2256.バーナンキと今後の米国経済



米国バーナンキ新議長でどうなるかを予測しよう。  Fより

米国の経済は、だんだん製造業からサービス業やソフト産業に転換
して、その質が変化している。米国の製造業では自動車産業が日本
や韓国に負けて、GMやフォードの業績が良くない。テレビやカメ
ラなどの製造業もない。デジタル家電で、米国企業の名前を聞かな
い。

ソフト産業でもインドや中国が台頭してきて、米国のソフト開発者
が失業している。日本にも進出しているファンドなどの金融業と保
険業しかない状態になっている。このため、中産階級が没落して、
貧富が2極化している。そして、中国からの製品輸入で大幅な貿易
赤字になっているが、ドル高の状態になっている。ドルが暴落しな
いのは、中国が大量にドルを買い外貨準備高として抱えていること
による。しかし、中国もドル暴落に備えるために準備金を複数の通
貨にすると宣言している。

このように、製造業が衰退して、一段と米国経済は脆弱になってい
る。中国との関係を悪化できない理由は、中国の持っているドルを
市場で売られると、途端にドル暴落になることに起因している。

このような米国経済の状況で、グリーンスパン前議長は、金利を下
げて住宅バブルを起こし景気を維持し、バブル化したために金利を
徐々に上げて、バブルの沈静化を図った。しかし、この影響で貯蓄
率はマイナスなっている。このように米国での産業育成政策がない
ので、FRBの金利政策で米国景気を維持しているのが現状である。
今度、この米国経済の舵を取るのがバーナンキ新議長である。

ブッシュ大統領もやっと、米国産業の競争力を強化すると宣言して
いるが、イラク戦争や軍事費の増大で競争力強化に回せる政府資金
があまりないのが現状である。このままにすると、財政赤字が膨ら
み、どこかでドル暴落ということが現実化する可能性がある。

そのために、バーナンキ新議長はインフレターゲットというインフ
レ目標を作り、その水準までドルをゆっくり下落させる可能性があ
る。今のような経済運営を米国もそう長く続けられないように感じ
る。次の国家産業育成政策とFRBの政策のコンビネーションしか
米国の経済的な復帰はありえない。

さあ、新議長の腕前を拝見しよう。
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バーナンキ氏、第14代のFRB議長に正式就任
(nikkei)
 【ワシントン=小竹洋之】米連邦準備理事会(FRB)のベン・
バーナンキ新議長(52)が1日朝(日本時間同日深夜)、ワシントン
のFRB本部で宣誓し、正式に就任した。1月31日に退任したアラン
・グリーンスパン前議長(79)の後任として、第14代議長を務める。
任期は1期4年間。

 バーナンキ氏はプリンストン大の経済学部長を経て、FRB理事
、大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を歴任した。日本銀行の
福井俊彦総裁(70)、欧州中央銀行のトリシェ総裁(63)など主要
国の中央銀行総裁の中で最も若くなる。学者出身で官職の経験は浅
いが、経済の現状認識や金融政策の方向性をわかりやすく説明する
能力に定評がある。

 15、16日には上下両院で証言し、今後の金融政策運営や持論のイ
ンフレ目標導入などについて説明する。最初の米連邦公開市場委員
会(FOMC)は3月28日に開く。 (00:14) 
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Ben S. Bernanke(ベン・バーナンキ)

経済学者、連邦準備理事会(FRB)議長。

1953年12月13日、ジョージア州のオーガスタで生まれる。1975年に
ハーバード大学経済学部を首席で卒業後、1979年マサチューセッツ
工科大学でPh.D.を取得。その後はスタンフォード大学(1983-1985)
、プリンストン大学(1985-2002)などで教鞭をとった。その一方で、
フィラデルフィア(1987-89)、ボストン(1989-90)、ニューヨーク
(1994-96,1990-91)の各連邦準備銀行の客員研究員、連邦準備理事
会(FRB)理事、大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を歴任するなど
、実務の世界でも活躍。2006年2月1日、グリーンスパンの後任とし
て第14代の連邦準備理事会議長に就任した。
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ブッシュ米大統領が一般教書演説 中東原油依存から脱却
2006/2/2  TrackBack( 0 )  (フジサンケイビジネスーI)
 
 ■代替エネルギー開発など重点
 【ワシントン=有元隆志】ブッシュ米大統領は31日夜(日本時
間1日午前)、連邦議会上下両院合同会議で、今年の施政方針を示
す一般教書演説を行った。この中で新興経済国の中国とインドを「
新たな競争相手」と位置づけ、人材の育成を柱とした対抗策を打ち
出した。また、新エネルギーの開発を柱にした新たなエネルギー政
策を示し、中東原油に依存する体制を抜本的に改める考えを明らか
にした。

 大統領は、米国の経済分野の国際競争力の現状について「過去2
年半で米国は日本と欧州連合(EU)の合計より多い460万人の
雇用を創出するなど米国経済は、ずば抜けている」との認識を示し
た。この上で「絶えず変化する世界経済の中で、中国やインドのよ
うな新たな競争相手を目の当たりにしている」と述べ、成長著しい
中国、インドを名指しして競争相手と位置づけた。先進国から中国
やインドへの技術移転が急速に進み、米国の優位性が脅かされると
の危機感が背景にある。

 大統領は具体的な対抗策として、自然科学分野の基礎研究に対す
る連邦予算の割り当てを今後10年間で倍増するほか、数学、科学
を教える高校教師を7万人増員するなど、政府主導で優秀な人材を
育成する方針を明らかにした。

 一方、エネルギー政策では、「2025年までに中東からの原油
輸入を75%削減する」目標を掲げた。削減分は、自動車のガソリ
ンの燃焼効率を高めるため、エタノールをつくる革新的な技術に関
する研究を進めることなどでカバーする計画だ。エネルギー省主導
で研究費を約22%上積みし、炭火力発電所の石炭燃焼浄化技術開
発や太陽エネルギー、風力発電、原子力発電などに予算を重点配分
する。

 ただ、2004年の米国の原油輸入の内訳は、ペルシャ湾岸から
の分が日量240万バレルで全体の24%を占め、削減目標の75
%は、このうち180万バレルにも上る。現状では、エタノール燃
料の製造コストは高く、低価格燃料の開発には時間がかかるとの見
方もある。

                   ◇

【用語解説】一般教書演説

 予算教書、経済報告と並ぶ大統領の「三大教書」の一つ。内政・
外交政策全般について言及し、国家の方向性を示す最重要の教書と
いわれる。英語では「State of the Union 
Address(連邦の現状についての演説)」。日本では内閣総
理大臣が行う施政方針演説に相当する。 
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[新FRB議長]「名声を継ぐことができるか」

 米国経済は、足元こそ順調だが、原油高騰や経常赤字の膨張など
懸念材料も増え、金融政策の舵(かじ)取りはますます難しい。そ
うした中で金融政策の最高責任者が交代した。

 18年半にわたり米連邦準備制度理事会(FRB)議長を務めた
グリーンスパン氏の後任にバーナンキ氏が就任した。

 交代の前日、前議長は任期の最後を締めくくる形で、一昨年6月
以来、14回目の小幅利上げを実施した。短期金利の指標となるフ
ェデラル・ファンド金利の誘導目標を年4・5%と、5年近く前の
水準に戻してのバトンタッチだ。

 FRB議長は、金融政策を通じて米国経済のインフレなき安定成
長を図り、基軸通貨ドルの価値を守るのが仕事だ。その采配(さい
はい)は、米国だけでなく日本を含めた世界の経済に大きな影響を
与える。

 前任者の政策の成果とされる物価の安定、景気の安定的拡大を持
続させる政策運営を、新議長に期待する。

 今回の利上げ決定では、決定後に発表される声明に前議長がどの
ようなメッセージを込めるかが、注目点だった。

 声明は政策運営について、前回の「何らかの金融引き締めが必要
になる可能性がある」を「必要かも知れない」と幅のある表現に改
め、小幅の連続利上げを意味する文言を削った。

 短期金利の水準はすでに、金融緩和でも引き締めでもない「中立
」とされる圏内に入っている。一方で、政策判断の前提となる米国
経済の先行きは、これまで以上に読みにくくなっている。

 昨年10〜12月期の実質経済成長率は、前期の絶好調から一転
して急減速し、過熱していた住宅市場にも変調の兆しが出ている。
原油高騰は続き、安定成長を脅かす経常赤字の膨張は止まらない。

 声明の表現の変化には、新議長の政策判断に枠をはめない、とい
う配慮が込められているとの見方がある。それだけでなく、金融政
策の次の一手を明確に引き継げないほど、情勢判断が難しくなって
いることを示してもいるようだ。

 市場は、新任のFRB議長の手腕に不安を持つことが多い。

 前議長も当初、市場から強い不安を持たれ、就任2か月後のニュ
ーヨーク株価大暴落の一因となった。だが敏速な対応で危機を収め
、その後の数々の危機も、市場との対話と巧みな政策運営で乗り切
って、市場関係者が「マエストロ(名指揮者)」と呼ぶほどの信頼
を得た。

 新議長が名声を継ぐことができるか。3月下旬に予定される就任
後初のFRB連邦公開市場委員会で、どのような政策判断を示すか
を、まず注目したい。

(2006年2月3日1時39分  読売新聞)
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米FF金利0.25%上げ 年4.5%

 【ワシントン=気仙英郎】米連邦準備制度理事会(FRB)は
三十一日、当面の金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC
)を開き、短期市場金利の指標であるフェデラルファンド(FF)
金利の誘導目標を0・25%引き上げ、年4・5%とすることを決
めた。決定は全会一致で、市中銀行への貸出金利である公定歩合も
5・5%に引き上げられた。金利の引き上げは〇四年六月末以来
十四回連続で、この間の上げ幅は計3・5%となった。

 FRBは、米国経済について「経済指標にまだら模様があるが、
堅調に拡大している」とみており、インフレ抑制を政策上の優先課
題とした。エネルギー価格や食料品を除外したインフレ率は「この
数カ月にわたって比較的低水準で推移している」が、原油価格の高
騰などによって今後、物価上昇圧力が強まる懸念があるとの見方を
改めて強調した。その上で、FOMCは声明で、「若干の引き締め
が必要になる可能性がある」との判断を示し、追加利上げの可能性
を示唆した。

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