2337.中国とうまく付き合うコツ



中国とうまく付き合うコツ

私も仕事上中国人と交渉すること多かったのですがタフな商談ばか
りで良い話はありません。個人的にはとてもいい人なのに組織とし
ての対話となると平行線で毎回幻滅します。

巨大市場をあてに進出している企業が多いわけですが中国流は日本
企業のみならず欧州の企業も手を焼いているようです。”外務省は
交渉上手な関西人を積極的に起用すべきだ。”と前々回、鈴木先生
が語っていたこと至言と思います。

最近読んだ小室秀樹の”数学嫌いの数学”(東洋経済)で”中国の
論争技術について語っています。”揣摩(しま)憶測の論理”と”
情誼を高める論理”を紹介していました。前者はどうすれば君主(
権力者)の心をつかめるかに全力をつくし、君主に親しまれて疑う
ことなく言うべきことが述べ尽くせるようにすることが大切である
論理。後者は君主(権力者)との間に「深い情誼」(ジャウシー・
交友のよしみ)といえる人間関係をつくるのが説得の成功の秘訣で
あるとする論理である。

真か偽かは形式論理によるのではなく話者と聞く者の「情誼の深さ
」によって決まる。情誼を深めることは、幇(ほう・パン)の規範
であり取引の価格決定も、情誼の特性によって左右される。商人は
情誼を深めた相手には安く売り安く売ることによって情誼を持つ相
手のネットワークを広げてゆく。全く同じ物でも中国では買い手と
の情誼の深さによって値段が違う。これを不道徳とは思っていない。
当然な商法と考えている。中国流の論理がある。

一方日本人は飛びぬけて論争を好まない性格で論理も発達していな
い。韓国人,中国人は論理的矛盾には敏感に反応するが日本人は矛
盾には気を留めない国民性である。
日本の朝鮮統治に対する最大の誤解の根源は天皇の詔書に「日本は
朝鮮を征服したのではなく対等に合邦したと称した」と書きながら
実際は搾取していた矛盾。日本人の論理的曖昧さに端を発している
のではないか。日本人同士なら阿吽の呼吸でわかる(分かったと思
う)自己欺瞞の能力の違いであると指摘している。
最近の大陸・半島との軋轢と国の交渉技術の巧拙の根源を感じさせ
る書でした。

中堂先生の「石油と戦争」(エネルギーs地政学から読む国際政治
)を加えていただければ面白いと思います。

小川
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「波」の一月号に紹介がありました本を読んだ感想を書いた駄文です。

「『小皇帝』世代の中国」を読んで

咋暮発刊の新潮新書、青樹明子著です。政治言語の少ない、約10年
の日中往来の若い女性の書いたもので、市井の小皇帝の様子が良く
出ています、その内の何人かは近い将来、中国のリーダーに成るこ
とでしょうから若い方ほど関心を持たれるのが良いかと思います。

逆にこの本を読みますと、日本の若者を陥しめようとする日本国内
の政治的動きと、同じことが中国でも為政者により起こされている
のではないかと思わせる所が出てきます、反面教師的に読むことも
できます。

もし、日本のメディアの採り上げ方で中国のニュースが組まれた時
には、それを追う社会学者の中には「若者の自殺」だけでも資料が
ごまんと集まり、分析が大変で、今中国に増えている過労死の仲間
に入れられることになるかもしれません。本の中に「自殺した北京
大学の心理学専攻の学生」の例があります、文明のパラドックス。

中国で「うつ病」と言う言葉が都市の病院から地方へと広まり始め
ている様子と、その原因が小さい時からの「競争」と。小生の娘が
中学3年の春休みに中国へ行き、当時では珍しかったホームステイを
経験しましたが、北京の同じ年の女の子、一人っ子政策の出た翌年
の生まれでしたので、大いに関心を持つ1978年からの一人っ子政策
から将来の中国社会のリーダー達。

著者は増える中国若者の自殺などの病める事象の解決方法を「心の
教育」でと、何処ぞの文科省の言っていた言葉と同じようなことを
書いていますが、苦笑もします。考えてみれば、多くのことが思い
当たります。絡み合った複雑な時代の多くの人の日々の営み、そう
簡単には処方箋は出せませんが、やはり異年齢からの緩やかな文化
伝達のパイプが、教室での単位時間当たりの知識集積力だけを頼り
とする現代の同年齢の教室学習、そして競争原理のテストによる脅
迫が大きな世界的問題に思えますが、スキゾ的でしょうか。

政府として、何かと日本国自身が金持ちとして、今一寸のゆとりを
得て、対応すべき時ではないでしょうか(すぐに追い越されるかも
しれませんが)、でも今の日本政府はやたら相手を刺激すれば何か
が出てくるような姑息な外交、まさに小人に成った、自ら卑小な日
本を表現しているようです。「中国が駄目ならインドがあるさ」と
コイズミサンやオクダサンは言われるかもしれませんが、その内
どちらからも小手先であしらわれる関係になるのではと。

先ずは「交流して現実を見よ」ではないのでしょうか。来る2日に滞
在15年の上海から帰国する知人の、年に一度の報告会準備で読んだ
本でも有りましたが、話を深めて聞くために自分ながら良い本を選
んだと思いました、この著者には3年ほど前に、同じ新書で「日中ビ
ジネス摩擦」と言う本があり、市の図書館で借りてきました、明日
から読むつもりです、専門家の目では薄い内容かもしれませんが。

それと先週の中頃NHK「ラジオ深夜便」で法政大学の王敏(ワンミン
)先生が午前4時から2日に亘り(2日目は聞き逃した)、話をされて
いました、彼女の 文化大革命時の「下放」の体験談そしてその直後
解禁された大学教育、彼女が選んだ専攻「日本語」の縁を聞いてい
ましたから、両者が共振、感動を与えてくれるものに成りました。

浅山

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