国民投票法案について 憲法は法律と目的を異にする存在だ。憲法は公権力を縛ることを 目的としている。決して、国民を縛ることを目的としたものではな い。また、憲法に規定されたことに基づいたことを公権力は実行し なければならない。「国民投票法」は国権の最高機関つまり公権力 の最高機関である国会の怠慢そのものと思ってきた。また、憲法は 存在するだけでは、何の意味もなさない。生きた憲法にするには、 国民がその権利を行使して初めて生命を持つと私は考えている。 憲法改正に必要な「国民投票法案」が、民主党小沢代表の反対で 頓挫するように見える。小沢代表の戦略目標は政権(権力)の奪取 だ。寄り合い所帯の民主党が抱える弱点の大きな一つが安全保障論 議である。安全保障が重要テーマである憲法改正に直結する「国民 投票法案」は廃案にしなければ、民主党が政権奪取する前に分裂・ 低迷することは明らかだ。民主主義の基本である健全なる野党の存 在に私は賛成だが、この廃案政策は日本の将来に禍根を残すように 思える。憲法が現状と不整合のまま放置し続ければ、誰も憲法を信 用しなくなり憲法は死ぬことになる。 この戦略を自民党側から考察した場合、来年の参議院選挙の重要 テーマに「国民投票法」を持ち上げるチャンスにできる。方法は、 本年度は法案を提出し、継続審議にする。その後、国民に憲法につ いての啓蒙活動を行い、来年度、国会で論議を深め、突っ込んだ論 議にすれば民主党の党利党略が露顕する。また、憲法改正が著しく 不可能なのは、参議院の制度に由来する。政権が政策を問う解散が 無く、常に半数しか改選されない制度では憲法改正に必要な議員数 を確保できないようになっている。まさに、参議院選挙のテーマに は打って付けなのだ。私自身は選挙の公約であるマニフェストを重 要なものにすべきと思うが、選挙は自己に有利なテーマに絞って戦 った方が勝利する。小沢代表は、どの様に考えているのだろうか。 佐藤俊二