2279.中国の反米行動



中国の胡錦涛体制に荒波が押し寄せているようだ。   Fより

中国解放軍の下士官が農村と都市の格差拡大に不満を持っている。
この解決を胡錦涛主席に要求している。その軍下士官に宋平氏など
重臣たちも同調しているようだ。このように、軍部は胡主席より江
沢民派である曾慶紅を支持しているという。その意味では、まだ軍
を胡主席は十分に把握できていない。軍部は胡主席の判断力のなさ
を追求しているように感じる。そして、軍下士官の要求実現には、
都市部の繁栄を農村部に還元することになる。

都市では反対に、報道も規制強化する中国共産党執行部に不満が出
ている。中国共産党青年団の週刊紙停刊に対して、ネット上に当局
批判が相次いでいる。報道の自由化から報道の規制に中国はシフト
した。それも、共産党員でも自由な発言を許さない方向に変化した。
今までは、共産党員には比較的自由な発言を許していた。民主化へ
の移行ではなくて、共産党独裁体制の維持を胡主席は図っている。

格差是正には都市部にある企業に農村部からの出稼ぎを多く雇わせ
る必要もあるが、外資が多くなり、かつ技術を中国に移転しないた
めに、徐々に外国企業の参入条件を厳しくしている。それと、外国
企業の活動範囲を狭める処置もしている。情報の透明性がないため
に、海外企業には突如、法律変更として襲い掛かることになる。
このように、国内企業の保護を中心にすえ始めている。その影響が
いろいろな分野に出てきている。

中国国内企業の技術力を上げるために、中国政府は部品などの技術
優秀企業を誘致している。しかし、日本企業は最先端技術を日本国
内に温存する方向にシフトして、技術の流出を防ぐ方向である。
このような傾向は欧米企業、台湾・韓国企業も同様であり、それが
益々、中国政府の外資規制に直結し、国内産業育成にシフトする理
由でもある。

中国は国内に資源がない石油資源獲得を目指して、反欧米諸国での
資源獲得を狙って、ベネズエラやイランなど問題が多い国家と友好
関係を結んでいる。しかし、周辺諸国とイランなど友好国との間の
問題を認識せずに行動している。ここに中国の落とし穴があるよう
に見える。

このため、イランの石油資源を手に入れるために、米国の世界戦略
上、大問題を起こしているイランに中国は経済協力している。友好
関係を維持するようである。そこで米国と激突しそうである。

しかし、中国は米国との友好関係を促進するために、米国の経済法
を中国の経済法にするなど、中国外務省米国局は頑張っているが、
中国石油政策はエネルギー省と省が違うために、親米政策にならず
に、結果的に反米政策を取っている。そういう意味では中国の政策
はばらばらになっている。軍部も反米的であり、この方向を支持し
ている。

そして、台湾の陳総統は反米的な中国の動きを捉えて、「国家統一
綱領」を事実上の廃止という手段を取り、両岸関係に緊張を起こし
ている。これは中国に対する二正面作戦を仕掛けているように見え
る。米国国務省は懸念を表明したが、中国は2軍区で台湾攻撃演習
を開始した。

米国は中国の動きに対応して、インドとの友好関係を促進すること
で、中国をけん制している。米国の第一優先順位が中東地域の安定
であり、アジアは第二優先順位以下であるが、中国のように中東情
勢に敵側で介入してくると、米国も対抗手段を取るしかない。

中国の省間でばらばらな政策を一本化するとか、不作為で反米行動
を取ることを制御するのが、中国の指導部であるが、胡主席は国内
官僚の経験しかない、海外経験がない。このため、外交がよくわか
らないようだ。ここが上海で外国企業、海外の政治家と対応した江
沢民前主席とは違う。世界的な政治の動きが分からないために、米
国の動きの変化に追従していない。

中国国内の不満や格差を問題にして、海外対応を国内より低く考え
ている。このため、エネルギーも海外から買うという選択肢を望ま
ない。自分で開発し、持ってくるという選択になる。それと官僚育
ちの胡主席は判断力が優れているというより、いろいろな意見を尊
重する組織人である。このため、判断が遅い。ここが中国の問題点
のような気がする。
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中国が新農業対策 都市部との格差解消へ 教育、医療充実盛る

 【北京22日傍示文昭】中国政府と共産党は二十二日、年間の最
重点課題を示す「中央一号文件」を発表し、農業対策の柱となる「
新農村建設」の概要を明らかにした。(1)生産力の増大(2)生
活レベルの向上(3)民主的な組織運営の実現―など五大目標を掲
げ、農村での義務教育費の免除や医療体制の整備を明記。今年から
始まる第十一次五カ年計画中に、社会問題化している「三農(農業
、農村、農民)問題」を改善し、都市と農村の貧富の格差解消を目
指すとしている。

三月五日に開幕する全国人民代表大会(全人代=国会)で決定する。

 共産党は昨年十月の第十六期中央委員会第五回総会(五中総会)
で、第十一次五カ年計画の基本方針を採択し、省エネ型社会の実現
などと同時に「新農村建設」を提唱していた。

 今回、発表された概要は同計画を実行に移すための第一弾で、農
民の負担軽減のため農業税を全面撤廃し、農村での義務教育費の免
除を明記。医療体制の整備に向け、二〇〇八年から新たに「農村合
作医療制度」を導入するとしている。

 さらに、戸籍上の農村人口九億四千万人のうち、実際に農村に居
住しているのは七億五千万人で、二億人近くが「農民工」と呼ばれ
る出稼ぎ労働者として都市部に流入。三農問題は「農民工」を加え
た「四農問題」に発展したとも指摘されており、農民工の利益を守
るための施策にも取り組むことを打ち出している。

 発表によると、昨年の都市部住民一人当たりの平均所得は一万
四百九十三元(約十四万七千円)だったのに対し、農民は三千二百五十五元
(約四万五千六百円)で、所得格差は三・二二倍となっている。
(西日本新聞) - 2月23日2時21分更新
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中国にらみ米印首脳会談 戦略的関係強化で合意 

 インド訪問中のブッシュ米大統領は2日、ニューデリーでシン首
相と首脳会談。政治、経済、軍事などあらゆる面で両国間の戦略的
関係を強化することで合意した。

 両首脳は「民主主義の価値を共有するパートナー」として両国関
係の基盤固めに成功、台頭する中国をにらみ、地球規模や地域の問
題での協調を進めていくことを確認した。

 両首脳はまた、インドの原子力発電などへの米国の技術提供を可
能にする民生用核技術協力問題も協議。核施設を軍事用と民生用に
分離し、民生用施設を国際原子力機関(IAEA)の査察対象にす
る作業での合意を目指す。(共同)
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米国防副長官「中国への軍事的優位、維持が必要」
(nikkei)
 【ワシントン支局】イングランド米国防副長官は1日、下院予算委
員会で証言し、中国との協力関係を強化する一方、米国の軍事的優
位を維持する必要があるとの考えを示した。

 副長官は委員会に提出した書面で「中国は軍事的に米国の競争相
手となる潜在能力が最も高く、科学や技術、経済の面でも台頭して
いる」として、軍事的脅威を指摘。中国などの新興勢力が米国に敵
対する方向を選ぶ可能性もあると警告した。 (15:01) 
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台湾、「国家統一綱領」を事実上廃止・中国の反発必至
(nikkei)
 【台北=山田周平】台湾の陳水扁総統は27日、中国との統一の条
件や段取りを定めた「国家統一綱領」の適用を終え、事実上廃止す
ることを表明した。陳総統は2000年5月の就任時に同綱領の維持を明
言し、国際社会は陳政権が中台関係の現状維持を志向する公約の1つ
と見なしてきた。綱領廃止は「法理上の台湾独立」とも解釈でき、
中国は反発している。

 陳総統は同日、安全保障問題に関する総統府の諮問機関「国家安
全会議」の首脳会議を招集。李登輝・国民党政権時代の1990年に総
統府内に設けた「国家統一委員会」の事実上の廃止と同委が91年に
定めた同綱領の適用終了を決議した。 (22:27) 
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米国務長官は「アジアや豪軽視」 アーミテージ前副長官(ASAHI)
2006年03月04日12時05分

 「第1期ブッシュ政権で向けていたような注意を(現政権は)ア
ジアに向けてこなかった」。第1期ブッシュ政権で国務副長官を務
め、アジア通で知られるアーミテージ氏が豪紙オーストラリアンの
取材に対し、ライス米国務長官が東南アジアやオーストラリアを軽
視していると批判した。3日付と4日付の同紙(電子版)が報じた。 

 ライス国務長官は昨年7月にラオスで開かれた東南アジア諸国連
合(ASEAN)の地域フォーラム(ARF)を欠席。同紙による
と、長官は就任後に約60カ国を訪問したが、東南アジアではタイ
一国を訪れただけだ。 

 オーストラリア駐在の米大使は約1年空席が続いている。このた
め、東南アジア諸国などには「米国の関心が薄い」との不満が出て
おり、アーミテージ氏は現政権のこうした対応について「大きな間
違い」と述べた。 

 アーミテージ氏はまた、「人口統計的、軍事的、経済的にも世界
の中心はアジアに移っていく」としてアジアの重要性を強調し、「
アジアについて議論を深めていくときだ」などと語った。 

 これに対し国務省のエアリー副報道官は3日の会見で、スマトラ
沖大地震・津波による被災の救援に力を入れたことなどを列挙。「
事実は米国がアジアを重視していることを雄弁に物語っている」と
反論した。 
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中国週刊紙の停刊、ネット上に当局批判相次ぐ(ASAHI)
2006年02月21日20時13分

 中国の週刊紙「氷点週刊」の停刊問題で、報道関係者や元党幹部
、学者など国内から次々と抗議文が発表されている。抗議はいずれ
もネット上で公表され、規制のすき間を縫って広く伝わった。当局
が報道規制と共にネット規制も強める中、メールやブログを自在に
使って対抗する新たな動きが起きている。 

 メディア関係者によると、停刊処分が決まった先月末、当局は全
国のプロバイダーに一切情報を流さないよう命じた。李大同前編集
長のブログも直後に閉鎖された。 

 しかし、翌日には多くの海外メディアが停刊処分を報道。李氏は
「当局はネットの封鎖が事実上不可能だということをまだ知らない
のだ。私は読者にメールを送っただけなのに、翌日には世界中が知
っていた」と話す。 

 その後、ネット上で当局への批判が相次いだ。いずれも中国から
の接続が規制された米国の中国語ニュースサイトに掲載されたが、
ほどなく国内でも内容が広く知られるようになった。 

 あるメディア関係者によると、抗議文は「中国人の人のつながり
」を通じて規制のすき間を縫っていくという。メールに張り付けら
れて国外に伝わってサイトに掲載され、海外や香港で見た人たちが
メールに添付して中国の知人に送る。それが国内のメールやブログ
、掲示板などで広く知られるようになるというわけだ。 

 政府系紙の30代の男性記者も友人からのメールで一連の抗議を
知った。この記者はメールアドレスを二つ持っており、うち一つは
米国のフリーメール。政治色の強い内容はこちらで受け取るといい
、多くの記者がこのように使い分けている。 

 当局はブログへの検閲も強めており、政府批判などが書き込まれ
たブログの閉鎖も相次ぐ。しかし、閉鎖後も、開設者はこっそり別
のサイトで匿名でブログを再開し、知り合いだけにアドレスを教え
て情報を流し続けることも少なくない。今回の抗議文の一部も、そ
のように公表された。 

 「当局の規制に反感を持つ中国人の知識人は国境を超えて太くつ
ながっている。ネットはそれを支え、発展させる役割を果たし始め
た」と話すメディア関係者もいる。 
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対中投資ブーム陰り 内需主導型へ転換反映か 
2006/3/4  TrackBack(ビジネスーアイ)
 
 中国国家統計局が発表した「二〇〇五年国民経済・社会発展統計
公報」によると、昨年の中国の対外貿易は、国内総生産(GDP)
成長率が9・9%と高度成長を続けたのを背景に、往復で一兆四千
二百二十一億ドルに達し、前年比23・3%増と好調な伸びを記録
した。しかし、その一方で、海外からの投資額は実行ベースで六百
三億ドルで、同0・5%のマイナスとなり、ここにきて、対中投資
ブームにも陰りがみえてきたともいえそうだ。(上原隆)

 公報によると、輸出は七千六百二十億ドルで、前年と比べ28・4
%増加し、過去最高を更新、輸入は六千六百一億ドルで、17・6
%増えた。

 輸入が輸出ほど伸びなかったのは、国内経済が投資部門の一時の
過熱が冷める局面に入ったことを反映し、原材料や部品などの輸入
需要が減少したものとみられる。

 輸出額を分野・品目別にみると、一般貿易が三千百五十一億ドル
で、前年比29・3%の伸び。加工貿易は四千百六十五億ドルで、
同27・0%増と依然堅調に推移した。

 機械・電気製品の輸出額は四千二百六十七億ドルで、前年比で
32・0%増加し、中国が依然として「世界の工場」であることを
象徴した。

 輸出額全体に占める加工貿易のシェアは54・6%に達しており
、中国の輸出構造が部品や原材料をいったん輸入し、再輸出する委
託加工中心であることを裏付けた。

 主な輸出相手国は、米国が千六百二十九億ドルで前年比で30・0
%増加し、トップとなった。次いで、欧州連合(EU)が千四百三十七億
ドルで、前年と比べ34・1%と急増した。日本は八百四十億ドル
、同14・3%増で第三位だった。

 このほか、ASEAN(東南アジア諸国連合)が五百五十四億ド
ル、同29・1%増、韓国が三百五十一億ドル、同26・2%増と
なった。

 ロシア向け輸出は百三十二億ドルで、同45・2%の激増、中露
経済関係の緊密化を浮き彫りにした。

                   ◇
 ■外国企業の投資認可0.8%増

 一方、外国企業の合弁企業設立など対中投資プロジェクトは、認
可ベースで四万四千一件で、前年比0・8%増と微増にとどまった。

 対中投資は実行ベースで、製造業が四百二十四億ドルで全体の
70・4%のシェアを占め、生産拠点としての中国の地位の高さを
示しているが、伸び率では前年比1・3%のマイナスとなった。

 中国では人件費など各種コストの上昇、年間二十万件を超える労
働争議など投資リスクが高まる傾向にあり、海外企業の中国離れの
予兆ともとれる。

 次いで不動産向け投資は五十四億ドルで8・9%のシェアを占め
たが、投資額は前年比でマイナスに転じており、上海など沿海地域
の大都市の不動産バブル景気にもブレーキがかかり始めたようだ。
このほか、農業、鉱業、建築業、ホテル・外食、金融業向け投資が
マイナスとなっている。

 逆に、輸送・倉庫業が同42・4%増、流通・小売業が同40・4
%増と大きく伸びており、情報通信・コンピューターソフト開発が
同10・7%、科学研究開発が同15・8%と二けた増となった。

 こうした投資分野の変化は、中国経済が建設など投資主導の成長
から、内需主導、消費牽引(けんいん)型の発展への転換を目指し
ていることを反映したものといえる。

 中国政府は今後、無秩序で粗放な経済発展から調和のとれた持続
可能な循環型経済への移行を図る方針で、対中投資の構造も中長期
的に変化を迫られることになりそうだ。  


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