2324.野鳥のサンクチュアリーを守るお願い



 「野鳥のサンクチュアリーを守るお願い」No.3

            平成18年(2006)4月19日(水)
            「地球に謙虚に」運動代表
                   仲津 英治
 ご多用、ご多忙の中、恐縮ですが、再々度のお願いでございます。

去る3月初旬「ラムサール条約湿地・伊豆沼・内沼を温泉排水から守る会」
(呉地正行代表)と日本野鳥の会宮城県支部(竹丸勝朗支部長)からの
依頼を受け、宮城県伊豆沼周辺での温泉掘削問題に関し発信しました、
「野鳥のサンクチュアリーを守るお願い」に対し、多くの方々から、ご協
力頂き、有難うございました。

しかし、残念なことに多数の掘削反対の葉書などに関わらず(E-Mailも含
め、全体で3月31日までに2434通)、村井嘉浩宮城県知事は、3月24日に温泉
「掘削」の許可を出しました。知事自身のE-Mailによりますと、「私自身も
皆様と同じ考えで、何とか出来ないか大変悩みました。しかしながら、温泉
を掘削する前(どんな成分の温泉が出るか分からない前)に駄目だという法
的根拠が無いのです。判例も調べましたが同様の裁判は全て敗訴しています。
」というのがその理由です。

私は、裁判で敗訴云々の次元の話ではないと思います。

伊豆沼近隣の例から温泉には塩分が含まれている可能性が高く、温泉排水を
伊豆沼に流して5−10年で答えは出ないかも知れませんが、沼の水が塩水
化すれば、生態系に大きな影響が出て、取り返しのつかない事態も想定され
ます。沼への流入水の滞留時間の長さ(最大185日間も滞留する)に比例
するように塩素イオン濃度が高まりましょう。海水の塩分も河川によって陸
の塩分が運び込まれたものが主であったことを忘れてはいけません。

一方、日本野鳥の会宮城県支部からの新聞情報では、下記の通りです。
河北新報(04.4.15(土)
前述の守る会では4月14日(金)地元の栗原市長に面会を申し入れ、懇談
の席上ラムサール条約の登録湿地・伊豆沼ほとりでの温泉掘削計画を村井嘉
浩知事が許可したことに関し、佐藤 勇栗原市長は14日、「(掘削の不許
可には)難しい法的な課題はあるとしても、あえて止めていく姿勢を示すべ
きだ」と言及。市として掘削に反対する姿勢を明らかにした。佐藤市長は
「ガンの群れが羽ばたき、雁行が見られる栗原市の貴重な資源を守る責務が
ある」と語り、村井知事に申し入れたいとしている。

一旦壊れた自然を回復させることは簡単ではありません。私の住む滋賀県の
琵琶湖沿岸では、農耕地化、沿線開発、湖周道路の整備などで、多くの湿地
が奪われ、元々群生していたヨシが大幅減退しました。ヨシには水の浄化作
用があり、自然の生命を守る機能を有しています。反省した行政(滋賀県、
水資源機構など)は、ここ数十年来、多大な費用を投入してヨシ復活作戦を
展開して来ましたが、一つも成功しませんでした。

そして最近、行政は、私もお手伝いしているびわ湖自然環境ネットワーク等
のNPOが、試みている自然素材を活用する粗朶工(天然柴と間伐材を組合わせ
た消波堤。これで大きな波からヨシ苗を守り、根付かせる。別添写真参照)
のヨシヨシプロジェクトに参画するようになりました。

最近ようやくこの粗朶工により、天然ヨシが広がるようになって来ました。
それでも人工のヨシ苗は、まだまだ簡単には根付きません。一度壊した自然
は、中々回復させるのは容易なことではない、一例でしょう。

地元の佐藤 勇栗原市長の発言は、問題の方向を転換させる契機にもなりえ
ると思います。

日本野鳥の会宮城県支部(竹丸勝朗支部長)から下記のようなお願いが届き
ました。皆様方の再度のご協力をお願いするものです。別添の葉書を印刷し
て活用して下さい。
 
 「ラムサール条約湿地・伊豆沼・内沼を温泉排水から守る会」のホームペー
ジには新聞情報を含め、今回の温泉掘削と伊豆沼に関する詳しい情報が出てい
ます。
 お時間のある方はご覧になって下さい。()

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仲津英治
「地球に謙虚に」運動代表


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