2269.鳥インフルエンザ



鳥インフルエンザで死亡する人が出ているのと、感染した鳥の地域
が拡大している。      Fより

世界的な鳥インフルエンザの地域が広がっている。欧州やインド、
アフリカでも感染した鳥の死を確認できている。この鳥インフルエ
ンザで死亡する人も増えている。インドネシアや中国南部ではそれ
ぞれ10人以上になってきている。

日本でも鳥の大量死が起きているが、その都度、焼却処分をして感
染を抑えているが、この鳥インフルエンザの拡大の媒体は渡り鳥で
あり、その渡り鳥に接触した鶏が死ぬ構造である。しかし、とうと
う、渡り鳥の大量死が確認され始めている。

このウィルスが人から人に感染するような変異を起こすと、豪シン
クタンクの予想のような世界で1億人以上の死者が出る事態にもな
る。

このため、ウィルス抑制薬であるタミフルを世界的に製造すること
で、その権限を持つロッシュ社は世界的に製造権利を販売している。

日本では中外製薬がロッシュ社の子会社化したことで、製造権を持
っている。

しかし、ここで問題が出たのが、インドやアフリカなどの貧困国の
国民はタミフルを買えないことである。このため、特許権利期限後
の薬品と同程度の価格に抑えた価格にしないと、世界的な拡大を抑
制できない。

一部地域でインフルエンザが流行すると、今は飛行機でそのインフ
ルエンザが一日で世界中に拡散する事態になる。そのため、インド
・アフリカの流行も抑える必要になっている。病気もグローバル化
しているのです。

このため、ロッシュも折れて、低価格の売価のタフミルをインドで
製造することを許可した。
ハルマゲドンの前に、世界的な病気が吹き荒れる事態になるかもし
れないようですね。さあ、どうなりますか??
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鳥インフルエンザ]仏で初確認か 欧州、アフリカに拡大

 【パリ福井聡、ブリュッセル福原直樹】アジアから発した鳥イン
フルエンザ感染が欧州やアフリカ大陸へと広がり始めている。欧州
連合(EU)は緊急の専門家会合を開き、感染地域への鳥の輸送規
制などを強化することで合意した。

 フランス保健省は17日、仏中部ジョイユで死んでいた野生のア
ヒルが高病原性ウイルスH5N1型に感染した可能性が「非常に強
い」と表明した。確認されれば欧州最大の食用鳥類大国での最初の
感染例となる。現在、発見地点半径3キロ以内は立ち入り禁止とし
、同10キロ以内は野鳥監視区域に指定した。

 欧州第2の養鶏国オランダでもここ数日、中部で2羽の白鳥の死
体が発見された。現在のところ、同型ウイルスは未確認だが、政府
幹部は「感染した鳥が出るのは時間の問題」として、早急に養鶏の
予防接種をしたい考え。同国は03年に別なタイプの鳥インフルエ
ンザが流行し、約3000万羽を処分している。

 欧州内ではギリシャ、イタリア、オーストリア、ドイツ、スロベ
ニアで同型ウイルスに感染した鳥が発見されている。

 また、エジプト内閣報道官も同日、カイロなど3カ所で家禽(か
きん)からH5N1型が検出されたことを明らかにした。エジプト
での確認は初めて。アフリカではナイジェリアでも確認されている。
2006年02月18日10時01分 毎日新聞 
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鳥インフルエンザ死者、1億人超える恐れと 豪シンクタンク
2006.02.16
Web posted at: 16:11 JST
- CNN

シドニー(CNN) オーストラリアのシンクタンクが16日、高
病原性鳥インフルエンザが世界各地で流行した場合、最悪で死者は
1億4200万人に上ると発表した。経済損失は、4兆4000億
ドル(約520兆円)に達すると見積もっている。 

シドニーの「Lowy Institute For International Policy」は、鳥イ
ンフルエンザの流行程度を、過去に流行したインフルエンザと比較
し、4段階に分類。 

最も被害が少ない場合でも、香港風邪(1968─69年)と同程
度で、死者140万人、経済損失は3300億ドルと推計している。 

中程度の流行の場合は、アジア風邪(1957年)と被害が同程度
になると予測。深刻な場合は、約10億人が感染して5000万人
近くが死亡したスペイン風邪(1918─19年)に匹敵するとい
う。 

最悪の場合はスペイン風邪の被害を上回り、世界で1億人以上が死
亡。各国の死者は、中国2800万人、インド2400万人、フィ
リピン410万人、日本210万人、米国200万人、欧州560
万人に達するとしている。 

鳥インフルエンザ感染による死者はアジアを中心に増加しており、
世界保健機関(WHO)によると13日現在で、91人。今月上旬
には、欧州でも野生の鳥から、高病原性H5N1型ウイルスが検出
されており、感染被害は世界各地に広がりつつあり、人間への感染
が懸念されている。 
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インドでタミフル製造へ ロシュが製造権供与 
  
 スイスの製薬会社ロシュは23日、インフルエンザ治療薬の抗ウ
イルス剤タミフルの製造権をインドの製薬会社ヘテロドラッグスに
供与すると発表した。

 ロシュが発展途上国の製薬会社にタミフルの製造を認めたのは、
中国の上海医薬集団に次いで2社目。

 ヘテロドラッグスが製造するタミフルのコピー薬は、インドをは
じめとする発展途上国の政府の備蓄用に供給される予定。ロシュに
よると、ヘテロドラッグスは2006年上半期に供給を開始できる
見通し。

 タミフルはアジアを中心にまん延している鳥インフルエンザのウ
イルスが変異し、人の間で感染するようになった場合の効果が期待
されている。

 現在は需要に供給が追いついておらず、ロシュは今月12日、数
カ国の製薬会社12社と製造権付与の交渉を続けていることを明ら
かにしていた。
(共同)
(12/24 01:45)
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タミフル
http://hobab.fc2web.com/sub6-Tamiflu.htm

抗インフルエンザウイルス剤のタミフルの成分は、リン酸オセルタ
ミビル。
 タミフルは、インフルエンザ様症状が発現してから、2日以内(
48時間以内)に、投与を開始する。
 インフルエンザ患者と同居や共同生活をしている65歳以上の老
人は、インフルエンザ患者に接触後、できるだけ速やかに(インフ
ルエンザ患者に接触後、48時間以内に)、タミフルカプセルを、
1日1カプセルを、服用する(保険給付されない)。

 タミフルは、インフルエンザウイルスが有するノイラミニダーゼ
(NA)を、選択的に阻害し、新しく細胞内で増殖して形成されたイ
ンフルエンザウイルスが、細胞外に遊離・放出されること(発芽)
を抑制し、ウイルスの増殖を抑制する。

 1.リン酸オセルタミビル製剤のタミフル
 リン酸オセルタミビル(Oseltamivir Phosphate)は、プロドラッ
グであり、代謝により活性体に変換され、活性体(Ro64-0802)とな
る。
 インフルエンザウイルスは、表面のヘマグルチニン(HA)を介し
て、宿主の呼吸気道の上皮細胞のシアル酸に結合し、宿主の細胞に
感染する。インフルエンザウイルスは、宿主細胞内で、RNA鎖をもと
に、複製し、宿主細胞から、発芽(出芽)し、遊離する。複製され
た(増殖した)インフルエンザウイルスが、宿主の細胞から、発芽
・遊離する際に、インフルエンザウイルスは、ノイラミニダーゼ
(NA)により、シアル酸を破壊し、発芽・遊離を促進させる。
 リン酸オセルタミビルの活性体は、ヒトA型、及び、B型インフル
エンザウイルスのノイラミニダーゼ(NA)を、選択的に阻害し、新
しく形成されたインフルエンザウイルスが感染細胞から遊離するこ
と(発芽)を阻害し、ウイルスの増殖を抑制する。
 インフルエンザウイルスは、タミフルにより、ノイラミニダーゼ
(NA)を阻害されると、感染し増殖した宿主細胞から遊離出来ず、
ウイルス同士が凝集してしまい、他の宿主細胞に感染して増殖出来
なくなる(タミフルは、細菌を殺す抗生剤のように、ウイルスを殺
すのではないので、ウイルスは、残存する)。

 抗インフルエンザウイルス剤のタミフル(Tamiflu)は、リン酸
オセルタミビル製剤。
 タミフルは、インフルエンザ様症状が発現してから、2日以内
(48時間以内)に、1日2回(1回1カプセル)投与を開始する。
症状が発現してから48時間以後に投与を開始した場合は、有効性
が確認されていない。

 治療目的の投与量は、成人には、オセルタミビルとして、1回
75mg(1カプセル)を、1日2回、5日間、経口投与する。幼小
児には、オセルタミビルとして、1回2mg/kg(ドライシロップ剤と
して66.7mg/kg)を1日2回、5日間、経口投与する。

 2.タミフルの予防使用
 インフルエンザウイルスは、飛沫感染して、体内では、8時間後
に、約100ケに増殖する。そして、1〜3日間の潜伏期間の後、
発熱、独特の咳などの症状で、発症する。
 Cap製剤(カプセル製剤)は、下記のような場合には、予防使用
(予防投与)が認められている。なお、タミフルのCap製剤は、「A
型又はB型インフルエンザウイルス感染症に発症後の治療」目的で使
用した場合にのみ、保険給付される。予防使用した場合は、保険適
用にならず、保険給付されない。また、DS製剤は、予防使用が認め
られていない。

 インフルエンザの症状を軽くする為には、潜伏期間に、オセルタ
ミビルのカプセル製剤(タミフルカプセル)を、予防的に服用する
のが、賢明と思われる。従って、インフルエンザ患者に接触後、で
きるだけ速やかに(インフルエンザ患者に接触後、48時間以内に
)、タミフルカプセルを、1日1カプセルを、服用する。
 インフルエンザ感染症を発症している患者の、同居家族や共同生
活者(施設などの同居者)が、下記のような場合には、タミフルの
Cap製剤(カプセル製剤)を、1日1回、予防使用することが、認め
られている(7〜10日間、継続して、服用する)。なお、予防使
用した場合は、保険給付されない。また、健康成人と、13歳未満
の小児は、予防使用の対象にならない。

 1).高齢者(65歳以上)、
 2).慢性呼吸器疾患患者、又は、慢性心疾患患者、
 3).代謝性疾患患者(糖尿病など)、
 4).腎機能障害患者、
    治療   予防  
 対象   成人及び体重37.5kg以上の小児   成人及び13歳以上の小児  
 投与法   1回75mg 1日2回   1回75mg 1日1回(注1)  
 投与期間   5日間経口投与   7〜10日間経口投与  


 予防使用する場合には、インフルエンザ感染症患者に接触した後
、2日以内(48時間以内)に、投与を開始する。
 インフルエンザウイルス感染症に対する予防効果は、本剤を、連
続して服用している期間のみ持続する。

 なお、インフルエンザウイルス感染症の予防の基本は、ワクチン
療法(ワクチン接種:注2)とされる。

 3.乳児へのタミフルドライシロップ投与の安全性
 「タミフルドライシロップ3%の乳児への投与の安全性に関する検
討(中間報告)」(日本小児科学会雑誌 108巻11号 1438頁:2004
年)によると、2004年1月に、タミフルドライシロップ(以後、タミ
フルDSと記す)の、乳児への投与を控えることの要請があった。

 その後、タミフルDSを投与された乳児737例(A型、又は、B型イン
フルエンザウイルス感染症患者)に関して、副作用・有害事象の発
現状況を、調査し検討した。その結果、タミフルDSとの因果関係が
疑われる副作用として、下痢(13例)、嘔吐(5例)、軟便(3例)
、低体温(2例)などの症状が見られた。発疹は、737例中4例に認め
られ、その内、1例は、タミフルDSとの因果関係が否定出来ないと判
断された。なお、インフルエンザ感染の経過中に、タミフルDSを投与
後、痙攣が見られた(1日後に2例、2日後に1例)が、痙攣は、タミ
フルドライシロップの副作用とは、見なされていない。
 いずれにせよ、重篤な副作用の報告はない。中間報告には、「イ
ンフルエンザ患児乳児に対して、指示された用法・用量によるタミ
フルドライシロップ3%の投与に関する危険性は高くないと推測され
るが、本報告はあくまでも中間報告であり後方視的な調査のデータ
である。」と、記されている。
 なお、ラットを用いた試験では、幼若ラットでは、リン酸オセル
タミビルの脳内濃度は、成熟ラットの約1,500倍高くなり、幼若ラッ
トでは、血液脳関門が未熟である可能性が、示唆されている。
 また、添付文書に、「治療に用いる場合には、抗ウイルス薬の投
与がA型又はB型インフルエンザウイルス感染症の全ての患者に対し
ては必須ではないことを踏まえ、患者の状態を十分観察した上で、
本剤の使用の必要性を慎重に検討すること。 」と書かれてあるよう
に、抗インフルエンザウイルス剤は、全ての患者に投与する必要は
ない。

 4.その他
 ・オセルタミビルは、腎臓から排泄される。
 オセルタミビルは、乳汁中に移行するので、授乳婦に投与する場
合には、授乳を避けさせる。なお、妊婦、又は、妊娠している可能
性のある婦人に投与する場合には、治療上の有益性が危険性を上回
ると判断される場合にのみ投与することになっている。
 主な副作用は、腹痛21件(6.8%)、下痢17件(5.5%
)、嘔気12件(3.9%)が、知られている。
 
 ・オセルタミビルは、1回200mg以上を投与すると、嘔気、嘔
吐、めまい(浮動性眩暈)が現れる。

 ・国内予防試験で発現した主な有害事象(2%以上)

 有害事象  リン酸オセルタミビル(n=155) 
 腹痛    18(11.6%) 
 下痢    13(8.4%) 
 頭痛    11(7.1%) 
 嘔気     9(5.8%) 
 嘔吐     7(4.5%) 
 腹部膨満     6(3.9%) 

 ・オセルタミビル投与後の耐性ウイルスに関しては、耐性ウイル
スの出現率は、1.4%とされる(成人及び青年では0.34%、
小児では4.5%)。
 耐性ウイルスは、全てA型インフルエンザウイルスに由来し、B型
では出現が認められていない。
 耐性を獲得したインフルエンザウイルス(耐性ウイルス)は、著
しく感染性が低下し、感染部位での増殖、伝播力は、極めて低いと
考えられている(マウス、及び、フェレットでのデータ)。耐性ウ
イルスが出現しても、再び発熱したり、重症化することはなく、1
週間程度で、耐性ウイルスは、気道から消失する。耐性ウイルスが
、周囲のヒトに感染した症例は、ないとされている。耐性を獲得し
たウイルスでは、ノイラミニダーゼ(NA)のアミノ酸変異が認めら
れている。
 
 ・タミフルを使用すると、早期に解熱するが、低年齢の幼児では
、解熱後も、数日間は、上気道からウイルスが、排泄され続いてい
る。従って、成人や学童では、解熱後2〜3日間、乳幼児では、解
熱後3〜4日間、隔離して、静養することが必要。

 ・A型インフルエンザに罹患した小児を、抗インフルエンザ薬で4
日間治療し、解熱後約48時間経過した時点で、再度、鼻腔拭い液中
のウイルス抗原を、迅速診断キット(キャピリアFluA,B、インフル
A・B−クイック「生検」)を使用して、検査した。その結果、解熱
後約48時間経過した時点でも、48.4%の患児(31名中15名)に於い
て、鼻腔拭い液中のウイルス抗原(鼻汁中のA型インフルエンザウイ
ルス抗原)が、陽性だった。
 抗インフルエンザ薬として、オセルタミビルを使用した場合は、
71.4%(14名中10名)で、鼻腔拭い液中のウイルス抗原が陽性だっ
た。また、アマンタジンを使用した場合は、29.4%(17名中5名)
で、鼻腔拭い液中のウイルス抗原が陽性だった。
 抗インフルエンザ薬で治療後に、ウイルス抗原が陽性であり、ウ
イルス抗原が残存していても、必ずしも、感染源となり得ない(ウ
イルス抗原が陽性であっても、必ずしも、感染性のあるウイルス粒
子が残存していることを意味しない)が、抗インフルエンザ薬を使
用して治療した場合のインフルエンザ罹患後の登校基準を、検討す
る必要がある。(藤澤等の論文報告)

 ・2003年初頭のインフルエンザ流行時に、タミフルの供給不足が
、社会問題化された。しかし、世界で生産されるタミフルの60〜
70%を、日本で使用していたと言う。
 欧米でのインフルエンザ治療は、依然として、安静、水分補給、
解熱薬の投与とされている。

 ・インフルエンザは、老人や基礎疾患などで、体力(免疫力)が
低下していなければ、自然治癒することが多い病気なので、インフ
ルエンザに罹った人の総てが、オセルタミビル(タミフル)を服用
する必要はない。むしろ、適切に使用しなければ、耐性ウイルスの
問題が生じる。インフルエンザに罹った人の総てが、オセルタミビ
ル(タミフル)を服用することは、医療コスト上からも、好ましく
ない。
 添付文書にも、「治療に用いる場合には、抗ウイルス薬の投与が
A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の全ての患者に対しては
必須ではないことを踏まえ、患者の状態を十分観察した上で、本剤
の使用の必要性を慎重に検討すること。」と、明記されている。

 ・タミフルの臨床効果(解熱効果)は、B型インフルエンザウイル
スに対しては、A型インフルエンザウイルスに比して、劣っている。

 ・タミフル(オセルタミビル)は、インフルエンザウイルスのノ
イラミニダーゼ活性部位(NA活性部位)に結合する(高い親和性が
ある)。

 ・タミフル(オセルタミビル)は、プロドラッグとして、生体へ
の吸収効率を良くしてある(タミフル自体に、生理活性はない)。
 タミフルは、肝臓で、酵素により分解され、生理活性(インフル
エンザウイルス増殖抑制効果)を有する活性体に、変換される。
 タミフルの活性体が、インフルエンザウイルスが増殖する組織に
移行し、高い生理活性を示す。活性体自体は、吸収効率が悪い為、
直接内服しても、体内には、微量しか吸収されない。
 母乳中に移行するタミフルは、ラットの実験によると、微量であ
り、そのほとんど全ては、吸収効率が悪い活性体であり、吸収効率
が良いプロドラッグではない(ヒトでは、乳汁中オセルタミビル濃
度の方が、血漿中オセルタミビル濃度より、高い)。
 添付文書には、「授乳婦に投与する場合には授乳を避けさせるこ
と。[動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されてい
る。]」と、記されている。しかし、母乳中に分泌されるタミフル
(オセルタミビル)は微量であり、その大部分が吸収効率が悪い活
性体であることを考えると、母親がタミフルを内服しても、乳児に
、授乳(母乳哺育)を中止する必要はないと、考えれられている。
また、母親がタミフルを内服していて、同時に、児(乳児)がイン
フルエンザの治療でタミフル内服を開始した場合も、児へのタミフ
ル投与量を、減じる必要はないと考えられている。
 なお、妊娠中のタミフル投与に関しては、添付文書に、「妊婦又
は妊娠している可能性のある婦人に投与する場合には、治療上の有
益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊
娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験(ラット)
で胎盤通過性が報告されている。]」と記されている。

 ・乳児へのタミフル(オセルタミビル)投与量は、通常、4mg/kg/日(5日間)。

 ・タミフル(オセルタミビル)の添付文書には、「精神・神経症
状(頻度不明) 精神・神経症状(意識障害、異常行動、譫妄、幻
覚、妄想、痙攣等)があらわれることがあるので、異常が認められ
た場合には投与を中止し、観察を十分に行い、症状に応じて適切な
処置を行うこと。」と書かれてある。
 平成17(2005)年11月に、タミフル(オセルタミビル)を服用し
た患者2人が、異常行動を来たし、死亡していたことが、報告され
た(1人は、車道に走り出て、大型トラックに撥ねられて死亡し、
もう1人は、マンションの9階から転落死)。
 一般に、インフルエンザでは、他の感染症に比して、発熱に伴い
、譫妄状態(熱性譫妄)が見られることが多い(熱性譫妄は、必ず
しも、インフルエンザ脳症の合併を意味しない)。
 このような異常行動や異常言動が、本当に、タミフルの副作用な
のか、慎重な解明を期待したい。

 ・抗ウイルス薬のリン酸オセルタミビル(タミフル)や、単純ヘ
ルペスウイルスや水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)に効果がある、塩酸
バラシクロビル(商品名バルトレックス)は、投与後、幻覚や意識
障害などの中枢神経性副作用を起こすことがある。

 ・タミフルは、鳥インフルエンザ(HPAI)にも、有効とされる。

 注1:成人の腎機能障害患者では、血漿中濃度が増加するので、
腎機能の低下に応じて、次のような投与法を目安とする。
 クレアチニンクリアランス
    (mL/分)              投与法 
 治療  予防 
 30<Ccr  1回75mg1日2回  1回75mg1日1回 
 10<Ccr≦30  1回75mg1日1回  1回75mg隔日 
 Ccr≦10  推奨用量は確立していない 

 注2:インフルエンザワクチンの有効率の評価は、例えば、ワク
チン未接種の1,000人の乳幼児のうち、300人がインフルエンザを発
病すると仮定する(発病率30%)。その時、ワクチン接種済みの乳
幼児1,000人中200人がインフルエンザを発病すると(発病率20%)
、ワクチンの効果は、発病を(30−20)÷30=33%減少させた、つ
まり、発病防止の有効率は33%と、評価される。
 
 参考文献
 ・タミフルドライシロップ3%の乳児への投与の安全性に関する検
討(中間報告):日児誌 108巻11号 1438頁:2004年.
 ・タミフルカプセル75の予防使用にあたってのご注意(市販直後
調査):中外製薬株式会社、シオノギ製薬(2004年8月作成). 
 ・黒田文人、他:オセルタミビルの臨床効果はA型よりB型インフ
ルエンザで劣る 第39回中部日本小児科学会(2003、松本市).
 ・田村大輔、他:母乳哺育中の乳児に対するオセルタミビル投与
 日本醫事新報 No.4252(2005年10月22日)、93頁.
 ・藤澤和郎、眞弓光文:抗インフルエンザ薬によるA型インフルエ
ンザ治療後のウイルス抗原検出率 日本小児科学会雑誌 108巻3号
、428-431:2004年.

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