2345.フランスにおける地鎮祭に参加して



3月25日、フランスにおける地鎮祭に参加して  
         ロール・リヴィエール(パリ高等音楽院教授)

 早朝6時パリを出発。9時頃ブルゴーニュの光明院に到着。融快
・融仙さんに迎えられた。既に4本の竹で区切られた「聖域」が完
成しつつあった。神前は、木製のシンプルなもので、祭具や様々な
お供えに覆われていた。斎主である久保氏と、助勤神職を勤める磨
美さんは、素早く装束に着替え、そして神事は始まった。

 先ず見学者も含め参加者全員が、水で心身を清めた。そして御神
前の前に並ぶ。写真を撮る者多数、ジャーナリストもいた。

 神事は、複数からなる、きっちりと定められた所作で成り立って
いた。水屋神社の神が、フランスの地に降り立った。

 日本から出席したのは、残念ながら今回フランスに来られなかっ
た宮大工石井氏の弟子である嶋田氏、分社の移送を担当する運送会
社社長の南氏、フランス水屋神社建立実行委員会会長である吉住氏
、そして久保宮司の御家族。

 彼らに引き続き、リュック・ブレルも玉串参拝を行った。

 神事の簡素さは感動的なものであった。私は神の世界にひきこま
れていった。とりわけ、ふたりの神職が、それぞれ唱和して行われ
た降神の儀には震撼した。

 この神事の間、天候が全ての変化を見せたのは、興味深いことで
あった。開始時には快晴、そして曇り、時に小雨。加えて、とりわ
け印象的だったのは、磨美さんが、榊を持って祓いの儀を行ったと
き、まるでその榊によって吹き起こったかのように、強い風が吹い
てきたことだ。斎主が弓で四方を祓い清めた所作にも、大変感動し
た。

 フランスの地に、神社が建立されることが待望される。

 神事の後、私ロール・リヴィエールと師であるリュック・ブレル
が、杖道の演武奉納を行ったが、まるで日本の神に見守られている
ようだった。

 その後のパーティは、日仏交流の会となった。奇しくも、3月23
日はリュック・ブレルの誕生日。我々は、日本の友人達と共に、ケ
ーキで彼の誕生日を祝した。
そして、皆で、楽しく「黒田節」を歌った。この歌に合わせ、久保
氏の妹、脇田礼子さんが非常に現代的なダンスを披露したことも、
忘れ難い思い出だ。

 遠く離れたフランスと日本、近くなった日であった。

            水廼舎學人/久保憲一

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