2343.国民投票法案について



国民投票法案について

 憲法は法律と目的を異にする存在だ。憲法は公権力を縛ることを
目的としている。決して、国民を縛ることを目的としたものではな
い。また、憲法に規定されたことに基づいたことを公権力は実行し
なければならない。「国民投票法」は国権の最高機関つまり公権力
の最高機関である国会の怠慢そのものと思ってきた。また、憲法は
存在するだけでは、何の意味もなさない。生きた憲法にするには、
国民がその権利を行使して初めて生命を持つと私は考えている。

 憲法改正に必要な「国民投票法案」が、民主党小沢代表の反対で
頓挫するように見える。小沢代表の戦略目標は政権(権力)の奪取
だ。寄り合い所帯の民主党が抱える弱点の大きな一つが安全保障論
議である。安全保障が重要テーマである憲法改正に直結する「国民
投票法案」は廃案にしなければ、民主党が政権奪取する前に分裂・
低迷することは明らかだ。民主主義の基本である健全なる野党の存
在に私は賛成だが、この廃案政策は日本の将来に禍根を残すように
思える。憲法が現状と不整合のまま放置し続ければ、誰も憲法を信
用しなくなり憲法は死ぬことになる。

 この戦略を自民党側から考察した場合、来年の参議院選挙の重要
テーマに「国民投票法」を持ち上げるチャンスにできる。方法は、
本年度は法案を提出し、継続審議にする。その後、国民に憲法につ
いての啓蒙活動を行い、来年度、国会で論議を深め、突っ込んだ論
議にすれば民主党の党利党略が露顕する。また、憲法改正が著しく
不可能なのは、参議院の制度に由来する。政権が政策を問う解散が
無く、常に半数しか改選されない制度では憲法改正に必要な議員数
を確保できないようになっている。まさに、参議院選挙のテーマに
は打って付けなのだ。私自身は選挙の公約であるマニフェストを重
要なものにすべきと思うが、選挙は自己に有利なテーマに絞って戦
った方が勝利する。小沢代表は、どの様に考えているのだろうか。

佐藤俊二

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