2379.電子材料王国ニッポンの逆襲



電子材料王国ニッポンの逆襲
日本の飛躍が始まっている。その主力は電子材料です。この考察。
                 Fより

1970年〜1985年までの15年はコンピュータハードの時代
1985年〜2000年ごろまでは半導体の時代で、
2000年過ぎたころから電子材料メーカの時代というように、
だんだん、構成されている小さな単位に収益が移行している。

電子材料メーカとしては、シリコンウエハーにおいては信越化学、
SUMCO、コマツ電子金属など日本勢で60%以上を確保してい
る。半導体フォトレジストについてはJSRが半導体フォトマスク
については凸版印刷が世界トップである。

電子ディスプレー向け材料ではカラーフィルターは凸版印刷、大日
本印刷で世界の70%以上を握っている。偏光板は日本勢がほぼ独
占、ガラス基板は旭ガラスが世界の85%を握っている。

そして、液晶テレビなどの電子ディスプレー最終製品に占める素材
コストが60%にもなる。その素材の世界を日本が独占している。

DVDの基盤材料では帝人が世界の80%、STN型液晶では大日
本インキ化学工業が世界の70%、薄型ディスプレーの反射防止フ
ィルムは大日本印刷が世界の70%、ハードディスクのガラス基板
ではHOYAが世界の80%、

ガラスは無限の組み合わせがあり、その組成が組み合わせで変わる
。このガラスをIT分野に応用したのが旭ガラスである。プラズマ
ディスプレーパネル用ガラス基板では、世界シェア85%、TFT
用ガラス基板では世界の30%、PDPフィルターも世界の50%
、ブラウン管用ガラスでも世界の30%である。現時点の売上げ高
4000億円弱である。

日本企業はデジタル素材になぜ強いかというと、成功企業は、基本
的に得意分野に特化している。オンリーワン技術に磨きをかけてい
ること。本業に回帰している。旭ガラスは明治40年からガラスの
分野で知の遺産を脈々と蓄積してきたことが重要であると。

100年を戦い抜いた企業のカルチャーが重要のようだ。1世紀と
いう気が遠くなるような年月で伝統的なテクノロジーを育み、そし
てデジタル素材として、そのテクノロジーが新素材を生み出す起爆
剤となっている。このように技術蓄積がしっかりした企業が主役に
なってきている。

台湾ファンドリー大手の幹部が「半導体でニッポン一人負けは納得
できない。我々台湾半導体メーカは巨大投資を行い、ファブを拡大
させているが、シリコンウエハーをはじめ、半導体の主要なデジタ
ル素材の多くは日本から買っているのだ。つまるところ、本当の勝
者は誰なのか」と鋭く叫んだ言葉である。

世界最強の自動車メーカーに鋼材を提供する日本の鉄鋼メーカーの
技術力も世界最高水準であるが、ここに来て、デジタル素材分野で
も有力商品を出してきている。CMPデレッサーやSICウエハー
で新日鉄はリードしている。携帯用2層CCL基盤では世界の60
%のシェアがある。

素材という産業は、まさに忍耐の産業である。開発に10年〜15
年もかかることは日常茶飯事で、こんなことができるのは、農耕民
族である日本人しかいない。四半期単位で利益を出さなければ気が
すまない米国や台湾、韓国などの企業には、素材カルチャーは似合
わない。

そして、日本国内に最先端をいく半導体開発、液晶、プラズマ、有
機ELなどのディスプレー開発、さらに燃料電池などの近未来開発
の礎がしっかりと築かれている。それらが最先端のデジタル素材を
強く要求してくる。そして、最終製品の機能向上、価格の低下を常
に求められるために、デバイスメーカー、材料メーカー、装置メー
カーが常に切磋琢磨する気風ができている。これが日本の財産なの
でしょうね。

とうとう、韓国政府はこうした現状に業を煮やして、2006年初
めに産業資源省の新政策「2015部品、素材発展戦略」を発表し
た。10品目を選択して、今後4〜5年間で1800億円を投入し
育成するというものだ。日本からの輸入防止策であるが、韓国企業
が開発した部品・素材が品質や価格など要求水準を満たせば、必ず
国内メーカーは買い取らねばならないという確約書を産業資源省に
提出させるという。それほど、日本の素材は強いということである
し、日本の素材をコピーしても、それ以上の素材を作ることが日本
の素材メーカーはできる。

日本の優位分野について

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