2347.イスラエル分離戦略



イスラエルのオルメルト首相の戦略を見る。   Fより

パレスチナの選挙でハマスが政権を取って、イスラエルとしては、
パレスチナとの交渉ができない事態になった。そして、シャロン前
首相が進めていたガザの入植地からの撤退に続き、ヨルダン川西岸
地域の線引きをして、線から出ている入植地からの撤退を行うこと
で、イスラエルとパレスチナを分離していく構想を持っている。

このことはイスラエルとパレスチナとの国境を確定することで、パ
レスチナと完全分離して、自爆テロを防止するために新国境の通行
ができない高い頑丈な壁を国境線沿いに構築している。

パレスチナ政府と交渉ができない事態であるが、米国ブッシュに理
解を求め、米を巻き込んだ動きをして、国際社会に理解を求めよう
としている。フランスのドストブラジ外相もイスラエルの動きをサ
ポートしている。フランスはイラク戦争で米国に楯突いた後遺症に
悩み、それ以後は米国と協調して動いている。イラン核問題でもイ
スラエルの懸念を共有して、フランスを始めEUは動いている。

しかし、米国ではイスラエルのリクード別働隊でもあるネオコンが
政権からイラク戦争の責任を問われていなくなり、ミアシャイマー
教授からはイスラエルの要求を聞きすぎると批判されて、ブッシュ
など共和党の中核も動きにくい状態になっている。このため、ブッ
シュとしてもイスラエルが単独で国境分離を推し進めることに米国
内の批判を呼ぶ可能性が高いと心配して、ファハタのアッバス議長
との会談をするように求めた。

このため、急遽、21日にアッバス議長とオルメルト首相は国境確
定の交渉をするが、大きな入植地を線内に入れたために、ギザギザ
な国境となっている。飛び地はないがパレスチナの村への交通がな
いようなことになっているし、パレスチナの人の多くがイスラエル
の仕事をしていた。このため、通行ができなくなると仕事を失うこ
とになる。パレスチナには大きな産業がないために、今後のパレス
チナ国家経済をどうするかが問題である。

領土交渉は竹島ではないが、難しい。特にエルサレムの分割は、お
互いの聖地でもあり、交渉が紛糾することになる。しかし、イスラ
エルは自国の防衛のために、壁の中に閉じこもる選択をしている。
世界からユダヤ人を呼び集めているが、その行き場を壁の外の入植
地ではなくて、壁の内側にすることになる。拡大政策からの縮小に
転換する。

しかし、イスラム諸国での民主化で、イランのような過激な政党が
政権を取る可能性もあるため、イスラエルは今後、中東諸国との平
和共存が絶対に重要なことになるので、難しいが隣国になるパレス
チナ国家との国境線を解決しておく必要がある。
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<イスラエル外相>パレスチナのアッバス議長と21日会談

 イスラエル放送は19日、パレスチナ自治政府のアッバス議長と
イスラエルのリブニ外相が21日、エジプト・シャルムエルシェイ
クで会談すると報じた。イスラエルのオルメルト政権が4日に発足
して以来、イスラエル・パレスチナ間のトップ級会談は初。停滞す
る和平プロセスの再開条件などについて意見を交換する見通し。
(毎日新聞) - 5月20日0時21分更新
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分離政策で交渉求める圧力 イスラエル首相、訪米へ

 【エルサレム19日共同】イスラエルのオルメルト首相が21日
、訪米に出発する。23日にブッシュ米大統領と会談し、ヨルダン
川西岸での一方的なパレスチナ分離政策へ理解を求める意向。だが
自治政府のアッバス議長との交渉を求める圧力が内外で強まってお
り、政権発足後初の訪米で大きな成果は望めない情勢だ。

 重体が続くシャロン前首相は昨夏、ガザ地区から全入植地を撤去
し、軍部隊を撤退させた。国際社会は「パレスチナ国家樹立を目指
す和平案(ロードマップ)再生につながる」と称賛したが、一方的
な撤退は対話路線を主張する議長らの立場を弱め、ハマス伸長の土
台をつくった。

 こうした教訓から、17日にオルメルト首相とエルサレムで会談
したフランスのドストブラジ外相は、西岸での大規模入植地併合な
どを柱とする「国境」画定政策の前に「アッバス議長との交渉を尽
くすことが重要」と述べた。
(共同通信) - 5月19日17時19分更新
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イスラエル副首相「イランが破壊される可能性も」
(nikkei)
 【カイロ=森安健】イスラエルのペレス副首相は8日、イランの
アハマディネジャド大統領がイスラエルへの敵対姿勢を強めた場合
、「イランが破壊される可能性もある」と警告した。イスラエルは
国際社会の対イラン外交の行き詰まりにいらだちを強めている。

 ロイター通信のインタビューで語った。ペレス氏は「イスラエル
を地図から抹消すべきだと呼びかけているアハマディネジャドは、
自分の国こそ破壊されるかもしれないことを肝に銘じるべきだ」と
指摘。その上で「イランが核保有国になれば他の多くの国も後を追
い、いずれ爆弾はテロリストの手に渡る。イスラエルはいかなる状
況下でも自衛する」と述べた。

 ペレス副首相はノーベル平和賞受賞者で、イスラエル政界ではハ
ト派の外交通として知られる。

 イスラエルは1981年、イラクのオシラク核施設を空爆、フセイン
政権の核開発計画を阻止した。しかし、イランの核施設は全土に分
散しているほか地下施設もあるとされ、全容は把握されていない。
 (13:07) 

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