2315.日本の目指すべき目標



日本の目指すべき目標を検討する。        Fより

米国とイランがハルマゲドンの最終戦争に突入しそうな状況である
が、この戦争を抑止できる国際的な政治力がないことに非常に残念
な思いを味わっている。

日本の目指すべき目標は何か??
ということで、この目標をハルマゲドン戦争の防止として、このコ
ラムを始めたが、残念ながらその目標を達成できない状況になって
いる。本当に残念である。

再度、目標を立て直す必要が出てきている。
日本の目標は、ただ単に日本の富を増やすことではなくて、日本の
国の価値を高めて、この国の価値で世界に平和と安定、富を提供す
ることであると考えている。

ドイツ人のシュタインは、「世界の文化はアジアに始まって、アジ
アに帰ってくる。それはアジアの高峰日本に立ち戻らねばならない。
我々は神に感謝する。我々に日本という尊い国を作っておいてくれ
たことを・・・」と日本と賛美したが、今、この言葉を実現する必
要を世界は日本に感じている。特に、米国は自分で世界の問題を解
決できなくなっている。誰かに任せたいと思い始めているようだ。

なぜ、日本なのか??
日本は、、世界にも稀な純粋な農耕民族国家であり、その農耕民族
が収めている同一民族の国家で、基本的に平和で、少数の異民族と
の和を尊ぶ民族である。異民族戦争の悲惨さも知らない。このため
、数千年前からアミニズムの神道を信じている。その中に自然崇拝
があり、祖先との輪廻を信じている。

この日本の文化から出る政治力を今、世界は必要としているように
感じる。一神教のキリスト教国家である米国やイスラム教国家のイ
ランの考え方では、平和な地球を構築できない。悪と正義の戦いを
既定してしまう。そこには話し合いという妥協を許さない。日本人
は、何かケンカが起きると、話し合いで解決しようとするが、その
余地を作らないのが日本以外の世界である。

ジョセフ・ナイのソフトパワーが日本を高めているという気がする。
寿司や天ぷらなどの日本食、宮崎駿の劇画や畳などの家具、それと
車などの日本文化を体現している物が世界的に売れている。その裏
打ちしているのは、神道精神というソフトパワーであると見ている。

そのソフトパワーを世界に見せたのが、サマワでの日本の自衛隊の
行動であった。軍政は難しい。サマワで日本はその地域の郡長たち
と個別にそれぞれの要望を聞き入れて、対応したために自衛隊の居
るサマワは他県に比べても平和な地域になっている。郡長とその部
下たちが自衛隊を守るために、テロ組織が自衛隊近傍に長くいられ
ない。このため、一過性の事件でしかない。不満があると事件を作
る郡長はいるが、それに対して、日本の自衛隊は不満を聞きに行く
という他軍では、考えも付かない行動をしている。

自衛隊を護衛する豪州軍が日本の自衛隊といると自分たちも安全で
あり、自衛隊が居る限り、自分たちも日本の自衛隊と一緒にいたい
と言わしている。軍の統治は難しいが、これを見事に成し遂げたこ
とで、自衛隊への期待感が米軍やEU軍で増している。

日本人の精神がこのような行動を起こしている。自衛隊の隊員が特
殊な日本人ではない。礼儀正しい一般の日本人の意識と同じである。

外交力は軍事力の質で左右されるが、今までの軍事力とは違う、異
民族間のいざこざや異国での軍政など、PKOで日本の自衛隊は大
きな力を発揮している。この軍事力を有効に活用して、日本は外交
力、国際政治力を高めることが必要になっている。

そして、その日本の外交力で、世界に平和を築くことが当面の目標
でしょうね。まずは、ハルマゲドンで核の汚染が起こる中東地域で
の除去作業と核兵器の破棄を推進することだと思う。
==============================
http://www.nikkeibp.co.jp/news/biz06q2/501115/
日下公人氏/東京財団前会長  4月6日公開
第25回
これから日本は世界の「リーダーの一員」になる

 日本向け商品はやがて海外でも売れる
 日本型経営を見てみると、これは非常に優れた仕組みだ。でも、
日本型経営はよすぎて、それに甘えてぶら下がる人が増えてしまっ
た。こうした人たちは切り落とさなければいけない。

 日本の社長の多くは問題を解決するとき、力が弱い方へ、しわ寄
せしようとする。力が強い方へ、しわ寄せしたらわが身が危ないか
らだ。弱い方へしわ寄せして会社を黒字にすれば、社長の手柄にな
る。だが、そんなことをやるのを人でなしというんだ。経団連で僕
がそういうと、経団連に集う経営者たちは「いやいや、これがグロ
ーバル・スタンダード、これが合理的な経営である。アメリカの風
を入れて日本は生まれ変わるのだ」といっているけれど。

 このように、弱い方へしわ寄せしてきた結果が、そろそろ出てき
た。
僕が昔からいっているのは、「アメリカ向けの輸出商品をつくる会
社はアメリカ型でやりなさい。日本向けの商品をつくる会社は日本
型経営でやりなさい。日本型のほうが断然クオリティが高いのだか
ら。クオリティが高いものをつくるのは、クオリティの高い社員を
並べて、みんなで心を合わせて思いを尽くして磨き上げていかなけ
れば高いものはできないのだから」ということ。そのようにしてつ
くった製品は、まず日本国内で売れる。やがて外国でも売れる。

 そんなことをいったところで、誰も賛成者はいなかった。「それ
は限られたもので、美術工芸品か、マンガかアニメだろう」といわ
れたが、今やトヨタ自動車のレクサスで、その通りになった。ある
いは液晶テレビとか、プラズマテレビとか。そうした工業製品でも
、日本風、日本式、日本向け、純国産が外国に売れるようになった。
こんな現象から、そろそろ僕の意見にも賛成者が増えてきた。

日本型経営でなければ高品質製品はつくれない

 アメリカと日本のテレビ番組は全然違う。日本の番組では、霞が
かかった山に蝶が飛んでくるとか。俳句や和歌になるような映像が
流れる。それを映すには、やはり液晶やプラズマでないとダメ。大
画面ならなおよい。そうすると30万円でも買う人がいる。だから技
術が進歩するのだ。

 ところがアメリカでテレビ番組を見ていると、ボクシングで殴り
合いをしていたり、アメリカン・フットボールで取っ組み合いして
いたり。ロックンロールをやっているとか。“頬を流れる汗のひと
しずくを映さないとスポーツ番組でない”などという発想はない。

 だからブラウン管のままでもよかったのだろう。しかし日本製の
テレビが輸出されたら、「あら、こっちがいい」となった。アメリ
カ人も文化風流に目覚めたのだ。日本はアメリカ人の心を変え、そ
して製品も売り込んでいることになる。そういう時代が始まって、
今の貿易黒字につながっていると僕は思う。

 日本型経営で「お互いに仲良く死ぬまで情報は共有しよう」とい
う働き方でないと、日本のような高品質の製品はつくれない。だか
ら、そういう経営をしている会社が黒字になって株価が上がり、ア
メリカ型でバッサバッサと社員の首を切った会社は株価が上がって
いない。そういうふうに、もう結果が出ているのだ。合理主義とい
うのは、もっと深い意味で合理的でなければいけない。


頭がよく独創性もありセンスもいい日本人

 いま、日本国民が求めているのは、10年、あるいは100年くらい先
の長期展望なのだ。これまでそういう話が全然なかったから、そろ
そろ誰か話してくれないかなということだと思う。

 では日本をどう見るか、どう心得ればいいか。今までは「日本は
世界の片隅だ」とか、悪口ばかりだった。これからは、それを逆に
して「日本人は頭がよく、独創性もある。真似だけじゃないし、セ
ンスもいいのだ。それはつけ焼刃ではなく、この風光明媚な日本列
島がつくったセンスなのだ」というようになればいい。 

 日本には2000年を超える歴史があって、その間にセンスを培って
きたわけだ。だから日本人のマナーとか、身のまわりの道具とか、
いろいろなところにそれが生きている。しかし欧米にはそのセンス
があるわけがない。もっとも、「欧米にはない」といい切ってしま
うと、「いや、そのわりにはあるな」と思えるわけだが。とにかく
、これからはそういう議論ができるようになるのではないかと思っ
ている。

 そのような視点からブッシュ大統領を見る。小泉首相を見る。さ
らに、その先を見る必要がある。やがて日本も発言する時代になっ
たとき、アメリカはブッシュの次には何をするのか。何を考えるの
か。今はアメリカの大統領は、怒鳴りつければ日本はついてくると
思っているかもしれない。

 でもそうではなくなったとき、品格あるアメリカのエリートはワ
シントンに、アメリカ政府に集うのだろうか。我々日本人は、そう
いう目でアメリカを見ていく必要があるのだ。

外交三原則を守って主張を示せ

 日本は国際社会の一員としてではなく、国際社会のリーダーの一
員になる。「サミットに呼ばれた」ではなく、サミットを日本が召
集しなければいけないのだ。そこを基に、国連を変えていかなけれ
ばいけない。「常任理事国に入れてくれ」ではなく、「国連をこう
変えろ。変えないのだったら日本は脱退する」という態度を示さな
ければならない。

 そのように国際社会そのものを変えて、自然にリーダーの一員に
納まっていくことが大事である。リーダーとして発言すべきことが
あれば、口下手な日本は口の上手なアメリカ人やイギリス人にいっ
てもらえばいい。

 そういうとき、今までの日本人は“アメとムチ”の“アメ”ばか
りだった。日本人が“ムチ”は使わないことは、すでに見透かされ
ている。だから“ムチ”も使ったほうがいい。

 正しい日本理解を話した人にはアメをあげて、曲がった日本論を
展開した人は罰しなければいけない。日本ではそれは「仕返し」だ
とか「罰する」だとかいう言葉になってマイナスイメージで捉えら
れるが、生きていくためには必要なことなのだ。そういう“アメと
ムチ”の勉強をして、両方をやっていく必要がある。

 日本には「外交三原則」というものがある。その1番目は「日米同
盟が機軸である」ということ。2番目は「国際社会の一員であること
を肝に銘じて暮らす」ということ。これは第二次大戦で世界中を敵
に回すようなことをしたからだ。本当は日本は世界を敵に回したわ
けではないのだが、それでも世界は怒った。

 日本はそのことに懲りて、それ以来、世界のことに口出しはしな
くなってしまった。「世界がお決めになったらそれについていきま
す」というのが外交原則の2番目だと理解していいだろう。そして外
交原則の3番目は「アジアの一員であることを忘れるな」ということ。

 僕は、この原則の通りにやればいいと思う。いつの間にか、1番目
だけを意識してアメリカのいうことを聞くだけになってしまった。
それはイージーすぎたと思う。それでは「外交一原則」になってし
まうのだから。

 ちゃんと「外交三原則」に戻して、その上で日本がリーダーシッ
プを取りなさい。日本の主張として「世界の21世紀の精神はこれだ
」と示しなさい。そういうことが日本の自信回復につながっていく
のだ。
日下公人氏(くさか・きみんど) 


コラム目次に戻る
トップページに戻る