2384.小泉後の日米関係



小泉首相が訪米して、日米同盟を発展的に拡大すると宣言した。
                     Fより

小泉首相の功績は、日本的な平等資本主義を世界に開かれた市場主
義にしたことでしょうね。このような社会になったために、世界か
らの投資を呼び込み、バブル崩壊の不況から抜け出すことができた。

この世界に開かれた市場主義をグローバル化と言うが、米国化と言
う人もいて、格差を拡大したとも言う。公共事業を中心とした全国
民保護の国家運営から選択を通して予算規模が縮小した国家運営に
シフトしたことで、切捨て政策と言う人もいる。

そして、小泉さんは靖国神社参拝で保守的な国民の支持を得て、予
算縮小に伴う痛みの不支持とバランスさせてきたように感じる。
その意味では小泉首相の政治感覚は非常に優れていると思う。

しかし、その靖国神社参拝はどんどん批判が大きくなってきている
。このコラムでは、この靖国神社参拝問題ではなくて、中国が主張
するA級戦犯の問題で、米国とも大きな歴史観のずれを日本は持っ
ていると指摘してきた。この点を知日派のマイケル・グリーンまで
問題であると指摘し始めて、このコラムの主張が正しいことが見え
てきている。

ここに来て、小泉首相が8/15に靖国神社へ参拝するということ
で、自民党総裁選挙もその参拝後の動向が勝負を決するとなってき
ている。

米国では6月上旬に刊行された「ショーダウン」(対決)で、中国
の脅しで日中戦争になるが、米国の民主党新女性大統領が同盟国の
日本を支援しないというストリーになっている。この想定はリアル
であり、現実的なシナリオと見える。

この新女性大統領はヒラリー・クリントン次期大統領でしょうが、
中国を戦略パートナーとして、中国の経済発展が米国企業の利益拡
大に寄与する限り、対決はしないように感じる。この民主党大統領
と渡り合うためには、中国と対決ではなくて、ある程度の譲歩を中
国にして友好関係を構築する必要があると思う。

米国は政権が変わると、その政策が大きく変化する。特に対中国政
策は政権で大きく変化している。前のクリントン政権は中国を戦略
パートナーと友好国的な扱いであり、一方、日本とは貿易摩擦で非
常に関係は厳しかった。

この時でも日本は日中関係を友好的にして、米国の対中政策と同調
してきた。このため、日本だけが敵にならずにすんだ。これと同じ
ような準備を日本は米国次期政権対応の対中政策で模索する必要が
ある。
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米首脳、「新世紀の同盟」発表 共同文書(ASAHI)
2006年06月30日01時31分

 小泉首相は29日午前(日本時間29日夜)、ブッシュ大統領と
ワシントンのホワイトハウスで約2時間にわたり会談した。会談後
、両首脳は共同文書「新世紀の日米同盟」を発表。共通の価値観と
利益に基づく「世界の中の日米同盟」を発展させる考えで合意した
。会談では、拉致を含む北朝鮮の問題に多くの時間を割き、拉致・
核・ミサイル問題の解決に向け、金正日総書記に「明確なメッセー
ジ」を伝えるべきだとの考えで一致。連携強化を確認した。
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米国:日本に注文「次期首相は中、韓関係により注意を」

 【ワシントン及川正也】29日の日米首脳会談を前に知日派のマ
イケル・グリーン前国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長と
カート・キャンベル元国防次官補代理が27日、ワシントン市内で
記者会見し、日本のアジア政策に注文を付けた。

 両氏とも小泉純一郎首相の靖国神社参拝で悪化した日中、日韓関
係の改善が「ポスト小泉」の重要課題になるとの認識を示した。

 ブッシュ政権にいたグリーン氏は「複雑な問題だ。次期首相は日
中、日韓関係により注意を払うべきだ」と述べた。ただ、靖国参拝
については中国が批判すればするほど日本国民は反発すると指摘し
、「米政府が日本に(解決を)強いるのは問題だ」と強調した。

 一方、クリントン政権にいたキャンベル氏は靖国参拝によって「
アジアでの日本の勢いが失速している。米国は日本に問題を解決す
るよう働きかけるべきだ、という考えに同調する」と述べ、日本と
協議するよう促した。

毎日新聞 2006年6月28日 10時48分 

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