2273.イラク内戦危機



イラク情勢も危機的な状態にある。この考察。  Fより

イラクがシーア派とスンニ派の戦いになっている。米軍はこの戦い
を修復できない。両派から米軍が信用されていないために、有効な
介入ができない。イラク政府の警察も軍も無力である。それより、
民主化プロセスの構築ができなくなり、イラク統一政府という仕組
み自体ができなくなる可能性もあると見える。

そして、内戦が本格化するとイラクが中東におけるシーア派とスン
ニ派の代理戦争をする可能性もあり、サドル師が率いるシーア派マ
フディ軍とスンニ派国際ゲリラ組織、旧フセイン政権軍が衝突する
ことになる。

イラクのシーア派シスターニ師が同じシーア派のサドル師に報復を
止めるように勧告しても、この1年でシーア派のモスクがスンニ派
ゲリラの襲撃や自爆テロで1000人以上死亡している。もう我慢
ができない状況に来ている。スンニ派はイラクでは少数派であり、
イラク国内戦争に巻き込まれると多数派でかつイランからの支援が
期待できるシーア派に勝ち目がない。

このため、スンニ派諸国、サウジ・エジプトなどの大国からのゲリ
ラ兵と宗教的な喜捨の資金を使って、シーア派と対決することにな
る。スンニ派ゲリラには給与が出ている。戦闘手当てまである。こ
の資金はスンニ派の喜捨であり、スンニ派の富豪は、儲けの5%を
スンニ派の宗教組織に喜捨している。

対するシーア派もイランの資金とイラク国内のシーア派地域の石油
資金を使い、兵力としてもイラン革命軍の義勇兵をマフディ軍など
の民兵組織に派遣している。このため、一度、イラク国内での戦争
が起こると、中東全体のシーア派とスンニ派の戦いになってしまう
ことになる。
その危険が益々大きくなっている。しかし、中東全体の戦いになる
とスンニ派が断然優位になる。この優位性をシーア派のイランは防
止するために核弾頭が必要なのだ。イスラエルだけがイランの核ミ
サイルを恐れているわけではないことを知ってほしいのです。

この続きは明日、イラン核問題で述べることにする。
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シーア派30人以上が死亡、報復合戦の様相 イラク(ASAHI)
2006年02月25日22時44分

 イラク中部のシーア派聖地カルバラなどで25日、シーア派住民
への攻撃が起き、シーア派を中心に30人以上の死者が出た。サー
マッラのシーア派聖廟(せいびょう)爆破に対する報復としてスン
ニ派を中心に200人以上が犠牲になった後、スンニ派武装勢力が
反撃に出たと見られる。状況は報復合戦の様相を見せ始めた。 

 イラク政府は、バグダッドと周辺3州に24日出した昼間の外出
禁止令を25日も延長した。カルバラでは外出禁止令が出ておらず
、にぎわう市場で25日午前、車が爆発。衛星放送アルジャジーラ
によると、買い物客ら5人が死亡、35人が負傷した。州当局によ
ると、遠隔操作による仕掛け爆弾で、スンニ派武装勢力によると見
られる。 

 同放送によると、外出禁止令が出ているディヤラ州の州都バクバ
では武装集団がシーア派の民家に押し入り、家族15人を銃殺した
。同州はスンニ派が多数だが、シーア派も混住している。 

 治安筋によると、バグダッド南部で、焼かれた車両の中から警察
の特殊部隊のメンバー14人の遺体が見つかったという。 

 イラク内務省は、26日も昼間の車両通行を禁止すると決めた。
ただ、この種の抑え込みが利かなくなった場合、スンニ、シーア両
派の衝突がさらに激化する可能性が指摘されている。 
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イラク首都マヒ 宗派抗争さらに激化

 【カイロ=加納洋人】イラク中部サマーラのイスラム教シーア派
の聖廟(せいびょう)爆破事件をきっかけに、宗派間の抗争が激化
しているイラクで二十五日、シーア派聖地の中部カルバラなど各地
でテロや戦闘が相次ぎ、内務省などによると少なくとも四十人が死
亡した。イラク移行政府は首都バグダッドでの車両通行を禁止した
昼間の外出禁止令を二十七日朝まで継続すると発表、三日続けて首
都機能が停止する非常事態となった。ドレイミ国防相はバグダッド
の街頭に装甲車両を出動させる用意があると言明した。

 現地からの報道によると、カルバラ中心部の市場では爆弾を積ん
だ自動車が爆発、少なくとも八人が死亡、三十一人が負傷した。同
地にあるシーア派最重要聖地のイマーム・フセイン聖廟の攻撃を図
ったが失敗したという。
 バグダッド北方のバアクーバ近郊では、シーア派住民の家に武装
集団が押し入り、家族ら十二人を殺害した。いずれもスンニ派過激
派による犯行の可能性が高い。
 一方、バグダッドではスンニ派モスク(礼拝所)でシーア派とみ
られる民兵と警察部隊が交戦するなど二カ所で衝突があり、うち一
カ所で警官十四人の遺体が見つかった。
 また、スンニ派の法学者団体「イラク・ムスリム・ウラマー協会
」幹部のハーリス・ダーリ氏の自宅が武装集団に襲撃され、銃撃戦
となった。同氏は移行政府の部隊が襲撃に関与したと指摘したうえ
で、「これは一方的に布告された内戦だ」とシーア派側を強く非難
した。
 シーア派連合会派「統一イラク同盟」の一角を占めるシーア派有
力政党イラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)指導者のア
ブドルアジズ・ハキーム師ら各派指導者が暴力停止を呼びかける動
きも出ているが、宗派対立を背景に始まった流血が収束する気配は
なく、宗派対立が内戦に向かうことを警戒する声も強まっている。
 昨年十二月の総選挙を受けて、本格政権樹立を目指す国民議会が
二十五日にも初招集される予定だったが、当面、招集は難しい状況
であり、イラク民主化に向けた政治プロセスにも深刻な影響を及ぼ
している。
 連立協議の中断を表明していたスンニ派会派「イラク合意戦線」
は同日、協議を再開させる可能性を示唆した。しかし、本格政権に
向けた連立交渉は、暴力的な宗派対立の噴出でさらに困難さを増し
ており、当初から春先まで遅れるとみられていた本格政権樹立がさ
らに遅れるのは必至の情勢だ。
(産経新聞) - 2月26日2時48分更新
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宗教対立の回避訴え イラク情勢で米大統領

 【ワシントン24日共同】ブッシュ米大統領は24日、ワシント
ン市内で「テロとの戦い」に関して演説し、内戦突入の恐れも指摘
されているイラク情勢について「この先、数日間は緊張が続く深刻
な状況だ」と危機感を表明、イスラム教シーア派とスンニ派の宗派
間対立を回避するよう強く訴えた。
 大統領は「イラク国民にとって選択の時」と述べ、イラクが民主
主義を進展させるか、内戦などの混乱に陥るかの岐路に立っている
との厳しい認識を示した。その上で、イスラム教の各宗派指導者が
自制を呼び掛け、イラク軍が治安の回復に努めている現状を評価し
、一段の努力を促した。
(共同通信) - 2月25日9時54分更新
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イラクの死者200人に シーア派とスンニ派の衝突で(ASAHI)
2006年02月24日22時02分

 イラク中部サーマッラで起きたイスラム教シーア派の聖地アスカ
リ廟(びょう)の爆破事件後、同国全土で続いているシーア派とス
ンニ派の衝突による死者は、24日朝までに約200人に達した。
ロイター通信が報じた。ただ、バグダッドなどで実施された異例の
外出禁止令により、24日は散発的な衝突にとどまっている。 

 ロイター通信によると、首都南郊ラティフィヤで24日朝、シー
ア派の家に武装勢力が押し入り、家族3人を殺害、子供2人を負傷
させた。また首都南部でも同日朝、シーア派強硬派サドル師派の民
兵とスンニ派武装勢力とみられるグループとの間で激しい銃撃戦が
あった。23日夜から24日朝にかけ、バグダッドで殺害された
20遺体が見つかっている。 

 首都と周辺の計4州で敷かれた午後4時までの外出禁止令の影響
で、通りから人通りが消え、首都は静まりかえっている。ただ、サ
ドルシティーなどサドル派の多い地域では、禁止令を無視してモス
クに出かける市民が多数いた。

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