2298.日中関係正常化へ



この頃の自民党の動きは日中関係正常化に向かっている。Fより

自民党の中川政調会長が中国側に首脳会談を打診したことで中国と
の関係改善をする必要が分かる。この中国との関係を改善すること
を米国国務省から依頼されているようである。急に関係改善を急ぎ
始めている。対中強硬派の麻生外務相が靖国神社のA級戦犯問題を
発言して、かつ中川政調会長が中国に行ってまで、関係改善の糸口
を探ることになる。

ライス長官はパウエル前長官と同様にリアリストであり、米国国益
を最大限にするために、だれとでも、ロシアでも中国でも協調する
考えも持っている。
米国には、リベラル派、リアリスト派、ネオコン派、保守本流、モ
ンロー派などの政治的な集団があり、その勢力の政権内ポジション
で政策が変化する。

今までは、理念を持って政治を行うネオコンが政権内で大きなポジ
ションを占めて、チュイニーの保守本流と合同で政権を支えていた
が、イラク戦争の長期化でネオコンが政権内から追い出されて、リ
アリストと保守本流の合同で政権を支える体制になっている。

日本人は、どうも共産主義やネオコンなど理念に基づいた政治が好
きなようで、日本の評論家がネオコンの主張をオウムのように繰り
返していた。そのような頭が悪い評論家しか日本にはいないのが嘆
かわしいが、現実世界はそう簡単ではない。このため、理念政治は
どこかで行き詰る。そうすると、リアリズムに戻るしかない。

リアリズムの中心的な考え方が地政学であり、その観点から世界を
見る習慣が必要になる。そして、地政学者は評価しないが、米国で
バーネットの理論が注目されている。イスラム圏の市場化が最重要
な課題であり、その課題を達成しないと世界が安定しないという理
論である。これに米国の政治は影響されている。このバーネット理
論はネオコンの主張も部分的に取り入れている。

しかし、イスラム教圏と戦いをすると文明対決になり、世界戦争に
なるので回避してイラン核問題だけを解決したのが、今のライス国
務長官である。

そして、このイラン核問題でも、常任理事国である中国の協力を得
る必要がある。この中国から米国務省に対日圧力を要請されて、ゼ
ーリック副長官が日本に来て、日本政府の努力を要請している。

中国も日本対応を悪化させているが、悪化すると中国も大きな損を
被ることになる。日本からの経済支援の円借款が無くなると中国の
インフラ整備や環境問題の解決が遠のくことになる。両国にとって
いいことではない。その機運が芽生えてきているように感じる。

日本は中韓以外のシンガポールやインドネシア、フィリピンからも
批判が出ているA級戦犯問題がある靖国神社参拝を棚上げするしか
ない。中国も大陸棚の領有権を盾に資源開発を止める必要がある。
両国が歩み寄るしかない。
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日中首脳会談を打診 自民・中川政調会長、中国側に(ASAHI)
2006年03月25日06時09分

 自民党の中川秀直政調会長が、中国の胡錦涛(フー・チンタオ)
国家主席のブレーンである鄭必堅(チョン・ビーチエン)・改革開
放フォーラム理事長と22日に都内で会談し、小泉首相の9月の退
任前の首脳会談開催を打診していたことが明らかになった。首相の
靖国神社参拝をきっかけに中国側は首脳会談を拒んでいるが、中川
氏には「ポスト小泉」時代をにらみ、日中関係の改善を進める狙い
があるとみられる。だが、中国側が当面、応じる可能性は低い。 

 鄭氏は新日中友好21世紀委員会の中国側座長として来日中。会
談は、都内のホテルで非公式の朝食会の形であり、公明党の井上義
久政調会長らも同席した。 

 複数の出席者によると、中川氏は「小泉首相の後継者が靖国神社
参拝に積極的にならないようにするためにも、首相が9月に辞める
までの間にぜひ胡主席と会談したい」と提案。さらに、中国側が問
題視している靖国神社へのA級戦犯の合祀(ごうし)について「国
内問題なので日本自身で解決する」とも語った。A級戦犯の分祀な
どの具体策には触れなかったという。 

 中川氏は、今回の提案は小泉首相の意向を受けたものではないと
説明している。ただ、中川氏には、最近の日中関係悪化の最大の原
因となっている靖国神社問題を小泉政権のうちに清算しておきたい
との狙いがある。 

 中川氏の提案に、鄭氏は「本音の話をできたのは両国にとってよ
いことだ。提案は胡主席に伝える」と答えたという。 

 日中間では昨年4月に首相と胡主席がジャカルタで会談してから
は、国際会議の場を利用しての首脳会談も途絶えている。中国側は
昨年10月の小泉首相の5度目の靖国神社参拝で態度をさらに硬化。
日本通の唐家セン(タン・チアシュワン)国務委員が「小泉首相に
はもう期待していない」と発言するなど、「小泉抜き」で関係改善
を進める姿勢を鮮明にしている。 

 鄭氏は胡耀邦・元共産党総書記の秘書を務めた。現在は党や政府
の役職には就いていないが、胡主席のブレーン的存在。ただ、中川
氏の提案が胡主席に伝えられたとしても、中国指導部が小泉首相と
胡主席との会談に踏み切る可能性は低いとみられる。 
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「中国発展日本の利益」 JICA緒方理事長 支援の重要性強調

 【北京24日傍示文昭】中国を訪れていた国際協力機構(JICA
)の緒方貞子理事長(元国連難民高等弁務官)は二十四日、北京で
記者会見し、冷え切っている日中関係を背景に日本国内で対中支援
に消極的な意見が出ていることに関し「巨大な隣国の安定的な発展
は、日本の利益にもつながる」と述べ、人材育成や環境保護など対
中技術協力の重要性を強調、JICAとして今後も環境、保健衛生
、農村の三分野を中心に対中支援を続ける考えを示した。

 緒方理事長は十二日に中国入り。四川、貴州両省などでJICA
支援事業の現場や農村を視察し、北京では唐家〓(トウカセン)国
務委員や李肇星外相、徐冠華科学技術相らと会談した。

 会見で、緒方理事長は「日本の一部には中国の発展に対する一種
の不安感もあるが、双方の共通認識を育て、ともに発展することが
大事だ」と指摘。唐国務委員との会談では「中国も途上国支援を実
施する中で、日中両国が共同で行える事業を検討する時期に来てい
る」との見解を示したことも明らかにした。
(西日本新聞) - 3月25日2時18分更新


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