2230.中南米問題



F様 コメントありがとうございました。

>逆に日系南米移民のように国家政策の犠牲者に対する補償という意
>味で、貧しい日系2世。3世を受け入れるのはしょうがない。
 そういう言葉は始めて聞きました。私は、単に製造業の都合で移
入された労働者だと理解しております。1980年代〜1990年代に問題
になっていた外国人の不法就労問題に対する施策として、合法的に
雇用できる外国人として南米日系人を移入したのが現実だと思いま
すが。

 1990年に入管法が改正され日系3世までとその扶養家族(子弟と
配偶者)が日本国内で単純労働を含むあらゆる職種で合法的に就労
できるようになったのです。当初は、デカセギとして短期で帰国す
ることを前提に、日本社会も、デカセギに来た当人たちも将来のこ
とを深刻に考えてこなかったのです。しかし、定住が長期に及び社
会保障(保険や年金)、子弟の教育問題、さらには高齢者の介護問
題なんてことも出てきているようです。

 既にブラジル人約30万人、ペルー人約5万人(合法的に就労してい
る人だけの数です)、在日ブラジル籍の人だけで在日中国籍の人に
迫る勢いです。(実際には韓国・朝鮮系や中国系の人は何世代も日
本に住んでおりますので、日本国籍を取得したり、日本人と結婚す
る人も多く、外国人として登録されているよりも実数は多いと思い
ますが) 
 既に、日系南米人は、日本の生産現場を支える貴重な労働力にな
っております。ただ、雇用環境は工場の請負作業員として全国の工
場を転々とするような状況で、雇用の調整弁として雇われておりま
す。すでに集住地域では顕在化していると思いますが、正規の教育
を受けていない世代が成人になるこれから、さらにいろいろな問題
が噴出するでしょう。

 いくら外国人の子弟が義務教育の対象でないとしても、不就学児
童(日本の学校にも、「民族学校」にも通っていない子供が)が
3〜4割もいること事態が異常だと思います。これには何らかの方
策を取らなければならないのではないでしょうか?「自己責任」と
か「親の責任」だという言葉で済ませていると将来、社会に跳ね返
って来ます。

 また、ブラジル政府公認の学校があるようですが、「私立」で学
費の補助もないために、一人当り月に、5万円ぐらいかかるようで何
人も子供がいる場合には通わせるのが難しいようです。また、これ
らの学校の教育基盤も確立しているとは言えない状態のようです。
(今後改善していくのだろうけど、私塾のような学校も多いようで
す)これらの学校はエスニックビジネスとして経営されているため
、ブラジル人と比べて人口が少ないペルー人等のスペイン語圏出身
者のコミュニティーでは一部の集住地区を除いて経営は成り立たな
いのが現実のようです。

 また、日本の公立学校に通っている子弟に対しては日本社会で生
きていくための、基礎学力を身につけさせなければならないと思い
ます。

一言居士

 以下に。ブラジル人のデカセギ現象を「移民問題」として論じた
文献を示します。

参考文献

独立行政法人 労働政策・研修機構 海外労働情報
日系人の日本での就労問題〜ブラジルからの視点〜
http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2003_11/brazil_01.htm
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中南米諸国の指導者のアメリカに対する強気の発言の背景には、対
中貿易額の増加があります。アメリカに天然資源を売らなくても、
他の買い手が現れたからです。この状況は今後の中国の経済状況に
よって、左右されると思います。
 だだし、買い手がアメリカから中国に変わったとしても、中南米
諸国は一次産品の供給国として立場には変化がありませんし、社会
構造も変わらないでしょう。

 日本はこの状況を傍観しているのではなく、アメリカと中国の間
に割って入るぐらいの気概がなければなりません。(バルブ崩壊以
後、日本人は内向きになり中南米に対して無関心になっております。)

一言居士
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(Fのコメント)
中国のマーケットは米国のマーケットの数十分の1ですから、石油
などのエネルギーや鉄鉱石などの鉱物資源しか買わないでしょうね。

プランテーションの農産物を買うようには思えない。米国と紛争を
起こして、アルゼンチンは通貨危機時にスペインへ支援を求めたよ
うに中国というより、旧宗主国であるスペインが南米で力を持ち始
めている。ベネズエラは石油があるために反米でも経済的な心配が
ない。
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中南米に「左」旋回の波 経済自由化政策の失敗→高まる反米感情
 2005年12月28日 (水) 02:30


 【ニューヨーク=長戸雅子】中南米地域が“左旋回の季節”に入
りつつあるようだ。最新の波はボリビアにまで押し寄せ、強硬な反
米派のチャベス・ベネズエラ大統領の盟友として知られるエボ・モ
ラレス社会主義運動党(MAS、左派)党首が先の大統領選で対抗
馬の親米派候補を予想を上回る大差で破った。地域の他の左派、中
道左派政権と同様、経済政策の失敗を米国主導の改革にあると捉え
た国民が反米へと流れている状況が背景にはあり、〇六年に予定さ
れる南米各国の大統領選での「モラレス効果」が注目されている。
 「米国が民主主義国家なら、民主主義的なやりかたでの国民の決
定というものを尊重すべきだ」

 モラレス氏は二十二日付ボリビア紙、「ラ・ラソン」紙との会見
で米国をこう挑発した。同氏が当選確実となったことを受け、ライ
ス米国務長官が「民主的統治を行うかどうか注目する」と述べた点
を意識したものだ。

 モラレス氏はキューバ国営テレビにも出演してカストロ議長を称
賛するなど、「米国の悪夢」を早くも体現している。

 モラレス氏は選挙戦で天然ガス資源の国有化、コカインの原料と
なるコカ栽培規制撤廃を掲げ、国民の七割を占める貧困層からの圧
倒的支持を得た。ガス資源で得た収入を貧困層に分配する計画や富
裕層への特別課税の検討も明かしている。

 一九八二年のメキシコ債務危機を機に深刻な経済危機に見舞われ
た中南米各国は、九〇年代に米国や国際通貨基金(IMF)の後押
しで市場開放や外資導入による「新自由主義」(ネオリベラリスモ
)政策を実施した。

 だが、外資は鉱業など特定の産業分野に集中して有効な失業対策
にはならず、政府の福祉削減策などもあって貧富の格差がかえって
拡大した。

 国民とりわけ貧困層の目には一連の失政はIMFを実質影響下に
置く米国のせいと映り、その結果、ブラジルのルラ政権(二〇〇三
年一月)、アルゼンチンのキルチネル政権(同年五月)、パナマの
トリホス政権(〇四年九月)、ウルグアイのバスケス政権(〇五年
三月)など左派、中道左派政権が、次々に誕生した。

 十一月にアルゼンチンで行われた米州首脳会議でも、ブラジルな
ど四カ国(当時、現五カ国)によるメルコスル(南米南部共同市場
)加盟国が米主導の米州自由貿易地域(FTAA)交渉再開に否定
的姿勢を貫き、米国との対立を鮮明にした。

 さらに、同会議開催中に行われた反ブッシュ政権デモにモラレス
氏が参加していたことも、米国には容認し難かろう。

 〇六年には、一月のチリ大統領選決選投票で中道左派のバチェレ
元国防相のリードが予想され、十月にはブラジル大統領選、年末に
はベネズエラ大統領選がそれぞれ予定される。

 ベネズエラではチャベス再選の可能性が高く、同氏を「独裁民主
主義者」(アロンソン元米国務次官補)とみる米国の懸念は強まり
こそすれ、弱まる気配は全くない。

     ◇
 □筑波大大学院・遅野井茂雄教授
 ■変わらぬ植民地時代の構造

 中南米では十九世紀にスペインからの独立が相次いだが、これは
「スペイン人の子孫のスペインからの独立」であって、先住民が彼
らを追放したわけではない。白人が上層部を占め、先住民が下層を
形成するピラミッド型の社会構造が植民地支配の最大の影響であり
、この状況は現代まで五百年間、変わっていない。

 各国とも独立後、鉱物やコーヒーなどプランテーションの農作物
、つまり一次産品を先進国に輸出してきており、第二次世界大戦で
先進国が戦場となったため輸出が鈍り工業化へと舵(かじ)を切っ
た。

 一九八〇年代に中南米は大変な経済危機に見舞われる。産業の国
有化による非効率な経済構造で国際競争力もない中で行われた構造
改革が「ネオリベラリスモ」で、保護関税撤廃や国営企業の民営化
などの規制緩和・撤廃が急速に進められた。

 米国は世界銀行や国際通貨基金(IMF)の背後で資金援助、そ
れと引き換えに経済自由化を促した。各国とも債務返済の重圧がの
しかかり、米国の改革案をのまざるを得なかった半面、グローバリ
ズムの進展に中南米が対応していくには不可避の選択でもあった。

 この結果、欧米資本の流入で経済は回復したものの、中南米全体
で成長率は3%台と低く雇用は増えず九〇年代には失業率が倍に跳
ね上がった。

 中南米は元来、経済格差が大きい社会で、その格差は縮まるどこ
ろか拡大、四割に達する貧困人口も減らなかった。数百年来の構造
的問題が解決されないことへの批判も加わって、左派政権の相次ぐ
誕生という形となって現れた。この傾向はここ五年ほどのものなが
らさらに強まる勢いだ。

 ただ、ブラジルやウルグアイ、チリなどは左派政権とはいっても
、「ネオリベラリスモ」の枠内での経済政策を継続している。米国
は今後、こうした国々との関係を維持し、ベネズエラやアルゼンチ
ン、これからのボリビアとの分断を図る可能性もあるのではないか。
(談)
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曽慶紅副主席、ラテンアメリカ5カ国を訪問へ

  外交部の孔泉報道官は20日の定例記者会見で、曽慶紅国家副主席
のラテンアメリカ5カ国訪問について説明した。記者との一問一答は
次のとおり。 

  ――曽慶紅氏が来週ラテンアメリカ諸国を訪問するが、訪問スケ
ジュールと目的を教えてほしい。 

  曽慶紅国家副主席は新年早々にメキシコ、ペルー、ベネズエラ、
トリニダード・トバゴ、ジャマイカのラテンアメリカ諸国を訪問す
る。ここ数年来、中国とこれら5カ国の二国間関係は、政治や経済・
貿易はもちろん、さらには科学技術や文化・教育などの分野でも急
速に進展している。曽副主席の訪問は、中国とこれらラテンアメリ
カ諸国との広範囲な分野におけるより深い友好互恵協力を必ず強力
に推進するだろう。 

  主な随行員は、国家質量監督検査検疫総局の李長江局長、外交部
の周文重副部長、商務部の馬秀紅副部長、中国輸出入銀行の羊子林
頭取。 

  訪問の主な議題は、首脳レベルの相互訪問と接触の維持など、重
要な二国間および地域、国際問題について意見を交換する。このほ
か、経済・貿易などの分野における互恵協力のさらなる進展も間違
いなく重要な議題となる。今回の訪問期間中、いくつかの二国間協
力の文書にも調印する。これらの文書の調印は、中国とこれらの国
々との互恵経済貿易関係において力強い推進作用を発揮するだろう。
(編集ZX) 

  「人民網日本語版」2005年1月21日 

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