2321.胡主席訪米の結果



胡主席の訪米でどう米中関係は変化したかを検討する。  Fより

ハッキリ言って、胡錦濤国家主席の訪米は失敗でしたね。今回の訪
米で、米国の要求を或る程度呑み、しかし、それ以上の要求をして
、親米国家としての中国になった印象を与えないと、中国は経済的
には米国に依存している。外貨準備高が日本以上になったのも、中
国が米国に大量の製品を輸出できるからであり、この事実を中国当
局者も胡主席も認識していないし、無視している。

米国が要求している問題は、事前に全て中国に通知してあり、その
回答を胡主席が米国に持っていくことが、今回の訪米である。しか
し、今回の訪米で米国の失望は大きいことになった。人民元切上げ
、北朝鮮問題、イラン核問題、民主化問題、貿易黒字削減問題など
、事前に分かっている問題の全てにNOを中国は回答した。

今でも、胡主席と江沢民前主席の国内での対立が続いているようで
、江沢民は親米家として訪米でも国賓クラスの歓迎を受けているが、
胡錦濤主席は準国賓としての待遇しかない。

この違いは、江沢民は米国の要求を丸呑みしているが、胡錦濤主席
は米国の要望をほとんど拒絶している。米中関係はこの会議で悪化
に向かうことが確実になった。全ての問題で中国は米国と違うとい
うことになり、米中は対決する方向になった。これが米中首脳会談
の意義でしょうね。米ブッシュが中国にいきり立つ感じが分かる。

ブッシュ大統領は「彼は、彼が考えていることを私に話し、わたし
も自分が考えていることを彼に話す。われわれは、敬意をもってそ
れを行う」と述べた。相当な意見の相違があったことを匂わせる発
言で、このため、日中関係を事前には取り上げることになっていた
が、あまりにも意見が違い、その問題には行かなかったようですね。

江沢民は米一極世界観を持っていたが、胡錦濤は多極世界観を持ち
、中国はその大きな極で、米国と張り合う方向であるとこの首脳会
談は声明したような感じになった。国内でも親米派と反米派の戦い
が待っている。

胡主席は「民主主義なくして、近代化はない」と発言し、中国流の
民主主義(共産党独裁強化)を進める意図を示した。このため、中
国の内政に米国は法輪功を使って、工作することになる。

このため、米国も式典に法輪功のメンバーを配置したり、国名を間
違えたりと、中国の威厳を壊す処置を施している。それが米国の外
交スタイルである。

イラン核問題でロシアは制裁について「平和利用から逸脱」で検討
すると、中国の対米関係悪化を見越して、ロシアは中国とは違い、
米国に配慮する姿勢を見せている。恐らく、米国は中国との対決姿
勢を明確にすることになる。ロシア、インド、日本などの中国包囲
網を作りだすことになる。米国の対中投資も無くなる可能性が高い。

ネグロポンテ長官はイランの核兵器製造はまだ数年先と表明して、
イラン核問題より先に中国の民主化を仕掛ける可能性を示唆してい
る。
ここにも、ミアシャイマーの意見が反映され始めているように感じ
るがどうであろうか??
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イランの核兵器製造はまだ数年先=米情報長官 (AFP=時事)

【ワシントン20日】米国の情報機関トップであるネグロポンテ国
家情報長官は20日、イランによるウラン濃縮再開は厄介な問題だ
とする一方で、同国が核兵器取得を目指しているとしても、必要十
分な核物質を得るまでにはまだ数年かかるとの見通しを示した。

 ネグロポンテ長官は、ワシントンでの講演後の質疑で、イランが
遠心分離機を使ってウラン濃縮を再開したことやアハマディネジャ
ド同国大統領の過激な発言を懸念。「イランでの出来事は明らかに
厄介だ」と語った。
 一方で長官は「われわれの現時点での評価では、たとえイランが
核兵器を手に入れようと決断しているとしても、核兵器に組み込む
のに十分な核物質を得るまでにはまだ数年はかかると考えている」
と述べ、この問題を大局的にとらえる重要性を強調した。
[ 2006年4月21日14時32分 ] 
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米中首脳会談、貿易・人民元問題で中国の明確なコミットなし
  
 [ワシントン 20日 ロイター] 20日に行われた米中首脳
会談は、ブッシュ大統領が、2020億ドルに膨らんだ中国の対米
貿易黒字縮小に向けた中国側の当面の対応について、胡錦濤・中国
国家主席からコミットメントを得られないままに終わった。
 人民元問題では、胡主席は、一段の柔軟化に取り組んでいくこと
を保証した。しかし、これも米国製品の海外競争力強化や貿易不均
衡是正のために人民元相場の大幅切り上げを求めている米国の要求
を到底満たすものではなかった。
 イランの核問題への対応をめぐっても、両首脳は意見の相違を埋
めることができなかった。ブッシュ大統領は、より厳しい国連の対
応に中国の同意を取り付けたい考えだが、首脳会談で胡主席を説得
することはできなかった。
 会談が行われた大統領執務室で、両首脳は、米中関係が意見の異
なる問題を率直に協議できる段階にまで成熟したと指摘。ブッシュ
大統領は「彼は、彼が考えていることを私に話し、わたしも自分が
考えていることを彼に話す。われわれは、敬意をもってそれを行う
」と述べた。
 首脳会談で胡主席は、中国が追求しているのは内需拡大であり、
過剰な貿易黒字ではないと説明。米中貿易摩擦は「対等な立場」に
立った話し合いで解決可能だと述べた。米国製ソフトウエアやDV
Dの海賊版撲滅を約束する一方で、米国政府がハイテク製品の対中
輸出規制を緩和することが、貿易不均衡是正の一助となる、と指摘
した。
 一方、ブッシュ大統領は、中国が人民元について一段の措置を講
じることを期待していると言明。「中国政府は明らかに為替の問題
について真剣に考えているようだが、私もそうだ」と語った。
 <野党民主党は実質進展なしとの見方>
 胡主席は人民元問題について、具体策には触れなかったものの引
き続き為替制度を改善していくと述べた。しかし、首脳会談を翌日
に控えた19日には、大幅な通貨調整の可能性を排除している。
 米国家安全保障会議(NSC)のアジア地域担当デニス・ワイル
ダー氏は、記者団に対し、中国の人民元問題への対応の「遅さにが
っかりしている」と述べたが、迅速な措置を予想していなかった、
としている。
 野党民主党からは、胡主席が貿易問題について目に見える進展を
示さなかったことや、ブッシュ大統領の押しの弱さに批判がでてい
る。
 胡主席は、晩餐会のスピーチで、中国が、貧困地域の発展を狙っ
た支出増加計画などを通じて「米国からの輸入を拡大していく」方
針を示した。
 また、中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は20日、中国の
為替制度の柔軟性拡大に向けた努力は、人民元のレートだけでなく
、幅広い改革措置をみて評価することが重要、との認識を示した。
(ロイター) - 4月21日15時55分更新
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中国主席「建設的な会談だった」
(nikkei)
 【ワシントン=桃井裕理】中国の胡錦濤国家主席は20日夜、ワシ
ントン市内のホテルで講演し、米中首脳会談について「非常に建設
的な会談だった。両国が利益を共有することがアジア太平洋地域の
安定につながることで一致した」と成果を強調した。また、「通信
、環境、エネルギー分野での民間企業の投資拡大など6項目を提案し
た」と、経済面での両国関係の強化をにらんだ取り組みを説明した。

 胡主席は米中友好団体や米シンクタンクなどが主催した夕食会で
講演し、司会のカーラ・ヒルズ元通商代表部(USTR)代表の質
問にも応じた。 (16:01) 
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米中首脳会談 イラン・貿易進展なし 対北、米に柔軟性要求

 【ワシントン=有元隆志】ブッシュ米大統領は二十日、ホワイト
ハウスで訪米中の中国の胡錦濤国家主席と会談した。大統領は会談
後、イランの核問題をめぐって、双方がイランの核兵器の開発を阻
止することで一致したと述べるとともに、北朝鮮の核問題に関して
「朝鮮半島の非核化は米中の共通利益だ」との認識を示した。
 イラン問題について大統領は「われわれはすべてについて合意し
たわけではない」とも指摘。経済制裁を可能にする国連安全保障理
事会決議の採択を目指したい米国に対し、ロシアとともに制裁に反
対する姿勢を崩していない中国と、完全な一致点は見いだせていな
いことを明らかにした。大統領は、イランの核兵器開発を阻止する
ため、制裁措置の発動も視野に入れるべきだとの考えを示した。
 一方、胡主席は北朝鮮の核問題について、六カ国協議の早期再開
に向け米国が柔軟性を示すことを希望すると述べた。
 貿易問題については、大統領は具体的な進展はなかったと述べ、
人民元の切り上げについて中国側の努力を評価しつつも、一段の切
り上げを求める考えを示した。
 台湾問題に関しては独立を支持せず、「立場に変更はないと胡主
席に伝えた」と述べた。
 会談に先立つ歓迎式典で、大統領は中国における人権の尊重と信
仰の自由の重要性を取り上げていく方針を表明、「中国は集会や言
論、信仰の自由を認めればより成長する」と語った。
 首脳会談に続き、大統領夫妻主催の昼食会が開かれる。米中首脳
会談は昨年十一月にブッシュ大統領が訪中して以来。
(産経新聞) - 4月21日3時55分更新

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