2341.アジア外交へシフト



日本の外交をアジアにシフトする必要がある。  Fより

米国の財政赤字が極限まできている。そして、今後も米軍がイラク
に駐留するために、軍事費の縮小ができない。今後も財政は大幅赤
字になることが明確である。この失態のために財務長官を首にした
が、それだけでは問題が解決できない。しかし、ブッシュ政権は軍
事費が高止まりするのに、金持ちへの減税をして一層の大幅な経常
赤字にしている。

このため、経常赤字を止めることがブッシュ政権ではできないよう
である。経常赤字の原因であるイラクからの撤退を急ぐ必要がある。
そして、ベトナム戦争時より、米国基幹産業の競争力は落ちて、
GMなど自動車産業も大幅赤字になっている。このため、企業利益
からの税収増大に期待ができない。企業が衰退したために、中産階
級もその層が薄くなっている。その層からの税収もなくなっている。

そして、そのような米国になり、ブッシュ支持率は29%まで下が
ってきた。イラク戦争より、米国産業の復活を今、米国は国力を挙
げて取り組まなければならないことであるのに、イラク戦争、イラ
ン核問題と米国は外交・軍事に忙しい。

このため、米国が当分の間、経常赤字であることが明確になりドル
の信頼を失わせている。米国が主導しているIMFがドルの実質的
な切下げを目論んで、主要な通貨に対してドル安にしている。元だ
けではなくて、円も値上がりして、1ドル=109円になっている。
ドル安の全面的な展開になっている。

日本が主導しているアジア開発銀行の総会でもアジア共通通貨につ
いて議論されて、日本の財務省が中心に1998年のアジア通貨暴
落を契機に検討している金融安定化策を拡大することが決まってい
る。

政治的な面では中国と緊張関係になっているが、金融面ではアジア
全体の安定化を日本主導で策を練っている。今後、米国のドル暴落
に真剣に備える必要があり、日本企業が多数進出している中国、東
南アジアの金融安定化・経済維持は日本企業においても、日本にお
いても必要なことである。それぞれの通貨を持ち合いで、危機に備
える方向である。

そして、アジアでも経済的に大きな位置を占めている中国を無視で
きない。ベトナムやラオスなど中国の投資が大きい国家もあり、東
南アジア全体の通貨安定には中国も取り込む必要がどうしてもある。

独裁政治の中国は政治の民主化が遅れて、日本として不安な状態で
ある。そして、法輪功などの中国の民主化活動に米国は大幅な支援
している。この活動は大きなインパクトを中国国内で起こしている。
農村では土地押収に反対する農民が地元政府と闘争を繰り返してい
る。それと沿岸地域の一層の経済発展を掲げる上海閥(江沢民派)
と農村地域の開発を中心に掲げる共産党青年団閥(胡錦濤派)の戦
いに明け暮れている。中国は国内問題で手が一杯である。

中国の混乱が続き、その混乱を対外関係悪化で団結させようと、「
反日」活動をしたが、その成果は日本の反中感情を高め、かつ世界
からの反発という大きなダメージを受けて、中国は2度とその手を
使うことができない状態になっている。

どちらにしても、中国は国内の混乱が今後起きることが予想される。
経済的な一層の発展には言論の自由化が避けて通れない。その先に
政治の民主化も必要になる。この民主化活動資金を米国などが支援
している。

しかし、一方で中国が経済大国化してきていることも事実である。
中国は現在、第4位の経済規模になっている。米国、日本、ドイツ
の次である。東南アジアに中国企業は進出して、東南アジアでも大
きな存在になっている。中国を無視はできない。一方、米国は軍再
編ということで、対外駐留の軍事費を削減している。このため、日
本は拡大が続く中国の軍事力に対して、対応した軍事を持つ必要が
ある。特にミサイル防衛網の構築は急務である。当分は米国依存で
もいいが、日本は対中国で自立的な軍事体制を構築する必要がある。

しかし、金融面では相互に助け合う体制にして、米国のドル暴落に
備える必要がでてきている。もし、ドル暴落が起きると、アジアか
らの貿易の半分は米国消費者に向けたものであり、その価格が米国
で暴騰して、米国消費者が買わないということで、アジアの大不況
が起こることになる。

この防止は中国市場やインド市場を活性化させて、米国市場が縮小
してもその代替になるようにするしかない。日本は既に対米貿易よ
り対中貿易の方が大きい。しかし、中国からの輸出は対米一辺倒で
あるために、米国の貿易がなくなると日本も大きな影響を受けるこ
とになる。

このように中国をも視野に入れて米国衰退について考えることが重
要になっている。このためにも首相の靖国神社への参拝がいいと思
うが、A級戦犯の分祀は避けて通れない問題になっていると認識し
ている。
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米下院委員長の靖国懸念見解 日本政府側「影響ない」 
2006年05月13日23時53分
 米議会で小泉首相の靖国神社参拝を懸念する動きが表面化したこ
とについて、日本の政府・与党関係者は「今のところは一人の意見
だろう」(首相周辺)と静観を保っている。外務省幹部は、ブッシ
ュ政権は靖国問題に直接介入する考えを示したことはないと強調し
、自民党でも「ただちに日米同盟に影響することはない」との声が
強い。ただ同党内には、9月の総裁選に向け、靖国問題やアジア外
交が焦点となる流れを加速させるとの見方も出ている。 

 今回明らかになったのは米下院のハイド外交委員長がハスタート
下院議長に出していた書簡で、6月末に予定される首相訪米時に米
議会での演説を実現するには、靖国神社を参拝しないことを表明し
ておく必要があるとの考えを示したものだ。 

 日本政府関係者は13日、「この意見が米国全体の世論にはなら
ない。ブッシュ大統領と小泉首相は仲が良い。感謝されても、嫌わ
れることはない」と語った。首相自身はこれまでの国会答弁で「大
統領から靖国参拝に批判を受けたことは一度もない。米国政府では
私の参拝の真意が理解されている」と語っている。 

 外交政策に通じる自民党議員の一人も13日、「書簡を理由に、
下院議長が首相の演説を阻止する動きは取らないだろう」と語った。
複数の政府関係者は、首相の訪米日程自体がまだ固まっていないと
して、首相の米議会での演説を日本政府が米側に打診したこと自体
を否定した。 

 首相の参拝については、米国でも日本専門家の間で疑問視する声
が広がっている。中韓の反発でアジアが不安定になるとの懸念に加
え、あの戦争をめぐる日米間での歴史観の対立につながる恐れがあ
るためだ。 

 だが、日本外務省幹部は「米政府は靖国問題に立ち入るつもりは
ない」と断言する。今月初めの連休中に訪米した自民党議員らによ
れば、ホワイトハウスや国務省、議会関係者らは一様に靖国問題を
話題にしたものの、「日中関係がぎくしゃくするのがよくない」と
の観点からだったという。 

 一方、自民党の加藤紘一元幹事長は13日、「米国とさえうまく
やれば大丈夫という小泉外交が、その米国に背負い投げを食う時が
来た感じで、外交的な失態だ」とし、首相の参拝は「本気で再考し
ないとかなりまずい結果になる」と語った。 

 別の自民党議員は「外国に言われて態度を変えるのは良くない、
という流れは変わらない」としながらも、「これがきっかけになっ
て、総裁選の課題に靖国問題が深く組み入れられることになるだろ
う」と見ている。 

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