2389.北朝鮮ミサイル発射とその後



北朝鮮が10発のミサイルを発射した。この分析。   Fより

北朝鮮のミサイル発射前、金正日総書記はロシアのウラジオストッ
クを短期に訪問していたが、その訪問時にミサイル実験を予告して
いたが、どうも極東ロシア軍には北朝鮮から発射日時の正確な事前
通知がなかったようである。このため、ミサイルの監視ができなか
った。

今回のミサイル着弾位置からすると、危険なのは韓国の定期航空便
とロシアのウラジオストック港へ入港する船で、この2ケ国が強烈
に抗議しなければならない。特に事前通知が無いことに抗議するべ
きである。しかし、実際は違う。そこで漠然とした事前通知が韓国
とロシアにあったはずと今も見ている。勿論、北朝鮮国内船舶には
日時を指定して立入り禁止水域を通知していた。

韓国の対応は、日米から見ると非常に温和であり、南北首脳会談も
開催するという。ミサイル発射後の対応も緩慢であり、韓国国内で
も批判が高まっているが、事前通知があれば問題点としてはあまり
ないと親北派の盧武鉉政権は見ているようである。

しかし、この2ケ国とは違い、中国には事前通知はなかったようで
ある。米国との交渉で北朝鮮にミサイル発射を抑制させていたため
に事前通知ができなかったのでしょうが、中国も米国の味方と北朝
鮮の金正日は見ているようである。

このため、北朝鮮の金正日は、中国の圧力を緩和するために事前に
訪ロして、ロシアの了解を得たのでしょうね。ロシアと中国を天秤
に掛けている。しかし、中国は影響力を残すために国連安保理での
北朝鮮制裁決議には反対するが、北朝鮮への経済制裁を強めている。
ロシアはそもそも、経済援助を北朝鮮にしていない。

そして、このミサイル発射日時は米国独立記念日の昼であり、かつ
ウラジオストク港には、アメリカの太平洋艦隊の旗艦ブルーリッジ
が、親善訪問のために寄港し、停泊中だった。短距離ミサイルは米
国の安全には脅威が無いが、ブルーリッジに向けられたようですし
、テボドン2号はハワイに向けて発射されたということで、米国の
世論は沸騰している。

このため、日米が作成した北朝鮮制裁決議案は国連安保理で審議さ
れるが、議長声明という拘束力が無い形になることが、中国の拒否
権発動で決定している。日米英仏などは、有志連合で制裁をする方
向になっている。この中に韓国が入るかどうかが、次の問題になる
と思う。

北朝鮮がミサイル発射をする理由は、1つには金融制裁で麻薬販売
や偽ドル製造などで得た資金を国内に還流させるための銀行口座を
封鎖されて、正常な商業取引ができなくなっていた。この損失額は
数十億円以上と見込まれている。この解決のために米国との2ケ国
会談を開催したいために、瀬戸際外交をせざるを得ない状況になっ
ていた。

しかし、ミサイル発射したために、中国・韓国からの経済支援が無
くなり、かつ日本の総連からの資金が来なくなると、金政権を維持
している軍にも食料や物資を供給できなくなる。どうも、今後、北
朝鮮の軍強硬派は日米に戦争を仕掛けてくるように思う。

国家総力戦を日米としていると金正日と軍部は国民に宣伝している
。国民も軍部も生活が苦しくなると、本当に戦争して、一矢を報い
たいと思うはず。もう北朝鮮に正常な感覚を期待するのは無理だ。
第2次大戦前夜の日本の決死な思いに似ている。

とすると、その準備をする必要が日本に生じる。中国を日本の味方
にする必要がある。それも早期にしないと、北朝鮮から日米に戦争
を仕掛けられても中国が北朝鮮に味方すると、本当の戦争になり、
第2次朝鮮戦争にもなりかねない。緊密な関係を日中で構築する必
要がある。

ミサイル防衛が間に合わない状況なので、ミサイルでの攻撃を想定
する必要がある。いいのは、まだ核を想定しなくてもいいことであ
る。サリンなどの有毒ガスを都市に打ち込まれることは想定する必
要がある。

日本も本当に市民個々が防衛を意識する市民防衛が必要になったよ
うですね。その対応方法も政府が国民に周知することが早期に必要
になっている。

なるべくなら、そのミサイル攻撃前に北朝鮮が崩壊することを願う
が!!!
==============================
対日強硬姿勢に移行か 政権交代期で見極めも

 【平壌7日共同】北朝鮮外務省の宋日昊日朝国交正常化交渉担当
大使が7日、平壌で行った記者会見は、北朝鮮がミサイル発射を機
に日本に対する強硬姿勢を前面に打ち出し、拉致問題などで譲歩を
引き出そうという戦術を選択したことをうかがわせる。
 日本の政局が9月の小泉純一郎首相退任を控えて流動化しつつあ
る中、次の政権が固まるまでは、強硬姿勢を貫きながら日本の出方
を見極めた方が得策と判断している可能性もある。
 北朝鮮は南北首脳会談を実現した韓国の金大中前大統領から盧武
鉉大統領に政権が移行した際も、交流に強硬姿勢を織り交ぜたこと
がある。盧大統領の就任式前日の2003年2月24日には、日本
海に向け地対艦ミサイルを発射、日本だけでなく韓国を困惑させた。
(共同通信) - 7月7日21時56分更新
==============================
中国も堪忍袋の緒が切れた!? 中朝友好橋“封鎖” 
(ZAKZAK)
総連関係者「ジワジワ効いてくるだろう」 
 北朝鮮が中距離弾道ミサイル「テポドン2」などを相次いで発射
したことを受け、中国が制裁措置に踏み切ったことが、在京の朝鮮
総連関係者への取材で分かった。中国は北に食糧やエネルギーを供
給している最大の援助国だが、堪忍袋の緒が切れたのか。

 「中国が経済制裁をしているのは事実だ。今後、この影響はジワ
ジワと効いてくるだろう」

 総連関係者は6日午後、平壌の朝鮮労働党幹部に確認した話とし
て、夕刊フジの取材にこう答えた。

 関係者によると、北と中国は水面下でミサイル発射問題について
交渉を続けていたが、北が5日にミサイル発射を強行したことで中
国側の態度が一気に硬化。

 中朝国境を流れる鴨緑江(おうりょくこう)には、中国遼寧省の
丹東市と北朝鮮新義州を結ぶ「中朝友好橋」があるが、ここが5日
から事実上封鎖され、中国から北へは人も物資も入れない状況とな
った。

 また、中国東北部には北に燃料を供給するパイプラインがあるが
、「5日午前中に、6本あるパイプラインのうち5本が止められた
という」(総連関係者)
==============================
韓国、「融和」維持に苦慮・北朝鮮ミサイル問題
(nikkei)
 【ソウル=峯岸博】韓国政府は7日、北朝鮮との南北閣僚級会談を
釜山で11日から予定通り開催すると発表した。南北主導で核やミサ
イル問題解決の突破口を見つけたいとする盧武鉉(ノ・ムヒョン)
大統領の意向が働いているが、政府内でも異論が表面化してきた。
韓国政府はミサイル問題への対応をめぐり、南北融和と対米協調と
の両立に苦慮している。

 「現状を打開するため対話の努力を継続すべきだと判断した」。
韓国統一省幹部は7日の記者会見で、北朝鮮との対話重視の方針に変
わりがないことを強調した。

 韓国政府高官は7日、南北閣僚級会談ではミサイルや核問題をめぐ
る6カ国協議の再開問題を集中的に取り上げ、厳しい態度で臨む方針
を記者団に説明。コメや肥料の追加支援も「問題の出口がみえるま
で留保する」と、米国など国際社会との足並みに配慮する姿勢を強
調した。 (07:00) 
==============================
<北朝鮮ミサイル>ロシア「正確な情報を持っていなかった」

 【モスクワ杉尾直哉】北朝鮮のミサイル発射問題で、ロシアがミ
サイルの航路や着地点について正確な情報を持っていなかったとの
疑惑が浮上した。7日付の露政府紙「ロシア新聞」は「(発射を)
うっかり見逃した」とする露宇宙軍の匿名将軍のコメントを掲載。
コメルサント紙も「軍はインターネットで発射を初めて知った」と
指摘し、軍側は批判にさらされている。
 バルエフスキー軍参謀総長は7日、露下院公聴会で「プーチン大
統領にも報告し、発射を知らなかったという指摘は根拠がない」と
述べた。だが、具体的な着地点は明らかにしなかった。
 7日付露各紙は「北朝鮮から事前通告がなく、軍は当初から追尾
するつもりはなかった」との専門家の声を掲載。トルード紙は「北
朝鮮のミサイル発射監視のためには最低4基の衛星が必要だが、ロ
シアの衛星は3基で、すべて米国を対象にしている。北朝鮮からの
『贈り物』を軍は予想もしていなかった」と指摘した。
(毎日新聞) - 7月7日22時53分更新
==============================
「テポドン2、照準はハワイ周辺か」政府高官(ASAHI)
2006年07月07日13時15分
 政府高官は7日午後、北朝鮮が発射し、日本海に落下した長距離
弾道ミサイル「テポドン2」について「地球は自転するため方向は
(南に)ずれる。ハワイ周辺に向けて撃ったのではないか」と述べ
、照準をハワイ周辺に合わせていた可能性があるとの見方を示した。
一方で、この政府高官は「ハワイそのものを狙ったものかはわから
ない」とも付け加えた。 

 また、別の政府高官も同日朝、テポドン2がハワイ周辺に向けて
撃たれた可能性がある、との見方を示した。 

 これに関連して、額賀防衛庁長官は7日の記者会見で「いまのと
ころはっきりした形で申し上げる段階ではない。いま日米双方で情
報を分析している過程」と語った。 
==============================
北朝鮮で要職に旧世代を再起用、改革路線も後退か

【ソウル6/26日聯合】世代交代に力を入れてきた北朝鮮当局が、最近
になり旧世代を要職に起用するなど、実利主義に基づいた改革政策
から後退する兆しが出ている。 
 北朝鮮は2000年から党や軍部の要職を除く内閣の行政や経済官庁
、対韓国担当部門や軍の主要指揮官に30〜40代を起用しており、50
代以上は次官級以下には起用されない雰囲気が強かった。しかし、
世代交代による体制崩壊に危機感を強めた金正日総書記の指示で、
引退した世代が再び復帰している。 

 25日に平壌で開かれた反米大会では、平壌市人民委員長として75
歳になるパン・チョルガプ氏が登場した。パン氏は90年代初めに耀
徳政治犯収容所に収監されたが復権した経歴があり、その後は引退
していたが、再登用された形だ。また、平壌市人民委員会党責任秘
書にも75歳のラ・ジョンビン元労働党組織指導部副部長が任命され
たことも判明している。このほか、60代前半の文化相を解任し、70
代の姜能洙(カン・ヌンス)氏を起用したケースもある。 

 北朝鮮のメディアも世代交代による懸念を示している。北朝鮮の
メディアは、米国などが北朝鮮に対し展開する心理戦の主なターゲ
ットが若い世代であることから、この世代が「変質」すれば戦後第
1〜2世代が開拓・確立した革命の偉業を損なう可能性があるとかね
てから指摘している。第1〜2世代は植民地支配と朝鮮戦争を経験し
た背景から、個人よりも体制や理念を優先するのに対し、戦後生ま
れの第3〜4世代は90年代半ば以降、最悪の食糧難を経験したことか
ら経済的な豊かさを優先する傾向がある。 

 北朝鮮が世代交代路線を転換し、体制維持や理念重視の旧世代を
要職に起用することで、経済難の加速も予想される。さらに、金総
書記の政策決定に決定的な影響を及ぼさない役職にまで旧世代を起
用することは、中国やベトナムといった社会主義国が目指す改革路
線と対照をなすことになる。
==============================
金総書記訪露か、貴賓用列車が国境越え…韓国紙報道

 【ソウル=平野真一】6月23日付の韓国紙、朝鮮日報は、北朝
鮮に詳しい消息筋の話として、平壌を出発した貴賓用列車が北朝鮮
北東部の国境を越えたのが目撃されたと報じた。

 金正日(キム・ジョンイル)総書記は通常、移動に貴賓用列車を
利用していることから、ミサイル発射準備をめぐり緊張が高まって
いる米朝関係について協議するため、ロシアを訪問した可能性があ
ると指摘している。
==============================
北ミサイル6発…12発発射情報、金王朝崩壊へ 
http://www.zakzak.co.jp/top/2006_07/t2006070510.html

【ミサイル発射をめぐる主な動き】

93年5月 北朝鮮、日本海で弾道ミサイル・ノドンの発射実験

94年6月 カーター元米大統領訪朝で核問題めぐる危機回避

95年3月 朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)発足

98年8月 北朝鮮が弾道ミサイル・テポドン1号発射、日本上空
      を通過
  12月 ミサイル防衛(MD)システムによる将来型迎撃ミサ
      イルの日米共同技術研究着手を決定

99年9月 北朝鮮、ミサイル発射実験の凍結表明2001年5月
      金正日労働党総書記、ミサイル実験の凍結延長を表明

02年9月 日朝首脳会談で平壌宣言。北朝鮮、03年以降のミサ
      イル発射凍結を表明
  10月 米政府、北朝鮮が濃縮ウランの核開発計画を認めたと
      発表
  12月 北朝鮮北部の咸鏡北道のミサイル実験場で爆発事故

03年1月 北朝鮮、核拡散防止条約(NPT)脱退を表明
   2月 北朝鮮が地対艦ミサイルを日本海に発射(翌月に再発射)
   8月 北朝鮮の核開発に関する第1回6カ国協議
  10月 北朝鮮、地対艦ミサイルを日本海に向けて発射
  12月 政府がMDシステム導入を閣議決定

04年6月 北朝鮮が5月にテポドン2号の燃焼実験に成功と韓国
      紙報道
   9月 北朝鮮のノドン基地周辺に車両など集結

05年2月 北朝鮮が核保有を宣言
   3月 北朝鮮、弾道ミサイル発射実験再開の可能性示唆
   5月 北朝鮮、日本海に向けて短距離ミサイル発射
   7月 MDシステムによる弾道ミサイル対処手続きを定めた
      改正自衛隊法が成立
   9月 米が北朝鮮に事実上の金融制裁発動
  11月 第5回6カ国協議(以後、再開されず)
  12月 政府、将来型迎撃ミサイルの開発段階移行を決定

06年1月 KEDOが軽水炉建設事業を終結
   3月 北朝鮮、日本海に短距離ミサイル発射。在韓米軍のベ
      ル司令官が米全土を射程に収めるテポドン3号も開発
      中と議会証言
   4月 米海軍がMD用迎撃ミサイル搭載のイージス艦を8月
      に日本初配備と発表
   5月 北朝鮮にテポドン2号発射の兆候
   7月 北朝鮮、日本海にミサイル発射


コラム目次に戻る
トップページに戻る