ、資金手当を含めた支援を明確に打ち出した。

 一方、ロシアは強く反対している。パイプラインが完成すれば、
東欧、南欧での独占供給態勢が崩れるためだ。すでにガスプロムは
、黒海の海底を経由してトルコに天然ガスを供給中のブルーストリ
ーム・パイプラインを延伸させる案をハンガリーに打診するなど対
抗策を打ち出した。

毎日新聞 2006年6月28日 10時17分


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