2242.日本の市場主義



ホリエモンなど、株式市場の参加者を騙して金儲けするヤカラを、
放置しては正常な資本主義ができない。市場主義の検討。
                     Fより

日本の改革は、国家主義から企業主義へ転換とも言えるし、社会主
義的資本主義・民主主義から完全な資本主義・民主主義への転換と
も言える。

今までの社会主義的な資本主義は、国家が国民の生活の質まで管理
することと、多くのインフラも国家が運営して、安価に国民に提供
する体制であった。戦後の当初はその目的に沿って運営されていた
が、だんだん年がたつと利益を得ている者の利権化が進行していき
、国民に高いサービス料を取るが運営体は万年赤字になる制度疲労
を起こし、国家財政に重荷になるし、サービスも私企業より悪くな
っていった。

このため、国家主義から企業主義に転換することになるが、ここで
問題が出てきた。1つが耐震強度偽装事件で、もう1つがM&Aの
不当利益問題である。どちらも市場主義経済で、金儲けに走る者た
ちが犯す過ちだ。この監視体制が十分に機能していないことで起こ
したように感じる。

それと、東証のシステム能力が不足しているという市場主義の根本
が揺らいでいることも証明されてしまった。まだ、日本社会が市場
主義経済の最適な体制になっていないことをまざまざと見せ付けて
いる。企業市場主義の生みの苦しみなのでしょうね。その上で、日
本的な市場主義に変化させる必要がある。

市場主義を正常に運営するためには、その市場主義のルールを監視
する仕組みを完成する必要と、弱者保護の仕組みも必要である。

株式取引を監視する機構がM&Aにまで監視の目を向けないといけ
ないようである。今回のホリエモンの会社は実態以上に利益が多か
ったので、何かあると思っていたが、案の定、不正取引をしていた
ことが発覚した。

国家主義には戻ってはいけないが、市場主義が正常に機能させるた
めには監視の目が整っている必要がある。そうしないと、株式市場
の正常な発展もない。特に怖いのはIT系ベンチャー企業で実態が
ない分、分からない。

耐震強度偽装事件は、保険を義務付けるような国民保護の立場での
制度が必要なことが明確になったように思う。今回のような国家が
補償を国家主義に戻る可能性があり、おかしいと思う。事件の再発
防止を図るために保険制度の整備をしてほしいものである。
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東証システム、耐用期限過ぎていた 導入は10年前(ASAHI)
2006年01月22日11時00分

 東京証券取引所の異例の全株式売買停止を招いた清算システムは
、約10年前に導入したコンピューターを使い、当初の耐用期限は
04年後半だったことが分かった。東証は23日からは現行システ
ムでの能力増強、30日には予定されていた新コンピューターによ
る次期システム移行でしのぐ方針だが、綱渡りの状況は続く。 

 東証の取引システムは売買と清算に分かれ、今回問題になったの
は清算だった。 

 東証決済管理部によると、現行システムのコンピューターは日立
製作所の大型汎用機(メーンフレーム)で、独自開発のソフトを組
み込んでいる。清算システムは、処理に先立ち、その日に確定した
約定(やくじょう)の全データを売買システムから受け取り、ハー
ドディスクに格納する。この際に確保できるハードディスクの空き
容量の大きさから、現在は約定処理能力が1日450万件に限られ
ている。 

 次期システム開発は、東証と日立で数年前から進めていたが、
04年後半に迎えた耐用期限に間に合わず、その後は現行システム
の保守・整備で対応していた。 

 昨年10月には、データ移動などでハードディスクの空き容量を
増やし、1日の約定処理能力を従来の300万件から現在の450
万件へ増強。1日500万件で設計されている次期システム移行ま
で乗り切れると見込んでいた。 

 今回の事態を受け、東証は21、22の両日に現システムをさら
に増強するテストを実施。安定性が確認されれば23日から1日
500万件の能力で運用する。 

 30日には次期システムへ移行する予定だが、当初能力では十分
な余裕がないとみて、数カ月以内に700万〜800万件まで増強
する考えだ。 

 メーンフレームは動作の安定性や故障しにくさが特徴で、金融機
関やチケット予約のシステムにも使われる。日立は「10年以上使
うことは珍しくない」というが、システム業界に詳しい大学教授は
「増強しながら長く使うものだが、10年前の機種ならやはり古い
と思う」と指摘している。 
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ライブドア関連会社、不当な高率で株交換 利益を本体に(ASAHI)
2006年01月21日15時13分
 
 ライブドアの関連会社「ライブドアマーケティング」(旧バリュ
ークリックジャパン)が株式交換で出版社「マネーライフ」を買収
した際、実際の株式の価値とは無関係に不当に多くの株を渡してい
たことが東京地検特捜部の調べでわかった。マネー社の100%株
主として株を受け取った投資事業組合はライブドア本体が実質的に
支配。これらの株を値上がり後に売却して巨額の利益を上げ、ライ
ブドア側に還流させていた。 

 関係者によると、こうした工作は、20日に特捜部の事情聴取を
受けたライブドアの宮内亮治取締役(38)が中心となって行われ
た。特捜部は、ライブドア側が一連の取引でより多くの利益を得る
ため、経営実態に見合わない多数の株を発行し、マネー社の企業価
値を実際よりかさ上げする形で株式交換したとみて証券取引法違反
(偽計取引)の疑いで調べている。 

 調べによると、バリュー社は04年10月25日、マネー社を株
式交換によって買収すると発表。株の交換比率は「1対1」とされ
、バリュー社は、マネー社の全株数1600株と同数の自社株を新
たに発行し、株式交換した。 

 ところが、バリュー社株の同日の終値は1株17万9000円で
1600株の価値は約2億8000万円となるのに対し、マネー社
側の全株の価値は最大に見積もっても約7000万円にしかならな
かった。 

 買収時の株の交換比率は通常、会社の資産や過去の収益実績をも
とに算出される。資産価値から見積もると、本来の交換比率は「バ
リュー社1」対「マネー社4」で、バリュー社の新株発行は400
株が妥当だったとみられる。 

 このため、特捜部は、宮内取締役らがライブドアに巨額の利益を
還流させるため交換比率を等価に装った疑いが強いとみて調べてい
る。 

 関係者によると、宮内取締役は04年3月からマネー社の資産を
査定。6月には同社の取締役に就任した。ライブドアの取締役が直
接乗り出してきたことから、マネー社側はライブドア本体の子会社
になると思っていたが、その後、宮内取締役から「一時的に投資事
業組合が株を引き受ける」と言われたという。ライブドアグループ
が100%出資する「VLMA2号投資事業組合」が約4000万
円でマネー社を買収したうえで、ライブドア側はマネー社の借金
3000万円も肩代わりした。 

 さらに、マネー社の株式は投資事業組合が買収した後、1000
株から1600株に増資された。この増資も、交換後に売却できる
バリュー社株を増やす目的でライブドア側が行ったとみられる。 

 バリュー社は、マネー社買収の発表から2週間後の04年11月
8日、1株を100株に分割する株式分割を発表し、株価は約37
倍に高騰。その後、投資事業組合はバリュー社株を高値で転売し、
約7億円の利益は大半がライブドアに還流していた。 
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任意聴取の宮内取締役、買収に手腕 堀江社長と二人三脚(ASAHI)
2006年01月21日06時28分

 「ライブドア」の関連会社による証券取引法違反容疑事件をめぐ
り、20日に東京地検特捜部の任意聴取を受けた宮内亮治取締役
(38)は、堀江貴文社長(33)の側近中の側近だった。堀江社
長は自著の中で、宮内氏に顧問税理士として仕事を依頼した時のこ
とを、「このときの出会いがなければ、今のライブドアはなかった
だろう」と振り返っている。株式上場、プロ野球界やメディア界へ
の挑戦――。常に恐れを知らないかのように振る舞う堀江社長の陰
には、必ず宮内氏がいた。 

 堀江社長は自著「儲かる会社のつくり方」の中で、「とにかく法
の範囲内で、できうる限りの節税方法を考えてもらう」と書き、顧
問税理士だった宮内氏を「ものすごく税務署に強かった」。 

 堀江社長が東大在学中に資本金600万円で起業した有限会社を
株式会社にし、上場させたのも宮内氏が中心となった。 

 堀江社長に請われて同社に入った宮内氏は、1年がかりで上場の
準備を陣頭指揮した。その猛烈な仕事ぶりに、大学サークルのよう
な雰囲気だった社内に不協和音も生じたが、堀江社長は不満を漏ら
す社員を「宮内の進めている通りにやれ」と一喝したという。 

 上場によって豊富な資金を手にした堀江社長は、様々な分野の企
業を企業合併・買収(M&A)によって傘下に収めていく。それを
支えた宮内氏は、高値の株価に頼る「時価総額経営」を突き進めた。 

 04年に近鉄球団の買収に名乗りをあげたときも、05年にニッ
ン放送・フジテレビに挑んだときも、必要とされた巨額の資金は宮
内氏が中心になって調達した。 

 2人を知る関係者は「堀江社長は自分がカリスマではないことを
知っている。だから、宮内氏ら能力のある者の発案が通って事業化
できる仕組み作りはちゃんとしている」と評する。 

 しかし、特捜部が強制捜査に踏み切った、証取法違反の疑いがも
たれている関連会社の取引は、宮内氏らが立案した。ライブドアの
株価は大幅に下落し、グループ躍進の原動力だった宮内氏の手法が
、一転して株式市場の猛反発を招く結果となった。 

 ライブドア本社が捜索を受けた16日、宮内氏は中国に出張中だ
った。翌17日、帰国した宮内氏は成田空港で、「疑われたのは私
の落ち度。堀江は関係ない」とかばった。 

 その日深夜、堀江社長は自分のブログに、安心したように書き込
んだ。 
 〈出張していた宮内が帰ってきました。辞任を示唆なんて報道が
ありましたが、話したのですが、現時点でそのような考えはないそ
うです〉 

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